9月の新学期

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少し長めの文章となっております。よろしくお願いします。
評価や改善点等々をお教え頂けると幸いです。


「やぁ、私が君の新しい担当、原田だ。よろしく頼むよ」

くたびれたYシャツに白衣を羽織い、瓶底メガネをかけたイケ好かないデブ。最初の印象はそんなものだった。

「やぁ、お茶を入れたんだ。君も飲むかい? おや、緑茶は嫌いか?」
「やぁ、ママレードを作ってみたんだ。味見してもらえるかい?」
「やぁ、最近は暑いねぇ。水まんじゅうでも……」
「やぁ、元気が無いね。どうしたんだい?」

初日からずっと、とても喧しかった。放って置いて欲しかった。

「いつもそんな部屋の中で退屈じゃぁないか? 良かったら外で一緒に散歩しないかい?」

「別に……」

彼はぐるっと部屋を見渡して、顎を撫でた。

「ふむ……君はずっとあのカレンダーを見ているよね」

そう言って彼は壁のカレンダーを手に取った。

「カリブ海、地中海、熱帯雨林、ナイアガラ、上野動物園、万里の長城……」

世界各地の観光名所の写真をなぞるようにめくっていく。そして私の方を向いた。

「このカレンダー、君が欲しいって田仁くん……前の担当に頼んだんだっけ」

私は沈黙で答えた。彼が油でほんのりテカっている頬を吊り上げ、笑った。

「やっぱり外、行きたいよね」

イケ好かない野郎だと思った。


「いやぁ、サイト管理官殿も頑固だねぇ。レディーのちょっとした散歩にも半日かけて説得しないといけないなんて」

外はもう日が暮れかけていた。彼は白衣からジャージ姿に着替えて立っている。でっぷりとした腹が苦しそうに締め付けられている。

いざ立ち上がり、足を前に踏み出そうとした時、しばらくベッドから動いていないのが祟ったのか、それとも2ヶ月ぶりに外に出る緊張なのかはわからないけれど、足に力が入らず、ふらりとよろけてしまった。それを見た彼は反射的に私を支えようとして、私に近づいた。

「触らないでッ!!!」

自分でも驚くような大声が喉から飛び出した。彼はビクッとして、すぐに思い出したように1歩後ずさりした。

「……大丈」

「もういい。今日は外に出ない」

彼の不安そうな言葉を遮るように私は吐き捨てた。そしてそのままベッドに入り、布団を頭から被った。

「本当に、いいのかい?」

私は答えなかった。


私の人生はいつも微妙だった。特に素晴らしいことも無く、特に悪いことも無く、本当に可もなく不可もなくを体現した人生だった。

人並みに勉強して、人並みにオシャレして、人並みに恋愛をした。

ボーッとこのまま生きて、誰かと結婚して、棺桶に入るまでの時間潰しな人生を送る予定だった。それになんの不満もなかったし、むしろそうありたいとまで思っていた。しかし、2ヶ月前に私は普通がとっても素晴らしいことであるのを、嫌でも知ることになった。

初めはただ友人や家族が流行病でも罹ったのかと思うような、元気が無くなっていく感じだった。しばらくすれば治るだろうと思っていたが、それは突然加速していった。

最初の犠牲はペットの猫だった。撫でているうちに鳴き声が弱々しくなっていき、次第に冷たくなっていった。確かにもう8歳でお世辞にも健康とは呼べないような猫ではあったが、直前までご飯をもりもり食べていたのに、今はもう私の腕の中でピクリとも動かない猫。状況が受け入れられなかった。

次の犠牲は父だった。

ショックを受けた私を慰めるために、私の頭を撫でてくれてたのが原因だった。父は急に蹲って、荒い息をつきながらも、大丈夫なことを伝えるために私に微笑んでくれた。既に冷たくなっていた。笑顔のまま、私を見つめたまま、私を慰めながら、私に殺された。

そこからはめちゃくちゃだった。半狂乱になった私は警察に駆け込んだ。2人が死んだ。
病院へ行った。小さい時から病気になった私の面倒を見てくれた看護師さんが死んだ。私が殺した。
恋人の家に行った。行かなければよかった。今も彼の心配してくれる顔を夢に見る。

