Z9-1が財団製の支給作業服を着て、レーザーカッターを持っているのが見える。彼女はさらに酸素タンクとマスクを装着している。
Z9-1: あの猫耳を付けたクソ女が私達を強制徴募して、その姉妹を探すようにさせてから3日と半日が経ったわ。彼らはキューブを使用不能にしている。私達が彼女らを見つけたら返すと言っている。
Z9-2: ジーザス、この場所はデカすぎる。
Z9-1: 実際どれくらい?
Z9-2: あのビューっと行くリフトを使ったとして、艦の頭から尻尾まで2時間位だな。
Z9-1: じゃあ、ええと、Z9-1──つまり私と──-2はチームになりましょう。それと-3とテック-1でもうひとつ、-4とテック-2が3つ目、それと──
2085-A: インターネットを通じてお前をガイドする。
Z9-1: それで、ここで何が起きたの?艦によると90%のクルーはいなくなったって。
2085-A: もっとだ。スタートレックは知ってるだろう?エンタープライズがボーグのキューブか何かに突っ込んだときに、何も知らされてなかった一般人の一団が乗っていた。
Z9-1: 一般人が、何人くらい?
2085-A: 少なくとも400、殆どが難民。彼らを望まなかった世界からのな。あと何体かの"skip"もいた。お前達から逃げてきたものだ。
Z9-2: それで、営倉に行けばいいのか?
2085-A: 名前から分かる通り、私達はそこにトラブルメーカーを閉じ込めることにしていた。ほとんどの期間、そこはただのドランクタンクだった。リフトを使えば行ける。
Z9-1: この手のものは大嫌いだわ。
2085-A: 誰も好きな者はいないだろう。みんなが消える一ヶ月ほど前にできた。
Z9-1とZ9-2は共にリフトのプラットホームの上に乗り、ガードレールを掴む。
Z9-1: 1ヶ月?設置するのは大変だったでしょうに。
2085-A: 私達がしたんじゃない。ただ出現したんだ。船の色々なものがやったんだ。
リフトは300km/hで動き始める。
Z9-1: 心配にはならなかったの?ハイテク機械が出てきて?
2085-A: 心臓発作を起こしそうになった。部屋のコーヒーマシンへコーヒーを取りに行ったと想像してみてくれ。驚いたことにコーヒーマシーンは机くらいのサイズになって、人類が知るあらゆる飲み物を作っている。ちょっと待て、コールが鳴った。
2分後、リフトは営倉に着く。
2085-A: オーケー、スキャナーは使えない。いいニュースだが、営倉は干渉を避けるために鉛で覆われている。そこにライフサインがある。
Z9-2: それも鉛のせいじゃないのか?
2085-A: それについては考えるな。信じないと動かない。
Z9-1とZ9-2は互いに肩をすくめる。カメラは彼らが営倉に入るのを写す。
営倉は最低でも2kmの高さがあり、数枚の壁に様々なサイズの、金属の棒、アクリル樹脂の障壁、フォースフィールド、ウォークイン型のスクラントン現実錨などを備えた独房が並んでいる。200以上の独房が見える。
2085-A: 重力を切る。
営倉の人工重力が切られる。Z9-1はマイクロスラスターを起動して構造物の頂上まで飛ぶ。Z9-2は下部から調べ始める。
Z9-1: ウィザードは死んだって言ったわよね?ウィザードってAIじゃないの?
2085-A: 同じことだ。彼が死ぬ前に、私達は彼をアップロードした。
Z9-1: お気の毒。
2085-A: 共感か。この世界の財団はアンチスパイラルでできていたりはしないのか?
Z9-2: 俺たちは80年代に痛い目にあったのさ。サイトの半分が自滅的な同盟にサインして出ていった。俺たちは「冷淡だが冷酷だが残酷ではない」は人間には通用しないことに気づいたんだ。
Z9-1: あなたは人間じゃないって言うわけじゃないわよ。つまりそれは、文字通り……
2085-A: いいさ。悪く取りすぎていた。
Z9-2: 財団は職員を人間的に扱い始めた。それがあんたみたいなものにも降りてくるんだ。
Z9-1: ちょっと待って──
Z9-1はウォークイン型スクラントン現実錨の前で空中停止する。ヒューマノイドが内部におり、空中に浮いている。
Z9-1: 何か見つけたわ。ミッチ、こっちへ来て。
Z9-2はZ9-1の側へ来る。両者は独房の側の通路へ降り立つ。
Z9-1: 開ける前にシャットオフしないと行けないと思うわ。
Z9-2: 2085-A、どうやってシャットオフするかわかるか?
