瓶漬けの底なし銀河 - SCP-JPサンドボックスⅢ

瓶漬けの底なし銀河

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クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - 瓶漬けの果てしない銀河
著者: mukuku
作成年: 20XX

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid Pending

特別収容プロトコル: オブジェクトはその状態から転移及び包囲を行った場合SCP-XXX-JPに何かしらの影響が及ぼされることが考えられる為、クリアランス4/XXX-JPを付与された職員5名及び警備担当エージェント20名によって構成された調査隊が作成され、オブジェクト周囲の警戒及びオブジェクトの調査が行われます。

当報告書執筆地点において、通信衛星機器を用いた捜索が定期的に実施されています。

説明: SCP-XXX-JPは31坪の平屋で、その外装は未知の木材によって構成されています。また、特筆すべき点として、その外装から約8cm内の空間に微小な異常空間が存在しており、その異常性によりオブジェクトの外壁には現在確認可能な全てのの物質が付着する事が不可能な状態となっています。

SCP-XXX-JPは20██/██/██において、██県██████に位置する森林内部に上空から秒速28.3ｋｍ以上の速度で着陸するのが付近に点在するサイト-81██によって確認されました。その直後4名のエージェントにより周辺調査が行われましたが、予測されていた地盤崩落等の被害は発生しておらず被害はオブジェクト付近に位置していた5本の樹木の倒木のみでした。その後の調査によりオブジェクト周囲の異常空間の存在が判明し、この異常性が衝撃吸収の役割を果たした可能性が高いとされました。

異常空間の存在が発覚したことにより、当オブジェクト内部への内部調査は危険性が高いとされた為、遠隔操作ドローンによる調査が決行されました。その結果、オブジェクト内部は気温、原子の存在度共にオブジェクト周囲との差異が確認されず、オブジェクト構成に用いられている建築材料が通常の木材¹に対し紫外線の遮断率が比較的高いことを除き内部装飾に特筆点は確認されませんでした。これらの調査結果より、当オブジェクトの即時的な危険性が低いとして、長期的な調査を目的とした仮設サイトがオブジェクトを中心に設置される見通しとなりました。

インシデント-XXX-JP-1: オブジェクト発生から6時間経過地点において、日没確認と同時にオブジェクト内部に起因する発光が確認されました。これを受け、汚染物質防護スーツを装着したエージェントによる潜入捜査が試みられました。その結果、内部には轆轤を用いて陶芸を行っている身長3m程度と推察される人型実体(以降SCP-XXX-JP-1)が発生している事が発覚しました。発見時SCP-XXX-JP-1は驚愕した様子でエージェントから距離を置く動作を行いました。調査チームによる指示で対話を試みた結果、オーストロネシア語族に属するイロカノ語を介した対話が可能であることが確認されました。以下は当該言語の発話が可能なエージェントによって再度行われた潜入調査時に行われた対話の記録です。

+ 対話記録-XXX-α

- 表示終了

対象: SCP-XXX-JP-1
インタビュアー: ジェイコブ研究員

<録音開始>

ジェイコブ研究員: 驚かして申し訳ないです、貴方に危害を加える気はありません。お話をさせて頂いてもかまいませんか?

SCP-XXX-JP-1: ここの星の動物か？

ジェイコブ研究員: えぇ、我々はこの星に生息する人間という種族です。貴方が我々の星に突如出現した理由を伺いに来たのですが、惑星外から来たのですか？

SCP-XXX-JP-1: (5秒間の沈黙)遠くの、別の星から来た。私の星に戻るためにこの星に立ち寄らせてもらった。この星がそうかと希望を抱いていたが、違ったようだ。もう時期立ち去る。気にしないでくれ。

ジェイコブ研究員: 貴方の星といいますと、惑星を何らかの目的で出発したという事ですか?

SCP-XXX-JP-1: (10秒間の沈黙)話す気はない。君たちと関わる気は私には無い。この星が90回目のサイクルを迎える頃に私はこの星から離脱する。申し訳ないが移動は簡単ではないのでね。周りの地域に被害は出ない筈だ。もう一度言う、気にしないでくれ。

ジェイコブ研究員: 申し訳ないですが、その申し出は受けられません。90日の滞在期間内で貴方の存在が我々以外に発覚した場合、貴方に危害が及ぶ可能性が高いです。我々に同行していただければ、その期間貴方が安全に生活できる空間を提供することができます。

SCP-XXX-JP-1: 危害(5秒間の沈黙)私が家から出ることは不可能だ。私は殆どの恒星から生み出される物質に耐えうる構造を有していない。私がそれを受け取るのは恒星の活動が遮られるときのみだ、その時以外では家の中だとしてもまともな活動は望めない。

ジェイコブ研究員: わかりました。でしたら現在行っているように、貴方の家の周辺を我々が保護します。ですので、我々の質問に答えて頂けますか？

SCP-XXX-JP-1: (2分間の沈黙)私の趣味の邪魔をしないなら承諾するよ。その代わり私の有する技術知識については話す事は無い。私の家に影響があると困る。

ジェイコブ研究員: ご協力感謝します。それでは、貴方の星についての情報を教えて頂けますか?

SCP-XXX-JP-1: うん、順当な疑問だ。私は星で技術担当者として発展を担っている役割を持っていた。私は生活を単純化し削減する事を重視していた。皆もそれを望んでいた。我々以外の生物は消去され、化学物質で補われた。大気中の原子も全て新しく最適なものを生み出し、置き換えた。私は全て我々のみで完結する世界を作り上げた。生存に必要な栄養分は体内で自己生成するようになった。地表も合金に置き換えた。それが我々が築き上げた居住区だ。

ジェイコブ研究員: 成程、でしたら、高度な科学技術を有していた貴方方が惑星外に出発した理由は他惑星の調査という事でしょうか?

