闇寿司ファイルNo.786 "イクラスター"

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概論
イクラスターはイクラ軍艦をベースにした、クラスター爆弾禁止条約に真っ向から立ち向かう寿司である。海苔と酢飯、そして破壊兵器内蔵型魚卵"Ikura"によって構成されている。

遺伝子改良されたサケ(Oncorhynchus keta)の卵は遂にTNT爆薬を超えた。かの偉大なダーウィンが生きているうちに、このサケを見たならば必ずこう言うだろう。《爆弾そのものにする……のはパクリすぎだよなぁ……。どうしょうか。正直卵が爆発するサケいじょうにインパクトを持たせろ!ってキツくないか?》

「生き残る種とは、最も強いものではない。 最も知的なものでもない。 それは、爆発だ。爆発をいかに獲得するか。これが生き残るか否かの分かれ道である」

スシブレード運用

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

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操作性と持久力はゴミを極めている。それゆえ生半可な素人が扱おう物なら良くて病院、悪ければ葬式行きである。扱いの難易度を引き換えに得た攻撃力は筆舌に尽くし難い。シャリに乗せられた50粒の"Ikura"はブレーダーの念により起爆が成され、内部に仕込まれた様々な破壊兵器が敵スシブレードと敵スシブレーダーを襲う。軍艦特有の堅牢な守りから放たれる一撃は大砲と形容する他無い。

今まで公式大会にて使われたことが無い 使用が禁止されているスシブレードであるが、その扱いの難しさや敵スシブレードを爆殺した時の爽快感に取り憑かれたコアなファンは一定層存在する。また、傭兵時代に当該スシブレードを使用し、単身で1個大隊を粉砕した者がいるとも聞いている。

以下は"Ikura"内部に仕込まれている破壊兵器である。

  • 数之子 - 超小型爆弾である数の子が無数に撒き散らされる。25粒装填
  • 硫酸 - 敵スシブレードを溶かす。10粒装填
  • コーラ - 敵スシブレーダーの目を潰す。5粒装填
  • 小型設置地雷"Ikura mini" - 触れた敵スシブレードを木っ端微塵に爆破する。3粒装填
  • 醤油 - 敵スシブレーダーの服を汚す。6粒装填
  • わさび - 敵スシブレーダーの鼻を潰す。1粒装填

他の活用法
川に当該スシブレードを放流することで、"Ikura"が孵化する。孵化した"Ikura"は通常のサケと同様に海を目指して泳ぎ出す。そして5年後、腹部に爆弾を抱えた生物兵器が俎上を始める。この生物兵器は生命の危機を感じると己の卵を排出し、爆破によって敵を粉砕する。内部に兵器を宿していない分、卵ひとつひとつの爆発力は戦車を破壊する程にまで上昇する。その為、敵対国の川に放流すれば自然の地雷となる。また、国連にて禁止条約の制定が進められている。

エピソード

ふぁのふぃにふぃてひりたいのはねあの日について知りたいのかね?」

闇寿司の1人だった老人はゆっくりと私を見た。その眼光は鋭く、思わず1歩下がってしまう。しかし、私は記者である。ここで引く訳には行かなかった。

「ええ、教えて頂けませんか?」

老人はお茶を1口飲み、息を吐いた。そしてゆっくりと語り出した。


勝間田は己を最強の闇寿司職人だと思っていた。イクラスターを自由自在に操り、相対する全ての敵を粉砕してきた。そして今日もひとりのスシブレーダーを打ち倒した。

「俺の恵方巻き握りがぁぁぁ!」

青年が泣き叫ぶ。彼のスシブレードたる恵方巻き握りは悲惨な姿で床に転がっていた。海苔はズタズタになり、具材の1部は溶解している。さらに戦う前と比べ、全長が10cmほど短くなっている。言わずもがなイクラスターの仕業だ。

「ふん、身の程を知れ。寿司は兵器に勝てぬのだよ」

勝間田はゆっくりと恵方巻きに近づき、靴で踏み潰す。それを見た青年はさらに声をあげる。

「どうして食わせないんだ!?スシブレーダーはスシブレードを食べる義務がある!知らないとは言わせないぞ!」

「そんなルールは俺に通用せん。俺は敵を倒し、尊厳を踏みにじる事にのみカタルシスを感じる」

ゆっくりと靴を持ち上げると、糊状になった恵方巻きが姿を見せる。

「はっ、汚ぇ寿司だ」

青年はスシブレードを救えなかった己の不甲斐なさに、顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃになる。そして逃げるように糊状の恵方巻きを頬張り、店を出ようとした。しかし、出口にひとりの長身な女性が立っていた。

「誰だ?その目、客じゃないな」

勝間田は新たな犠牲者の登場に歓喜の表情を見せるが、女性は勝間田より青年を見ていた。

「こんなに泣いちゃって、可哀想。なにがあったの?」

青年の頭をゆっくりと抱きしめる。青年は顔に当たる柔らかな感覚に赤面してしまう。

「あ、え?」

ただひたすら混乱する青年に対して、勝間田は女性に箸を投げつけた。

「あら?乱暴ね。粗野な男は嫌われるわよ」

「死んだら全部同じだ。さぁ戦争をしようスシを回そう

2人は寿司を構えた。

「「3、2、1、へいらっしゃい!」」

女性のスシブレードは明太子が1本丸々と、まるでリーゼントのように乗った軍艦だった。

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

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巨大な明太子軍艦とイクラスターは衝突し、お互い大きく弾け飛んだ。