呆然と深夜の架橋で座り込んだ。死ぬつもりだったかもしれない。そうじゃなかったかもしれない。とにかく黒い服を着た人達に眠らされるまで、私は涙を流した。


昼前の日差しが顔に降り注いでいる。乾いた涙のパリパリとした感触を感じながら、私はカレンダーを見た。もう新学期が始まっていた。

「グンモーニン!!! おはよう!」

ドアをガチャッと空けて、彼は入ってきた。私は涙の痕を見られたくなく、フイッと窓に顔を向けた。

「今日の朝食はコメダのモーニングセットを取り寄せてきたよ! 一緒に食べようじゃないか!」

「……いらない」

私のお腹は正直に答えた。この時ほどお腹が憎くなったことは無い。



私が食べ終わった頃に、彼は少し席を離れた。そして戻ってきた時には1本の杖を抱えていた。

「じゃじゃーん。プレゼント」

私は思わず吹き出してしまった。

「あの時はただ急に立ち上がっただけだから……そんな杖なんて要らないよ」

そう言って席を立って、軽くジャンプして見せた。

「ありゃ。余計なお世話だったか。まぁでも一応ここ置いとくね」

「要らないってば……」

私の言葉を無視して彼は部屋の片隅に杖を立て掛けた。



私達2人を除いて誰もいない庭園なのか公園なのか微妙な広場で、ゆっくり散歩した。予想以上に体がなまっていたせいで少し歩いただけで息が絶え々々になっていた。

「体の調子はどうだい?」

「悪くは無いよ」

サンドイッチが置かれたテーブルの椅子に座って、しばらく日光浴を楽しんだ。太陽の光はガラス越しよりも直接触れるのが良いと改めて感じた。それと同時に、これから先、昔のように自由に外に出ることすら叶わないのかと、一瞬そんな考えが心に過ってしまった。

「専用施設はほぼ建設が終わってるし、今は内装の整備段階だよ。ここより環境はいいし、ある程度自由も保証される」

「……そんなに顔に出てた?」

「まあ僕の観察眼かな」

頬の皮を歪ませて彼は笑った。そして私の想いにもよらぬことを彼は告げた。

「58人。君と同じ症状が出ている人の数だよ」

「……え?」

「名古屋だけで、それも僕たちが確認しただけで58人が君と同じ状況に陥っているんだ。原因はだいたいわかってるし、特効薬も研究が急ピッチで進んでる」

まるで理解が出来なかった。

「……その特効薬? を飲めば、日常に戻れるんですか? 私の家に」

「それはなんとも言い難いね。色々調整してるけど、君の場合は……」

「そうか、私……」

父の顔、警察官の顔、看護師の顔、そして恋人の顔が次々に思い浮かんだ。戻れない。自分だけがのほほんと生きていけるわけが無いのは、自明であった。

「いやいやいやいや。そんな悲観的にならなくてもいいよ」

大袈裟なほど彼は丸っこい両手を左右に振った。そして鞄を漁って、2枚の紙を取りだした。

「全部治った時に聞く予定だったけど、早くてもあんまり問題は無いよね。……君には2つ選択肢がある」

彼はサンドイッチの入った籠を退けて片方の紙を私の前に置いた。

「1つ、僕たちの組織に入って貰う。組織って言っても……まぁ、なにかの研究をするってよりは、君みたいな人のカウンセリングやら健康診断やらをして貰う感じだね。お賃金はしっかり出るけど、こっちはかなり社会的なデメリットがあるし、何より危険だからおすすめは出来ないね」

そして2枚目の紙をその上に重ねて置いた。

「僕としてはこっちがおすすめかな。こっちは完全社会復帰コース。色々記憶を捏造するけど、これまでのことはすっぱり忘れて新しい生活を始められるんだ。ええっと、今は17……9月で18歳か。なら……」

後半はほとんど頭に入ってこなかった。私なんかのために死んでしまった人達を忘れるなんて考えられなかった。

「1枚目のやつで、お願いします」

ほぼ無意識で言葉が口からこぼれた。

「……」

彼は少し面を食らったように驚いてから、はははっと笑った。

「もっと悩んでからにしようか。人生はそんなに簡単に決めちゃダメだよ」

「でも、私……」

言い終わる前に彼は鞄から分厚いファイルを取り出した。

「これが両方の詳細な内容だ。ゆっくりじっくり読んでから決めても、遅くはないんじゃないかな。ここに呼び出し鈴を置いとくから、部屋に戻りたくなったら押してね。迎えの人が来るから」

