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ユニット収容済のSCP-XXX-JP実体
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPおよびSCP-XXX-JP-Aは植物収容ユニットもしくは標準人型実体収容ユニットにて収容・栽培してください。
説明: SCP-XXX-JPは、生物の臓器を球根として持つチューリップ(Tulipa gesneriana)様の植物です。球根部の臓器は通常の臓器と同様の機能を有しており、生物種や血液型等の諸条件が適合する生物に対する移植が可能です。
SCP-XXX-JPは通常のチューリップとほぼ同様の方法にて栽培可能ですが、生育土壌に対して、臓器の所有元である生物の肉体および当該生物の食糧を混入させる必要があります。生物の肉体は適応土質として、生物の食糧は肥料としての役割を果たしていると考えられます。土壌に対して食糧を定期的に供給しなければ、開花時期の遅れや生成される種子の減少等、SCP-XXX-JPの生育状況に悪影響を及ぼします。
充分な条件のもと生育し開花した後のSCP-XXX-JPは、3~10個程度の種子を生成します。この種子についても、土壌条件を整えたうえで通常のチューリップと同様の方法で栽培すれば、約1年でSCP-XXX-JPへと成長し、親株と同じ臓器を球根部の代替として生成します。
また、SCP-XXX-JPの茎部を切断した切り花(SCP-XXX-JP-A)を生物の臓器に刺すことで、SCP-XXX-JP-Aを当該臓器に寄生させることが可能です。SCP-XXX-JP-Aは、茎部の切断面から根を伸ばすことで宿主である臓器から必要な栄養素を吸収し、約2週間に渡って生命状態を維持した後に、2~5個の種子を生成し枯死します。この種子を栽培すると、宿主としていた臓器と同一のものを球根部として生成します。
なお、SCP-XXX-JP-Aは栄養接種によって宿主である臓器を著しく衰弱させるため、当該臓器の所有者である生物は最悪の場合、臓器の機能不全により死亡します。
SCP-XXX-JPは、要注意団体「氷室金融」の所有物件に対する制圧および調査において発見されました。当該物件は██県██市北部の庭付き戸建て賃貸住宅であり、SCP-XXX-JPはその庭にて栽培されていました。調査時には既に「氷室金融」は当該物件より逃走しており、残されたSCP-XXX-JPは2株のみでしたが、痕跡から判断しておよそ100株前後を栽培していたものと見られます。また、当該物件において一台のタブレット型PCが発見されています。
補遺1:「氷室金融」とSCP-XXX-JPの関連について
「氷室金融」は零細の要注意団体に対して融資の相談を持ち掛け、担保としてアノマリーを積極的に推奨した後、あえて法外な金利で金銭を回収しつつ融資先団体を追い詰め、融資先団体が債務不履行に陥ったところで担保に指定したアノマリーを接収します。そして再びアノマリーを担保に指定させ、暴利にて金銭回収、債務不履行により担保接収、のループを繰り返すことで最終的には融資先団体を自滅させる商法を取ります。
「氷室金融」の所有物件より発見されたSCP-XXX-JPの臓器部についてDNA鑑定を行い、財団のデータバンクと照合したところ、村尾孝二なる人物のDNAと一致しました。村尾は過去に日本生類総研に所属していましたが、自身の専門分野を深く研究するために日生研より独立し、要注意団体「寄生草木研究室」を設立しています。ただし、「寄生草木研究室」は設立より██年で資金難に陥り多額の借金を抱えて以降、表立った活動が確認されていませんでした。その資金難の最中に「寄生草木研究室」に対して「氷室金融」より融資があったと判明しています。長らく活動の痕跡が見られなかった「寄生草木研究室」ですが、本調査により既に壊滅している可能性が高いものと予想されています。
補遺2: 「氷室金融」の所属員と思しき人物の日記データ(抜粋)
「氷室金融」の所有物件に残されていたタブレット型PCの内部ストレージ内のデータをサルベージしたところ、発見されたデータ群。日記アプリを用いて、SCP-XXX-JP-Aについて記録している。
