窓の外がだいぶ暗くなってきた。もうすぐ雨が降るのかもしれない。陽光は雲に遮られ、気温は随分下がっている。
「雨が降りそうですよ」
僕は秋さんに、僕の恋人にそう伝えた。
「そうか」
彼女はコントローラーから手を離さず、小さな画面から目を離さずに答えた。彼女は雨を愛している。雨が3日も降らなければ頭痛がしてくるし、一週間も降らなければ目に見えて機嫌が悪くなる。雨が降れば秋さんは傘をさして散歩に出かけ、いくつかの不足している食料品を買い出しに行く。だからなのか、彼女の肌はひどく白い。雨さえ降れば僕らは愛し合う。雨さえ降れば。
しかしそれから30分経っても雨は降り出さなかった。雲は先程よりも一層暗く厚くなり、今にも雨が降り雷が鳴り出しそうな様相を呈していた。コンビニエンスストアではきっと今頃傘立てが外に出されているのだろう。でも、それでも雨は降り出さなかった。
「てるてる狩り?」
僕はその提案を素敵に思った。いつまで経っても降り出さない雨に少し辟易していたところではあるし、暗い部屋の中、じっと待っている時間にも限界が来ていた。
「いいですね」僕は少し迷ってから言った。「賛成です」
僕らは黙ってベランダに出た。
思い首を回して左右を見渡せば、総勢15にもなる部屋部屋には一様に、まるで何かのオブジェクトの影響のように、てるてる坊主が吊り下げられていたのだった。秋さんはそれを見て小さくため息をついた。僕はひどく陰鬱な気持ちになった。天気のせいか、空気はひどく冷たく、春だというのに秋さんが空に吐いた息は白かった。
「くしゃみをしたら帰ろう」と秋さんは言った。
一足しかない雨靴は片足ずつ二人で履くことにした。僕が右足、秋さんが左足。傘を右手に持った。左手で秋さんの手を強く握った。
僕らはまず右隣の部屋のドアホンを鳴らした。数秒経って、足音を率いて若い男が出てくる。
「はい?」彼は秋さんを、僕を、秋さんを交互に眺めて首を捻った。
「てるてる狩りに来ました」
「てるてる狩りに?」
「ご自宅のてるてる坊主を回収に来ました」
彼はさっきよりもっと首を捻った。
「うちにはてるてる坊主なんてありませんけど」
「本当です。嘘じゃないんです。一度見に行ってみてください」
彼は訝しげに、それでも親切にドアを締めて彼の
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任意A任意B任意C- portal:7674459 (14 Oct 2021 07:29)
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