ショートコン - お前、死体みたいな顔してるな

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「お前、死体みたいな顔してるな。」

俺は友達に突然そう言われた。確かに俺は人生がつまらないと思っていて、よく周りに目が死んでるとも言われる。ただ、この高校で出会い、この高校で1番の親友であった彼に言われたのは衝撃だった。

俺が人生を楽しめなくなったのは、4年前のあの日からだ。俺には大好きだった7歳上の兄さんがいた。いつも一緒に遊んでくれて、いつも頼み事を聞いてくれて。そんな兄さんに、あの日、忘れもしない4月20日、悲劇が訪れた。俺が中学に入学して毎日ワクワクが止まらないまま、授業をしていた時に学校に一本の電話がかかってきた。それは俺の親からのもので、すぐに家に帰ってこいとのことだった。俺は訳もわからないまま、家に帰った。そんな俺に伝えられた内容は衝撃的なものだった。

「お兄ちゃんが階段から落ちたって。病院に行くよ。」

俺はそれを聞いて尚更訳がわからなくなった。兄さんが階段から落ちたのか?そんな気持ちのまま、着いた病院の一室には、兄さんの遺体があった。視界が涙でぼやける。涙が止まらない。身体が勝手に叫んだ。

「兄さん!兄さん!そんな…嘘だろ?兄さん!」

兄さんは階段から15段程落ちたらしい。発見された時は頭から出血していて、病院に運ばれたが、もう手遅れだったそうだ。兄さんは少し離れた所で一人暮らしをしていて、めまい持ちだった。だが薬の服用をしていなかったそうだ。そのため、このことは事故として捜査されることになったらしい。俺は一晩中枕を濡らした。

あの時以来俺は中学でもずっとつまらない人生を送り、今の高校2年生になっても時々思い出して泣くことがある。

そんな俺が「死体みたいな顔」と言われるのは仕方ないかもしれない。まあでも彼のことだから冗談で言っているんだろう。その日から毎日死体みたいな顔と言われるようになった。さすがに冗談だとしても、毎日は流石にムカついてくる。そこで、俺は彼に

「なんで毎日そんなこといってくるんだよ。」

と聞いた。そこで彼から出た言葉は、

「だって死体みたいな顔してるじゃん。」

頭に?が浮かんだ。俺は彼に言う。

「そうかい、俺はそんな死体な顔をしているって言うんだな。」

彼は返答した。

「ああ、そっくりだよ。」

そこまで清々しく言われると流石に腹が立つ。冗談で言っているのか、本気で言っているのか分からなくなってきた。そして彼は遂に他の友達の前でも言うようになった。友達の中には、それにツボって笑う奴や、何が面白いんだと呆れている奴もいる。流石にもうキレそうだ。

「次また言ったら一発殴ってやる」

「じゃあ、『お前死体みたいな顔してるね。』」

「言いやがったな。」

俺は奴の腹を一発殴った。でもなんだか様子がおかしい。力は弱めて殴ったつもりだったが、どうやら当たりどころが悪かったようだ。彼は必死にもがいている。俺は流石にヤバいと思い、先生を呼んだ。先生が来たその時、彼は血を吐いた。そして彼は救急車で病院に運ばれ、内臓損傷として手術を受けたそうだ。完全にやらかした。彼が帰ってきたら誠心誠意謝ろう。


数週間経って、彼が退院して学校に来た。俺はすぐに謝る。

「ごめん!こんなことになるとは思ってなかったんだ!」

彼は思ったよりもすぐに許し、

「あの時はお前よりも俺の方が死にかけだったな。」

と言った。彼が優しい奴で助かった。そして、彼は普通の生活に戻ることができた。


「もうすぐ夏休みだな。」

彼は、開いた窓の縁に座って涼しんでいる俺に言ってきた。俺は答える。

「ああ、そうだな。来年は受験だから、高校生として楽しめる夏は今年で最後かもな。」

彼は返答する。

「そんな堅いこと言うなって。」

俺は言った。

「そんなこと言ったって、高校人生最後の夏休みってことは頭に入れといた方がいいぞ。」

彼は返答する。

「分かってるって。でもそんなこと考えたら楽しめねえじゃねえか。」

俺も返答する。

「まあな。」

数秒の沈黙の後、彼はこちらに近づきながらこう言ってきた。

「まあ、お前はもう最後の夏休みは終わってるけどな。」

彼は俺の目の前まで来た。俺の頭に?が浮かぶ。その時、彼は手を伸ばして俺を後ろへ、窓の外へと押した。

「え —」

俺は2階の窓から落ちた。

「がっ —」

息ができなく、口を開いても声が出ない。だんだんと意識が遠のいていくのを感じる。そんな時、降りてきたあいつが俺に向かって言った。

「やっぱお前、あの時の死体に似てる。その死にかけの顔、たまらねえな!」

俺がまさかと思い、口を開く間もなく彼が続けて言う。

「お前の兄を殺したのは多分俺だ。あの時はたまたま身体が当たって落ちたけど、どうやら俺は目覚めちまったみたいだな。お前の兄の死に顔がたまらなかったんだ。」

意識が遠のくのと同時にとてつもない怒りと憎しみが込み上げてきた。


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  1. portal:8260379 (21 Sep 2022 12:30)
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