SCP-XXXX-JP 過保護な母熊(旧代:親熊モドキ)

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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはその異常性を消失しました。SCP-XXXX-JPの残骸はサイト-8141の低危険物収容ロッカーに保管されます。また、SCP-XXXX-JP-1への監視は継続中です。

旧特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-8141内にてSCP-XXXX-JP-1と同室に収容されます。

SCP-XXXX-JP-1は安全な人型収容オブジェクトと同程度の収容が行われます。SCP-XXXX-JP-1が要請した物品は予算内で購入可能な限り、その態度が許される物であれば買い与えて下さい。また、SCP-XXXX-JP-1に対して週に一度、専門家による心理カウンセリングを行って下さい。

説明: SCP-XXXX-JPは全長0.6m、質量2.1kgの自立行動する白色のテディベアです。頭部は高い物理耐性を有しており、身体は異常性の無い綿と合成毛皮で構成されています。実体は自身の身体が損傷した場合、材料を不明な手段で補充して修復します。また、人間と同程度の知能を持ち、未知の原理によって人間と同程度の動作が可能です。

SCP-XXXX-JP-1は戸籍上は███と登録されている15歳の少女です。身体的・精神的に一切の異常を有していませんが、SCP-XXXX-JPの継続的な収容のために財団の保護下に置かれています。また、後述の経歴から中度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状と、SCP-XXXX-JPへの重度の依存が見られますが、精神影響等は確認されておらず、非異常な物であると考えられています。

SCP-XXXX-JPはホッキョクグマ(Ursus maritimus)に類似した鳴き声を発する事が可能であり、それに加えて身振り手振りを交えたジェスチャーを用いて意志疎通を行います。

SCP-XXXX-JPの表面は常に36~37℃を保っており、物理的接触を行った人間は強い安心感と多幸感を抱きます。また、SCP-XXXX-JPとの接触回数が増加する程にその影響は増大していきます。しかしながら、SCP-XXXX-JPは可能な限りSCP-XXXX-JP-1に寄り添って頻繁に物理的接触を行い、他の人間の存在を無視する傾向があります。

SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1の半径2m以内に20歳以上の男性(以下、対象と記載)が接近した場合、不明な原理でそれを感知して瞬時に活性化し、通常のホッキョクグマと同一の外見・膂力を持つ実体に変化してSCP-XXXX-JP-1付近に転移します。この際、SCP-XXXX-JPは極めて敵対的であり、対象がSCP-XXXX-JP-1の視野外に移動するか行動不能になるまで継続して攻撃を加えます。これらの行動はSCP-XXXX-JP-1の接触によってのみ抑制する事が可能です。

SCP-XXXX-JPは201█/4/16、██県██市██中学校にて「教室でクマが暴れている」という通報があり、傍受した財団によって派遣されたエージェントに発見されました。発見当時、SCP-XXXX-JPは活性化しており、収容されるまでに民間人を含む1█名が重軽傷を負いました。

以下はSCP-XXXX-JP回収当時にSCP-XXXX-JP-1に対して行われたインタビュー記録です。

対象: SCP-XXXX-JP-1

インタビュアー: 西田研究員

付記: SCP-XXXX-JP-1はインタビュー中にSCP-XXXX-JPを所持する事を要求し、承認された。

<録音開始, 201█/4/21>

西田研究員: じゃあ、質問を始めます。あなたがそのテディベアを手に入れたのはいつですか?

SCP-XXXX-JP-1: はい、えっと、6歳の誕生日の時にママが私にプレゼントにって買ってくれたんです。その頃はまだ動いたりしないただのぬいぐるみでした。

西田研究員: なるほど。それが動き始めたのは何時からなのですか?

SCP-XXXX-JP-1: 9歳の時に、ママが浮気して、パパとママが離婚した時くらいからですね。…あれからパパは仕事が忙しくなったみたいで、しょっちゅう家を空けるようになって…それで、家で1人で泣いている時にこの子が動き出して、頭を撫でてくれたんです。それから、私が1人でいる時にご飯を作ってくれたり、一緒に遊んでくれたりするようになったんです。

西田研究員: そうですか。あなたはその時、驚いたり怖く思ったりしなかったのですか?

SCP-XXXX-JP-1: ええ、まあ少しはびっくりしました。でも、この子と一緒にいると幸せな気持ちになって、物事を前向きに考えられるようになるんです。この子がいなかったら、あの寂しさには耐えられなかったでしょうから…。

[SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1に抱きつき、頬擦りする。]

西田研究員: ふむ…。あなたの父親は、そのテディベアを見て、どんな反応を?

SCP-XXXX-JP-1: えっと…。パパは、その、あんまりこの子が好きじゃなかったみたいなんです。それに、この子もパパが近づくとすぐに怒ってパパを叩いたりしてましたから…。パパはこんな不気味な物とっとと捨てちまえってしょっちゅう言ってました。

西田研究員: それで、あなたはその時どうしたのです?

SCP-XXXX-JP-1: 勿論嫌だって言いました。この子は私の大切な友達なんだって。でも、パパはそれを聞いて、凄く怒って…。お前が捨てないなら、俺がそいつを捨てて来るって言い出して…。だから、この子を捨てたふりをして、物置に隠したんです。……それから3日くらい後でした。パパが居なくなったのは。

[SCP-XXXX-JPが低い声で唸りつつ、SCP-XXXX-JP-1の肩を軽く叩く。]

西田研究員: …当時の状況を教えて頂いてもよろしいですか?

