SCP-2245-JP "草葬"の星

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クレジット

タイトル: SCP-2245-JP - "草葬"の星
著者: GW5
作成年: 2022

アイテム番号: SCP-2245-JP

オブジェクトクラス: Safe

惑星-WF2245bの写真
(衛星軌道上から撮影)

特別収容プロトコル: SCP-2245-JPが進行中の惑星-WF2245bは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の上層部と共同で存在自体を秘匿してください。SCP-2245-JPに関する全ての資料は、レベル3以上のセキュリティクリアランスを持つ職員のみ閲覧可能です。惑星-WF2245bへの有人探査はO5命令により禁じられています。ただし外宇宙を目標とした探査に限り、惑星-WF2245bを一時的な係留地として利用することは可能です。

惑星WF-2245bの環境に晒された場合、生身の人間は酸素中毒・熱中症・異常植物のいずれかで絶命します。そのため惑星WF-2245bへ降下する際は、必ず抗腐食性気密服を着用してください。惑星WF-2245b内の生物が地球へ侵入する可能性があるため、侵入に用いられた装備は作戦終了後に1500℃以上で焼却処分してください。地表を探索中に死亡した職員もまた、生物汚染のリスクを回避するため現地で火葬してください。

地球においてSCP-2245-JPの兆候と思しき環境変動が確認された場合、ピンカートン・スミス協定のもと財団・GOC・三本爪協会¹の上層部からなる"SGD3-連合"が潜在的GH-クラスシナリオへ対処してください。

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説明: SCP-2245-JPは惑星WF-2245bで進行中の異常な生態系の変化です。惑星WF-2245b は地球から█.█光年離れた█████恒星系を公転中の第四惑星で、主に岩石から構成されています。直径が地球よりも35％ 巨大なため、惑星WF-2245bはスーパーアース(Super-Earth)²へ分類されています。惑星WF-2245bはハビタブルゾーンに位置し、平均気温は約35℃、重力は地球の130％、大気圧は地球の150％、総水量は地球の140％ です。海洋と陸地の面積比はおよそ8:2 で、海洋の2箇所に洋上基地(C-O-1/C-O-2)が建設されています。

惑星WF-2245bの最も顕著な異常性は、地表が莫大な植物に占められてる点です。陸上の約85％ が地球の熱帯雨林に似たバイオームとなっており、海表も約13％ が植物に覆われています。確認された植物は分子時計の解析から、ほぼ全て地球由来だと考えられています（植物の一例は詳細はファイル下部を参照）。 一方で惑星WF-2245bには確認される限り体長10cm 以上の動物が生息していません。これまでに確認された最大の動物は、体重100g の雑食性直翅目³でした。化石記録からの推察では、約███万年前を境に大型動物が突如絶滅したと考えられています。一連の異常に関連すると思しき存在として、地球よりも能動的な活動を行う一部の植物が確認されていますが、詳細は不明です。

サイト(WG-3)の遺跡

惑星WF-2245b内のサイト(NF-9)から発掘された化石と遺物から、かつて惑星WF-2245bには少なくとも1980年代のホモ・サピエンスに匹敵しうる文明をもった知的生命体(I-WF2245b)が生息していたことが判明しています。サイト(WG-3)でもセルロースが織り込まれた"生体コンクリート"で建設された高さ150m の廃墟が報告されており、このことからI-WF2245bは何かしらの異常技術を保持していたと考察されています。発掘された全ての標本は、現在プロジェクト・インテリジェンスが一括管理しています。

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発掘された標本を閲覧

サイトNF-9から発掘された断片化石

頭蓋骨の形質的特徴から、I-WF2245bは過去███万年間の地球に生息した不明な霊長目から派生した可能性が示唆されています。これまでの標本から、I-WF2245bの平均身長は2.2m 平均体重は90kg ほどと試算されている一方、未だ完全な全身骨格は発見されていません。

