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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団ウェブクローラによってインターネット上で発見されたSCP-XXXX-JPは全て削除されます。SCP-XXXX-JPの投稿を行った個人を機動部隊は-17("園芸部")が特定し、記憶処理及びSCP-XXXX-JP-1の回収を行います。
現在SCP-XXXX-JP-1はサイト-8173の低危険度収容ロッカーに1█個収容されています。閲覧及び実験は担当職員の許可を得て行ってください。
説明: SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1の画像及び「故人のことを思い出すと天国の故人の周りに花が降ってくる」といった内容を含んだソーシャルネットワークサービスへの投稿です。SCP-XXXX-JPを閲覧したヒト(以下、対象)が一定時間故人への懐古を実践した場合、対象の付近にSCP-XXXX-JP-1が転移します。
SCP-XXXX-JP-1はおよそ210gの植物であり、対象の付近に転移すること以外の異常性は見受けられません。転移するSCP-XXXX-JP-1の種類に規則性はありませんが、対象が懐古した故人に関連の強い植物1が選ばれる傾向があることが判明しています。またSCP-XXXX-JPの内容から、対象はSCP-XXXX-JP-1の出現に特別な動揺を抱くことはありません。
転移したSCP-XXXX-JP-1を見た対象はほとんどの場合SCP-XXXX-JPを投稿します。特筆すべきこととして、大抵の場合対象の投稿の際に添付される画像は対象の付近に転移したSCP-XXXX-JP-1が使用されています。また、対象がSCP-XXXX-JPの投稿の際に何らかの精神影響を及ぼされている様子がないことから、対象によるSCP-XXXX-JPの投稿は自主的なものであると考えられています。
SCP-XXXX-JPのインターネット上においての具体的な起源は不明です。
以下はSCP-XXXX-JPを投稿した人物へのインタビュー記録です。
対象: 長谷川 有紀
インタビュアー: エージェント・鮫島
実施日: 2019/8/20
付記: 対象は2019/8/19にFacebookへとSCP-XXXX-JPを投稿している。また、対象の夫である長谷川 博嗣氏は2008年に死去している。<録音開始>
[無関係な会話のため中略]
エージェント・鮫島: それで、こちらの写真なんですが。[エージェント・鮫島が携帯端末で長谷川氏の投稿を表示する。赤色のバラ(Rosa)、黄色のキク(Chrysanthemum)の花冠かかん2が畳と長谷川氏らしき人物の手の上に乗った写真が画面に表示される。]
エージェント・鮫島: この花が出現した時はどんな状況だったんですか?
長谷川氏: 亡くなった誰かのことを思い出すとその人の周りに花が降ってくる、そんな話をフェイスブックで見ましてね。だからついあの人との結婚式もこんな晴れた日だったな、プロポーズは赤いバラでそのベタさに笑っちゃったなって考えてたんですよ。
エージェント・鮫島: そうなんですね。いきなり花が降ってきたことをおかしいとは思いませんでしたか?
長谷川氏: 不思議だったけど、それ以上に嬉しくて。この花は主人が降らせてくれたんじゃないかと思ったから。
エージェント・鮫島: 旦那さんがですか?投稿の内容は、むしろあなたが思い出したから天国の旦那さんの周りに花が現れたというもののように思えるんですが。
長谷川氏: なんと言えばいいのか……。私が思い出したからあの人の周りに花が降ってくる訳でしょう?だから、思い出してくれてありがとうってお礼を届けてくれてるんじゃないかしらって思って。
エージェント・鮫島: なるほど。それで、この写真を投稿した理由についてなのですが。
長谷川氏: この歳になると現実でもこういう場所でも訃報ばっかりで。佐々木さんちのお姑さんが亡くなったとか、同い年の有名人が亡くなったとか……。せめてこういうことを知っておくと、いざその時が来ても気が楽になるんじゃないかしらと思ったんです。天国に旅立った後も愛されてるなんて、すごく幸せじゃないかしらね。
それに私、これが届く前に少し泣いてしまったんです。70にもなってお恥ずかしい限りですけど、もう会えないのかしら、本当に私と結婚して幸せだったのかしらって。そうしたら花が届いたから、これはきっとあの人からの贈り物だって確信しましてね。昔から、慰めるのが下手な人でしたから。
<録音終了>
終了報告書: インタビュー終了後、長谷川氏には記憶処理を実施しSCP-XXXX-JP-1を回収、長谷川氏の投稿したSCP-XXXX-JPを削除しました。
付与予定タグ: jp euclid 写真 植物
- portal:8091563 (22 Jun 2022 01:40)
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