SCP-XXXX-JP ただ憧れにひた走る(旧代:何故、彼は走るのか)
クレジット
タイトル: SCP-XXXX-JP - ただ憧れにひた走る
著者:
katata
作成年: 2022
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはその異常性を消失しました。SCP-XXXX-JPの死体は焼却された後にサイト-8102内にて保管されています。
旧特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8102内の大型爬虫類用収容室にて収容されます。収容室内は麻酔銃で武装した警備員2名によって常に監視し、SCP-XXXX-JPが脱走の兆候を見せた場合狙撃して実体の行動を阻害して下さい。また、SCP-XXXX-JPの継続的な収容のため、週に3回エージェント・早坂による長距離走の指導を行う事が義務付けられています。
説明: SCP-XXXX-JPは甲長1.2mのギリシャリクガメ(Testudo graeca)の外見をした転移能力を持つ実体です。大きさ以外の外見・身体構造に通常のギリシャリクガメとの差異は見られないにも関わらず、哺乳類と同程度の低温耐性と知性を持ち、日本語による会話能力を有しています。
SCP-XXXX-JPは午前0時~4時の間に神奈川県内のジョギングコースや陸上競技場で走っている人間(対象)の視界内に出現し、自身と競走を行う事を要求します。対象が拒否した場合、SCP-XXXX-JPは対象を罵倒します。この際対象は強い競争心を抱き、結果的に要求を承諾します。
対象が承諾すると、SCP-XXXX-JPは自身から1km~5km離れた地点を「ゴール」として指定し、対象と徒競走を行います。この際SCP-XXXX-JPは二足歩行で移動し、人間と同様に走る事が可能です。しかし、SCP-XXXX-JPが走っている対象の後方10m以内に侵入した場合、当該実体のみに影響する局所的な時間遅延が発生します。この影響はSCP-XXXX-JPが対象に接近する程増大し、対象と同地点に到達した時点で完全にその場に停止します。この現象は対象がSCP-XXXX-JPの100m前方に移動する事で解除されます。
競走中に特定の条件を満たした場合、対象は直後に強い眠気に襲われ、殆どの場合その場に停止してSCP-XXXX-JPがゴール地点に到達するまで眠り続けます。条件は以下の通りです。
- 対象がSCP-XXXX-JPよりも先にゴールから100m離れた地点まで到達する。
- 対象がSCP-XXXX-JPを500m以上引き離す。
この影響は事前にカフェインを多量に摂取する事で軽減が可能です。また、対象が眠っている場合には前述の時間停止現象は発生しません。
SCP-XXXX-JPはゴール地点に到達すると対象を付近のベンチの上や街灯の下に運んだ後に消失し、他の対象の元に再出現します。
発見経緯: SCP-XXXX-JPは20██/3/25、神奈川県██市の██公園にて昏睡した30代の男性を抱えて歩いている所をエージェントに発見され、財団にその存在を認知されました。
以下はSCP-XXXX-JPと遭遇したエージェントがSCP-XXXX-JPに対して行ったインタビュー記録の抜粋です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: エージェント・亀山
<録音開始>
エージェント・亀山: そこの亀、止まりなさい。
SCP-XXXX-JP: ん?誰だお前?俺に何か用でもあるのか?
エージェント・亀山: 私は亀山と言います。そして幾つかあなたに聞きたい事があります。
SCP-XXXX-JP: 何だ急に。まあ丁度良いや。お前さ、ちょっとこいつを介抱してやってくれない?[SCP-XXXX-JPが抱えていた男性を下ろす。]で、聞きたい事って何だよ?
エージェント・亀山: まず、あなたは何者ですか?
SCP-XXXX-JP: 俺は亀だよ。他に何に見えるっていうんだよ。
エージェント・亀山: 分かりました。では次の質問です。あなたが彼を昏睡させたのですか?
SCP-XXXX-JP: いや、違うね。こいつは俺との勝負の真っ最中にいきなり眠りやがったんだ。まったくふざけた野郎だぜ。
エージェント・亀山: 勝負、とは?
