子亡き親が流す涙は

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貴方も是非拝んでいってくださいね。

…これで読経を終わります。お疲れさまでした。
 
 

あぁ、大心くんは残って下さい、少しお話がありますから。

ごめんね、呼び止めてしまって。

あぁ、お父さんから聞いてたんだ、大心くんも来年で18歳だね。
ん?あぁ。大心くんのお父さんにも同じ話をしたからね。

大心くんは勤めに?
…進学かぁ、そうかそうか。良い事だよ、新しいことを知るってことは。

…うん、それじゃあ、本題に入ろうか。
 

大心くんは仏教において一番の罪って、なんだか知ってる?
殺し?…それもそうなんだけど、実は違う。

「親より先に死んでしまう」事なんだ。

「親を一年間苦しませておいて、七五三を迎える前に先立って親を悲しませることが一番重い罪なんだぞ」っていう風にね。

ん?あぁ、そうだね。賽の河原の石積みとか、あれも親より早く死んでしまったことに対しての罰として有名なものだね。
我が子を哀れんで親が涙を流すとね、父親の涙は熱湯に、母親の涙は氷水になって子供に降りかかるというんだよ。「親を泣かせた罰だ」って言ってね。

私も仏に仕える身であるけれど…酷い話だと思うよ。

子供なんて、親からしたら生まれてきてくれるだけでもあれ以上に嬉しいことはない。
例え先立たれてしまったとしても、親不孝なんてことは少しもないんだよ…

話が逸れたね、申し訳ない。
だから、ウチでは「涙は流さないで、代わりにあのお地蔵様に水を掛けてあげてください。」っていうんだよ。

「水かけ地蔵」って言ってね、水をかけた人のケガレ…心の「負」の部分を清めてくれるんだ。

自分で言うのも恥ずかしいけれどウチの寺は水子供養で有名でね、わざわざ県外からいらっしゃる方もいる位なんだ。なんでも「あのお地蔵様に水をかけると心が安らぐ」らしいよ。

もしかしたら、あのお地蔵様には何か特別な力があるのかもしれないね。

勿論水子供養だけでなく大心くんも何か悩みとか心配事があればあのお地蔵様に水をかけてみるといいよ。きっとお地蔵様が助けてくれるからね。

本当に辛いことがあれば頼れる人に相談するのが一番だけどね。
…私が言うのも何だけど、一番は生きている人が救われることだから。

これでお話は終わり。長々と申し訳ないね。

あぁそうだ。最後に一つ聞いていいかな?

うちの倅とは仲良くしてるかな?最近君と話してるところを見かけないから…
…そうか、今はそんなものがあるのか…じゃあよく話してるんだね。よかったよかった。

あいつもそういう歳なのか、最近よそよそしくてね。それじゃあ。


お、おかえり大心。話聞いてきた?

そっか、どんな話だった?

…そっか。じゃあお父さんの時と同じだ。

ん?あぁ、あそこの住職さん、18歳になる人とか、結婚したりする人がお寺に来ると、話をするんだよ。
内容は大体「環境変わったら色々大変かもしれないけどその時は周りの人頼るんだよ」みたいな感じっぽいよ。

お地蔵様…?どうだろう、言ってた気がするけどなぁ…

あーいや、言ってた言ってた。大心がお母さんのお腹の中にいる時だったかな。
「水子地蔵の中でも子供を抱いているお地蔵様は安産祈願にもいいから、一度拝みに来てください」みたいな感じでさ。

お父さんもてっきり水子供養のお地蔵様と思ってたから、最初はびっくりしたけどね。子安地蔵っていうんだっけか、あのお地蔵様。

…あー、確かに。何でわざわざ話をするんだろうね?
改めて考えると、何の話題でもにお地蔵様に繋げたがるんだよねぇ。

でも、それだけ信心深いって事でしょ?いいじゃない。

 
まぁ、何代にも渡って皆に聞かせてるから、こんな田舎のお寺でもあんなに人気なのかもしれないね。
 

…ん?そうだよ。お父さんのお父さんとか、お爺さんも、あのお寺で住職さんから話を聞いてたらしいからね。


賽の河原和讃

帰命頂礼世の中の 定め難きは無常なり。
親に先立つ有様に 諸事のあわれをとどめたり。

一つや二つや三つや四つ 十よりうちの幼子が
母の乳房を放れては 賽の河原に集まりて
昼の三時の間には 大石運びて塚につく。
夜の三時の間には 小石を拾いて塔を積む。