「あら?やるじゃない。一撃で終わりだと思ってたのに」

「ほざけ、どちらも軍艦型。そんな攻撃で終わる訳が無いだろう?それより貴様の明太子は大丈夫か?」

「私のスシブレード?」

「気をつけてください!そいつ、爆発します!」

青年のただならぬ様子に、女性は己の明太子を見た。そこには1粒のイクラが付着していた。

「爆殺!」

勝間田の掛け声と共に爆発音が店に響き渡る。明太子軍艦は大きくバランスを崩し、回転速度が落ちる。明太子の皮には傷が付いていた。

「ほう、これを耐えるとは。一撃で倒す予定だったのだがな」

勝間田は久方振りの戦える相手に笑みを浮かべる。

「さっきの言葉、そっくりそのまま返すわ。行きなさい!明太子!」

明太子が加速しながらイクラスターに迫る。しかしぶつかる寸前に大きく右に傾き、あらぬ方向へ突撃する。

「外した!?いや、妨害された!」

「そうだ、女。俺のイクラは爆発した後も場に残り続け、敵の進路を阻害する」

明太子軍艦が通過した後には潰れたイクラが転がっていた。女性は苦虫を噛み潰したような顔をする。

「失礼ね。私は木津巴里よ。名前で呼んでちょうだい」

「これから死ぬ者の名を覚える趣味はない」

勝間田は6粒のイクラを爆発させ、数の子が明太子を襲う。次々と炸裂する数の子の前に、明太子は皮が千切れ始めた。

「ふははははは!さぁ、死ねぶっ壊れろ!」

さらに4粒のイクラを爆発させる。迫り来る数の子を見て、木津は不敵な笑みを浮かべた。

「何がおかしい。死を前にして気が狂ったか?」

「違うわよ。計画通りに行きすぎて嬉しいの」

勝間田は木津の目を見る。闇寿司を扱う者にしては瞳が妙に澄み切っていた。不吉な感覚を背筋に感じ、冷や汗が額に流れる。

「どういうことだ」

「見てればわかるわよ。装衣解放パージ!」

木津の声に呼応するように、明太子の皮に切れ目が走った。そして花が咲くように中身が現れる。しかし皮は己の中身を支えきれず、中身は外部を覆うように広がる。

「可動式か!だが俺の兵器には関係ない!」

卵と卵がぶつかる。勝間田は明太子が消し飛ぶ音を待っていたが、いつまで経っても聞こえない。

「なぜ炸裂しない!数の子はどうした!?」

「明太子はね、相手のエネルギーをゼロにするのよ」

「馬鹿な、そんな能力があるのか!?」

驚く勝間田に釣られ、イクラスターの回転がブレる。そんなチャンスを見逃す木津では無かった。

「さぁ、行きなさい!我が城は紅に濡れるメンタイ・キャッスル!」

回転速度を取り戻したメンタイ・キャッスルは落ちているイクラを弾き飛ばしながらイクラスターに迫る。

「まだだ!喰らえ、小型設置地雷"Ikura mini"起動!」

メンタイ・キャッスルが台上のイクラと接触した瞬間轟音が響き、店全体が揺れる。台は爆煙に包まれた。

「俺の地雷を食らって生きていたスシブレードは今まで存在し…」

勝利を確信した勝間田の顔をイクラスターが切り裂く。爆煙が晴れた台にはメンタイ・キャッスルが己の存在を誇示するように回転していた。

私の勝ちヴィクトリー

木津は青年にパチリとウインクする。

「す、すげぇえぇぇええぇ!木津さん凄すぎる!」

青年は興奮して木津に駆け寄る。木津は手を出し、青年と握手する。そして手を繋いだまま店を出ようとする。

「ま、待てよ。何者だ、お前は」

勝間田は唸るように問う。木津は顔だけを勝間田に向ける。

「ただの放浪者よ。…敗者はスシブレードを食べる。これは闇でも守るルール。それすら守れない貴方は寿司回すの辞めたら?向いてないわよ」

木津の言葉が胸に突き刺さる。

「あ、あぁ。食ってやろうじゃねぇか!俺は最強のスシブレーダーなんだ!」

落ちたイクラスターを掴み、醤油とわさび入りのイクラを爆発させる。そして口に放り込んだ。咀嚼した瞬間、口内が閃光に包まれる。悶え苦しむ勝間田を後目に木津と青年は店を出た。

「さ、行きましょう」

「ど、どこにですか?」

「修行の旅よ。あ、明太子軍艦食べる?」

「食べます!」


こうふぃてこうしてわふぃはこふなったわしはこうなったふぁふぇふぉこふかひはひてないだけど後悔はしていないよふぃたいせふなものをりかいふぃたからより大切な物を理解したから

《青年との勝負も書いて活躍させる?恵方巻きをどう使うか。悩ましすぎて悩ましい》

関連資料

サケ - Wikipedia
サケに関してはとても詳しい。

稀代のスシブレーダーに迫る。
恋昏崎新聞社の記事。読者投票で常にトップ3を獲得している人気コンテンツ。

文責: 記者 朝鞍


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