SCP-XXXX-JP ノストラダムスをノクターン

クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - ノストラダムスをノクターン
著者: LRRF
作成年: 20XX

3/XXXX LEVEL 3/XXXX CLASSIFIED

アイテム番号: SCP-XXXX オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-20の低危険度物品収容ロッカーに収容してください。SCP-XXXX-JPの実験は一日一度に限定されます。SCP-XXXX-JPの発言の傾向に変化が生じた場合、サイト20管理官に報告してください。

起源: SCP-XXXX-JPは1978年に死亡した上内悠幸氏の頭骨です。氏は生前ノストラダムス思想に傾倒した人物として地域で知られており、頻繁に布教活動を行っていました。氏は55歳で死亡した後火葬され、異常性に興味を示した親族により保管されていたものが、事件-XXXX-JPをきっかけに地元警察を通じて財団に回収されました。

説明: SCP-XXXX-JPは接触した¹人間に対し、大予言を中心としたノストラダムス思想を喧伝します。発声器官・呼吸器官が完全に焼失しているにも関わらず、これは口頭で行われます。SCP-XXXX-JPは2000年以降に発生した事象を完全に無視します。これはオブジェクト自体が認識できないのか、認識した上で無視しているのかは不明です。

+ インタビューログ: XXXX-JP-2012/8/4

回答者: SCP-XXXX-JP

質問者: 飯嶋博士 (52)

前書: 質問者は当日オブジェクトに接触した最初の人物である。記録開始前、質問者入室時よりオブジェクトは発話を始めている。

<記録開始>

飯嶋: それではインタビューを開始します。こんにちは、SCP-XXXX-JP。

SCP-XXXX-JP: 偉大なる父が王太后へ送った書簡を見たまえ！星辰の位置は世紀末に再び揃う！メディシスはそれに備え師に星図を求めたのだ！おはよう婦人！

飯嶋: (SCP-XXXX-JPの声量に顔をしかめる)、おはようございますございますSCP-XXXX-JP。本日はあなた自身のことをお話してもらいたくて。

SCP-XXXX-JP: アンゴルモアに夜は訪れず。其れ自体が無窮の闇に覆われし夜だからである。裸の婦人、我が生涯は偉大なる父と共にある。我が生涯は偉大なる父の生涯である。

飯嶋: 裸…？あぁ、2000年以降に生産された衣服が認識できないのですね。あなたの家族について教えてください。

SCP-XXXX-JP: 我が眼に曇りはなく、幽玄の隔世をアクロウ²する朴念仁共を認覚しておるぞ。我が血族に語ること無し。父母は星の炎に焼かれ死に、兄は終ぞ世の理を理解せず、俗猥な欲を満たすことに腐心するのみ。

飯嶋: あなたのお兄様は終末論などに興味がなかったのですね。ノストラダムス、あなたの言う偉大なる父によると、世紀末には何が起きるのですか？

SCP-XXXX-JP: あぁ、それは聞くに耐えぬ暗澹たる世。祖なる大王が魑魅魍魎に引火するのだ。(以後12分、重要度の低い口述を省略。)以て常世はひしゃげた煙管の如く捻転するのである。

飯嶋: なるほど。ところで、現在は西暦で言う2022年なのですが、そのことについてどう思われますか？

SCP-XXXX-JP: (声量を上げて)偉大なる父よ！まどろみに溺れる子狼は燭略を追走する！惨禍は追走する！

飯嶋: SCP-XXXX-JP、上内さん、現在は2022年です。

SCP-XXXX-JP: 荘厳！天蓋より来る！全空より来る！陰転家はそれに備え吐き気を飲み込み荒野を泳ぐ！

飯島: よろしい。インタビューを終了します。

<記録終了>

後書: インタビュー後、SCP-XXXX-JPは翌日まで沈黙しました。調査結果によると、晩年の上内氏は呼吸器の疾病のため活動回数を抑え、最終的に日に1度公共の場で演説をするに至っていたことが判明しました。また、この疾病は氏の死因であると考えられています。

• • _
  + 事件XXXX-JP関連当局資料- 閉じる

  概略

  発生日時: 2012年7月31日

  事件現場: 兵庫県田草市田草町██-██上内邸宅

  現場概略: 上内悠幸が数十年前から所有していた邸宅。現在はは公謳氏の息子一家が暮らしている。

  被害者: 上内九重 もみ合った様子はないので、睡眠中に殺害されたと思われる。

  第一発見者: 上内一喜(夫)