一重積んでは父の為
二重積んでは母の為
三重積んでは西を向き
しきみほどなる手を合わせ 郷里の兄弟わがためと
あらいたわしや幼子は 泣く泣く石を運ぶなり。

手足は石に擦れただれ 指より出づる血の滴
身うちを朱あけに染めなして 父上恋し母恋しと
ただ父母の事ばかり いうてはそのまま打ち伏して
さも苦しげに歎くなり。

あら怖しや獄卒が 鏡照る日のまなこにて
幼き者をにらみつけ 汝らみなが積む塔は
ゆがみがちにて見苦しし
かくては功徳になり難し とくとくこれを積直し
成仏願えと叱りつつ 鉄のしもとを振りあげて
塔を残らず打散らす。

あらいたわしや幼子は また打ち伏して泣き叫び
呵責にひまぞなかりける。

罪は我人あるなれど ことに子供の罪科は
母の胎内十月のうち 苦痛さまざま生まれ出で
三年五年七年を わずか一朝先立ちて、
父母に歎きをかくる事 第一重き罪ぞかし。

母の乳房に取りつきて 乳の出でざるその時は せまりて胸を打ち叩く
母はこれを忍べども などて報いのなかるべき。
胸を叩くその音は 奈落の底に鳴り響き 修羅の鼓と聞こゆなり。
父の涙は火の雨と なりてその身に降りかかり、
母の涙は氷となりて その身を閉づる歎きこそ
子故の闇の呵責なれ。

かかる罪科あるゆえに
賽の河原に迷い来て 長き苦患くげんを受くるとよ。

河原の中に流れあり 娑婆にて嘆く父母の
一念とどきて影うつれば なう懐しの父母や
飢を救ひてたび給えと 乳房慕うて這い寄れば
影はたちまち消え失せて 水は炎と燃えあがり
その身を焦して倒れつつ 絶え入る事は数知らず。


おぉ、大心。今帰るのか。

そういや大心前親父に呼び止められてたよな。どしたんあれ?
…話?あぁ。
となると大心今年で18か。進路どうすんの?…進学?ここだと仙台とかそこいらか?

ふーん。てか親父が言いたかったの多分違うと思うぞ。「嫌なことあったら誰かに相談しろ」みたいなこと言ってなかったか?
…やっぱりな。親父はあの地蔵結構気に入ってるから、何でもかんでも地蔵に繋げたがるんだよな。いつの間にか地蔵メインの話になってたりするし…面倒臭えんだよ。

「最近俺がよそよそしい」とも言ってた?…あぁ…いや…そうか…まぁ、うん。そうかもな…

…なぁ大心。今から俺が話すこと、秘密にできるか?

そうか、じゃあ話すけど俺、親父の後継いで両親が死んだらさ、あの地蔵、使えなくしようと思ってるんだ。
少なくとも、水道止めて、水かけらんないようにはするつもり。

うちの寺って水子供養に県外からも人来たりして、結構有名なんだよ。知ってんだろ?
「じゃあ何で」って…沢山の人が使うから問題としか言えねぇけどさ。

少し前、夢を見たんだよ。

水子供養の時なのかな、俺はいつもみたいに親父についてって読経とか道具の用意とかの手伝いをしてたんだよ。

そんでさ、供養墓に行った後本堂に戻る途中かな、突然ご遺族が皆泣き出して、俺すげぇびっくりしてさ、何したらいいかわかんなくて。

そしたら親父が、「涙を流すとあの世の子供が苦しんでしまいます。代わりにあのお地蔵様に水を掛けてあげてください。」って、女の人に柄杓を渡したんだよ。

そしたら柄杓を持った人がさ、「○○ちゃん。ごめんね、元気に生んであげられなくてごめんねぇ」って柄杓で水をかけ始めたんだよ。
 

そしたらさ、赤ん坊の泣き声が聞こえてくんだよ。

それが尋常じゃないレベルの泣き方でさ、「お腹すいた」とか、「おむつ変えて欲しい」とかそんなんじゃない。
俺は勿論子供はいないし、ベビーシッターとかの経験も全く無いけどさ。