SCP-XXX-JP-1: 移動する技術の目的はそれだった。だが、私の求めた技術は連続的な移動を可能にする装置であり、これはその試作段階の技術だ。私が星を出たのは探索などではない、脱出だ。私達は過信しすぎた。失敗を知らなかった。故にその一度の失敗で惑星の6割が蒸発する事すら予測できていなかった。私は失敗の修復を試みたが不可能なのは私が一番理解していた。合理的な判断で一番安全なのは惑星外への脱出だった。反復的な移動で他惑星を経由して被害が及んでいない地域へ帰還するつもりだった。だが試作段階の技術のみでは不可能だった。

ジェイコブ研究員: でしたら、我々の惑星に来訪したのは経由地点の一環ではないという事ですか?

SCP-XXX-JP-1: いや、一環ではある。だが、無限に続く経由の一つであるだけだ。試作段階の技術では移動先の指定ができない。その為ランダムに転移を続けるしか術がなかった。それだけの話だ。これで終わりでいいか? 話をしていると手元が鈍る

ジェイコブ研究員: ありがとうございます。いえ、最後にその作業について、質問をしてもよろしいですか?

SCP-XXX-JP-1: (5秒間の沈黙)君たちは好奇心が強いね。これはこの星を探索しているだけだ。

ジェイコブ研究員: 探索、ですか?私には陶芸をしているように見えますが。

SCP-XXX-JP-1: それも合っている。この轆轤は星の大気を詠むんだ。それぞれの星によって存在する物質は違う。それを詠んで壺を作ることで星を見れるんだ。この技術を編み出したのは私ではないから説明は無理だ。

ジェイコブ研究員: 星を見る、と言いますと

SCP-XXX-JP-1: (ジェイコブ研究員の言葉を遮る)そのままの意味だ、完成した壺を覗けばその星の地表の好きな位置を視認できる。私はこの家の外に出るのは危険だからね、こういった回りくどい方法でしか自分の星であるか確かめる術がないんだ。これ以上話す気はない、終わりにしてくれ。

ジェイコブ研究員: わかりました。お話ありがとうございます。

<録音終了>

終了後報告: SCP-XXX-JP-1の用いる科学技術は我々の用いるものより飛躍的及び異常的に進歩している為、原理解明の試みは全て失敗となりました。

また、当対話以降における対話記録によって得られた情報は全て同様のものでありました。

インシデント-XXX-JP-2: SCP-XX-JP出現から59日が経過した20██/██/██においての対話の際、SCP-XXX-JP-1が陶芸に用いる水分を要求、調査チームの判断により有害成分を完全に除去した水分15Lを提供しました。

補遺: SCP-XXX-JP出現から59日が経過した20██/██/██においての対話の際、譲渡した水分の応酬として、SCP-XXX-JP-1が作成した地球に対応する壺(以降SCP-XXX-JP-2)がジェイコブ研究員に譲渡されました。ジェイコブ研究員は当該行動に対して質疑を行いましたが、特筆すべき情報の入手には至りませんでした。その後、発生から90日が経過した瞬間にSCP-XXX-JPは発見地点からの消滅が確認されました。複数回による捜索を行った結果、地球上から完全に消滅している事が確認されました。以下はジェイコブ研究員が譲渡されたSCP-XXX-JP-2についての情報です。また、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JPに対して異なった異常性を有している観点から、特例的に別オブジェクトとしてレベル4セキュリティクリアランス以上を所有する職員の監視下の元収容が行われます。

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SCP-XXX-JP-2

アイテム番号: SCP-XXX-JP-2

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: オブジェクトは特設された40×40×40cm、厚さ5cmの財団製強化ガラスによって構成された収容ケースに収納され、常にエージェント2名を動員した警備状態が維持されます。

オブジェクトはレベル4セキュリティクリアランス以上を所有する職員の判断により、調査未実施の状態である異常地帯への調査に用いる事が許可されます。また、その異常性から、オブジェクトが他団体に奪取された際に財団の活動へ多大な支障が予測されている為、使用時は周囲20m以内に警戒態勢のエージェント10名を動員した状態で使用する事が義務とされています。

説明: オブジェクトは直径約31.5cm×高さ約34.0cmの未知の物質で構成された壺形土器に酷似する形状を有した尺寸サイズの骨董品です。

その異常性として、内部を除くことに起因する遠隔視認です。遠隔視認はオブジェクトを除く動作を行った対象(以降対象と表記)の思考に基づいた動作を可能としており、現在地表に設置された看板の文字を視認する程の拡大性を有している事が確認されています。また、オブジェクト内部に液体を注ぎ込む実験に対しては、通常の陶器と同じ結果が確認されています。

執筆地点において、当オブジェクトの使用によって行われた活動は以下の通りです。

効果を示した事例
20██/08/12	サイト-81██より収容違反を引き起こした人型実体SCP-XXX-JPの追跡、これによりエージェントチームが最短での鎮静化を行った。
20██/02/21	██県███市██に発生した異常空間の監視、これにより異常空間より発生したオブジェクト██の早期発見が行われた。
20██/09/11	SCP-████-JP-Aの収容時に敵対した団体である█████のエージェントチームの位置確認、これにより負傷者不在での鎮圧を行った。