SCP Tale くらげのこひ
翡翠の--・・- ---・- ・- ・・--
退屈である。
とにもかくにも退屈である。脳波は朦朧としている。意識は耽溺としている。体は水面に揺蕩っている。とにかく言うも、退屈だ。脳を揺らせし藻の群れもなく、また遠い遠い水面から注ぐ木漏れ日もない。
爛れるあの髪-・ -・ ・・ --- -・--・ --・-- ・・-- ・-・・ ・・-・-
ここには全く愛もない。無常の愛を注ぐものも、また注がれるものもない。ああ退屈だ。気に掛けるものが取り去られた現実生活だなんて、これ以上に簡素で窮屈なものもそうないだろう。
しかし、ことは偶然と言うべきか、私には一時の幸運が舞い込んだ。あの阿呆が戸を閉めて忘れよったのだ(若葉が扉を閉め忘れ、その先に双雨を見る) さながら沸騰の泡のように、眠っていた情が目覚めた。それは前からあるべきものではない。クラゲにとって、これは二度目だ
(若葉博士は半分寝てる、目の前の計測器が揺れ、点と丸が出力される)
二度のくらげのこひ-・-・ ・・-・・ ・・ -・・・- ・・-- ・・・- ・・・ -・-- ・・ ・・-- ---- ・-
二度目のこひ-・-・ ・・-・・ ・・ -・・・- ・・-- ---- ・-
不意に、目の前の男は半目で計測器を見やると、寝坊でもしたかのように起き上がったのだ。急いで立ち上がり、何十枚もの出力のコピー印刷をまとめ、部屋を飛び出して行ってしもうた。
「虫部!虫部!」
くらげのこひ・・・- ・・・ -・-- ・・ ・・-- ---- ・-
やはり水槽にはクラゲが取り残されたまま。
—-
双雨「それで、例のクラゲはどうなんです?」
クラゲは双雨の天候班が海岸で天候に関する異常領域のレポート調査をしていた時に発見した
クラゲにインタビュー
虫部「君はどこから来たんだ?」
────・─・─・・・─・─
振動するクラゲ、デスクトップには翻訳版が表示
(遊撃。)
(やうやう。)
(ナンセンスとは神々。)
若葉「だめだこりゃ」「通じてるかどうかもわかんないっすね」
(翡翠、若い人。)
(くじらの尾っぽのよう。)
(狢。狢。悪夢を見させて。)
若葉「翡翠、若い人、クジラの尻尾のような、」「誰のことですかね?」「それか、誰かのことですかね?」
「翡翠の、若い人、遊撃、ナンセンス、クジラの尻尾──」ぶつぶつ呟きながら、席を立って歩き回る。どうやらそのまま手を洗いに行くらしい。謎かけを解いている時の癖だ。
虫部「そう言えば……」
これらのフレーズには聞き覚えがある
若葉「何?」
一冊の評論文?小説を取り出す虫部
カンブリアの閂
私と恋に別れて、二度に会った女方は皆そう言います。私の初愛(・・)の言い付けはこうです:「赤褐色の髪々、若い女」。一度見らば、アバンギャルドな出で立ち。私はこのチンケな生涯初めて、熱烈な愛着を得ました。かと言って取り巻くのはナンセンス。風に遊撃される柳のやうに、くじらの尾っぽのやうに、座って見ているだけで十分です。
ああ、またあの悪夢の如き劣情を、思い起こさせる想い人がいれば! などと。我々はまだ真髄の恋の形も知らずに、愛の形も知らずに、獲物を狙うため目を強く瞑った狢という、全く以て歩く矛盾である。世俗は矛盾の断片である。訂正するならば、それもまた良い。こうして陰から見守らんとするだけでも、若き人の(それはもう断然私自身のことですが)時間が奪われるなんてことはない。
「うーん……」若葉は続けてページを捲る。
ああ、天使よ! 私を連れていってくれ!難儀難題叱咤の滝行だった日々の、古い少年時代へ。ああ天使!あなたは、どうしても私ら若き仲を引き裂きたいようだ。
(連れていって。)
虫部「ん?」 サイトが少し揺れる 地震?
若葉「どうしたんです?」
(連れていって。)
虫部「静かに!」
インタビュー室が徐々に変形し、現実改変の能力受け、水槽が立てに割れ、クラゲは宙に放り出された。否、クラゲはそのまま宙を揺蕩っている。クラゲの上から謎の光が、夕焼けの光が、悲壮感が、飛翔体の空を切る音が、炭と煙が、焦げた肉の匂いが、傷だらけの二本の長い両腕が、クラゲを包み込まんと覆う
──・─・──・─・─(思い出す。)
翻訳機能は機能していない、現実指数が安定していない!
虫部「まずい!」
次元の亀裂は吸い込み始めた。あらゆる情景、欲求、ノスタルジーを。虫部と若葉はセキュリティドアの取っ手に捕まって耐えている。背後には光の中央に抗いつつも吸い込まれるクラゲの姿が
若葉「どうします!どうすりゃ良いですか!?」
「保身、保身だけを考えて!」
─・───・───(翡翠。若い人。)
次元の亀裂は大きくなる。聞こえるのは、子供が遊んで喚く声、サイレン、カラカラ、パタパタ、荒野、繁華街、空っ風、チョコレート、転がる戦車
クラゲ
もう両腕はすんでの距離まである。
生まれ変わって生前の彼女と全く違った、また別の熱烈な恋を抱いた(双雨に)
クラゲ(ノッポさん)
大切な何か カステラ(日を跨ぐ度に元通りになる)
ユタゲの隣、呼び鈴、カステラが好き、比較的無口、メイテイ壮に長くおりホアンさんとは付き合いもかなり長い(ホアンからは「社一郎(やいろう)さん」と呼ばれている)、住人にカステラを振る舞う親しまれてる
元人間であり、人のときは軍人、愛人に千代という女性がおり、自分が戦地に赴くたびにお土産に持って帰ってきたカステラが好きだったという、戦争は嫌いだったがカステラの千代は好きだった→しかし空襲により街ごと全員死んだあと、ノッポだけはクラゲに転生して、誰も知らない時代に誰も知らない場所で孤独を過ごすことになる→全てに忘れ去られて、この世を去りたい
「ちりんちりん、と鈴の鳴き声がすると、共用の洗面所からのそりのそりと背の高いクラゲが、カステラの乗った皿をのっけて現れた」
「ユタゲさんを信用したいのです。私は人間だつた」
「ああ、しかしなくなりゆくカステラを見やるたび、あの日あの時カステラを子供のように頬張る様に、可愛らしい千代の横顔に、時を越へて恋い焦がれてしまうのだ」「それはもう、海に揺蕩うクラゲのただ一つの夢です。大したことのない多くの一つの夢です」
「どうにもかたじけない。どうぞ、私のことなぞ忘れて貰っても誰も咎めません故」
「終わらせてください」「どうにかお頼み申します。終わらせてください」
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7707552 (15 Oct 2021 16:17)

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