昔小さいお前が石段から転げ落ちて頭を思いっきりぶつけたことがあっただろ?お前が4歳ぐらいの時だったかな。あんまり泣くんもんで、近所の人に救急車呼ばれた時の。そんときもあんな泣き方はしなかったさ。

それで俺もパニックになってさ、「大丈夫ですか!?」「どこかで赤ちゃんが泣いてますよね!?」みたいなことを喚き散らしてたんだよな。赤ん坊なんていないはずなのにさ。

皆俺を無視してたよ。夢だからなのか、ヤバい奴に関わりたくなかったからなのかは知らないけどな。

そしたら今まで地蔵に水かけてた人がさ、「お父さんも、ほら」って隣にいた人に柄杓を渡したんだよ。
その人も、口の中でなんか呟いた後、目を閉じて祈るようにして水をかけるんだ。

 
赤ん坊の泣き声もどんどん激しくなっていくしさ、もうおかしくなりそうだったよ。
どれだけ経ったかはわかんねえけど、延々と赤ん坊の泣き声を聞いてた気がする。

そん時は何でもいいからとにかく泣き声から逃げたくて、頭の中でどーでもいい事とか想像したり適当なこと思い出してたらさ、親父がいつも言ってたことを思い出したんだよ。

親の涙ってさ、熱湯やら水やらになってあの世の子供にかかるんだってな。

それを思い出した途端、俺は目を覚ました。生きた心地がしないって、あぁいう時のことをいうんだなって思った。
…なんか、悪いな。変な夢見ただけで、関係ないお前に愚痴っちまってよ。

…そうだな。俺もそろそろ帰るわ。じゃあな…


あぁ大心くん。どうぞ、掛けて。うん、それで、話っていうのは?

はいはいこれね…地蔵?俺は歴史の先生だけど…あまりこういうの詳しくは無いなぁ…
見た感じ、水かけ地蔵っぽい見た目してるけど、子供を抱いてて…子安地蔵?どこのお地蔵かな?
近所の寺?あぁ。そういえば君の家の向かいってお寺なんだっけか。これがどうしたの?

…へぇぇ、随分過激というかなんというか…

まぁ、仏教の伝来した時勢を考えればそういう考えになるのも止む無しなのか…?

あぁごめんよ、耽ってしまって。ちょっと携帯貸してね。

うん、やっぱり、水子供養って感じだけどね。後ろにさ、これ「水子供養のうた」って書いてあるでしょ?
だよね。まぁ、確かに珍しい組み合わせだけど不自然って訳じゃないしなぁ…あ、そうだ。

仏教って場所によっては「そこだけの教え」みたいなのがあるんだよ。俗習って言うんだけど。

そこなら、君の言う涙に関する話もあるんじゃないかな。


こんな辺鄙な民族館にわざわざご足労いただきありがとうございます。それで、聞きたいことがあるとお伺いしましたが…「仏教の俗習」ですか。了解しました。

仏教っていうのは、他の宗教と違って正確に伝わってない部分があるというか…所謂俗習ってやつですね、そういったものが多いんですね。

ええ。まぁ仏教が日本に伝来した時期とかそういう大事なとこもまだ諸説があるんですね。なんならどこから伝来したのかも正確に分かってないんですよ。はは。

まぁ一括りに仏教と言っても、他の宗教よろしく宗派ってものがありますからね。そこら辺は仕方ないと思うんですけどね。

あとはまぁ…幕末までは神仏習合って言いまして、神道と仏教を同一視するっていうのが、ええ、あったんですね。そんなにめちゃくちゃやってるもんで、地域によってはよくわかんない…よくわかんないって言っちゃいけないか、ごめんなさいね。

まぁ、独特な文化とかがあるんですよ。場所によってはね。

私が実際に見たところだとなぁ…あぁそうだ。ここからそう遠くないお寺さんに、水かけ地蔵と水子供養を合わせたみたいなお地蔵様があるんですよ。興味があれば、足を運んでみては?