SCP-XXXX-JP-1: はい、大丈夫です。その日はパパは仕事で出張に行く準備をしてて、3日間帰らないって言ってましたから、きっともう出て行ったんだと思ってたんですけど、学校から帰って来たら、パパの会社から電話がかかってきて、パパが出社してないって…。それで、どうして良いか分からなくなってパニックになっちゃったんですけど、この子が私を抱き締めて、落ち着かせてくれて…。それから警察に連絡したんですけど、結局見付からなかったんです。

西田研究員: …辛い事を思い出させてしまって、申し訳ありません。

SCP-XXXX-JP-1: いえ、良いんです。……パパはもう、私を育てるのが嫌になっちゃったんでしょう。私はママに似てるって、よく言ってましたから。それに、この子がいてくれたから少しも寂しくなかったし、私も少しは料理が出来たので、貯金を使って何とかやりくりして生活していけたんです。でも、それからだんだんこの子の様子がおかしくなってきたんです。

[SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1の頭を撫でる。]

西田研究員: …おかしくなった、とは?

SCP-XXXX-JP-1: はい。前まではそんな事しなかったのに、私がお風呂に入る時とか、トイレに行くときにもついて来て、離れようとしないんです。その時の私を見る目付きが、その、何か気味が悪いっていうか、嫌な感じで…。それに、外出した時、家に置いていたはずなのに、いつの間にかカバンに入り込んでいたりするし…。後、家に郵便が来た時とかに、配達員の人に向かって唸ったり、襲いかかろうとするようになったんです。でも、私がそばにいる時には大人しかったし、この子がいなかったら私はひとりぼっちになっちゃうし、他に頼れる人もいないから気にしないようにしてたんです。

西田研究員: そうなのですか。

SCP-XXXX-JP-1: はい。ここに来る前の日もそうだったんです。学校に行く時、家に置いていた筈なのに気付いたらついて来てたみたいで…。それが見付かっちゃって、担任の先生が、その、この子を取り上げようとしたら…[嗚咽]。

西田研究員: 大丈夫ですか。

SCP-XXXX-JP-1: は、はい。この子が、いきなり大きくなって暴れ始めて…。説得しても聞いてくれなくて…。それでどうして良いか分からなくなった時にあの黒い服の人たちが来てくれたんです。

西田研究員: …そうだったのですか。

SCP-XXXX-JP-1: はい。[数秒間の沈黙]あの、先生。一つお願いしても良いでしょうか。

西田研究員: 何でしょう?

SCP-XXXX-JP-1: 私を、この子がいなくても大丈夫なようにしてくれませんか?…この子は私を救ってくれたし、今も私の支えになってくれているんです。でも、今まで私はこの子に甘えてばっかりいたから…。きっとそのせいでこの子も変になっちゃったんです。私がもっとしっかりすればこの子もきっと元に戻ってくれると思うんです。

西田研究員: …検討しましょう。

SCP-XXXX-JP-1: ありがとうございます。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー後、SCP-XXXX-JP-1に定期的にカウンセリングを受講させる事が決定しました。現在まで、SCP-XXXX-JP-1の精神状態は緩やかに回復傾向にあります。

事件記録XXXX-JP: 2019/5/30、22時47分、SCP-XXXX-JPが突如活性化し、眠っていたSCP-XXXX-JP-1を抱え上げて収容室から脱走しました。

以下はサイト-8141に設置されていた監視カメラから回収された映像です。

[22:47:11] SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1を抱えて通路を横切る。この際SCP-XXXX-JP-1は眠り続けている。

[22:47:28]: SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1を床に下ろし、上に覆い被さる。

[22:47:41] SCP-XXXX-JP-1が目を覚ます。この際SCP-XXXX-JP-1は困惑した様子を見せ、収容室に戻るよう声をかけ続けるが、SCP-XXXX-JPは応じずにSCP-XXXX-JP-1を抱き締める。

[22:47:52] SCP-XXXX-JP-1がもがき、SCP-XXXX-JPに抵抗する。SCP-XXXX-JPは力を強め、SCP-XXXX-JP-1をより強く抱える。この行動によってSCP-XXXX-JPの動作が遅延される。

[22:50:39] 機動部隊が到着し、SCP-XXXX-JPを取り囲む。SCP-XXXX-JPはSCP-XXXX-JP-1を下ろし、機動部隊を威嚇する。SCP-XXXX-JP-1は戸惑った表情を見せる。

[22:53:14] SCP-XXXX-JP-1が機動部隊に接近し、自身の保護を要求する。この際、SCP-XXXX-JPは激しく動揺した様子を見せ、静止を試みるがSCP-XXXX-JP-1はそれを無視し、機動部隊に保護される。

[22:53:48] SCP-XXXX-JPがSCP-XXXX-JP-1に対して低い唸り声を上げ、手招きのようなジェスチャーを行うが、SCP-XXXX-JP-1は首を横に振る。

[23:54:04] SCP-XXXX-JPが数秒間動作を停止した後に突如激怒し、SCP-XXXX-JP-1に掴みかかり、投げ飛ばして壁に叩きつける。その衝撃でSCP-XXXX-JP-1は昏倒し、反応を示さなくなる。

[23:54:21] SCP-XXXX-JPが眼球から涙と血液の混合液を流しながら34秒間咆哮し、後に自身の舌を噛み切り、床に倒れ込んであらゆる活動を停止する。

[22:55:02] SCP-XXXX-JPの肉体が縮小し、テディベアに変化する。

記録終了

事態終息後の検査の結果、回収されたSCP-XXXX-JPは完全に異常性を喪失している事が確認され、Neutralizedに再分類されました。この事件以降、SCP-XXXX-JP-1を収容する意義は失われたとして、治療が行われた後にCクラス記憶処理を行い、財団傘下の児童養護施設への入居が決定されました。

付与予定タグ: scp jp クマ Neutralized 知性 玩具


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