SCP-XXXX-JP: 足の早さ比べだよ。こいつと俺のどっちがあの街灯まで早く到着するか競走してたのさ。こいつはゴールの手前でいきなり眠りやがってなあ、俺が声かけても起きねえからそのまま先にゴールしちまったよ。
エージェント・亀山: 何故あなたはこのような行動をとるのですか?
SCP-XXXX-JP: 決まってるだろ。名誉回復の為さ。世の中には俺たち亀は足が遅いって信じてる馬鹿が大勢いるだろう?俺はそれがどうしても我慢ならねえんだよ。だから俺は人間どもに挑んで俺たちの足の早さを知らしめようと思ったんだ。
エージェント・亀山: 成る程。
SCP-XXXX-JP: しっかし腹立つぜ。これまで大勢の人間に挑んだが、どいつもこいつも途中で眠りやがるからまともに勝負出来た試しがねえんだよ。揃いも揃って俺を馬鹿にしやがって。
エージェント・亀山: …あなたはこの行動を止める意図は無いのですか?
SCP-XXXX-JP: んな物あるわけねえだろ。俺は俺たちをノロマって見下してる奴ら全員を見返してやらないとならないんだから。…何だよ、俺を止めようって言うのか?
エージェント・亀山: ええ、そうなりますね。
SCP-XXXX-JP: へっ、よく言うぜ。勝負の途中に眠るふぬけ共の分際でよお。止めたきゃ俺を追い越して見せな!
[SCP-XXXX-JPが消失する。]
<録音終了>
終了報告書: インタビューから2分後に意識を取り戻した男性への事情聴取の結果、SCP-XXXX-JPの発言は事実である事が判明しました。
その後も同様の目撃情報が相次いで報告されたため、複数名のエージェントによる捜索チームが派遣されました。現在までSCP-XXXX-JPの確保は成功していません。(補遺1を参照。)
補遺1: 20██/7/██、捜索チームの一員である元長距離走者のエージェント・早坂がSCP-XXXX-JPに遭遇した際に当該実体との競走に勝利しました。エージェント・早坂がゴール地点に到達した直後にSCP-XXXX-JPは倒れ込み、激しく動揺した様子を見せながら消失しました。当事件発生から数日後、サイト-8102内にSCP-XXXX-JPが突如出現し、エージェント・早坂との面会及び自身への長距離走の指導を要求しました。
以下はSCP-XXXX-JP出現時に行われた会話記録です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: エージェント・亀山
<録音開始, 20██/7/██>
[重要度が低い会話のため省略]
エージェント・亀山: それで、何故あなたは急に我々に対して協力する気になったのですか?
SCP-XXXX-JP: [数秒間の沈黙]……あの男の姿に衝撃を受けたからさ。
エージェント・亀山: どういう事ですか?
SCP-XXXX-JP: …俺は、あの時まで誰ともまともに勝負出来た事が無かったんだ。俺の競走相手はみんな俺の前を走って、そして途中で眠っちまって俺がゴールするまで何をしても起きなかったからな。俺はそれが悔しくてたまらなかったし、そんな奴らをずっと軽蔑してたんだ。
エージェント・亀山: ふむ。
SCP-XXXX-JP: だけど、そのせいで俺も視野が狭くなっちまってたんだ。人間なんて勝負の途中で眠るような根性無しの傲慢共だって思い込んでたのさ。笑えるだろ?俺は亀をノロマって見下す人間共と同じような事をしてたんだからな。
エージェント・亀山: …成る程。
SCP-XXXX-JP: でもあの男は今まで挑んだ奴らと全然違った。あいつは一欠片の慢心も無かった。途中でフラフラになりながらも走りきって、正々堂々と俺を負かしたんだ。…俺は今までで初めてまともに勝負してもらえて、その上で俺とあいつの実力差を思い知ったんだ。
エージェント・亀山: つまり、あなたは何が言いたいのですか?
