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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-81RAの低脅威度物品保管ロッカーに収容されます。広告代理店██████に潜入した財団エージェントにより前田██氏に関連する人物の調査を行い、SCP-XXXX-JPの影響下にあると確認された場合クラスA記憶処理を行ってください。
説明: SCP-XXXX-JPは高さ15cm、幅9cmの卓上鏡です。外見・材質に関しては市販されている同じ型の商品と差異は見られません。
SCP-XXXX-JPの異常性は、██県██市に位置する広告代理店██████に勤務する人物のうち数名(以下、SCP-XXXX-JP-A)がSCP-XXXX-JPに映る自身の顔を視認した場合に発生します。SCP-XXXX-JP-Aには前田██氏と関わりが深い人物が該当すると考えられています。SCP-XXXX-JP-AがSCP-XXXX-JPに映る自身の鏡像を視認すると、鏡像が自分の理想の姿であると認識し、自らの姿・状況を可能な限り鏡像に近づけようと行動します。第三者によってSCP-XXXX-JP-Aの鏡像を確認しても異変は確認されません。
SCP-XXXX-JPの異常性は記憶処理を行うことにより無力化することが可能ですが、記憶処理を受けたSCP-XXXX-JP-Aが異常性の発生条件を満たすことで再度発生することが確認されています。
インタビュー記録
日時: 2021/08/11
対象: SCP-XXXX-JP-A-11
インタビュアー: 白峰博士
付記: 周辺人物に聞き込みを行ったところ、SCP-XXXX-JP-A-1はSCP-XXXX-JPの異常性に発露したと思われる約1週間前から、身に着ける服飾品の雰囲気などを大幅に変化させたという証言が得られました。
<記録開始>
白峰博士: インタビューを開始します。早速ですが、あなたから見た前田██さんについて教えてください。
SCP-XXXX-JP-A-1: はい。前田さんとは同じ職場の同期でした。いつも笑顔で感じが良かったし、綺麗な人だったので男連中に人気でしたね。入社当時から席が隣だったりして話すタイミングがよくあったので、自分の性格とか恋愛について相談したりしてました。その頃好きな人がいたんで、さりげないプレゼントってどういうのがいいんだろうとか、おしゃれなカフェ情報だとか、そういう他愛のないことを。前田さんのアドバイスのおかげで付き合えることにもなったんです!感謝してもし切れません。[沈黙]あの時の恩も返せない内に逝ってしまいましたが……。[涙ぐむ]
白峰博士: なるほど。次に、前田さんのデスクの上に置いてある鏡についてお聞かせください。
SCP-XXXX-JP-A-1: ああ、あれですね。前田さんが自殺したことがショックで、しばらくは彼女のデスクを見ることも辛かったんですが……。何かの拍子にあの鏡が目に留まったんですよ。そこには、僕がこうなりたいって思ってたような理想の自分の姿が映ってたんです。ぱぁーって目の前が明るくなったような気がしました。僕は何というか……他の人には真面目とか慎重とか言われるけど、ただ根暗だけなんですよ。でも、本当は派手派手な髪色とか、ごつい指輪とか、かっこいいピアスたくさん開けたりとか……ずっと憧れてたんです!上司にはいい顔されませんし、彼女には前の方が良かったーって言われて振られちゃいましたけど。[苦笑]それでも、やりたいことをやれるって気持ちいいですね。
[沈黙]前田さん、面倒見がいいんですよ。後輩にもすごく慕われてるって噂に聞きました。俺が意気地なしなの知ってたから、あの鏡に乗り移って背中を押してくれたんじゃないかなって。もし前田さんにもう一度会えるなら、今の姿を見せたいです。もう心配しなくでも大丈夫ですよって。[沈黙]でも、どうして自殺なんて……。
<記録終了>
終了報告: インタビュー終了後、SCP-XXXX-JP-A-1にクラスA記憶処理を行い解放しました。以下のインタビューにおいても特に記載がない限り同様の処理を行います。
日時: 2021/08/13
対象: SCP-XXXX-JP-A-32
インタビュアー: 白峰博士
付記: SCP-XXXX-JP-A-3は08/10に自殺未遂を起こし、現在は財団傘下の精神病院に入院しています。
<記録開始>
白峰博士: それではインタビューを開始します。まずは、あなたから見た前田██さんについて教えてください。
SCP-XXXX-JP-A-3: [沈黙]ま、前田さんは私の先輩で、仕事のことすごく丁寧に教えてくれました。ミスしても対応を手伝ってくれたりとか、取引先に一緒に謝罪してくれたりとか。……本当に本当に優しくて、いい人でした。[涙を流し、嗚咽し始める。]でも、でも、あんな……。
白峰博士: 分かりました、ありがとうございます。続いて、前田さんのデスクにある鏡についてお聞きしたいのですが。
SCP-XXXX-JP-A-3: [小さい悲鳴]見てないです……。私は何も見てない。あんなの知らない、私じゃない![頭を搔き毟る]そりゃあんな風になれたらどんなにいいかって思ってましたよ!でもただの夢だったの!夢でよかったのに、あんなの見なかったらこんな惨めな思いしなくて済んだのに!
白峰博士: 山口さん!?落ち着いてください!
