そして誰もいなくなったのだろうか?

月日 __20██,8.4. __
今回のプロジェクトで死ぬかもしれないからこれを書き始めた。この日記は私の暇つぶし。
    
今日、上の連中が私に言った事はまさに死刑宣告だ。私はにくにくしいものに乗っ取られたにサイト-███の奪還に割り当てられた。ここでだから言うけど、上は頭が変になったのかと思う。何でB級ホラー映画に出てくるようなモンスターと戦わないといけないのか。別に放置しとけばいいと思う。まぁ文句を言った所でそれが通る所じゃない。そんな所なら私はとっくに上に文句を垂れて変えてもらってるだろう。
      


月日 __20██,8.6. __

今日は戦地へ行く準備をする日だ。私のナップサックには銃、水筒、空のランチボックス、非常食、そしてこの日記を入れた。
一つ余計な物がなければ昔行ったキャンディー工場の見学に持っていったナップサックの中身だ。
あいにく、おみやげのキャンディーも一緒にいたずらをした友達もいないし、楽しくなるとは思えないけど!
   


          
月日 __20██,8.7. __

私を含めた10人の隊員と一緒に行く事になった。小さなサイトだから、この人数で大丈夫だろうという事だった。もしダメそうなら別の機動部隊を投入するそうだ。
    
名簿に書いてある番号で紹介していく。
1はそばかす顔で軽口ばかり叩く、いけすかない青年だった。彼とは仲良くなれそうにない。
2は優しい顔をした女性だった。財団には珍しく、上品な物言いの素敵な女性だった。
3は重々しい将軍のような男。口数が少なかった。
4は疲れた顔をした青年。よく話す機会がある、友達だ。
9まで飛ばす。
9は私の友人のユリック
そして10、私だ。


月日 __20██,8.7. __

お腹が痛い。腹を壊したとかそういう事ではない痛みだ。これを読んでいる諸君にも、マラソンのレースの前に胸がじくじくした覚えはあるだろう?それと同じさ。マラソンほど可愛い悩み事ではないが。明後日にはもう行く。


月日 __20██,8.9. __

今日は良い日だ。空は凪いだ海のようで、咲くのを楽しみにしていた向日葵は満開だ。
この向日葵から種を取って、また植えようと思っていたのに出来そうにない。まだ咲くのは遅れると予想していたけど、私の出征に間に合わせる様に咲いた。それが散るまでに帰る事ができるのだろうか。
今日は良い日だ、そして今日は苦々しい日だ。


月日 __20██,8.15. __

前回の日記から少し時間が離れた。書くべき事が特になかったので。
私達は乗っ取られた施設の近くにテントを立て、監視をしている。何の変哲もない建物だ。
それから時々生肉みたいな人間が出てこなければの話だけど。
出征日からずっと晴れの日が続いている。喜ぶべきだろうけど、テント生活者には辛い。
鉄板で焼かれるポークチャップの気分がわかったかも知れない。
調理が終わったポークチャップみたいに食べられなければいいんだが。
もうすぐ施設内に入るそうだ。念のため入れた大人用オムツが大活躍するなんて事はないようにしたい。


月日 __20██,8.15. __

施設内に入って三日目だ。住み心地は最悪。寝るたびにドアにバリゲートを貼らないといけない家なんて、星一つも付かないだろう。レビュー欄にはきっとこう書く。
''水道と電気が通ってないのはともかく、ゾンビを駆除しつつ住む家はスリル満点で素晴らしいね。ブラザー?''
本当に斬新で、独創的で、そしてとびきりショッキングな施設だった。
白衣を着たままの肉塊がウロウロしてるし、ゾンビのグロテスクな感じと言ったら分かるだろうか。
外にそいつらが出ないように玄関と窓には鉄板を付けてあるし、まるで私達が収容されてるみたいだ。
1が冗談を言い、作り笑いをする日が続いた。


月日 __20██,8.21. __
    
1が死んだ。あまり暇がないから急いで書いている。
彼がランチのサンドイッチを食べたら、体中に湿疹が出来てにくにくしいものに変貌した。
私達は湿疹が出た時点でAを部屋に閉じ込めて、完全に''感染''したら射殺した。
まだ彼が話せた時の悲鳴が忘れられない。
ずっと私達に助けを求めていたが、誰も反応しなかった。

''小さな兵隊さんが10人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り9人''


月日 __20██,8.24. __

何故か奴らが多くなっている気がする。
何故か私達のものではない銃がそこらに落ちてるし。
本当に嫌だ。


月日 __20██,8.30. __
2が死んだ。
彼女が寝ている時に感染したようだ。
私は彼女のために大量に弾丸を使ってしまったが、その音でチームメンバー達が飛び起きたのはよかったようだ。
彼女は枝のように肉を伸ばして部屋の隅に固まっていた。
ここで私達は気づいた。
5の持っていた人形が減っている!
これはまるで、十人のインディアンのようだ。
''小さな兵隊さんが9人、寝坊をしてしまって1人が出遅れて、残り8人''
  
じゃあ、U. N. Owenは誰だ?


