意識が戻ると見知らぬ狭い空間に連いることに気づく。
「起きましたね。」
目の前には中性的な容姿の人間が近未来的な空間に座っている。
奥には何かを操縦している同じような人間が見える。いわゆるコックピットなのであろうか。
……コックピット?
「おい待て。ここはどこだ?」
「動かないで下さい。上官よりそのように指令が下っているので。」
私は目の前のタイプ・グリーンに降伏を申し出て……
「ああ。あの列車ですが、そもそも襲撃の目的はあなたの奪還だったので、あのまま放置しているのであの人たちには危害を加えるつもりはありませんでした。恐らく誰かが救出したでしょう。……こちらはかなり損失が大きかったのですがね。あなた方のせいで生類創研さんの現実改変兵器が複数体破壊されてしまいました。」
無機質な声でそう私に言う。
「だから何だというんだ。」
「あなたにそこまでの価値があるとは考えられないので、リソースの使いすぎだと私は思いますね。」
私は助かって安心とは言えない境遇であることは分かった。
恐らく、財団に連れていかれている。そして、私は敵対組織に匿われていた。何かはわからないが、まずいことになるのは確かだ。
「君は何者なんだ?」
「そっくりそのままあなたにお返しします。あなたは何者なんですか?」
「別次元から来た財団職員、と言えば端的だろうか。」
驚いた様子で彼は私を見る。彼の眼は透明感のある水色だった。
「なるほど。あなたを狙う理由がわかりました。」
勝手に納得されてしまった。
「私の質問にも答えてくれ。」
「ああ。そうでした。私は東弊重工に所属している……」
「距離13km、不明な実体を確認しました。速やかな対応を。」
彼は立ち上がり、コックピットの方へと動き出す。
「アンダーソン・ロボティクスとの共同研究によって開発された人型アンドロイドです。」
「実体、識別子不明です。早急な解析を。」
私を監視していた実体がアンドロイドであるということは、恐らくコックピットに座っている人物もそうなのであろう。
「識別子不明?ということは流入者の可能性が高い。」
流入者ということは私のような人物だろうか。
ふと、友人のことを思い出す。仮に私のようにカオス・インサージェンシーなどに保護されていた場合、機動部隊経験のある彼なら生きていけるだろう。問題はどこにいるかだが……
考え事をしているとアンドロイドがこちらを見ていることに気付く。
「心当たりがあるのか?」
私を見る。
「ああ。私の友人が私より3ヶ月前にこの世界に渡来している。」
「なるほど。流入者は多いが、可能性はある。精細な画像を用意してくれ。」
「この世界では私たちの使っているこのロボット兵器は我々が頻繫に使っている兵器であるから、前々からこの世界にいる人物なら近づいても驚きはしないだろう。逆にそうでなければ大いに驚くだろうな。」
私が乗っていたのは前に司令から聞いたロボット兵器であったようだ。
ただ、結局のところ精細な画像は個人の特定まではいかなかった、というのが真相だった。しかし、その人物の外観は彼……いや機械たちによると、見たことがないものだったようだ。ただし一つだけわかったことがあった。重武装であった、ということだ。
「彼は本当に重武装だったんだよな?」
「ああ。高ヒューム環境下への特殊装備を装備していた。間違いない。」
「そうか。再度接近開始。」
赤黒い大地を進む大きな機体は不振なことに全くと言っていいほど揺れはしなかった。
「距離2kmまで接近。以前として対象に変化は表れません。」
「ハズレだったみたいだな。」
そう発言したその瞬間。
コックピットと逆方向から破砕音が響く。
私は寝かされていた白いベットから降り、その下へと避難する。アンドロイドは椅子の裏へと瞬時に隠れる。
恐らく後部の壁をぶち破って入ってきたのであろう白い煙が充満する。男と見られる影が確認できる。
アンドロイドたちは銃器を取り出す。そして、容赦なく発砲する。
男の影は霧中へと消えた。
私は柊司令にもらった特注のリボルバーを手に取る。
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任意A任意B任意C- portal:7636440 (03 Sep 2021 11:02)
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