彼は席を立った。




その夜、夢を見た。

久しぶりにあの日のフラッシュバックではない、普通の秩序も順序も無い夢だった。


公園に出た次の日、彼は来なかった。代わりに別の女性がやってきて、採血検査やら精神鑑定やらで一日が過ぎていった。相変わらず杖は私の部屋に立てかけてあった。


どうやら彼はかなり忙しようで、週に2か3回、それも2時間もしないうちに帰らなくてはいけないみたいだった。しかし、その短い時間は私にとって何よりも待ち遠しかった。


彼が私の担当になってから3週間経過した。

気がつけば彼と一緒に買った本や服、ぬいぐるみで部屋は溢れていた。相変わらず退屈で寂しい日々ではあったが、もうあの夢は見なかった。

「これってダメじゃない……?」

ふと疑問が湧いてきた。もう一度、あの警察官たちの顔を思い浮かべようとした。思い浮かぶまで少し、間があった。

ドアがコンコンと叩かれ、定期検診の女性が入ってきた。

「こんにちは。……少し顔色が悪いわね。大丈夫?」

俯いた私の顔を彼女は覗き込む。私の口は勝手に動き出した。

「アリサさんって、なんでここで働いてるんですか?」

空いた窓から少し肌寒い風が部屋の中をかき混ぜた。彼女は2、3秒の間を開けてから答えた。

「私の両親はここで働いていたの。私が12歳の頃だったかな。2人とも実験でミーム……精神を病んで退職したわ。幼かった私は、両親がようやく長い時間家にいてくれるのが嬉しかったけれど、フラッシュバックで時々発作を起こすようになったの」

彼女は窓の外をちらりと見て、私に1歩近づいた。私は少し下がろうと思ったけれど、彼女の目がそれを止めてくれた。

「中学校の入学式の帰りだったわ。家に帰ったら父が母に馬乗りになって、包丁で何度も何度も突き刺してたの。2人ともゲラゲラ笑って、血塗れになって」

耳を塞ぎたかった。もうやめて、と言いたかった。

「私がカバンを床に落とした音で、父は私が帰ってきたのに気がついたわ。それで、血走った目から涙を流して、私に『お父さん、疲れちゃったよ』。そう言って、自分の首に包丁を突き立てた」

彼女の目頭に浮かんだ涙は恐怖なのか悲哀なのか、それとも同情なのかを知りたかった。

「私もあなたと同じように警察に駆け込んだわ。部屋の隅で、毛布にくるまって、ガタガタ震えながら泣いて泣いて。気がついたらあなたの今いる部屋にいたわ」

「ここに……」

「えぇ。私の両親が罹ったミームはかなり酷くて、記憶処理しても潜伏期間を経て定期的に再発しちゃうし、伝染性もあったの。検査したら私も罹ってて、そこからの記憶はあんまりないわ」

私は何も言えなかった。何かを言う資格なんて私には無いと思った。

「記憶が鮮明になったのは全てが終わったあと。高3の冬。もう全部無くなったの。家族も、青春も、やり直すチャンスも。私には選択肢はなかったわ。ここで働くか野垂れ死にか。それでね……」

アリサさんは私の横に座った。そして私の顔を改めて見つめた。

「私は心に誓ったの。ならせめていっぱい勉強して、いっぱい人を救おうって。あなたみたいに選択肢が残るような人を増やそうって」

ギリギリ私に触れないように、しかし体温は感じとれるように、彼女は私の頬を撫でた。

手の甲に水滴を感じてようやく、私は私が泣いていることに気がついた。

「あらら、少し話しすぎたわね。ちゃっちゃと検査終わらせなきゃ。原田さんに叱られちゃう」

「原田さん、ここにいるんですか?」

「ここじゃないわ。もう少し大きな研究所であなたのための薬を開発してるのよ。でも毎日あなたのことが気がかりで、しょっちゅう検査結果だの健康状態だのご飯は何食べたかだの、しつこく聞いてくるのよ」

