SCP-XXX-JP 追いかけ、追いつき、追い越して

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

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SCP-XXX-JP実体

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準収容ロッカーに保管されます。

説明: SCP-XXX-JPは、概形約27×8×8cm・容量約900mlの、コルク栓付きガラス製リターナブル瓶です。SCP-XXX-JPは、内部に充填された液体に異常性を付与します。

異常性を付与された液体(以下SCP-XXX-JP-A)を経口摂取すると、摂取した対象の最も直近における「SCP-XXX-JP-Aより高いアルコール濃度を持つ飲料を摂取した記憶」が「同量のSCP-XXX-JP-Aを摂取した記憶」へと改変されます。なお、SCP-XXX-JP-Aよりもアルコール濃度が高い飲料を摂取したことがない対象がSCP-XXX-JP-Aを飲用した場合、異常性の発露は確認されません。

SCP-XXX-JP-Aを一般的なチェイサー1としてアルコール飲料と交互に摂取した場合、摂取対象はアルコール摂取量相当の酔態を見せると同時に「この酔いは全てSCP-XXX-JP-Aによるものだ」と錯覚します。この錯覚体験を繰り返すことで、SCP-XXX-JP-A摂取対象のアルコール飲料への関心がSCP-XXX-JP-Aへと遷移するとともに、摂取対象は「SCP-XXX-JP-Aは美味なアルコール飲料である」と強く思い込むようになります。

発見経緯: SCP-XXX-JPは、19██年██月██日に大阪府大阪市██区のバー「Doll」にて発生した傷害事件の捜査過程において発見されました。本傷害事件における被疑者である中本晃教(当時56歳、自営業)は、店内の客および従業員に暴行を加えた後、割れたグラス片で自身の頸動脈を切断して自殺しています。

大阪府警に潜入していたエージェント・錦田が本傷害事件の調査を実施したところ、バー「Doll」のオーナーである新田春子氏への聞き取りによってSCP-XXX-JPの存在を確認、カバーストーリー「アルコール依存症による錯乱」を流布した後に当該オブジェクトを回収しました。

インタビュー記録:

対象: 新田春子氏(59歳。バー「Doll」のオーナー)

インタビュアー: エージェント・錦田

付記: 19██年██月██日発生の傷害事件に伴う事情聴取として実施。

<録音開始>

エージェント・錦田: では、聴取を始めます。主にお聞きしたいのは、死亡した被疑者の中本についてです。

新田氏: 早よ頼むわな、刑事さん。こんな辛気臭い場所に長ぅ居りたないし。

エージェント・錦田: ご協力感謝します。中本は確か、新田さんのお店の常連だったとか。

新田氏: そうや。嬉しないタイプの常連やったけどな。金払いはええけど、酔うたらやたらと気ぃ大きなるし、他のお客さんとよう揉めよるし、しょっちゅう潰れるまで飲みよるし、それでも懲りよれへんし。まあ、いわゆる依存症っちゅうやつやな。

エージェント・錦田: 中本は、アルコール依存症と診断されていたんですか?

新田氏: そこまでは知らんけど、酒に吞まれてたんは見てたらわかるわ。あと、あの手のオッサンは大概自分が病気やって認めたがらんからな。それ言うたらあのオッサン、医者にすら行ってへんのとちゃう?

エージェント・錦田: なるほど。傍から見ていても依存症と分かるほどの振る舞いだったと。

新田氏: そういうこと。んでまあ、あのオッサンに困ってた時や。店の倉庫からおもろいもんが出てきてな。

エージェント・錦田: 面白いもの?

新田氏: 形の古いガラス瓶やってんけど、なんか手紙みたいなんが添えられててな。書いてあんねん、これに入れた水を飲んだら酒を飲んだことを忘れられる、言うて。正直眉唾もんやったけど話のタネにはなるか思て、中本のオッサンにチェイサーや言うてそれ出してみてん。

エージェント・錦田: その、ガラス瓶に入れた水を、ですか。

新田氏: そう、グラスに注ぎなおしてな。したらオッサン、最初のほうは普通に飲んでたんやけど、時間が経つにつれて興奮して来よってな、最後には目ぇかっ開いて「なんやこれ!」言うて。んであのオッサン、チェイサーにはその水やないとアカンて言い始めてな。そっからはあのオッサンが来るたびずっとその水出しとったんやけど。しばらく経ってからなんかこう……オッサン、変なこと言い始めてな。

エージェント・錦田: 変なこと、とは?

新田氏: 一日水しか飲んでへんのに「これはええ酒や」とか。そもそも酒ほっぽってチェイサー先に飲み始めてんのもおかしいし。あとあれや、最後のほうはなんや、常に手足ががくがくに震えとったわ。

エージェント・錦田: 震え……酒を飲んでいないのに、ですか?

新田氏: そうそう。んで、おっかしいなぁ言うてたところで、あの事件や。

エージェント・錦田: 事件当日の中本はどのような様子だったんですか?

新田氏: えげつなかったで。店来るなりえらい剣幕で「あの酒よこさんかい!」言うて。で、あの水出したら出した分だけ飲み干して次次、て騒ぎ倒して。最後にはようわからん事叫びまくって暴れ倒しよってなあ。最後にはあんなことなるし……ホンマに難儀やったわ。

エージェント・錦田: 中本は、その時なにを叫んでいたんですか?

新田氏: 確か……「俺はあの酒しか吞んだことあらへんはずや」とか「なんで昔みたいに酔われへんねんや」とか。ホンマ、ようわからんかったわ。

<録音終了>

追記: 後の調査の結果、SCP-XXX-JP-Aによる記憶改変について、改変される記憶の遡行には時間的な制限が存在せず、過去の飲酒体験の記憶全てが改変対象となることが判明しました。

補遺: SCP-XXX-JPに付されていたとされる手紙の内容

お元気ですか? こちらは日がな一日ゆるりと暮らしています。
この間も、火照った頬に雪が染みて、心地のよさを感じたところです。
そういえばあなたは、お酒と友達になる天才でしたね。
酔っても迷わず、付かず離れず。いつもいつでもいい距離感。
そうやってお酒と楽しく遊んでいたあなたのこと、少し羨ましかったなあ。

そんなあなたには必要ないかもしれませんが、ひとつ便利なものをお送りしました。
一口飲めばお酒を忘れて、一口お酒をまた飲める、そんなお水が作れます。
チェイサーにはぴったりですが、使い過ぎると大変かもしれません。
少しベタですが、飲んでも吞まれるな、というやつです。
上手に使って、お酒の友達を増やしてもらえれば幸いです。

酩酊街より 愛を込めて

 
 
 


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  1. portal:7704306 (14 Oct 2021 04:14)
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