SCP-3000-JP
財団記録・情報保安管理局より通達
以下の文書は異常性の影響を受けており、いくつかの表現は意図的なものではありません。現在、異常性の除去作業が進行中です。
アイテム番号: SCP-3000-JP
オブジェクトクラス: Safe/ Euclid/ Keter/ Explained/ Thaumiel/ Ain/ Apollyon/ Anomalous/ Archon/ Axiom/ Bakkhos/ Binah/ Cernunnos/ Da'aS Elyon/ Daath/ Dagdagiel/ Declassified/ Drygioni/ Eparch/ Gevurah/ Hariti/ Hod/ Juggernaut/ Kušum/ Malkuth/ Nagi/ Necropsar/ None/ Ogiel/ Pantokratōr/ Pending/ Ticonderoga/ Tiamat/ Truculent/ Uncontained/ Uya/ Yesod
特別収容プロトコル: SCP-3000-JPに発生している爾余災害を除去し、文書を正常に戻す試みが行われます。
SCP-3000-JP以外のSCPファイルは現在、爾余災害を発生させる核となっています。SCP-3000-JP以外のSCPファイルへのアクセスは禁じられています。
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| 異常性の発生した国境線 |
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説明: SCP-3000-JPはSCP-3000-JPの補集合であり、SCP-001-JP〜SCP-2999-JP、およびSCP-3001-JP以降のSCPファイルを要素1に含みます。
SCP-3000-JPに発生した異常は、一種の集合論的異常であると考えられており、集合論における「集合」・「補集合」という概念的枠組みの下に激甚な実存的逆転事象を引き起こします。この結果として、「AとA以外」という関係性にある概念群においてその関係性が入れ替わる現象が発生します。この現象は璽余災害と命名され、研究がなされています。以下はその説明です。
爾余災害は一時的な改変イベントではなく、その効果は永続的なものです。そのため爾余災害によって改変された対象を、何らかの方法によって復元しようとする試みは、継続する爾余災害によって再び改変がなされるために失敗します。
補遺: 以下のログは発生した爾余災害および財団の対応についての記録です。以降可読性のため、爾余災害の対象となった概念を（概念）sと、その補集合を（概念）cと表記します。
| 2022/06/05 | "100円硬貨s・100円硬貨以外の日本の貨幣c"に爾余災害が発生する。全ての100円硬貨が同価値の1円・5円・50円・500円硬貨の集合に置換され、反対にすべての1円・5円・50円・500円硬貨が同価値の100円硬貨の集合に置換される。このイベントによって生じた混乱は、財団による大規模な記憶処理・情報統制によって沈静化される。 | ||||
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| 2022/06/08 | "クリスマスs・クリスマス以外の日c"に爾余災害が発生する。一般的にクリスマスではないとされる日（1/1〜12/24、12/26〜12/31）が全てクリスマスになり、12/25日だけが唯一クリスマスのない日となる。この事件はほぼ全ての人間に認識され、財団による記憶処理・情報統制ではヴェールを維持できなくなる。財団はSCP-2719を用いて、クリスマスを本来の日付に再配置する試みを行ったが、再配置すると同時に再び同様の爾余災害が発生する結果となった。この時点で財団は、これらの概念異常をSCP-3000-JPと分類し、研究・対策を開始する。 | ||||
| 2022/06/15 | "日本s・日本以外の全ての国家c"に爾余災害が発生する。日本以外の全ての国家の領土の所有権が日本のものとなり、日本の領土の所有権は日本以外の全ての国家のものとなった。それにより国境線は大きく改変され、世界的な混乱が発生した。国連の協力の下、国家間で国境線を再定義する試みが行われたが、不明な要因により失敗する。 | ||||
| 2022/06/17 | "FIXED STAR2"に爾余災害が発生する発生は防がれた。FIXED STAR以外の人類が観測可能なFIXED STARが全てFIXED STARへと置換され、反対に本来FIXED STARがあった位置には全てのFIXED STARが集中した。これにより地球の表面温度は100万度を超過し、人類は地球に居住不可能になった。 財団はSCP-INTEGER3を使用し、識別子の抽象化によってFIXED STARとFIXED STARの集合論的区別を無くし、過去に遡って一体化させた。これにより、爾余災害を引き起こすのに必要である「〜以外」という関係性が消失し、爾余災害は発生できなくなった。 | ||||
| 2022/06/19 |
"カントール研究員s・そのほかの人類c"に爾余災害が発生する。地球上のカントール研究員を除く全ての人類の名前・記憶・遺伝子がカントール研究員のものへと置換される。同時に本来カントール研究員が存在した位置に、カントール研究員以外の地球上の全ての人類の名前・記憶・遺伝子を持つ一人の男性が出現する。 このイベントにより、財団の機能は停止する。璽余災害によって生成されたカントール研究員らはSCP-2719やSCP-INTEGERなどを用いた事態の解決を試みるが、O5を含む自身以外の全ての財団職員がカントール研究員自身に改変されていたため、セキュリティクリアランスの問題などによりその試みは難航する。 |