「……なにそれ」

思わず頬が吊り上がってしまった。もし過去に戻れるなら、彼をイケ好かない野郎だと思った昔の自分を撃ち殺してやりたかった。

その夜、結局曖昧にしていたことを決めた。紙束をゴミ箱に突っ込んだ時は、まるで過去の自分ごと捨てたような、そんな気分になった。



「今日は移動の日よ。荷物の準備は出来たかしら?」

「ぬぐぐ……は、入り切らない……」

私はダンボールに服を詰め込もうと必死になっていた。

「入りきらない分は後で運べばいいわよ。とりあえず人の移動が先決だわ」

そう言って彼女は近くにあったダンボールを2箱重ねて持ち上げ、ついてきてと一言言って廊下に出た。私も1箱持って、その後をパタパタと追いかけて行った。


「新しい部屋、凄いわよ? ホントに」

「楽しみにしていいんですか?」

「ええ、それはもちろん。驚くわよ」

そんなことを言いながら長い渡り廊下を歩いていた。その時だった。

どこかからパパパパパパパッという散発的な音と、2回の爆発音が響いた。そして施設全体にサイレンが鳴り響き始めた。

「な、なんですか!?」

私は彼女の顔を見る。彼女の顔は青いペンキでもぶちまけたように青白くなっていた。

「襲撃っ!? ここに大層なものなんて……。まさか……っ、とにかく避難しましょう!」

彼女は私を走るように急かした。ダンボールを置いて、私達は秘匿避難室へ向かって走った。



道中何度も武装した人達とすれ違った。そして何度も爆発音が聞こえた。

「一体何が起きているんですか!?」

息を切らせながら彼女に質問する。彼女は絞り出すように言った。

「言えない! でも大丈夫。あなたが理由じゃないわ! 多分アレよ……」

それっきり黙ってしまった。



近くでズドンッという音と強烈な揺れに、思わず尻もちをついてしまった。それがむしろ幸運だったようで、私の目の前の渡り廊下が崩れ落ちていった。しかし、私と彼女はそこで分断されてしまい、飛び越えようにも絶妙に不安な距離だった。

「ど、どうすればいいですか!?」

「えぇっと、落ち着いて! 確かこの廊下を引き返して2つ目の十字路を右にちょっと進むと階段があって、それで1階まで降りて! その後はなるべく腰を低くして、南の庭に向かって! 行ったことあるわよね! そこで合流するわ!」

「わかった! 気をつけて!」

「あなたもね!」

後ろを振り向いて全力で走る。階段はすぐに見つかり、駆け落ちるように降りた。最後の段に落ちていた白衣が赤く染っているのをなるべく意識しないようにした。

「グウゥゥウゥ……ッ!」

聞いたことのある声が私の鼓膜に響いた。思わず窓の外を見ると、さっきすれ違った人と明らかに違う服装の人が誰かを蹴っていた。あの声は蹴られている人、つまり原田の声だった。

最悪の予感がした。白衣は誰のものだったのか、わかってしまった。

思わず窓を開けようとフレームに手をかけたところで、原田と目が合った。片方のレンズが割れたメガネの向こうで、目が見開かれる。その目は『逃げろ』と言っているようだった。