なぁ大心、今少しいいか?
悪いな、何度も。
前話した日からさ、俺なりにいろいろ調べてみたんだよ。家にある本とかネットとかでさ。

結論から言うと、出なかった。

出なかったんだよ。親の涙のくだりがさ。

Twitter使ってウチとか親父の名前調べたときはいたっちゃいたんだけどさ…それらについて話してた人の投稿を辿ったら全員ウチに来てた。

勿論学校の友達とか、教授にも聞いてみたんだけどさ、何の収穫もなし。

…でも、教授に聞いた時、教えてもらったことがあるんだよ。

宗教…仏教は特に、民間の伝わり方が曖昧で、場所によっては曲解された信仰が根付いてんのは珍しい事じゃないんだと。

そんで、その寺独自の考えがあるとはいえ、基本的にはマイナスなことは言わねぇ…と。
まぁ、少し考えればわかることだよな。

例えば、「ウチの御守りを買えば良い事があるよ」とは言っても、「ウチの御守りを買わないと悪い事があるよ」
とは言わねぇだろ?ほぼ詐欺の手口じゃん。そんなの。詐欺目的でなくともすぐ廃れちまうよそんな教え。
プラスとゼロはあれどマイナスはないってこった。腑に落ちたぜ俺は。

…それ踏まえておかしいんだけどさ、ウチは。

だって、思いっ切りマイナスじゃん。自分達が泣くとあの世の子供を苦しめることになるなんてさ。
だからって親父は御守りとか買えとかは絶対言わない。
てかまずウチそういうの売ってねぇし。

言うのはいつだって「お地蔵様に水をかけてください」だけだ。

親父の話聞いた人達は口を揃えて「信心深い」なんて言って持て囃すけどさ、あれはなんか違うっつーか、自分の親にこんなこというのはアレかもしんねぇけど、病的なまでにあの地蔵に執着してんだよ。

 
…もしかしたら俺もいつかは親父みたいになっちまうのかなぁ。

 
「お父さんのことは何となくわかったけどお地蔵様はどうなった」って?
あぁ、俺も話が逸れてたな。

今から話すことは、俺の妄想だ、取り留めのない、憶測だ。

 
俺が思うに、地蔵にかける水は本当に涙の「替わり」なんだよ。
涙じゃなくて、あの地蔵にかけた水がそのまま子供にかかるんだと、思う。

大心も分かってるとは思うが、地蔵ってのは決して罰を与える存在じゃないんだよ。
延々と賽の河原で石を積み続ける子供達を救う唯一の存在なんだ。親父に散々聞かされたし、実際そうなんだろうなって俺も思ってる。

そんな地蔵がもし俺の夢の中で子供を泣かせてた奴だってんなら、あれは地蔵菩薩なんかじゃない。

…あれを水かけ地蔵よろしくご利益のつもりでやってるつもりなら、もっと質の悪い奴だろうがな。

 
…当たり前だ。わかってるよ。俺だって、変な夢見たってだけでわざわざ遠いところから来る人もいる地蔵使えなくすんのはやべぇってのは。
でもさぁ、あの夢が…あの泣き声が、ただの夢だなんて思えねぇんだよ俺。やっぱさ。
 
もう、あの泣き声が耳について離れねぇんだよ。
 


君が大心くん?突然ごめんね。串山の事なんだけどさ。
うん。君が串山と幼馴染だって聞いて。

あいつ、最近学校来てないんだよ。

だから、あいつの幼馴染なら…大心くんなら僕の知ってないことも知ってるかもって思って…

「串山がいつから学校に来てないか」って?うーん…かれこれ一、二週間ってとこじゃないかなぁ…
あいつ、最後に学校に来たときさ、知り合いとか先生に、詳しくは知らないけど、自分とこの地蔵様の事聞きまわってさ、あの時のあいつ凄い必死だったなぁ…

あぁごめんごめん。そんで、授業中は流石に席に座って授業受けてたんだけど…あいつなぁ、授業中ずっとイヤホンしてたんだよね。

厳しい先生の時もお構いなしでイヤホン付けて、爆音で何か流してたよ。まるで外の音を遮るようだったけど。
先生に教壇まで呼び出されて怒られてる時もイヤホン付けてたからね、元々どっかやべぇ奴だとは思ってたけど、あそこまでとはな。

そんで僕、いつもあいつと途中まで帰るんだけどさ、その時も一人でぶつぶつ独り言を言ってたっけなぁ。

あんまりぶつぶつ言うもんだからさ、僕が「いい加減にしろよ」って言った瞬間、あいつ、何か思いついたような様子ですごい勢いで家に走ってって、それっきり。

LINEもディスコも未読無視でさ、昔からの付き合いの君なら何か知ってると思ってたんだけど、何か心当たりは?