SCP-XXXX-JP: これ以上無いくらいに憧れたんだ、あいつに。あの男に比べたら俺なんてただのノロマ野郎さ。なあ、あいつはここに居るんだろう?俺はあいつみたいに走れるようになりたいんだ。だから、あいつに走りを教えてもらえるように頼んでくれないか?あんな風に走れるようになるためならどんな事だってするからさ。
エージェント・亀山: ……検討しましょう。
<録音終了>
議論の結果、継続的な収容のためにSCP-XXXX-JPの要求は受け入れられる事が決定し、現在の収容プロトコルが制定されました。現在SCP-XXXX-JPは職員に対して友好的に振る舞い、これまで脱走の兆候を見せていません。
実験記録001 - 日付20██/7/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: SCP-XXXX-JPに2kmの距離を走らせ、身体能力を測定する。
結果: 小学5年生の平均的身体能力と同程度の数値が得られた。
分析: おそらく我流で走り方を習得したのだろう。持久力はあるが重心のブレも大きく、首に余計な力がかかっている。改善点は多いな。-エージェント・早坂
実験記録006 - 日付20██/8/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: SCP-XXXX-JPにエージェント・早坂からの指導を複数回行った後に1回目と同じ実験を行う。
結果: 高校3年生の平均的身体能力と同程度の数値が得られた。
分析: あの亀の情熱を甘く見ていたかもしれない。覚えが良いわけではないが、教えた問題点は確実に改善してくる。…もう少し本格的に指導する必要があるな。-エージェント・早坂
追記: エージェント・早坂からの指導が始まって以降、SCP-XXXX-JPが収容室内で頻繁にフォーム練習を行っているのが目撃されている。
実験記録014 - 日付20██/11/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: 運動能力の高いDクラス職員(D-10042)とSCP-XXXX-JPに2kmの距離を競走させる。当時のSCP-XXXX-JPは平均時速約20kmで走る事が可能であった。
結果: SCP-XXXX-JPがD-10042の後方10mに侵入した際に突如減速し始め、並んだ直後に完全に停止し、D-10042が100m前方に移動するまで外部からの干渉に対して反応を示さなくなった。この現象はゴールから100m離れた地点でD-10042が眠りに落ちるまで発生し、SCP-XXXX-JPは激しく困惑した様子を見せた。
分析: どうやらSCP-XXXX-JPは走っている人間を追い抜こうとするとその場に停止してしまうらしい。また、SCP-XXXX-JPの反応から察するに本人もこの異常性は自覚して無かったんだろう。-エージェント・早坂
追記: 観測の結果、SCP-XXXX-JPが停止していた際に当該実体及び近接する領域内の時間が停止していた事が判明した。この実験以降、SCP-XXXX-JPは同様の実験を行う事及び指導回数の増加を頻繁に要求するようになった。
実験記録024 - 日付20██/6/██
対象: SCP-XXXX-JP。当該実体はこの実験を行う事を激しく要求した。
実施方法: SCP-XXXX-JPとエージェント・早坂に2kmの距離を競走させる。
結果: 実験記録015の際と同様の時間的異常が発生したが、SCP-XXXX-JPは抵抗する様子を見せ、大幅に減速しつつ約2m程その場から前進したが直後に倒れ込み、激しく疲労した様子を見せたため実験は中断された。その後の検査の結果、SCP-XXXX-JPの肉体が約3年分老化している事が判明した。
分析: まさか時間停止現象に抵抗して追い抜きに来るとは思わなかった。実験を繰り返す内に、SCP-XXXX-JPは時間異常に対する何らかの耐性を獲得したのかもしれない。ただ実体の身体的負担もかなり大きいようだ。…あの異常性を持つ限り、あの亀はいくら努力しようが誰も追い抜けないだろう。-エージェント・早坂
追記: おそらく時間異常に強引に抵抗した事がSCP-XXXX-JPの急激な老化の原因だと推測される。SCP-XXXX-JPにかかる身体的負担の大きさを鑑みて、今後当該実体に徒競走を行わせる事は禁止された。この実験の2日後、インシデントXXXX-JPが発生した。
補遺2 インシデントXXXX-JP: 20██/6/██以降、SCP-XXXX-JPは長距離走の指導を拒むようになり、精神状態の著しい悪化が観測されました。現在SCP-XXXX-JPは職員に対して敵対的な態度を取り、会話を拒絶する傾向を見せています。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: ██カウンセラー
<録音開始,20██/6/██>
██カウンセラー: どうしたのですか、急に練習を断るなんて。前まではあれ程熱心に取り組んでいたのに。
SCP-XXXX-JP: [沈黙]
██カウンセラー: …何かあったのですか?もし良ければ私たちに
SCP-XXXX-JP: [遮って]うるせえぞ、この野郎!あんな事実を隠して俺を応援するふりをしてたくせに…!
