SCP GOI メモ: “何もない”アーキテクチャー
前置き: 私には時折、文章の合間の行間を見つめる時間があることを告白する。こうして貴方のためメモを書き残している間も、散文の無作為な隙間を両目は探し、脳は議論している。おそらく存在しえぬ重大な報せは、常に確立された情報の隙間にある。何者でもない我々でさえも、それらを見落とし続けている可能性があるだろうと。
とても、無意味な行動だ。無味な時間だ。それでいて、この奇妙な状況はしばしば私に訪れる。私たちのほとんどはそれを自制できぬ無意識下であると早々に片付けるかもしれないが、しかし私はそうは思えない。この“何もない”構造体こそが私に諭してくれたのだ──無意識を強く意識する方法を。
私は今も、常に無意識であるだろう。
ただの金属のオブジェがクールでないことは、彼らにとっては言うまでもない。
別称: 何もない正多面体、何もない世界
概要: 正十二面体のオブジェ。金属製。およそ直径1m程度。見た目に反して、私一人でも持ち運べるほどに軽い。内部は完全に空洞のように思える。
発見当初は金属ネームプレートに「“何もない”アーキテクチャー」とネームドされていたため、当文書でもそのように扱う。
◎内部は空洞のように思えると前述したが、不可思議なことに、本当は内側には何かがあるのではないか?
◎このオブジェに物理的な接触を試みた者は、不明な衝撃により後方へ大きく吹き飛ばされる。
◎↑一度のみ。その後は、代わりにこのオブジェの造形に対して 審美的? 宗教的? 形而下的? 多岐に渡る意味を見出だそうとする。そのほとんどは内部空間の連想へと続く。
◎↑↑内部は空洞であると瞬時に理解するため、関節的に「無」に対する独自の議論の構築を始める。
◎↑↑↑なお、一定の観測者はオブジェへ触れた瞬間に消滅するらしい。これが自身へ下した「無」の境地であるかは不明。
◎“何もない”アーキテクチャーはニコラウスト・ファウストケウストと名乗る芸術家によって手掛けられた、一種のプロパガンダの類いのものだろう(ほとんど芸術テロであると言ってもいい)
◎↑ニコラウストは絶滅主義を主張する批評家(クリティック)としても著名であったと語られる。絶滅派参考文献より。
◎↑↑また彼は19██年代にはUnelmat Paremmasta Maailmasta(夢のように素敵な世界)に所属していたと囁かれているが、実情はわからない。
◎↑↑↑現在のニコラウストの所在は不明。絶滅派の見解になぞらえると消滅したと考えざるを得ないが、やはり考えにくいだろう。
◎Unelmat Paremmasta Maailmastaはアラスカの小規模な芸術コミュニティだった。メンバーのほとんどはアウトサイダーを主流としており、若者ら独自の社会に対する支配種としての人類の有用性を訴える作品が特徴的。
◎↑コミュニティ、ニコラウスト、awcy、絶滅主義。これら全てには異様な共通点が見られ、最終到達目標は齟齬はあれど同じにように評価できる。何らかの相互関係があっただろうが、裏付けできる資料は確認できない。
◎↑↑ただ結成当時のawcyには小規模の絶滅主義派の風向きがあったため、グループと作品の趣旨は一致するかもしれない。
◎私が芸術を理解する日はまだ遠いのかもしれない。
◎それでもやはり、私には作品の内側に何かが潜むように思える。
◎↑本当に? 確固たる術は?