  発見場所: 3階被害者寝室 荒らされた様子はない。

  死亡推定時刻: 午前1時~3時

  死因: 胸部への刺突による出血性ショック

  凶器: 土産物のナイフ 柄に複雑な文様がある 一家全員分のみの指紋を回収 第二応接間で回収。

  聴取書: 事件翌日に作成

  事件経過: 8月2日に公謳藍鶴が自首。証言に矛盾も見られなかったため、通常の捜査ののちに書類送検。

  聴取書

  氏名	被害者続柄	年齢	職業	供述内容	聴取者メモ
  上内小春	義母	64	専業主婦	供述無し。	中程度の認知症を患っており、有力な供述は得られなかった。
  公謳藍鶴	上内一喜のいとこ	53	暁光銀行　営業部長	数年前から定期的に介護の手伝いに来ている。昨夜はたまたま泊まっていた。	供述内容確認済み。月に数回宿泊している模様。
  公謳焔	上内一喜のいとこ	51	暁光銀行　頭取	昨夜は財界の主要人物を集めたパーティーに出席していた。そもそもあまり帰宅しない。	供述内容確認済み。
  上内一喜	夫	39	陽光保険　財務サービス課長	事件当時は自室で寝ていた。	とても憔悴した様子だった。近隣住民からは仲の良い夫婦といった印象を持たれている。
  上内十恵	娘	10	学童	供述無し。	無理もない。強引に聞き取る必要もないだろう。

  • • _
    +以下の内容は公文書より削除済- 削除された文書を閉じる

    補足: 被害者寝室で異常な頭骨を発見。事件当日は平凡な置物とと思われたが、0時以降に登場発話を始める。内容は支離滅裂。協定4-55に則り、財団に引き渡した後、捜査員及び家族、周辺住民の一部に記憶処理を行われる。

    - hide block
  - hide block

+ スポイラー

SCP記事でミステリらしいものを書いてみたい形です。
犯人は娘の上内十恵です。2000年以降(2002年)生まれなので、オブジェクトに反応しませんでした。ほかの人間だとオブジェクトがけたたましくしゃべりだすので、被害者が起きてしまいます。
気になっている点
・全体的なリアリティ。特に警察資料の書き方はほとんど想像で描いたので、参考になるものがあればおしえていただきたいです。
・オブジェクトの語りの部分。あまり意味を持たせたくないのですが、冗長になるなら改めたいと思います。
・推理要素の巧拙具合。読み手視点でオブジェクトの可能性の幅を狭められず、ミステリとして認識されないのならば、何か工夫すべきだと考えています。
・邸宅内がきれいに保たれている描写を入れたいのですが、良い案が思いつきません。
付与予定タグ: ここに付与する予定のタグ

Footnotes

1. 主にSCP-XXXX-JPと同じ部屋に入ることを指す。

2. 判別不能。

---

• • _
  批評コメント批評コメント

  
  コメント投稿フォームへ

  Tatsukazu 30 Nov 2022 14:20

  　拝読させていただきました。「2000年以降に発生した事象に無反応」というところをうまく生かしておられると思い、uvです。

  　読んだうえでの意見を申しますと、「SCP-XXXX-JPが上内九重氏の寝室内にあった」と明記する必要があると思います。また、「寝ている人間には反応しない」との説明もあったほうがいいように感じます。

  　邸宅内の描写に関する提案ですが、事件の調査にあたった警察官への財団のインタビュー記録を作成し、その中で「えらく綺麗だったのでやりやすかった」等の発言をさせればよいと思いました。「SCP-XXXX-JPが上内九重氏の寝室内にあった」ことの明記もここでできそうなので、手間はかかりますが可能ならやった方がいいと思います。

  　そのほかの部分は、特に問題はないと感じました。

  LRRF 01 Dec 2022 01:13

  オブジェクトが寝室内にあったことは重要な情報ですので、もう少し強調する形で書こうと思います。また、「寝ている人間には反応しない」という点は盲点かつ大きな見落としでした。ご指摘感謝致します。

  邸宅内の描写が貧しく、結果として概略をくだくだと引き伸ばすことになっていたので、インタビューを追加するという意見は良い解決策のように思います。是非取り入れさせていただきます。

  改善点の多く見つかる非常にありがたい批評でした。ありがとうございました。

  批評コメントTopへ

  - hide block

ERROR

The LRRF's portal does not exist.

エラー:	LRRFのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。

利用ガイド

1. portal:7954672 (05 Apr 2022 23:28)