██カウンセラー: 隠していた、とは?
SCP-XXXX-JP: はっ、しらばっくれるのか。お前らは俺がどうやっても競走に勝てないって知ってたんだろ、それを知らないで早くなれるって信じてた俺を陰で笑ってたんだろ!
██カウンセラー: 落ち着いて下さい、SCP-XXXX-JP。
SCP-XXXX-JP: 落ち着いてられるか!…俺はこれまで必死で練習してきた。段々タイムも縮んで、あいつに近づけたと思ったんだ。そしたらどうだ!実際に勝負を挑んだら、追い付けそうになった所で身体が動かなくなって、決まって俺が負けるんだ!
██カウンセラー: どういう事ですか?
SCP-XXXX-JP: …俺は自分の力だけで誰かを追い抜く事も、勝つ事も出来ないんだ。勝負の途中で眠るような奴にしか勝てない正真正銘のノロマ野郎だったんだ。そんな事も知らないで亀族の名誉を回復するなんて勝手な使命感を持ってたんだ。自分が早くなれるって、分不相応な憧れなんか抱く間抜けだったんだ。
██カウンセラー: 落ち着いて下さい。そうと決まった訳では
SCP-XXXX-JP: [遮って]決まってるんだ、そうだって!みんなが言った通りだったんだ。俺は誰にも追い付けない、取り残されるだけのノロマ野郎なんだ!もう俺に希望なんてないんだ、あいつみたいには絶対走れないんだ!
<録音終了 >
終了報告書: 直後SCP-XXXX-JPは██カウンセラーを罵倒した後に甲羅内に閉じ籠り、一切の反応を示さなくなりました。現在までSCP-XXXX-JPの精神状態は回復の兆候を見せていません。
追記: 201█/8/█、サイト-8102内にてSCP-████-JPによる収容違反が発生しました。エージェント・早坂を含む複数名の職員によって再収容が完了した数日後、SCP-XXXX-JPの精神状態及び収容態度に改善の傾向が見られ、長距離走の指導を再度要求するようになりました。
事案XXXX-JP:
201█/10/██、16時25分にサイト-8102内でSCP-████-JPによる収容違反が発生した際に、それに連続してSCP-XXXX-JPによる収容違反が発生しました。
以下は当時のサイト内の監視カメラから回収された映像記録の抜粋です。
[16:32:46] SCP-████-JPがサイト内の避難ルートに侵入し、避難所に向かって進行する。
[16:32:57] SCP-XXXX-JPが進行するSCP-████-JPの約2km後方に出現し、SCP-████-JPを追走する。
[16:36:08] SCP-XXXX-JPがSCP-████-JPの10m後方に接近する。この際、当実体に対する時間的異常の発生が確認されるが、SCP-XXXX-JPは僅かに減速しつつ進み続ける。
[16:36:23] 疾走するSCP-████-JPにSCP-XXXX-JPが追い付き、併走し始める。この際実体に激しい老化の兆候が見られ、速度の低下が観測される。
[16:37:11] SCP-XXXX-JPがSCP-████-JPを見つめ、叫び声をあげながら走行速度を再度上昇させる。この際SCP-XXXX-JPの老化が急速に進行するのが確認される。
[16:37:42] SCP-XXXX-JPがSCP-████-JPを追い抜く。直後にSCP-XXXX-JPを起点として周辺領域に局所的なタイムパラドックスが発生し、その影響によってSCP-████-JPが完全に静止する。