観測: しばしば私たちは奇妙な彫刻を見上げ、或いは無造作な色彩の暴走を目に焼き付け、そこに作り手の意図があるべきだと認知するだろう。芸術家(ここではawcyら)が編み出したアルゴリズムに近寄ろうとする。また一歩。また一歩。しかしそれは完全には至らない。言語によって還元されることはないからである。
しかし、この作品の形式は観測者自らが直に触れることで、作品における本質を相手に直接イメージさせることができる。一介の芸術家として、これほど便利かつ法外な手法はないだろう。個々のアーティストが持つ、現実生活への不平、短絡的なニヒリズム、価値観の相互摩擦、それらを言語への置換により劣化させることなく大衆に植え付けることができる。当人の感じた激情、悲嘆、自殺衝動などをも、鑑賞者に思い起こさせることができる。
今回のパターンとしては、これは「ここに何もない」ことを教えてくれる。それこそ絶滅主義派の根源たるもの、“無”の理論への挑戦だ。
製作者ニコラウスト自身が何を考えていたのかは不明瞭だが、その思考を推測するのであれば、限りなく虚無である。鮮明に無意識を受け止めている感覚に近い。苦しいことに、私が無意識の大洋から0に等しい意味たる意味を、掬い上げようともがく姿が見える。
その行為の反復こそが、私に再び無を考えさせる。
問題として、この作品の真の意図は語り得ない部分にあると推察する。個人的な神学論争だとか、そういうことを訴えるつもりではない。この感覚は非常に奇妙であって──レソロジカと表すべきか、しかしそれも適切でない。彼らのようなクリティックは強引に言語へ落とし込もうとすることこそ嫌悪すると思われるが、私は可能な限り正確な感覚を追体験できるよう取り計らいたい。
◎口と指先が限界を迎えるのを感じる。
但し注意すべきこととして、言語で以て語られる事象は全て虚偽の姿であるということだ。文字として起こされた時、真実は真実である姿を失う。私たちは常に、劣化した外皮のみを生活圏に用いているために──驚くべきことに、私も今まさに驚いているが──こういったものの書き起こしは、本来とは全く似て非なる文書へと書き下されるらしい。以後、この文書の全ては嘘の情報を取り扱うことに留意していただきたい。
2012年のルイジアナ州ニューオーリンズの航空写真。この写真に事件の影響は一切確認されない。
経緯: 2012年4月、ルイジアナ州でとある奇妙な事件が起こらなかった(起こらなかった、という書き出しこそ非常に奇妙であるが、本当にこれは発生することのなかった事件である)。4月から6月に渡ってニューオーリンズ市内の複数の病院にて、連続的かつ不可解な起因により計42名の出生児が死亡した痛ましい怪奇事件だ。
ことの発端はニューオーリンズ中央に位置するセント・マードック病院で新生児4名、チャリティ病院で2名が同日同時刻に死亡したことから。死亡した新生児は何れも生後3日以内であり、共通点として脳死を死因とされている。
直ちに病院は新たな感染症の可能性を危惧して公衆衛生当局への報告を行ったが、調査員が派遣された頃には、問題の幼児たちは“消滅”していた。文字通り中央病院はおろか、後の調査でニューオーリンズ市内全土から
無論、乳児たちの脳死を証明するものは病院からの通報でしかないため、この特異な事例により病院の人員に様々な容疑がかけられるが、どれも証明に値せず、 消滅した幼児たちも見つかっていない
病院は大いに誠意を示した
その2日後、メトロポリタン中央センターにおいて同様な事例で新生児12名が死亡した。 以前の事件を受けて 警戒態勢を敷いていたが、 明確な報告がなされることはなかった。 それもそのはず 担当していた 医師 看護師は、 新生児の消滅 とともに消息不明となっているからだ。 消息不明となった 人々は、 当時間帯は消滅した幼児と同室内にいたとされる。 なお その後の異変に気付いた 看護師により通報がなされているが、 これも 確立された情報は他にはない
これらの不可解な事象は直ちに大衆の注目を集めた。少数派のコメンテーターは不充分な証拠から病院側の意図的な過失である、だという 陰謀論で騒がせているがが渦巻いているが、
また超自然的かつ儀式的な弊害だとも述べていたが、緋色の王の子らが北アメリカにおいて影響を及ぼしていたという事例はない。
しかしながら、これらの異常現象についての関与は当時南アメリカを中心に活動していた異常 アーティスト集団に注目が集まる。コミュニティ(始めに言っておくが、ニコラウストとは全く縁もゆかりもない)、絶滅主義の風
現代アート美術館へのぞんだいな寄付、 及び現代国家への風刺 デモなど、
ニューオーリンズの一区画はニヒリズムストリートアート としても有名である
驚くべきことに 住民の大半は異常 コミュニティについて賛成的/許容的な意を示していた。 特に彼らが2005年に開いた個展、◯◯は 今でも若者の ファッション流行になっている。熱烈な支持者もついており、デモ
これらの不可思議な事件の数日後に該当 グループは 解散している ため 関係の有無は定かではない
石胎 中絶した幼児の石像 作品
二次災害、 遺族による暴動、 組織への不信感、マスメディアの混乱による国外への避難など
二次災害による 被害では 死傷者も発生している
特に暴動は北西部で悪化した。 コミュニティの集団意思を支持していた(またその風をもった)多くの罪な無き若者が異端狩りと称され、国家警察に突き付けられた。混乱と国家機関の転覆をお越しかけたが、馬鹿げたミームだ(反出生主義の)とほだされたおかげ
財団と連邦 当局の連携により、 沈静化された。該当病院への援助及び 遺族への精神的支援は 今現在も行われている
◎この時点より管轄はルイジアナ支部財団に渡っている。該当領域の一部分は準ネクサスとして指定されていたこともあり、局所的なヴェール崩壊には至らなかった。
◎↑彼らは素早く都市災害レベルのカバーストーリーを分布し、参考文献は破壊/回収したと思われるため、結果的には経緯を知る者は残っていない。収束後の矛盾性を訴える団体は少なからずいるが、どれも逆説の一般論と併合したような取るに足らない組織である。
◎↑事実上は解決。事件に関する情報は跡形もなく消し去られたことから、即ち 財団の 芸術家らの 彼らの勝利になる。
この後似たような事件が カナダの方でも 起こっていたが 黒幕は 検挙された。 こちらのいくつかでは異常アーティストグループも 含まれていた
◎結局のところ、どちらにせよ事件の収束はコミュニティの随一 望まれるところ クールだと評価される結果に落ち着いたということだ。
疑問: どうして私はこの事件が起き得なかったことを知っているんだ?
