5000-g トルコ・ギリシャ
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トルコとギリシャ。歴史の中心に数回なってきたヨーロッパとアジアの中間、オスマン帝国の子供たちの関係は再び緊迫していた。共通の敵・ロシアの弱体化(とはいえ、現在の政権も不安がないわけではないが)から28年。問題の眼差しはキプロスや難民、EUに向いていた。そんな折に起こった今回の件。ギリシャは最初の標的の一つとなった。
 


あの神へ繋ぎし山、オリンポス山は彼らの最重要施設の一角だ。奴らはおそらくあの上から降りてくるのだろう。大量の化物、アキレウスの踵をつれて。山を今すぐにオレンジスーツ達で囲ってしまおう。神の天罰に等しい恐ろしき彼らの攻撃を食い止めよ。そうしなければ人類に未来はないだろう。
—GOC西アジア部門部門長兼トルコ政府異常対策


その日のイスタンブールの空は晴れ渡っていた。新年も終わり、今日もイスタンブルのオフィスへ向かっている時にそれは起きた。イェニカプ駅で地下鉄を降りた時、スマホが突然騒ぎ出したのだ。急いでスマホの画面を見ると、ネットニュースはその内容で持ちきりだった。「財団と呼ばれる組織による人類の殲滅」そう書いてあった。流石に何かの冗談だと思い、目が痛くなりそうな程擦った。ようやく状況を飲み込むことができた頃、急に地下鉄から大水の音がした。
 
「奴ら、海底トンネルに穴を開けやがった。今すぐ上に逃げろ!」そう叫ぶ声は、途中で水の音にかき消された。そうして、私は階段を駆け上がった。後ろからは水に飲まれた人々が泣き叫ぶ声が聞こえた。
だが、息を切らしながら外へ出ると、そこも地獄のような場所になっていた。憎々しい塊。それを直感で感じ取り、急いで踵を返して駅へ戻った。もうすぐ私も死ぬのだろう。最後に妻に電話をしょうとした。だが、電話が繋がったところで出たのは、私の妻ではない、謎の怪物の声だった。それはよく聞くとあの怪物と同じものだった。
 


その日はギリシャの全員にとってすわりのわるい日になった。いや、おそらく世界中がそうなのだろう。
 
ギリシャでの始まりは2週間前のオリンポス山の研究所だろう。急に財団の連絡員が変わった。彼に変わった理由を聞いても答えはしなかったが、新しく着いた彼の声は若干だが震えていた。
だが、最も不自然な点は10日前の彼はどこか真っ直ぐで、不気味な目をしていた点だ。
政府はそれを多少だが警戒し、軍やGOCに指令を出した。これは多少財団を食い止めるのに役立ったと信じたい。
財団はアキレウスの踵をつれて山を降りてきた。初めのおおよそ4分の3の数になっている点を除けば、彼らはほぼ万全の状態だった。
もちろんこちらも万全の状態で迎え撃つ


筈だった。
奴らは存在すらも危うくなるマイナスヒュームを使用した。
オレンジ色の作業服を着た奴らを中心に空間が崩壊していた。
その上で財団のスーツ姿達は人を肉塊に、雪を流砂に、岩を炎に変えてしまった。
GOCの職員はすぐに砂に呑まれた。私たちも炎の餌食になった。
奴らは今、麓の町で私たちにしたことと同じようなことをしている。
なんとかして止めなければ。


—-アンカラが燃えている。かつての私の第二の故郷はただ一人の老人によって壊滅した。
地下鉄は崩落し、行政機関は既に息をしておらず、モスクは中から爆発したように壊れ、そして街はコンクリートを燃やしている。
外務省から連絡が来ており、それは簡単に言えば「財団に気をつけろ」だった。財団は中身についてはそれほど知らないが、友人が働いており、仕事上の付き合いで知っている。
彼への電話は繋がらない。
そうしているうちに、大使館にも火の手がまわってきた。アッラーでも釈迦でもキリストでもなんでもいいから、助かるよう心の中で祈りつつ、私は燃える街並みを駆けた。
財団が道中にいないことを祈りつつ、なんとか郊外まで来たが、そこはかなりの地獄だった。
緑のスライムが死体を繝溘Φ繝医?鬥吶j縺ョ[邱ィ髮?ク?


テッサロニキの港、ふと海の方を見ると、オリンポス山が煙を上げていた。ここもポンペイのようになるのかと一瞬思ったが、明らかに違うだろう。

学生時代、あまり勉強をしていたわけではないが、いつも見ていたオリンポス山が火山でないことくらいは覚えている。ではあれは何か?財団による襲撃?だとしたらかなりまずい。ここまでは直線距離で80km、下手をしたら数十分、陸路でも車で2時間半ほどしかかからない。家まで走って戻り、避難の準備をした。ここまでで1時間、船の準備をして、すぐに乗り込む。行き先はイスタンブールの友人の家だ。
沖まで着いた時、オリンポス山は山そのものが燃えていることに気づいた。文字通りすぎて口元が少し緩んだ。だが、それどころでない事態も起こっているようだ。ネットニュースには、見たら死ぬ画像がsnsで広まっていることや、ニューヨークやローマが壊滅したことなどに紛れて、オリンポス山の麓の町で住民の大量虐殺が起きており、それが広がっていることが載っていた。
船は既にサロニカ湾を出て、エーゲ海に飛び出していた。財団もここまでは来ないようだ。
周りに船や人のいないことは久々だ。少し落ち着く。

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  1. portal:8048007 (09 Aug 2022 13:23)
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