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発見経緯: SCP-2245-JPは全く別の外宇宙探査活動(プロジェクト・██████-█)の帰還時に偶然発見されました。このとき探査隊("オウギワシ")はアクシデントにより物資が枯渇しており、それを補うため惑星WF-2245bへ立ち寄りました。しかし上記の環境に晒された探査隊は資源こそ補給できたものの、隊員の25% を喪失することとなりました。3年後に再探査計画が提案され、財団の外宇宙監視部-█████博士の指示のもと第1回有人探査が行われました。以後数年おきに計6回の探査が行われましたが、目ぼしい成果が挙がらなかったため第6回探査を最後に計画は凍結されています。

追記: 惑星WF-2245bにおけるSCP-2245-JPの発生は突発的だったことから、地球でも同様の異常が発生する可能性は否定できません。よって財団は現行の地球環境を保護を目的に、GOCと三本爪協会と共同で"SGD3-連合"を発足しました。

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+ 惑星-WF2245b 生物群を閲覧

これらの植物は程度の差はあれ、地球のものよりも成長速度・活動能力・毒性などが卓越し、生態も変化している。以下は特筆に値する種を抜き出した一覧

名称: ツタ(Pueraria sp.)

ツタの群生の写真

説明: 惑星-WF2245b内の樹木や廃虚に群生。地球のものよりも生育速度が██.█%速く、第2次降下では夜の間に無人降下艇-サンタ・マリアへ絡みつくことで探査を妨害している。サイトWG-3の廃墟群は多くが本種の群生地となっていた。

名称: ウツボカズラ(Nepenthes sp.)

ウツボカズラの写真

説明: 惑星-WF2245b内の林床に群生。地球のものとは異なり、小動物ではなく他植物の落葉や種子を主食としている。ただし第1次降下では職員1名が大型種の"壺"へ転落することがあった。

名称: ネナシカズラ(Cuscuta sp.)

ネナシカズラの写真

説明: 惑星-WF2245b内の樹木の多くに寄生。地球のものよりも生育速度が██.█%速く、時には捕獲した菌類などからも栄養を吸い取る。また地域によってはウツボカズラの"壺"へ侵入し、消化液ごと栄養を横取りすることもある。

名称: ハシリドコロ(Scopolia sp.)

ハシリドコロの写真

説明: 惑星-WF2245b内の林床に群生。全体にアルカロイド類のトロパンアルカロイドを含み、これを摂取した生物は視力障害・嘔吐・血便・幻覚・異常興奮・痙攣・昏睡などを経て最悪の場合死に至る。地球のものよりも致死性があり、実験では葉を2枚摂取したマウスが6時間後には絶命していた。

名称: ギンリョウソウ(Monotropastrum sp.)

ギンリョウソウの写真

説明: 惑星-WF2245b内の林床に群生。光合成は行わず、地下の外菌根を介して他の樹木へ寄生している。ネナシカズラとは明確な競争関係にあり、現状ではネナシカズラがやや優勢と推測されている。地球のものとは異なり、内部に重金属を貯蔵する特性がある。このような特性を獲得するに至った経緯は不明。

名称: ユーカリ(Pueraria sp.)

焼け朽ちたユーカリの写真

説明: 惑星-WF2245b内の中緯度地域の森林を構成。葉に引火性物質(テルペン)を含み、その特性を活かして山火事を誘発させ、競合相手を排除する。サイトNF-9からテルペンを利用した爆破兵器と思しき遺物が発見されているため、何かしらの軍事目的に栽培された可能性がある。

名称: ニセアカシア(Robinia sp.)

倒れたニセアカシアの写真

説明: 惑星-WF2245b内の低～中緯度地域の森林を構成。高い繁殖力と根系支持力・鋭い棘・全体の毒など、数多の武装により強い競争力をもつ。ただし低緯度地域では拡大するアカシアによって生息地が縮小しつつある。第█次降下では誤って棘に刺された職員1名が（おそらく毒による）ショック症状で意識混濁に陥った。

名称: アカシア(Acacia sp.)

アカシアの写真

説明: 惑星-WF2245b内の低緯度地域の森林を構成。鋭い棘・全体の毒をもつだけでなく、樹内の空洞にアリを共生させ、このアリを使役することで外敵を退ける。使役されているアリは地球のハキリアリと酷似しており、第█次降下では強靭な顎器を用いて職員の防護服を攻撃した。

名称: ウチワサボテン(Opuntia sp.)