月日 __20██,9.2. __

こんなに苦戦しているというのに、援軍が一向にこない。
撃っても撃ってもキリがない。というか多くなっている。銃の弾丸が切れたから、その辺にある物を投げつけている。
上は何をやっているんだ。
そして、2日前に偵察に行った3が帰ってこない。怖いなんて言って悪かったから早く帰ってきてくれ。


月日 __20██,9.6. __
   
3が帰ってきた。肉塊の姿で。
彼の腹に突き刺さった鉄板には、「躊躇するな」と書いてあった。多分''3''としての彼が死ぬ前書いたのだろう。
殺せなかった。銃はなく、ガラスももうない。バリゲートにしていた机の足を折り、投げつけて追い払った。他のメンバーは物凄く怯えている。特に次のターゲットになるであろう4。
彼はこう言った「僕は自分を割ったりしない!」

''小さな兵隊さんが8人、デボンへ旅行したら1人が残ると言い出して、残り7人。''


月日 __20██,9.6. __
   
今日は誰も死ななかった。
4は厳重にバリゲートした部屋に閉じ込もっていた。
彼が戦おうとしない事については誰も文句は言わなかった。
彼が言うに、「刑務所が世界一安全な場所だったら、僕は迷わず罪を犯して豚箱に入るさ!」


月日 __20██,9.8. __

今日も誰も死ななかった。
あまり動くと消耗するから、バリゲートの中に引きこもる事になった。
ユリックはあまり疲れてないようだった。彼は昔から体力があったから。4とは真反対だ。
5と話した。
「彼が死ぬとすると、4は多分頭を割られます。でも、奴らの腕で刃物は持てないでしょう?だから大丈夫です。」
彼女は冷静だった。


月日 __20██,9.9. __

4の精神状態が悪化した。
昨日私が彼の肩に手をかけると、世界の終わりのような悲鳴をあげてベッドから転げ落ちた。
彼は私を責めたが、私は全く悪いとは思わなかった。
私だって限界なんだ。
殴り合いになる寸前に5と7が止めた。
7は言った
「そんなにピリピリしないで。肉に振りかける胡椒みたいになっちゃうよ」
彼や、普通に生きる人々にとっては面白いジョークかも知れない。
でも、私達には彼の心遣いを受け取る余裕はなかった。


月日 __20██,9.12. __

4が死んだ。頭を割られていた。
彼の手には斧が握られていた。
ここで気づいた事がある。5が話したように、奴らの手では刃物は持てないし、それにバリゲートは完璧だったはず。それに、彼は自殺は絶対に嫌と言っていた。

この中に裏切り者がいる。
彼の頭をかち割った犯人が。

''小さな兵隊さんが7人、薪割りしたら1人が自分を割ってしまって、残り6人。''


月日 __20██,9.13. __

次殺されると予想している5は冷静だった。
彼女は何十年も財団でエージェントをしている。
彼女の信条が、焦ってはいけない、焦ると見える物も見えなくなる。と言っていた事を思い出した。
本当に頼もしい背中だった。


月日 __20██,9.15. __
  
ついにバリゲートが破られた。
財団支給の地図を元に、物資が多そうなラボへ移動した。
今からラボを物色しようと思う。
6がこう言った。
「もうラボに引きこもらないかい?」
無理だろう。戦わないと、またバリゲートが破られる。


月日 __20██,9.18. __

ラボには水、銃と弾丸、食料や地下への入り口があった。
これで何日かは持ちそうだ。


月日 __20██,9.21. __

5と6が死んだ!クソッタレ


月日 __20██,9.23. __

前付けられなかった日記をつけていく。
5は私達と銃を撃っている時、泡を吹いて倒れた。彼女の血を採った時、ヒスタミンとセロトニンが大量に検出された。蜂に刺されたとは言えない。
血のほとんどを抜いて、その代わりに2リットルの毒を飲ませる蜂なんているか?

