銃声、悲鳴、呻き声。
単調な音を背景にライフルを構えていた。白い壁が赤で染められ、同時に一人、一人と倒れていく。
銃声、悲鳴、呻き声。
約15m前方、周囲より多少多く血を纏った兵士が膝を曲げ
直後、宙を舞い飛んで来る。
着地は約3m前方、距離をかなり詰められた。手には戦闘特化型のナイフが握られていた。
少し微笑んだ後奴は再び宙を舞う。瞬きを終えると奴は既に俺の頭上でナイフを掲げていた。
銃声、爆音、咳嗽。
反射的に後ろへ飛び付き、この瞬間の一命は取り留めた。
奴は2秒前まで俺がいた場所に立っている。
距離を詰められた状態でのライフル対ナイフ。正直不利だ。
立ちも出来ていない状態で闇雲に乱射するが全て外れる。
球はまだ余裕がある。接近される前に戦闘態勢を持ち直す。
奴は飛び掛かり 、俺は弾丸を放ち、
銃声、呻き声、騒音。
暗転。
銃弾は奴の顔面に直撃。血を撒き散らしながら倒れた。
が、最後の足掻き。ナイフを投げたようでそのナイフは俺の目に直撃した。
世界が真っ暗になるのは一瞬だった。
痛みに蹲るがそんな暇は無い。ここは戦場。倒れていたら直ぐにでも銃弾に貫かれるだろう。
｢相打ちとは言わせねぇぞ…!｣
銃声、銃声、銃声。
俺に向けられた音を掻い潜る。
距離感を掴み確実に自陣へ向かう。
銃声、銃声、銃声。
脇腹の痛み。命中。ただの動く的を胃抜けないほど相手も貧弱では無いことくらいはわかっている。脇腹を抑えながら走る。
銃声、銃声、銃声、銃声、銃声、銃声…声援。
視力を無くしつつ走り抜け、自陣に辿り着いた。
視力のみならず五感全てを味方に付けることが戦闘における鉄則だ。
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- portal:8262192 (26 Oct 2022 13:43)