「わかってるよ、そんなの。逃げる方が簡単だって。現実から目を背けるのは楽だって……」

自分の心の奥から次第に熱い奔流が湧き上がってきた。心臓が喧しく震える。

「でももう、逃げない。ここで逃げたら、また繰り返すことになる!」

落ちていた白衣を引っ掴んで、窓ガラスを開けた。その音に気がついた男は私に銃を向けた。

「ガキッ!? ターゲットのか!」

私は発砲を一瞬躊躇した彼に向かって、白衣をなげつけた。血を吸った白衣はそのまま綺麗に直撃し、彼の顔を覆い隠す任務を達成した。

視界を奪われた彼はやたらめったらに銃を乱射したが、私を捕えることは無かった。

「少し、眠ってて!」

彼の首に右手が触れた。何ヶ月ぶりかの人の感触は私を殺そうとしていたのにもかかわらず、不思議と暖かかった。彼はゆっくりと倒れ込み、次第に寝息を立て始めた。

「大丈夫ですか!?」

私は原田の方を見た。彼のYシャツは半分以上真っ赤に染って、彼も血溜まりの中に倒れていた。どう見ても致死量が流れ出ていた。

「……いやぁ、しくったなぁ。ちょっとマズイかも」

ゆっくり彼が顔を上げる。土色の精気を感じない肌であったが、微笑んでいた。私はその彼の顔に父の顔を重ねてしまった。

「僕はもういい。君は早く逃げて……」

「……ッ」

私は彼の手を握った。冷たくなっていても、丸っこい手は包容力のある大人の手だった。

「それは想定外だよ。でも、確かに苦しまずに逝けそうだ……」

祈った。父に祈った。これっぽっちも信じていなかった仏に祈った。菅原のなんたらにも祈った。

彼はゆっくり目を閉じて、言った。

「天国ってすごいなぁ……。ものすごく暖かいよ。ホント。これは報告しなきゃ……」

次第に彼の顔に朱が戻り始める。私は大粒の涙を零しながら彼に抱きついた。

「よかった……。よかった……」

「え? ウソ、僕まだ生きてる? 手、握られてるのに?」

彼はゆっくり起き上がって自分の体を眺めた。服を捲って自分の丸いお腹をポンポンと叩いてみたりもした。

「……ありがとう」

一気に緊張が溶けた私は彼の言葉を聞きながら、意識を闇に沈めた。


サイト- 81 ██襲撃事件に関する報告書より抜粋

━━━━━━━━━━事案████-JPによるSCP-████-JP-A-1~21の奪還を狙った日本生類総研主導の襲撃は、防衛部隊け-6("憂鬱な夕暮れ")によって鎮圧されました。犠牲者は研究補佐官2名、防衛部隊3名及びSCP-████-JP-A-2,-5,-8,-11,-18-α,-18-β,-20の7名です。拉致の失敗を受けて襲撃部隊は目的を━━━━━━━━━━━━この事件において、SCP-████-JP-A-24の異常性は変質し、継続的な観察と研究を要します。━━━━━━━━━━━━━━━以上の事からSCP-████-JP-A-24のPTSDの克服が━━━━━━━━━━━━━━━

文責 原田博士


「行ってきまーす!」

あの日から2ヶ月、私は期待に胸を膨らませて家を飛び出した。家と言っても収容施設内にある簡素な部屋ではあるが、私は全く気にならなかった。

「手袋は持った-?」

「もちろん!」

アリサさんが2階の窓から私に声をかけた。何を隠そう、私の収容施設は職員用の建物の1階だったのだ。さすがにそのまま2階には上がれない設計だったが誰かと挨拶できるのが嬉しかった。


「あ、おっはー!」

ガラガラとドアを開けると真っ先に亜瑠奈が声をかけてきた。私の新しい大事な友人である。

「おはよー」
「ぐんもーにー」

教室にはもう2人もいた。彼女たちも私と同じようにミームに感染し、色々あって克服━━これが正しい表現なのかはわからない━━した仲間なのだ。どうやら私たちはお互いに、そして自分には異常性が発揮されないらしく、上の許可無くとも触れ合えることが出来る稀有な存在だった。

『おーい。揃ったならさっさと授業始めんぞー。俺は忙しいんだ……ガキのお守りなんてなぜせにゃならん……』

スピーカーから気だるそうな声と共に、スクリーンに映し出されたのは髪がボサボサの一人の男、私たちの教師である磯海老だ。

季節はもう、秋が顔を覗かせていた。


みんなそれぞれ差はあるが、既に新生活のために新しい1歩を踏み出していた。私はと言うと、サイト管理官に直談判して『治癒・治療部隊』へと入るための勉強を受けさせてもらえることになった。

原田さんは相変わらず忙しく、滅多に会えないが会う度に大量のおみやげを持ってきてくれる。私の目標でもあるアリサさんは私が財団に入りたいと言った時には空を見上げたが、今では有難い先達者となってくれている。

辛い過去は消せないが、糧にはできる。そして未来に希望を、夢を伝えていきたい。私はそう思う。






暗い研究室。原田はパソコンの前で大きなため息をついた。

「結果論とはいえ、ニッソ共の目的は達成された、って所だな。それにしても……こいつはどうしたものか……」

原田は彼女の母のスマホを撮した画像ファイルをダブルクリックした。動画履歴のところをズームすると、そこには『日本生類記念動物園オープン記念!! 飼育員の技を伝授致します!~これであなたもゴッドハンド!!~』という文字が書かれていた。

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執筆者: melt apl
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最終更新: 18 Jan 2025 08:53
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