ウチワサボテンの写真

説明: 惑星-WF2245b内の低緯度地域の高山に点在。鋭い棘と高い保水能力などにより、他の植物よりも厳しい環境にも生育している。ただし調査の過程で惑星-WF2245bの個体数が減少傾向にあることが示されている。

名称: ハイゴケ(Hypnum sp.)

ハイゴケの写真

説明: 惑星-WF2245b内の主要なパイオニア種。外界からのストレスに応じ、遺伝子が専門性の高い生理活性物質(モミラクトンなど)を生産する。これらには細胞毒性があり、接触した菌類などは死滅する。この特性を活かし、本種は他植物の根粒菌を攻撃してイニシアティブを確保し、自らの分布域を確保していると推測されている。

名称: ギンネム(Leucaena sp.)

ギンネムの写真

説明: 惑星-WF2245b内の主要なパイオニア種。根粒菌の働きにより貧栄養土壌であっても生育が可能で、活火山の周辺では特に多く生育している。葉に毒性のあるミモシンを含んでおり、これを致死量まで摂取した昆虫類は近辺で息絶える。死骸は土中で分解され、結果として本種の周辺は養分に富んだ土壌が形成されると考えられている。

名称: スギ(Cryptomeria sp.)

スギの写真

説明: 惑星-WF2245b内の中～高緯度地域のの森林を構成。地球のものよりも花粉の放出量が██%多く、さらにアレルゲン物質としてもより強力である。第█次降下では職員2名に重度のアレルギー症状を誘発させ、うち1人をアナフィラキシーショックによって死亡させた。

なお██-████・██████・SCP-████・SCP-2845-JP⁴の化石に類する存在も確認されている。

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+ 参考文献を閲覧

参考文献:
■ "Simulating super earth atmospheres in the laboratory"
和訳「実験室でのスーパーアースの大気シミュレーション」著者 R Claudi & MS Erculiani. (2016)
■ "Response of Late Carboniferous and Early Permian plant communities to climate change"
和訳「石炭紀後期からペルム紀前期の植物群集の気候変動への応答」著者 WA DiMichele & HW Pfefferkorn. (2001)
■ "Mechanisms of plant defense against insect herbivores"
和訳「植物食昆虫に対する植物防御機構の解明」著者 AR War & MG Paulraj. (2012)
■ "HpDTC1, a Stress-Inducible Bifunctional Diterpene Cyclase Involved in Momilactone Biosynthesis, Functions in Chemical Defence in the Moss Hypnum plumaeforme"
和訳「コケにおける化学物質を利用した防御システムを発見-植物のストレス応答進化の解明につながる成果」著者 Kazunori Okada & Hiroshi Kawaide, et al. (2016)

付与予定タグ: scp jp safe k-クラスシナリオ 生命 生物学 植物 生物災害 種族 夜闇の子 地球外 宇宙 歴史 構造

+ スポイラー

SCP-2845-JP(トリフィド)を執筆するにあたり、植物に支配された世界の実例が必要だと判断し、コチラを新たに執筆しました。そのためSCP-2245-JP自体がSCP-2845-JPの補完(?)に近い内容となっています。またSCPの世界には生命工学に長けた知的生命体(ビッグフットやダエーバイトetc)が多く、それらが仮に宇宙へ進出していたら……というIFの可能性を示すものにもなっています。
※知的生命体そのものは読者間で何者なのか想像できる余地を残すため、多くを語っていません。ただし生命工学に優れる以上、それなりに候補は絞られてくるでしょう。

惑星WF-2245bを改造した種族は、ここを生物兵器の実験場に使ったのか、あるいは化石で発見された先住生物を滅ぼすべく植物を放ったのかもしれません。……ひょっとしたら、彼らは飼い犬ならぬ"飼い草"に手を噛まれて滅亡、という可能性すらあります。