''小さな兵隊さんが6人、丘で遊んでたら1人が蜂に刺されて、残り5人''

6は頭を撃鉄で撃ち抜かれていた。
彼の指が床に書いた文字は judge 裁判官だった。
早くUNKNOWNを見つけなければ。

小さな兵隊さんが6人、丘で遊んでたら1人が蜂に刺されて、残り5人
小さな兵隊さんが5人、大法官府に行ったら1人が裁判官を目指すと言って、残り4人。


月日 __20██,9.25. __

7は諦めていた。人間はまず錯乱、怒り、悲しみを経て諦めに到達するそうだ。
昨日から7は何も話さない。
ユリックはこう言った。
「もう1〜6が死んだ。これから7,8が死んで、一人になったとしても君が自殺しなければ大丈夫だ。」
何が大丈夫なのか分からなかった。

バカだなぁ。君さえ死ななければ私に勝てたのに。

    


    
月日 __20██,9.24. __
       
今日は誰も死ななかった。
それだけで幸せだと思えてしまえる。
ラボの地下室はそいつらがたくさんいた。
7は何も表情を変えずに撃って行った。
みんなが狂ってる。
もう嫌だ。
       
そうかな。私はとても楽しかったよ。母を殺した奴が追い詰められるのを見るのはさ
      


      
月日 __20██,9.25. __
       
7がいなくなった。あいつの精神状態じゃもう死んでいるだろう。

         
それはどうかな?生き残れば真実を見ることができるんだよ。あいにく、君はもう見られないけどね!
     


月日 __20██,9.29. __
        
今日も誰も死ななかった
   


    
月日 __20██,9.31. __

今日も誰も死ななかった


      
月日 __20██,9.33. __
      
今日も誰も死ななかった

うーん、このままじゃあ読む人を楽しませる事ができないから、自分語りでもしようかな。
私は……おっと、名乗ってはネタバラシになっちまう。
私は6歳の頃に母を亡くした。あいつが、母に叱られた時に彼女のブローチを投げたんだ。あいつが私の肺炎の薬を捨てたから怒ったんだと。そのブローチは川に落ちたから、母も川に入ってまで探した。幸いそれは見つかったけど、母も肺炎になっちゃった。そして死んだ。そのブローチの中には、私の写真が入っていたよ。残った肺炎の薬は私が飲んだ。私はそれを譲ればよかったんだ。父は私を早々に捨ててどこかに行った。全く、私は人間の運には恵まれていないようだね


       
月日 __20██,10.9. __
今日で出発した日から二か月目。
援軍はなかった。
今気づいた事だが、私たちのいる場所は多分違う。
地図を見てみれば分かるが、本当はもっと北のはずだ。
車を運転していたのは誰だ?
5だ。奴がこの狂ったパーティの主催者なのか?
地図を持って教えていたのは誰だ?
1だ。奴は私たちを貶めたのか?
出撃の命令を出したのは誰だ?
6だ。奴は私たちを殺したいのか?
このメンバーを決めたのは誰だ?
私だ。

オーケー、ようやく面白くなってきたね。


月日 __20██,10.11. __
      
8が死んだ。全身の骨を折って死んでいた。
もうすぐみんな死ぬだろう。だから、ここに私の記憶を書いていく。
謝りたい事がある。
私がまだ小さく、庭のグミの木の実すらもげない時のことだった。
その時私が遊びに行った時に、たまたま彼の母親が見えたんだ。
彼女は、彼の薬に何か粉を入れているようだった。目を凝らしてみると、もう思い出せない毒の名前が書かれた瓶が置いてあった。彼を助けたくて、私は彼の薬を捨てた。当然彼の母親には叱られたが、悪いとは思わなかったし、ブローチを投げてやった。
彼女が肺炎になって、土の下の人間になってから気づいた。
その毒と思ったものは、少しの量では薬の効果を促進させるものだった。
それで人を殺すには、何キロも飲ませないといけないそうだ。
本当にごめんなさい。
私は君を救いたかったんだ。許してくれ。

嘘はやめろ
   


月日 __20██,10.18. __
  
昨日から幻覚を見る。
死んでいった奴らの泣き声と助けを求める声が追ってくる。
もう嫌だ。

死んでしまえ


月日 __20██,10.21. __
      
ここに書かなければならないことがある。
今日、9…ユリックを撃ってしまった。
私の幻覚のせいだ。
彼が私に銃を向けているように思えて。
私は、最悪の人間だ。
彼は私にこう言った。
「生き残れよ。生きてくれ。」

こんな事しなければよかった


月日 __20██,10.23. __
   
これで最後の日記だ。
銃の弾丸は無くなった。
幻覚は私をハグしてる。
私は、この前にあるロープで首を吊る。
私は彼らのいる世界には行けないだろう。

そして誰もいなくなった


月日 __20██,10.24. __
 
やあ。今日は24日。私はユリック。死んでいないのは何故かって?防弾チョッキだよ!遅かれ早かれ殺し合いになるとはわかっていたもの。今からこの日記に捕捉を書いていくよ!

      
      
最悪だ。読まなければよかった。


月日 __20██,10.28. __

    

       


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