[16:38:44] SCP-████-JPの再収容が行われた後に気絶したSCP-XXXX-JPが回収される。この際実体の肉体は██年分老化していた。
回収後、SCP-XXXX-JPに対して治療が行われましたが、回復の兆候は見られませんでした。事案XXXX-JPから数日後にSCP-XXXX-JPは意識を取り戻し、エージェント・早坂との対話を要求しました。
以下は当時の会話記録です。
対象: SCP-XXXX-JP
インタビュアー: エージェント・早坂
<録音開始.20██/8/██>
エージェント・早坂: 大丈夫か、SCP-XXXX-JP。今はお前の回復のために治療を
SCP-XXXX-JP: [遮って]いや、良いさ。わざわざそんな事しなくて。この怪我じゃあもう走れないだろうし、無理して生きたいわけでも無いしな。
エージェント・早坂: …我々にはお前を収容し、保護するという使命があるんだ。お前が治療を受けるのは義務だ。
SCP-XXXX-JP: そうかい。[数秒間の沈黙]なあ、その義務とやらには関係無い事だけどさ、聞いても良いか?
エージェント・早坂: …良いだろう。だがこちらからも聞く事がある。お前のあの行動の意図を答えろ。
SCP-XXXX-JP: さあねえ。それが俺にも分からねえんだ。あの化け物が逃げ出してお前達に襲いかかっているのを見て、こんな時にお前ならどうするかって考えて…。気が付いたらあいつを追い掛けていたんだ。昔の俺ならこんな事しなかったんだけどな。…なあ、俺からも質問させてくれってば。
エージェント・早坂: 何だ、早く言え。
SCP-XXXX-JP: 俺はあの化け物を追い掛けている時なんでこんな事してるのか自分でも分からなかったし、身体もどんどん思うように動かなくなってすげえ辛かったのに、これまでに無い位に走りに集中出来たんだ。まるで何にも邪魔されずに、風になったみたいに前に進めたんだ。なあ、前に暴れてたあの化け物に立ち向かってたお前も、そんな気分だったのか?
エージェント・早坂: そんな事は知らん。
SCP-XXXX-JP: …そうか。[数秒間の沈黙]…なあ、少し俺の話を聞いてくれないか?
エージェント・早坂: …良いだろう。
SCP-XXXX-JP: 俺は俺達亀の事を足が遅いって馬鹿にしてくる奴等が許せなかったんだ。だからそいつらを見返すためならどんな事でもする、俺にはその覚悟があるって思ってたんだ。
エージェント・早坂: …そうか。
SCP-XXXX-JP: でも、実際は違った。どれだけ努力しても俺は誰にも追い抜けない事を知って、そんな覚悟も願いも全部砕け散った。俺はずっと自分を変えられない、ノロマでしか居られないって思い込んだんだ。
エージェント・早坂: 何が言いたい?
SCP-XXXX-JP: でも、あの化け物が前に逃げ出した時に立ち向かっていくお前達を見てたらさ、また憧れちまったんだ。ただ甲羅に籠って嘆くだけの自分を変えたい、あんな理不尽相手に全力で立ち向かうお前達みたいになりたいって、そう思ったんだ。
エージェント・早坂: ……そうか。
SCP-XXXX-JP: [数秒間の沈黙]なあ、俺は、お前みたいに走れてたか?…ただ甲羅に閉じ籠るだけじゃない、あの化け物に立ち向かってたお前達みたいになれたのかな?
