溶けたリンゴの提言

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アイテム番号: SCP-001-JP

オブジェクトクラス: 審議中

特別収容プロトコル: インターネットや図書を用いてSCP-001-JPの継続的な活性化を優先事項としてください。SCP-001-JPを活性化させる全ての情報は財団の監視下に置き、外界の直接的干渉が確認された場合には適切な対処を行ってください。(ここの"適切な"をどうにかしたいな……)

説明: SCP-001-JPは擬似プリズム霊子体1です。SCP-001-JPは地球上に生きている全ての生物が所有しており、分離する試みは全て失敗に終わっています。SCP-001-JP及びSCP—001-JPによって発生するエネルギーはノイマリン魂態転視鏡を用いて観測されます。(擬似プリズム霊子体の説明を入れるとなると、注釈を消した方がいいかな)

SCP-001-JPは外部からの刺激によって様々な色を発します。以下は与えられた刺激と観測された色です。

外部からの刺激 発した色
プレゼントを贈る。 ピンク色
殴る。 赤色
ホラー映画を見せる。 青色
マッサージする。 緑色
身体的特徴を侮辱する。 紫色から赤色

SCP-001-JPが発する色の違いは人間(Homo sapiens)が最も顕著です。植物や1部の動物によっては特定の色が欠損しているケースも確認されています。

人間は自分のSCP-001-JPが発する色の変化を察知すると、他者のSCP-001-JPに対しても同様の変化を誘発させようと試みる傾向があります。他者のSCP-001-JPの変化誘発に成功した時、極めて一瞬高次元エネルギーの発生が観測されています。観測された色によってエネルギーの発生量が異なります。

観測された色 エネルギー量2
赤色 1
ピンク色 0.6
青色 13
緑色 0.0001
紫色 7

HSP(Highly Sensitive Person)3を持つ人に対してこの調査を行った結果、常人よりも誘発による青系統の色を発しやすいSCP-001-JPを所持していました。また、アスペルガー症候群(Asperger Syndrome)4を持つ人に対して調査を行った結果、常人よりも他者からの誘発に鈍く、外部からの刺激に対してはより多くの色を発しやすいSCP-001-JPを所持していました。

今日諸君にお集まり頂いたのは他でもない、最近発見された擬似プリズム霊子体に関連してのことだ。何故わざわざ私がオリエンテーション方式で発表する予定なのか疑問に思う方もいるだろう。それは後ほど話すとして、私が今持っているこのノイマリン魂態転視鏡を見てほしい。

うん、想定内の反応をしてもらえて嬉しいよ。諸君らの疑っている通り、これはただのサーモグラフィーだ。あぁ、怒らないでくれ。いや、怒ってもらった方が分かりやすいかもしれないが……。まぁいいさ、最初にノイマリン魂態転視鏡がサーモグラフィーだと思ったそこの君、自分の疑った内容を他人に伝えようとしたね?別に責めてなんかないよ。動画が送られてきたね、これを見てほしい。

██博士が話しかけた博士の胸が白く光っている。ノイマリン魂態転視鏡と説明されたサーモグラフィーを見ると光は紫色に変化する。そして隣に座っていた博士に話しかけた。すると話しかけられた博士の胸の光が薄紫色に変化した。その時、話しかけられた博士は全身が光に包まれる。直後に光だけが上に昇っていく。

さて、ノイマリン魂態転視鏡の機能をご覧頂けたかな。これで報告書の再確認は完了っと。それでは次の段階に進もう。

私が思うにこの世界は作られた物だ。何を急に、と思う人もいるだろうが このような説が既に提唱されている以上、私が虚言癖の精神錯乱野郎とは言うまい。これから私が考える根拠とSCP-001-JPとの関連を説明しよう。

第1に我々人間は弱すぎる。獲物を切り裂く爪はない、獲物を噛みちぎる牙もない、逃走するために足が特段早い訳でもない。ただ持っているのは無駄に肥大化した脳みそだけ。そしてその脳みそは赤ん坊を他の生物と比べ、未熟な状態で産み落とさなければならない原因になる。産まれた瞬間から立ち上がり、自らの力で乳を飲むシマウマを見た後、私の産まれたばかりの子供を見ると嘆きのため息が出る。今は現代医学が発達しているおかげで母子ともに生還確率が大きく跳ね上がっている。しかし100年前はどうだろうか。200年前は?1000年前は?人類がマンモスを狩っていた時代は?産んでは死に、産まれては死ぬことが当たり前ではなかったのか?果たしてなぜ人類は今日まで生きているのだろうか。

第2、これはSCP-001-JPとも関連している。高次元エネルギーが発生すると言ったが、一連の流れでなにかを連想しないだろうか?聡明な諸君らのことだ。既に何人かは気がついていると思う。……そう正解、核分裂の連鎖反応だ。核分裂性物質が中性子を吸収することで核分裂反応を起こすと同時に新たな中性子が飛び出し、さらに別の核分裂反応を引き起こして、単位時間当たりの反応回数が一定もしくは指数関数的に増加する状態……なにか感じないかい?特にSNSでの出来事だ。

バズる。諸君らの中にも体験したことがあるだろう。リツイートがリツイートを呼び、いいねが加速度的に増えていく。口で伝えられたりLINEで伝えられたり、様々な手段を用いられSCP-001-JPが誘発される。核分裂に非常に似ているとは思わんかね?