20██年10月31日 天候: 雨
シャチョーからしおれたチューリップを送られ、「その妙な花を育てて日記を付けろ」と言われた。日記なんてガキの頃の夏休みの宿題ぶりだ。チューリップとセットでムラオとかいうおっさんも送られてきたので、コイツに花を植えてみる。なんでもこのチューリップ、人に植えれば臓器を増やせるらしい。その他の細かいことも、聞いてもないのにムラオがベラベラ喋ってきた。よくわからんが、増やすなら単価の高い腎臓が狙い目だ。
20██年11月2日 天候: 曇りムラオの腹にピンクのチューリップをブッ挿して2日経った。花も茎も葉っぱもやたらと元気になった。人間に生えてる割には綺麗だった。不思議な花もあるもんだ。ちなみにムラオはまだ生きてるし、なんなら栽培の仕方を事細かに指示してくる。ノートに育成のコツまで勝手に書き出すし。なんだこいつ。ともあれムラオにやり方を聞きながら、チューリップの世話を続けていこう。
20██年11月15日 天候: 曇り時々晴れムラオの腎臓チューリップを育て始めてだいたい二週間。花が枯れて、いくつか種が採れた。ついでにムラオも枯れて死んだ。最後の最後までチューリップについていろいろと語ってきた。最後には「よろしく頼む」と肩を叩いてきた。鬱陶しかったが、死ぬまであの調子だったのはある意味尊敬する。で、採れた種を土に植えると、球根の代わりに腎臓が育って、ついでに花が咲くらしい。ただ、土には人間の死体と食い物を混ぜないとだめなようだ。
20██年11月17日 天候: 曇りムラオのホトケを細かくして庭の畑に埋めた。バラすのは流石に面倒だったし、途中でムラオの顔やら語り口調がちらついて作業がなかなか進まなかった。ついでにカップ麺やら缶詰やらも一緒くたに畑の土に混ぜ込んで、例の種を植えた。結構しんどい仕事だった。流石に生えてくれないと割に合わない。
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20██年██月██日 天候: 晴れ時々曇り種を植えてから██日。ムラオチューリップの芽が七つ出た。なんだろう、出所は気色悪いのに、不思議と可愛く見えてくる。苦労した分だけ感動するってやつか。ムラオがあれだけ熱心だったのもうなづける。とりあえずはムラオがまとめてたノートを見返しつつ、世話を続けよう。
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20██年██月██日 天候: 晴れ芽が出てから██日。生えた芽のうちの二つが枯れた。丁寧に世話してやってたのに。なんでだ。ムラオの言うとおりにやってたはずなのに。オレのやり方がまずかったのか。もっと手間をかけないとだめだったのか。別件の取り立ての帰りにチューリップの本を買った。ムラオノートも穴が開くほど見返すつもりだ。これで残りを守ってやる。
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20██年██月██日 天候: 快晴発芽から██日。五本のムラオチューリップがピンクの花を咲かせた。綺麗だった。汗水たらして育てた甲斐があった。ムラオも草葉の陰で笑ってるだろう。でも、花が咲くころが臓器の収穫時らしいので、もったいないけど三本を掘り返す。根っこの腎臓はできていた。でも、二個はやたらと小さくて、一個は形がへしゃげていた。シャチョーには一応メールで連絡を入れておいたが、これは使えないだろう。となると、育てなおしか。面倒だけど、少し楽しみでもあるな。
補遺3: 「氷室金融」の所属員と思しき人物によるSCP-XXX-JP収穫記録(抜粋)
「氷室金融」の所有物件に残されていたタブレット型PCの内部ストレージ内のデータをサルベージしたところ、発見されたデータ群。各年ごとのSCP-XXX-JPの収穫量および総括が、ドキュメントアプリにて記述されている。文書を作成したアカウントは補遺2と共通であり、人称の記述にも類似点が見られるため、補遺2を記述した者と同一人物による記述と思われる。
20██年収穫結果
ムラオ・キドニーピンク: 開花株数=36/収穫=18