メタ的な話をすると、GH-クラス デッドグリーンハウス シナリオの言葉そのまま「緑色の終末世界」を書いてみたかった気持ちで書きました

批評のほどよろしくお願いいたします。

Footnotes

1. 「三本爪協会」 SCP-2945-JPが結成した互助組織。財団とはピンカートン・スミス協定に基づき共闘体制にある

2. 「スーパーアース」 地球の数倍程度の質量で、なおかつ主成分が岩石や金属など固体由来と推定された惑星

3. 「直翅目」 発達した後脚による優れた跳躍力が特徴の昆虫類。バッタやキリギリスが代表

4. 「SCP-2845-JP」 能動的な捕食活動を行う植物様生命体。詳しくは当該ページを参照

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  批評コメント批評コメント

  
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  拝読しました

  asakahajun 18 Sep 2022 01:41

  現状DVです。
  「その星ではGH-クラスシナリオが起きたんだ、ふ～ん」で終わってしまいます。
  知的生命体についても語らなさすぎかと思います。スポイラーを読まないと何もわかりませんでした。
  生物群の項はなくていい(長いわりに、特にWF2245bについて考察できるわけでもない)ので、遺跡から回収されたものを知りたいですね。
  地球にもSCP-2245-JPが発生するかもよ、という恐怖も感じません。
  何故O5が探査を禁止したのかもわからないので説明が欲しいです。

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  この報告書はSCP-2845-JPと同時に提出する予定でしょうか？
  脚注4の「近日報告書が提出される」というのはやめたほうがいいです。
  SCP-2845-JPの報告書と同時に提出するなら「詳しくは当該ページを参照」とすればいいと思います。
  そうでないなら、あなたがSCP-2845-JPを提出する前に他の人が別のSCP-2845-JPを作ってしまう可能性も否定できないので、「SCP-████-JP」と伏字にするか、記述そのものを撤去するかです。

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  財団にとってはGH-クラスシナリオの一例として役に立つかもしれないけど、読み手からすると特に面白みがないように感じました。

  考察の余地を残しつつ、知的生命体をキーパーソン(キーパーソンという言い方は違うかもしれないけど…)にしてWF2245bに何が起こったのかある程度は想像できるようにするといいと思います。

  お互い頑張りましょう。応援しています。

  Re: 拝読しました

  GW5 18 Sep 2022 06:14

  批評ありがとうございました。

  ■ 「知的生命体について」
  　→ 情報不足とのことでしたので、説明中に頭蓋骨と起源情報を追加しました。 当初は読者間でビッグフット・ダエーバイト・SCP-317のどれかだと自由に推測してもらうことを目的として、あまり正体が限定されるような情報は盛り込みませんでした。しかしウケが悪いようでしたら、改変しようと思います。

  ■ 「SCP-2845-JPとの関係」
  　→ そうですね、当記事はSCP-2845-JPと同時か数日後に投稿する予定です。そのため「詳しくは当該ページを参照」へと改稿しようと思います。

  ■ 「O5が探査を禁止」
  　→ 大げさでしたら削除しようと思います。

  ややスポイラーの繰り返しになりますが、当記事で書きたかったのは
  ・地球によく似た星(WF-2245b)でもGH-クラスシナリオが発生している
  ・WF-2245bには地球の生命体が何かしらの方法で干渉している
  ・上記の詳細が不明な以上、地球もいつそうなってもおかしくない
  ※それからWF-2245bの生物種の情報を小出しにし、今後の記事への伏線にしたいという気持ちもあります
  というシンプルなものでした。ゆえに最後の「WF2245bに何が起こったのか？」は可能な限り謎のままにしておきたいです。

  こちらこそありがとうございました。

  最後の編集 18 Sep 2022 06:24 by GW5 さらに表示

  asakahajun 20 Sep 2022 12:36

  なるほど。GW5さんの意図がわかりました。
  ありがとうございました。

  From: サンドボックスオペレーター

  ShinoguN 29 Oct 2022 05:06

  しばらく更新が見られないため、この下書きのステータスを「批評中断」にしました。下書き批評を受ける準備が整ったならば、お手数ですが、改めて下書きのステータスを「批評中」に変えていただくようお願いします。

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1. portal:7764671 (07 Dec 2021 23:35)