バズるとは共感だ。共感が共感を呼び、さらなる共感を得るために人間は行動する。この時SCP-001-JPはとてつもなく活性化し、とてつもない量の高次元エネルギーを放出するのだ。まるで核分裂のように。まるで我々がウラン235のように。ならば問おう。この高次元エネルギーは一体誰の手に渡っているのか?我々はなぜエネルギーの燃料とならねばならないのか?もしかしたら燃料となるために生まれ、生きてきたのではないか?

あぁ、静かにお願いします。まだ話は終わりません。それで、私はこの世界が作られた物だとする仮説をさらに進めた。そしてひとつの結論的仮説にたどり着いた。それは、この世界は発電機でありながら電気を喰らうサーバー上のゲームではないか、と。

生物にはSCP-001-JPが搭載されていると言ったね。そしてSCP-001-JPが最もエネルギーを生産するのは恐怖だ。恐怖は言い換えれば命に関わる危機だ。全ての生物……植物はどうだか知らないが、動物においては自らの命を守ることが最優先事項であり、そのために恐怖を抱いている。野生の鳩は見知らぬ人が近づくとパタパタと逃げ出すみたいに。……ドードーは例外として、動物は命を守るために他者に対して恐怖を抱き、子孫の命を守るために恐怖を伝える。つまり恐怖こそが優秀なエネルギー生産感情であり、恐怖によって生産されるエネルギーが多ければ多いほど効率がいい。この表を見てくれ。怒りを1とした時に恐怖は13。圧倒的だ。……少し水を飲ませてくれ。

あー、それで怒りを1にした理由は必要か?簡単に言えば生存には余分だからだ。怒る暇があるなら逃げろって所だな。まぁそこはフィーリングで感じとってくれ。そして人間は社会生活を営む性質を持っている。間違いなく全生物中最高効率のエネルギー生産装置だ。グリム童話やホラー小説、スプラッタ映画、殺人事件あげればキリがないほど恐怖を生み出し、伝達を持って共感と成している。しかし私たちが生産するためにはトリガー、つまりきっかけが必要だ。おそらく外部から起爆剤の役割を持つエネルギーがヒラメキとして投入されるのだろう。しかし、人々の求めるきっかけはどんどん質が高く高くなって行った。それに加え、たった100年で人口は3.8倍にまで膨れ上がった。……100年より前から燃料として働いていたと仮定したならばね。トリガーとなる外部エネルギーはどんどん質を高めるため増加して行き、やがて生産を上回る。ビットコインを得るためにパソコンを貸し出したのに、電気代の方が高くなってしまったような状態だ。

そこで諸君らならどうする?私なら新しい技術を開発しつつ、新しく増設し、過去の物は実験に使うね。おそらく彼らも同じような発想なのだろう。我々は実験台にされている。

私たちの世界にはなぜSCiPが存在していると思うかね?SCiPはトリガーだよ、恐怖の。人を襲い喰らい、時には無惨に引き裂いて遊んだりする。あえて世間の目を注目させ、グリム童話よろしく恐怖談を創り出させているのだ。我々は収容している。SCiPを収容している。これは正解でもあると同時に間違いでもある。恐怖を闇の奥底へ隠すことは我々の破滅を意味している。

我々は恐怖を生産し、伝達し、共感されなければ容易く消されてしまうような危うい世界に生きているのだ。前述した通り、我々が求めるトリガーの質は日に日に上昇している。彼らは我々がただの恐怖では物足りないことを知っている。恐怖に方向性を持たせ、創意工夫を凝らし、より共感される恐怖を作り上げようとしている。

例えば、ここにリンゴがある。このリンゴは常に溶けながら再生している。魔女狩りの時代ではこんな代物でも悪魔の御業とか言って恐れていた。しかし、我々が今このリンゴを見てどう思うか。ただの変なリンゴじゃんと思う人が多いだろう。もし、このリンゴのドロドロに溶けた液体に触れると自分の体も溶けながら再生するようになり、ゾンビのごとく他人にも伝染させようとする……なんて言うストーリーがあるとちょっと怖く感じるだろう。もちろんこのリンゴにそんな能力はない。常に新鮮なリンゴスムージーが湧き出るおかげで重宝しているよ。

このリンゴを通して言いたいことはある程度理解して貰えたかな。彼らはちょっと不思議なマジックアイテムにちょっとした捻りを加え始めている。より多くのエネルギーを得るためにより恐怖度が高く、話題になりやすいバックグラウンドを持ったSCiPを送り込んで来ている。それが結果的に燃料を滅ぼすものであっても実験の一環として処理されるだろう。

このような蛮行を阻止するのが我々財団だ。我々は彼らに頼らず、我々の手で生きる為に恐怖を作りあげるのだ。奴らの恐怖を絡め取り、ねじ曲げ、人目のつかない闇に葬り去り、決して新たなグリム童話を作らせてはいけない。皆が持つSCP-001-JPを最大限光らせ、我々が燃料として無限のエネルギーを生産できると知らしめることがSCP-001-JPの特別収容プロトコルであり、私が考える財団の目的であることを提言する。

皆様、ご清聴ありがとうございました。



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