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to:██研究員
from:██博士
メールありがとう。君のように物事に対して疑問をもつことは研究者としてとても重要な資質だ。しかし、それを財団の理念に向けるような真似はもうしないほうがいいだろう。君の忠誠が疑われることになるし、それは君の将来の足かせになる。この話は私のメールで最後にするべきだ。そしてこのメールを読んだらすぐに削除しなさい。
かといってこれだけでは君は納得できないことも分かっている。君の質問に関して、私の見解を述べさせて頂こうと思う。君はおそらくは博士にもなれるほど有望な人間だ。だからこそ、このメールは最後まで読んでほしい。
さて、君の質問は「異常性とはなにか」といったものだった。おそらく君なら、この「異常性」の定義が非常に曖昧なことに気づいているだろう。現在、多くの人が、異常性を自然法則に反していることだと理解しているが、これは正しい答えではない。
自然法則は現実の現象から導き出される。それがどんなに不可思議に見えたとしても、それを現実の現象として受け入れなければいけない。なら、現実世界で自然法則に反する現象が起こった場合、その法則は修正されるか、適応範囲を限定しなければならないはずだ。全ての法則は仮説にすぎないからだ。そうやって人類は現実と向きあい、自らの考えを見直しながら発展を続けてきた。
現実改変を例にあげよう。
現実改変者はときに燃料無しで物を動かしたりすることができる。これは「エネルギー保存の法則」に反しているため、異常な現象のように見える。しかし、今や現実改変の仕組みは解明が進んでおり、現実子の濃度(ヒューム値)の差によって引き起こされるなどのことが判明している。なら、ここで自然科学が行うべきことは、「エネルギー保存の法則」を見直し、この法則が成り立つ条件を「空間内のヒューム値が一定のとき」に限定することではないだろうか。しかしそれがなされることはない。なぜなら、我々財団は現実改変現象を「異常」と認定し、人類から隠してきたからだ。
今まで信じられてきた自然法則が間違っていたなんてことや、未解明のことなんて世の中には山ほどあるはずだ。しかし、財団はこれらの現象をときには「正常」とし、ときには「異常」とする。そして異常とされたオブジェクトは収容し、自然科学から切り離す。
そろそろ君の質問に答えるとしよう。「財団は何を基準に異常性と判断するのか」についてだが、私の考えでは異常性とは、「一般人が現実世界の自然に適用している世界観に反する、またはこれを変える恐れがあるもの」だ。この基準は相当客観性を欠いた、主観的で区別をつけがたいものに感じたことだろう。しかし、それは財団にとっては問題ではない。なぜなら『財団の理念』にあるように、財団の活動は「世界中の一般市民が異常に対する恐怖や疑念を抱くことなく日常を生きることができるよう、地球外、異次元、その他の超常的存在が及ぼす影響からの人類の独立を維持」ことだからだ。つまり、財団の第一目的は人類から脅威、恐怖、疑念を遠ざけることであり、別に客観性とか科学的妥当性に基づく必要などないのだ。ここで大事なのは、人類にとって正常なのか異常なのかだけだ。
そしてここからが君に最も聞いてほしいことだ。これは財団職員としても、一人の科学者としても、向き合わなければならないことだと思う。私が言いたいのは、財団は大きな罪を犯している、ということだ。設立以来、財団は世界の現象を「正常」と「異常」に区別してきた。そして正常なものだけを真理として人類に認めさせ、異常としたものを隠してきた。財団は、真理を解明するのではなく、真理を「定義」してきたのだ。全ては財団のさじ加減だ。そして、その偽りの正常を守るため、我々は人々が異常現象を目撃・研究し、真理を探究し、自然法則を見直す機会を奪ってきたのだ。時にそれは目撃者の記憶消去や、殺害という手段によって。
ゆえに、財団が異常だとした領域に、自然科学は立ち入ることができなくなった。科学は財団が定めた「正常なる真理」の範囲内でしか研究をすることができない。もはやこの世界の科学のフロンティアは財団によって固定されてしまったということだ。人類の知性は、財団に保護された偽りの知性に置き換わりつつある。
しかし、たとえそれがどんなに重い罪でも我々は使命を果たさなければならないと思う。財団の活動が人類にもたらした貢献はとても大きい。彼らが安全・安心に生活していくためには、誰かが罪を背負わなければいけないのだ。いつか君にも分かってくれると思う。人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7735705 (04 Nov 2021 04:04)
財団の設定を軸に理論を構築し、罪を炙り出しているのはいいと思います。
ただ「異常現象に自然科学に入れない状況」が人類全体にとってどれだけ損なのか、それが明確化されていないので財団の罪が誇張されているように感じます。財団が代わりに異常現象を処理している自己犠牲性が強すぎるので、異常現象を公表しないことがどれだけ損か具体的に書くべきです。
またオチも微妙にオチていないというか、使い古されたフレーズを急に出された感じがあります。メールとして後輩に指導する態のTaleなので語りかける調子のセリフで締めた方が違和感がないと思います。
(補足ですが、メールは構文で再現できます。採用率も高いので記事のいずれかを参考に採用してみてはどうでしょうか)
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