エージェント・早坂: …ああ、そうなれていたさ。お前はかつての俺の事も、そしてお前自身も抜き去って走ったんだ。最高の走りだったぞ。
SCP-XXXX-JP: …そうか。なら光栄だな。
<録音終了>
会話が終了した直後にSCP-XXXX-JPの生命活動が停止し、肉体は急速に劣化・腐敗が進行した後に完全に白骨化しました。SCP-XXXX-JPは異常性を完全に喪失したとしてNeutralizedに再分類されました。
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拝読しました。あまり面白くありませんでした。
残るかどうか微妙なラインだと思います。というのも、「オブジェクトが職員と絆を結び、最終的に自己犠牲によって職員を救って無力化」という流れがかなりやりつくされたものであるからです。そのため、「なんだかいい話っぽいけども新奇性に欠ける」という印象を受けました。
まず異常性ですが、「足の速い亀」というアイデア自体がありきたりすぎはしないものの、新規性があるというほどではないと感じました。そのため、ストーリーのよさで読者を引き付けていく必要があると思います。
ストーリーラインをつけるときは、オブジェクトの性質をしっかり活かせているかどうかを意識してみましょう。現状のオチ付近は「収容違反から職員を身を挺して救う」という部分ですが、この部分は足が速い亀でなくても実現できてしまいます。つまり、オブジェクトの性質をうまく活かせていません。この足が速い亀だからこそ活躍できる、という状況をどうやって作るか考えてみましょう。
ストーリー構成についてですが、まず亀に「禁則事項/欠点」を用意したほうが良いと感じました。つまり、亀は当初なにかしらの「ある思想から絶対にやらないこと(禁則事項)/直すべき心理的な欠点」を抱えているのですが、職員との交流を通じて成長し本当の大切なものを見つけ、最後に職員を救う際に「絶対にやらなかったことをやる/直すべき欠点を乗り越える」という展開を付けたほうがより印象的・感動的になります。この際、「禁則事項/欠点」は序盤でしっかり強調しておく必要があります。
次に、もう少し展開のテンポを意識したほうがよいと感じました。この物語は三幕構成でいうと「1幕 - 亀の説明・早坂との出会い」「2幕前 - 早坂に追いつくための亀の挑戦・自身の欠点との向き合い」「3幕 - 収容違反と職員の救出」という流れになります。現状2幕がすっぽり抜けており、亀の心の動きがみえにくいです。そのため最後の犠牲についても感動がありませんし、亀の成長が見えません。構成論的には亀の行動の記録のような形でもう少し第2幕を厚くして、亀の悩みなど、収容違反での自己犠牲につながる心の動きを描けると良いと思います。
自分であれば、第二幕で「努力しても速く走れないという悩みを抱える。→ 何かの出来事を通して自身に何かが欠けているために速く走れないことに気付く」という流れを作ります。これを経て第三幕は「【本当に大切なもの/本当の願い】を見つけた亀が、助けるために【禁則事項】を破り、職員を助ける」という展開にすれば、納得感のあるストーリーが展開できると思われます。設定上としては、最初は「亀族の不名誉を払拭するため」といっていた亀ですが、自分も忘れていたり気づいていないような本当の願いがあった、ということにすれば、色々と書きやすくなっていくと思います。
批評に対するご意見・ご質問で返信が必要なものにつきましては、ディスカッションで返信の形で投稿いただいたうえで、PMにご一報ください。SB3のフォーラムは追っていませんので、ディスカッションへの投稿だけだと気づけない場合がございます。
批評ありがとうございます。
アドバイスを参考にして改稿を行いました。
展開のテンポを意識してみたのですが、いかがでしょうか。
改善すべき点や誤字脱字等がありましたらまたご指摘お願いします。
改稿版確認しました。内容的には良くなってきていると思います。是非他の方の意見ももらいたいところですね。
この部分ですが、先の批評で申し上げたリストの構文を使った方が良いと思います。
加えて、亀は強制的に引き戻されるので、「追い抜かれる」という事象は発生しないのではないでしょうか。