返答はない。
Z9-1: おそらく別のチームと交信中ね。
Z9-2: そんなに大変じゃないだろう。訓練で扱ったことがある。
Z9-1:マニュアルを出すわ。
Z9-1はタブレットにファイルを出し、読み始める。
Z9-1: オーケー、まずカント計をオフにして──
Z9-2: その……必要はなさそうだ。
Z9-1: どういう意味?
Z9-2はコントロールパネルを指す。"ON"と"OFF"の2つのボタンが見える。
Z9-1: ハン。
Z9-2はOFFのボタンを押す。ウォークイン型現実錨の前にあるケージが開く。女性型のヒューマノイドの両足が見え、柔らかい唸り声が内部から聞こえる。
2085-A: オーマイゴッド。誰を見つけたんだ?そこにいるのは誰だ?
Z9-1は現実錨に入ろうとする。
2085-A: ダメだ!入ってはダメだ。カメラを──カメラをそこへ入れてくれ。あとマイクも。ヘッドセットごと。私に彼女と話をさせてくれ。彼女は──彼女は傷ついているかもしれない、あるいは恐れて。あるいは何かの幸運で落ち着いているかもしれないが。
Z9-1はヘッドセットを取り、内部へ押し入れる、微小重力のためにそれは前進する。カメラには猫耳とトラ猫色の髪の女性が写る。
2085-A: 生きている?この装置のサーマルはどうやって起動するの?
Z9-1はサーマルイメージングを起動する。内部の人物は生きた人間と同様の熱を発している。
2085-A: 彼女は大丈夫だ。彼女は──彼女の友人には、ここに何度も送られた人がいる。さっき言ったとおり、ここはドランクタンクだ。彼女は──おそらく何が起こったか見ていて、自分自身をここに閉じ込めたのだろう。
Z9-1: 待って、水もなしにここに6ヶ月近く居たって言うの?
2085-A: ジーザス、それほどになるのか?私達はサイボーグだ。十分な水や酸素がない時には、ローパワーモードに入れる。オーケー、足場の一番向こうに、医療ステーションがある。応急処置キット、ストレッチャー、生理食塩水、必要なものは何でもある。レーションもあるかもしれない。
Z9-2: 取ってくる。
2085-A: 彼女をベースへ運んできてくれ。ファック──チーム3がマズい事になっている。ユークリッドエンジンが働いていない。ちょっと待ってくれ。
Z9-2がストレッチャーと医療物資を持ってくる。彼は突然眉をひそめる。
Z9-2: ベースに歩いて戻るまで最低でも1時間だ。彼女がこんな状態ではリフトは使えないぞ。
Z9-1は女性を現実錨から引き出し、ストレッチャーに乗せる。その間その尾の大部分が切り取られているのを見て息をのむ。
Z9-2: ここに包帯を巻こう。Aに──これを見せたくない。
Z9-1は尾に包帯を巻こうとするが、その人物は驚き目を覚まし、Z9-1を払いのける。その力は不意に彼女を微小重力の中で浮かび上がらせる。
2085-A: 私に彼女と話をさせてくれ。私が渡したインカムを彼女に渡して。
Z9-2はインカムをその人物に渡し、彼女は左耳にそれを装着する。数秒すると彼女は落ち着き、頷く。
2085-C: ……ええ、私が頷いているのは聞こえないでしょうけど。ごめんね姉さん。私の尻尾に何が起きたの?
Z9-1: 今包帯を巻こうとしてたところよ。
2085-C: そうみたいね。尻尾を止血したことはないの?
Z9-1は少々苛立ったように見える。
2085-C: まあいいわ。それを頂戴。
2085-Cは包帯をZ9-1から、その他の医療物資をZ9-2から受け取る。
2085-C: 姉さん、重力を戻してくれる?モルヒネや抗生物質の注射から塞栓を起こしたくはないわ。
Z9-1とZ9-2はこの時点で営倉の床から数百メートル上方に浮かんでいる。.
Z9-1: 硬い床に着くまで待ってくれる?
2085-C: ええ、当然ね。
Z9-1、-2、2085-Cは全員床の高さまで下降する。重力が再度有効になり、2085-Cは自身への医療処置を再開する。
2085-C: オーケー、リフトは低衝撃セッテイングになっている。私を載せて、それからもう1台にあなた達が乗って。
2085-Cは立ち止まる。
2085-C: ボスはなぜ私にだけ話しかけているのかしら?
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