中学に上がるまで、俺は鍵っ子だった。親が共働きで夜まで家に誰もいないから、学校から帰るとランドセルから鍵を出してドアを開けてた。その時親に言われてたのが、
鍵を誰かに貸さないこと。
帰ってきたら、家に誰もいなくてもただいまーっていうこと。どっちも防犯が理由だったと思う。
めんどくさいけどそういうもんかって思った俺が、言う通り誰もいない玄関にただいまーって言うのは小6の秋まで続いた。
小学6年生の秋、俺はいつもみたいに重いランドセルを背負ってマンションの階段を上がった。その日も夕方には帰るから、と聞かされていた俺は降ろしたランドセルの中から鍵を取り出して、家のドアを開けた。そして、いつもみたいに誰もいない部屋に向かってただいまーと声をかけた。
さっさと入ろうとドアに手をかけた時に、
「おかえりー」
って声が薄暗い部屋の中からしたんだ。
声の主は父親でも母親でもなかったと思う。そもそも、両親は今日も帰りが遅くなるって言ってたし。毎日暮らしてる家だし部屋に誰がいて何があるかは薄暗くても大体わかる。けどそこにはやっぱり誰もいなかった。
やばいと思った。第六感、とか動物的勘、って本当にあるんだな。
大急ぎで部屋から出て鍵を回して、夕方まで友達の家で過ごした。迎えに来た親には叱られたけど、あそこに帰るよりはよっぽどましだった。
次の日から、俺は一人の家に帰ってきても何も言わなくなった。
あの時部屋にいたのは誰で、あそこで家に入ってたら、俺はどうなってたんだろうか?と思うと、今でも僅かに寒気がする。
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任意A任意B任意C- portal:8091563 (22 Jun 2022 01:40)
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