途中のインタビューを見る限り亀は自身が対象に追いつけず引き戻されることに気付いていなさそうですね。そうであれば、引き戻しについての説明部分で、亀自身が当初この異常性を認知していなかったことに触れておいた方が良いと思います。
「早く」の誤字です。
「あるんだ」などのほうが自然だと思います。
批評に対するご意見・ご質問で返信が必要なものにつきましては、ディスカッションで返信の形で投稿いただいたうえで、PMにご一報ください。SB3のフォーラムは追っていませんので、ディスカッションへの投稿だけだと気づけない場合がございます。
指摘ありがとうございます。
誤字や構文を修正しました。
ストーリー部分はもっと推敲してみたいと思います。
異常性を活用する展開には驚かされましたが、そこまでの展開における演出などがあまり本領を発揮できていないように感じました。「亀」というモチーフからこの記事特有の世界観を作れていないというか、キャラクターがまだ立っていないように思います。インタビューの前後に当人の努力や絶望を情報として挟むとインタビューでの重みが増すと思います。
また、異常性にまとまりのなさを感じました。大まかな能力を分解すると「競争相手が勝ちそうになると眠る」「眠っていない状態では引力が発生する」なので、この二つを兼ねて一言で説明できるとシンプルになるので消化に時間がかからなくなります。
この他、眠らせる異常性なのに補遺1で職員が勝利している点、追い抜かれたSCP-████-JPが即座に眠っているが条件には合致していない点には説明がほしいなと思いました。
批評ありがとうございます。
指摘していただいた内容を元に改稿を行いました。
異常性を一つにまとめられたか・亀である事を生かせているかは自信が無いので、よい方法や他の改善点、問題点等がありましたら是非指摘して下さい。
内容は面白いと思いました。今のままだしてもストーリーがよいので残ると思います。
数字の後にも半角スペースがあります。
異常性で少しまとまりを欠いているところがあると感じました。そこを直せばさらにまとまりがよくなると思います。
この部分は異常性がカメのモチーフにかかっていないので勿体ないと思いました。この部分を日目としっかり関係のあるものにすればなおよくなると思います。
例えば、モチーフに追加でアキレスと亀を追加して、カメが人間に並ぼうとすると時間的異常で停止してしまう。などするとカメを生かした設定に出来ると思います。
また、途中の実験015は対象を眠らせる、という展開を作るためだけにあるため、話の流れの中で浮いています。カメが異常性の影響を受けないのに、人間の方だけは異常性の影響を受けるというところも少しご都合的な感じがします。カメが抜いたら眠る、というところもモチーフとの結びつけがやや強引なので、取り除いた方がよさそうです。
カメが抜いたら~という部分は、ラストの部分に取っておいてもよさそうです。本当は起こりえない事案だったが、カメの努力のおかげで奇跡が!という流れにしたほうが、話に起伏が作れると思います。
カメが抜いたらどうなるか?という部分については、もう少し派手にやってもいいと思います。もちろんモチーフを生かしながらにはなりますが、起こりえない事象が起きたシーンなので、(例えば上のアキレスの展開を維持するなら)敵対オブジェクトが抜かれたことで、敵対オブジェクトにタイムパラドクスが発生して、時間的異常で動けなくなる……と言ったような展開をしてもよいと思います。
批評ありがとうございます。
「眠っていない相手は追い抜けない」とする事で「兎と亀」のモチーフにかけたつもりだったんですが、分かり難かったですか…。
yzkrtさんが提案してくださった「アキレスと亀」をモチーフにする案は思い付いて無かったんですが、良いと思ったので使わせてもらっても大丈夫でしょうか?
もしよろしければ時間異常系のオブジェクトの記事も読みつつ、改稿したいと思います。
使ってもいい具体的な方法として提示していたので、大丈夫です。
アドバイスを参考として改稿を行い、時間タグを付けました。時間異常にはあまり詳しく無いのですが、問題は無いでしょうか?