考え: さて、何の脈絡もない話を終えたところで私個人の本題に移ろうと思う。今まさに、私自らがあの作品を鑑賞し、作品に触れ、創作者の意図に歩み寄ろうとしている。そうして結果的に私は無について思考している。私は自分の目が散文の隙間を探している訳を考えている。
あるものは 自分自身が無となる選択を選び、あるものは 目に入るものを 触れるだけで 全て抹消し、またある者は 概念 そのものを抹消する術を知る。 それに至ったわけ を考えている
そこで私には何の欲求もないことに気付く。私にはまるで何もないのだ。
私は無に対して何を議論し、何を消したいのだろう?
何かを抹消したいのだろうか?
誰もいない森の中に木が倒れたとして、果たして音はするのだろうか?
果たしてそこに木は植えられていたのだろうか?
そこに森はあったんだろうか?
誰一人いなかったと証明できる人間さえいなかったのだろうか?
何れにしても、限りなく私は存在している。それが結論だ。私は存在している。私は存在しているはず。たとえ何者でもなかろうが、それが1や0でない証明にはならない。しかし仮に、本当の無と対面したとして──私を証明する知識が消失したとして、私は本当に存在するのだろうか?
私は0の海から観測される1の個人だろうか?
結論: 馬鹿馬鹿しく思えてきたので、私はここで筆を置くことにする。私はなぜ貴重な時間を使い、頭を酷使させてまで、何もない事象について議論し思いを馳せなければならないのか。それらしい言葉を見繕ったところで、何一つ重要なことは語られないというのに。そもそも何もない空間に対して自論を持つことこそが僭越で、ただただ虚しいだけなのだ。何もないものは何者でもないものとして扱われるべきである。この荒唐無稽な作品は世間一般に無知の知を至らしめ、荒らし回った程度には良い例だと思われるが、ただ今は本当に腹立たしい限りだ。
無は時に、自身が何故無であるべきかを自問する。全く以て無意味なことだ。Are we cool yet?
タグ: jp goi-format 何者でもない are-we-cool-yet 絶滅主義
形式参考
http://scp-jp.wikidot.com/midsummer-ded-moroz
絶滅主義派のawcyが作った作品である、何もない正多面体に触れた一人の何者でもないが語る、起きなかった奇妙な事件→1982のカリフォルニアにて、4月から6月中に生まれた出生児が全て死亡したまま、当時カリフォルニアでは小規模なawcyのグループ(始めに言っておくが、ニコラウストとは全く由縁関係もない)が活動していた、また絶滅主義派もいたため、これらはプロパガンダの一種であるとも推察、しかし範囲が余りに広くカリフォルニアに留まらず他の地域もあった、グループは時期が会わず解体していた時期もあり、関係はないかも、その後アリゾナ州の財団により事件は解決、何もなくなった
⭐全ての世界において静かに広がりを見せる退廃的文化、ニヒリズム、反出生主義、自己破滅的思考、それは緩やかにそして着実に広がる。
↓
何者ではない内のアンシンカブルズにあたる前身組織(消滅済)が反ミーム部門よりも先に
絶滅主義とは
⭐SCP-115-KO(何もない正多面体)はawcy内の絶滅主義派グループが手掛けた作品、これに触れることで絶滅主義派の人間となる→最終的にSCP-115-KO内ではある概念が消失した→もしそれが絶滅主義そのものかもしれない
⭐SCP-3125は第五教会における神ではなく、人々の潜在意識に根付く絶滅主義に働き掛ける実体→なのでSCP-3125が人々を消滅させているわけではなく、人々が自らの意思で消滅してる
何者ではない、awcy、絶滅主義、scp155ko、scp3125、反ミーム部門
反出生主義と出生主義が触れると対消滅が起こる
↑
生まれながら反出生主義の赤ちゃんが大量に生まれてくる異常
とある反出生主義団体が作成したレトロウイルスやらなんやらが原因だが、反出生主義者を増やそうと固執するあまり結果として子供が大量に産まれてしまう本末転倒に
↑
絶滅主義のawcyが財団にアプローチするために産み出したアーティファクト
出産直後に死亡した大量の(おそらく全て絶滅主義者の)赤ちゃん(全て存在しない、絶滅主義を広めるために絶滅主義を殺しまくった)
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アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7707552 (15 Oct 2021 16:17)



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