地蔵…?あいつんとこの?まぁ、あいつもなんか必死だったから何かあんのかなあの地蔵。

それでさ、できればでいいから串山のとこに行って話聞いてきてくれない?

君に会う前にさ、俺も行ったんだよ、串山の家にさ。

そしたらあいつのお父さんが出てきて門前払い喰らっちゃって。「流行り病だから感染ったらいけないから」って。
流石に嘘だってわかるけど、帰るしかなかったんだよ。

あいつのお父さん、すごく怖くてさぁ。雰囲気が堅気じゃないっていうか…

それで、「近所住みで幼馴染の大心くんならもしかして」って思ってさ、頼めない?
本当?助かるよ!それじゃあLINE交換してさ、何かわかったら連絡してね!


おぉ、大心どした。

「学校に行ってないって聞いた」?あぁ、まぁな。

それよりも聞いてくれよ。大変だったんだぜ?
前話したときさ、夢の中の赤ちゃんの泣き声が~って話したろ?
あんときは精々思い出したときとか…フラッシュバックっつーのか?んまぁそんぐらいだったんだけどさ、つい最近までとかは文字通り一日中聞こえてたんだよ。泣き声がさ。

「今は大丈夫なのか」って?おう!なんてったって俺は対策を発見したからな!

それまでは本当に辛かったんだぜ?色んな人に地蔵の事を聞いて回ってたんだけど、そんときもお構いなしって感じで耳元で泣き声が聞こえてきてさぁ。

対策?…あぁそうだった。件の泣き声を止ます方法だがな、「あの地蔵に水をかけること」なんだよ。
何でかは分かんねぇけどそれで止むんだよ、泣き声がさぁ。

…まぁ、一時的なものだけどな…
でも、それでもありがたいぜ?あの泣き声を聞いてると自分の居場所がここじゃない様に感じるからさ。
まぁだからってどこに行くんだよ!って話だけどさ。ははははは。

…どうやって見つけたって、そりゃあ親父がいつもやってたからさ。
親父があの地蔵に執着する理由、俺と同じだと思って、親父が地蔵にしてること、そのまま真似たっつー訳。
「自分でかけて済むものなのか」って…多分そうでもないだろうな。

最近、効きが悪いんだよな。

いつもなら朝かければ一日持ったんだけどさ、今は昼過ぎには聞こえるようになんだよ。
学校行ってないのはそれもあるけど…まぁ、そのうち行くさ。

そんで、それについても大方見当は付いてるよ。
ちょっと前にお参りに来た婆さんに頼んで水をかけさせたら、前より泣き声が聞こえない時間が増えたんだよ。

親父が地蔵を勧める理由もそこにあんだろうな。
不本意ではあるけど、俺も親父の二の舞ってこった。

そこでさぁ、お前に折り入って頼みがあんだわ。
お前が結婚してさぁ、子供が生まれて、そいつが死んだらさ、供養は任せてくれよ!
そんときには俺も親父の後次いでるだろうしさ。

…あぁ?「帰る」?…しゃーねぇなぁ。まぁ、俺も逸りすぎたな、心配すんな、幼馴染のよしみで供養料とかもサービスしとくからさぁ。
あれ?おーい!じゃあさぁ!帰りに地蔵に水かけといてくんねぇか?

 
 

子亡き親が流す涙は、河原の我が子に降り注ぎ苛み続ける。


本文ここまで
わかばコンテストにエントリーするTaleです。

五月十日、改稿致しました。


六月八日、改稿致しました。

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  1. portal:7955404 (29 Mar 2022 14:13)
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