タカギ・レバールージュ: 開花株数=5/収穫=2今年も綺麗なチューリップが咲いた。キドニーピンクは軌道に乗ってきている。やはり肥料食物を有機栽培の野菜中心にしたのが功を奏した。初めてのレバールージュ栽培も、植えた種の半分が実った。キドニーピンクのノウハウはレバールージュ栽培でも生かせるようだ。
それぞれのチューリップから収穫した腎臓と肝臓を会社に送ったら、シャチョーが電話してきた。「売り物になる数が少なすぎる」だそうだ。シャチョーは分かっていない。形や大きさがいびつでも、あいつらはしっかり生きて育ったんだ。十分使えるし、なんなら味があっていいじゃないか。個性的な形なら、移植を受けるやつも愛着がわくだろう。とそのまま伝えたら、怒鳴られて電話を切られた。シャチョーは怒りっぽくて困る。
20██年収穫結果
ムラオ・キドニーピンク: 開花株数=55/収穫=27
タカギ・レバールージュ: 開花株数=38/収穫=18
イシモト・サンライトハート: 開花株数=3/収穫=1今年の収穫は一長一短だ。
キドニーピンク・レバールージュの収穫は完全に安定した。今年も色鮮やかな花を、畑いっぱいに咲かせてくれている。
問題はサンライトハートだ。キドニーピンクやレバールージュ以上に扱いがデリケートな上に、種子の実りも多くない。収穫できたのもネズミの心臓かというくらいに小さいものだった。おそらくサンライトハートは、ピンクやルージュとはまた別に、最適な肥料食物があるに違いない。個人的には鉄分を多く含む赤身肉や貝類、食物繊維の多い野菜やきのこ類が良い気がしている。なかなか困難な壁が立ちはだかってきたが、工夫のし甲斐が出てきてわくわくもする。オレの知識と経験に、サンライトハートは応えてくれるだろうか。サンライトハートの花畑は、いったいどんな色を見せてくれるのだろうか。楽しみでならない。
それと、シャチョーが毎度の如く電話してきたが、いつものように返して切った。「女体型の肝臓なんて売れるか」だと。全く、いつになったらシャチョーはオレのチューリップと臓器の良さに気づいてくれるのか。
追記: 畑が手狭になってきたので、自腹で広い土地を買ってそこに畑を移すことにした。広い場所でのびのび育てた方が、チューリップたちも喜ぶだろう。
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7704306 (14 Oct 2021 04:14)
批評ありがとうございます。全体の印象から細かい点までご指摘いただき、非常に助かりました。
一通り修正しましたので、お時間ありましたらお目通しくだされば幸いです。
1.のテーマの繋がりについては、正直自分自身でも前後半でイメージが解離してる気がするなぁ、と思いながら具体的な改善策が浮かんでおりませんでした。が、ご提示いただいた案が自分の中でスパッとハマりましたので、僭越ながらほぼ全乗っかりの形で修正を加えさせていただき、死に瀕しながらもやたら積極的な村尾を繋ぎに使ってみました。
2.については、シュールへの舵切りの思い切りが足りなかったのと自分の発想力不足で中途半端な読み味になってしまっていました……。この点もまた、ご提示いただいた案が非常に腑に落ちたので、再び僭越ながらほぼ全乗っかりの形で修正しました。腎臓チューリップには村尾へのリスペクトを籠めつつ、原則は元となった人の名前を冠するチューリップの品種名(ややセンス×)を付けてみました。
その他ご指摘いただいた点も、個人的には全て頷けるものばかりでしたので、ほぼご指摘の通りに修正させていただきました。
一点、氷室金融のやり口については、ざっくり説明すると「アノマリーを担保=人質として金を貸し、暴利で金を掠め取った上であえて返済しきれないように追い込んでアノマリーを没収、さらに追い込んだ相手に対してアノマリーを担保に金を貸す」のループでいろいろ啜る感じのやり方です。本編内でもその説明を、極力トーンを崩さず入れてみましたが、専門用語が削り切れず、まだわかりにくいかもしれません……。この辺はもう少し寝かせていい表現を考えたいと思います。
様々なご指摘、とても参考になりました。ありがとうございました!
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Technical Moderator of SCP-JP