SCP-XXXX-JP-A-3: あの人私のことを恨んでるんですよ!私が見殺しにしたから、あのクソ上司がやってること見て見ぬふりしてたから……[嗚咽]でも、私に何ができるっていうんですか!私が何か言ったところで新しくターゲットにされるのが関の山でしょう!?だったら先輩が防波堤になるのが筋ってもんじゃないんですか!でも、だからあんな呪いみたいな鏡[嘔吐]もう嫌……何しててもあの鏡に映った私がちらつくんですよ!私がいくら私を変えようとしたって、どうしたってもうあんな風にはなれないんだってずっとずっと笑ってる!私のこと馬鹿にしてるんだ!
<記録終了>
日時: 2021/08/19
対象: SCP-XXXX-JP-A-83
インタビュアー: 白峰博士
付記: SCP-XXXX-JP-A-8は8月4日に妻と息子を殺害し、現在██市の留置場に収容されている。
<記録開始>
白峰博士: インタビューを開始します。まず、前田██さんについてお聞かせ願えますか?
SCP-XXXX-JP-A-8: 前田ちゃんね。まー可愛い子だったよね。愛嬌よし、スタイルよしでさ、良いお嫁さんになっただろうにな。そうそう、彼氏がいないみたいだったから俺の息子とお見合いセッティングするつもりだったんだけどね。職場も華がなくなったって感じだし、残念だよほんと。ただ、根っから真面目っていうのかなー。冗談が通じないっていうか、ノリが悪いタイプではあったよね。飲み会の時とかよく高橋さんがスベらされててさ、ちょっと困ってるみたいだったし。あ、最近セクハラとかパワハラとかうるさいけどさ、そういうのじゃないよ?ただの酒の席でのコミュニケーションだから。高橋さん4が悪酔いして軽く抱き着いたりキスするふりしただけ。いつもの事なのに本気で嫌がってるみたいな素振りするから盛り下がるよなー。
白峰博士: なるほど。それでは、前田さんのデスクの上にあった鏡についてお聞かせください。
SCP-XXXX-JP-A-8: あー![手を叩く]あれね!遺品って縁起悪いし嫌だなぁって思ってたんだけど、ぜーんぜんそんなこと無かったよ。どうやって処分しようかなって思いながら何となく手に取ったんだけど、その時鏡に映った自分がさ、最高だったんだ。ビビビってきたよ、まさに理想の自分、いや家庭ってやつ!どうしても実現させたくなっちゃったんだよね。
白峰博士: そうですか。それが今回の事件の犯行動機という事で間違いありませんね?
SCP-XXXX-JP-A-8: うん!俺が子供の時はもっと聡かったと思うんだけど、息子はちょっと聞き分けが悪くてさ。あの鏡に映ってたのを上手いこと再現しようとしたら良い子になってくれたよ。そうそう、家内もね。女は亭主の散歩後ろを歩くべきだって言ってんのに口答えして息子の肩持ってさぁ、教育の邪魔してきたんだよね。まぁでも厳しく躾といたから、これからはちゃんとした家族団欒ができるってもんだ。それなのに……早く家に帰りたいんだけど、いつになったら帰れるんだろう?家内と息子が待ってるのに。
白峰博士: インタビューを終了します、調査協力ありがとうございました。最後に、前田さんが自殺した原因に心当たりはありませんか?
SCP-XXXX-JP-A-8: 全然。あんまりこういうこと言うの良くないかもだけどさ、若い子はやっぱ気合いが足りないんじゃないかなぁ。
<記録終了>
終了報告: 高橋█氏は7月29日に███駅のホームから転落・電車に衝突し死亡しています。ホームに設置された監視カメラの映像から警察では自殺と見られていましたが、実際はSCP-XXXX-JPの異常性が関与していると考えられます。
補遺: 調査の結果、前田██氏が7月28日に自殺したといういかなる記録も発見されず、███県に戸籍が移っていることが確認されました。現地の財団職員により前田██氏を対象にインタビューを行ったところ、 7月28日に広告代理店██████を退職し、SCP-XXXX-JPはその際自分のデスクに置き忘れた私物であると主張しました。前田██氏は異常性を保持していないことが確認されたためクラスA記憶処理を行い解放しました。
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- portal:7873216 (05 Feb 2022 05:18)
職場の人間関係が上手く描けているだけに、異常性の新奇性のなさがもったいなく感じます。アドバイスだと思っていたが、実際は悪意からくるものだった……という異常性の構成は多くあります。財団外でも、例えば怪談としてよく知られている死ねばよかったのに…などもこういった構成ですね。
また、本人にすべてを語らせてしまうのはもったいないと思いました。三つ目のインタビューまでのように、だんだんと全貌が分かっていく構成は面白く感じたので、最後のインタビューを削除して、三つのインタビューに上手く情報を分散させらればと思います。
異常性をできるだけ今の形から変化させて、インタビューの構成を変化させれば良くなる記事だと思います。頑張ってください。
ご批評いただき誠にありがとうございます。
なるほど、確かに異常性がベタでした。大筋のストーリーはそのまま、異常性を意外性を持ったものに変えるといった形で改稿しようと思います。
貴重なご意見・ご感想ありがとうございました。
異常性に関して、大幅な改稿を行いました。ご批評いただけると非常に助かります。