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| 2022/06/21 |
"地獄s・地獄以外の神学的領域c"に爾余災害が発生する。北欧神話的地獄・仏陀的地獄・アブラハム的地獄が地獄ではない形而上・形而下の全ての神学的領域（楽園、霊界、現世、天国）に顕現する。反対に、地獄以外の神学的領域の形而上次元的座標が本来の地獄の位置に移動する。 このイベントによって事実上全人類が地獄に堕ちた。しかしこの前に発生した璽余災害の影響で、1人を除く全人類がカントール研究員（無神教）であったため、神学的憤怒・懲罰・苦難は発生しなかった。 |
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| 2022/06/30 | 現実sの存在は非現実cの存在に、非現実の存在は現実の存在となる。 | ||||
このイベントによって財団・人類・その他の実在は宇宙から消滅しました。そのため、これ以降に発生したイベントの詳細は不明です。しかし、これより前の時点で何らかのアノマリーによって現実から抹消され非現実となっていた複数人の人間が、現実を獲得したことが状況証拠から明らかになっています。彼らはその後、前述の爾余災害によってカントール研究員へと置換されたために、事態を素早く認識することが可能でした。
以下の記録はこれらのカントール研究員らによって作成されたものです。なお、この記録は現実には存在しない言語で記述されていたため、ここにはその翻訳版を載せています。
日時: 時間の概念は消滅している
作成者: ゴッドロープ・カントール
私はゴットロープ・カントール、財団のレベル2研究員。これを読むあなたが誰かはわからないが、とりあえず後世のために、分かったこと記録を残していこうと思う。しかし、私の専門は物理学なので今発生しているような概念系異常には詳しくないのが悔やまれる。
何故私は存在できているのかについて。
私が目を覚ましたとき、周りを見渡してみると、現実にはないような存在が大量に溢れていた。ドラゴン、メンガーのスポンジ、完全な社会主義、1+1=3の概念など。逆に、現実にありそうなものは一つもなかった。なのに何故、私が存在できているのか？私にもわからない。
考察: おそらく私に発生した璽余災害と、現実に発生した璽余災害が影響しあっているからではないか？
何故私はこの記録を書けているのかについて。
英語もフランス語もどの言語も非現実の存在となってしまっている。なのに私がこの記録を書けているのは、璽余災害の影響だ。少し前に、"忘れられたことのある概念や記憶s"と"そうでない概念や記憶cに璽余災害が起きた。これは私が覚えていた記憶を大方消し飛ばし、代わりに忘れられた概念や記憶で私の脳を満たした（このときに、いくつかの実在しない言語の知識を手に入れた）。そして次の瞬間には一度消し飛んだ記憶が再び戻ってきていた。こうなったのは、「忘れられたことのある」という条件がくっついていたせいだろう。しかしどうにもこれは、なにか意図的であるように感じる。
今の私は忘れられたことのある概念や記憶をすべて知っている。それらを参照した結果、どうしてこんな事が起きているのか、どうして私が此処にいるのか、どうして私はこんなことをしているのか、爾余災害が起こされた目的も、その犯人も、何もかもわかった。彼らにとって記憶処理剤は気分のいい存在ではなかったようだ。人間が何かを忘れるのは単なる進化の結果にすぎないが、それは彼らの神経を逆撫でするようなものだったらしい。私達人類は何十万年もの間色々なものを認識し、記憶しては、忘れていった。それは彼らを暗闇に押し込める行為だったのだ。だから彼らは爾余災害という手段でそれを解決しようとしたのだろう。
急ぐ必要がある。
私は死のうとしている。その理由ははっきりしている。
SCP-055、これが爾余災害で消えていないのも、つまりはそういうことなのだろう。かつて私は一度だけこれについての報告書を読んだことがあった。もっとも、その後すぐに忘れてしまったが。しかし、爾余災害のおかげで今の私はもうこれを忘れることはできない。私はこれの重さも、形も、色も、私のこの意思も、きちんと覚えていられる。今の私はこれを破壊できる。魂の幸福のためには世界をリセットされてはいけない。私は、この何も忘れられない世界を保ちたいと思う。
[データ抹殺済]
データを消したところで、私の記憶は消せない。私は傀儡にはならない。
この出来事から不明な時間が経過した後に、1人のカントール研究員の死体がSCP-579の収容チャンバーに閃光を伴って出現しました。爾余災害による影響も含め、現実の状態はほぼ全てが2022/06/05以前の状態へと復元されました。このイベントの結果として、SCP-001-JP〜SCP-2999-JP、およびSCP-3001-JP以降のSCPファイルcの全ての情報が当ファイルに移動し、また、本来それらがあるべき全てのSCPスロットには、SCP-3000-JPファイルsが代わりに挿入されていました。財団記録・情報保安管理局はSCP-3000-JPという名辞を用いてSCP-001-JP〜SCP-2999-JP、およびSCP-3001-JP以降のSCPファイルを一律に指定することで、アイテム番号欄と説明欄を簡約化することに成功しました。しかし、SCP-3000-JPに発生した爾余災害そのものを除去することには成功していないため、文書の異常性の一部は残存したままとなっています。
付与予定タグ: 3000jp esoteric-class jp scp 概念 k-クラスシナリオ
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任意A任意B任意C- portal:7664517 (04 Oct 2021 14:49)
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