Minecraft入門 - SCP-JPサンドボックスⅢ

Minecraft入門

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「Minecraft部門?」

ヘンリーは驚き、怒りを覚えた。無理もない、突然呼び出されてこんな話をされたら誰だって激怒するだろう。ヘンリーは子供のように尋ねた。「Minecraftとはあのゲームの事か? 4335を収容するための専用の部隊が必要ということ? それともあれを用いた新しい収容法ができると? 君はふざけているのか? あのお子様向けクソッタレゲームのどこが画期的な収容法なんだ?」

無符は話を遮った。「失礼、説明が足りていなかったようですね。Minecraftやそのマルチプレイサーバー上では日々新しいアノマリーが生まれており、我々は理念上それらの収容を行う必要があります。4335はあくまで一例です。貴方は、popbobやletters networkについてご存知ではないでしょうか?」

「そのようなアノマリーは聞いたことがない。」ヘンリーは声を荒らげた。「君の無駄話にはうんざりだ。一体全体、君はこんな提案が通るとでも思っているのか?」

「それは、貴方がMinecraftに対して無知だからですよ。IT部門の職員ならそれくらい知っておくべきです。」

「オーケー、オーケー。」ヘンリーは馬鹿にするように言った。「そのゲームには多数のアノマリーがあり、我々はそれに対処しなければいけないってことね。ごもっともな意見だ。でも、財団はあくまで官僚組織だ。君は我々がそれにどの程度の予算を敷けると思う?」

「つまり、私のアイデアは悪くはないものの、金銭的事情で割に合わないと?」

「それなら話は早い。Minecraftというゲーム自体を収容すればいいんだ。」ヘンリーは言った。

「それについては、渉外部門の方々が何度もマイクロソフト社と交渉しました。しかしながら、向こうはどうやら自分達の最高傑作であるゲームを手放したくないようです。フロント企業による買収も現実的ではありませんし、何よりマイクロソフトは世界一の大企業です。それこそ予算の問題があります。」

「話を戻しますね。"レターズ・エンターテインメント"の事業の一環で運営されている、"Letters Network"というマルチプレイサーバーがあります。このサーバーにおいてゲーム内の異常は、通常のゲームとは異なりごく普通のことです。詳細はこちらの資料をご覧ください。」彼が自身の端末をヘンリーの方へ向けると、たった今彼が引き出したファイルが見て取れた。

Ambrose Minecraft

概要

紳士淑女そしてNPCの皆様、お待たせいたしました。アンブローズレストランチェーンが提供する世界初のバーチャル・レストランが、2016年5月、遂にMinecraftサーバー"Letters Network"上にオープンします!!

ええ、NPCではない一般プレイヤーの皆様もご安心下さい: 当店にて食べることが出来る料理の全ては、特殊な調理法によりゲーム内で食べた瞬間に現実の身体に味が行き渡るようにされています。無論、調理法は企業秘密なのでお答えできませんが、伝統あるアンブローズ社の名を以て味は保証します。

第一コース

32エメラルド、又は$2.49

ラム肉ステーキ ー寒冷なツンドラ地帯で育った上質な羊を使用して作ったものです。添加物は一切入っておりません。デミグラスソースを付けて食べてみてください。
パンーアンブローズ・レストランの超一流シェフたちによる最高級の料理を持ってしても、越えられない壁というものがございます。ーそれは伝統です。如何に新しい技術が発展したところで、それらが最初に作られた頃の”基盤”は越えようが無いのです。本料理は人類の料理の一番の基盤とも言えるパンを出来る限り原始時代のレシピに近い方法で作成したものです。
腐った肉 ーゲテモノ料理に興味がなくとも、当料理には食べる価値が十分にあると思います。ええ、お客様を馬鹿にしているわけではありません、そんなことのために料理を腐らせたって何もメリットがないでしょう。当料理は珍味を味わうために意図的に腐らせられたものであり、腐敗肉ではなく醗酵肉です。その点ご了承下さい。
エンチャントされた金のリンゴ ーアダムとイヴに知性を与えたリンゴ、ニュートンに真理を与えたリンゴ、そしてスティーヴ・ジョブズによるリンゴ。人類の歴史は常にリンゴとともにあると言っても過言ではありません。当料理は、特殊な食用金箔でリンゴをメッキ加工したものです。スライス・コンポートも提供しておりますが、ここではあえて生で齧り付いてみるのもいかがでしょうか。

「何だこれは。」ヘンリーは呟いた。「何を言えばいいのか分からない。まず、Minecraft上での食事が現実世界に影響するようなことがあり得るのか。」

「ふざけた内容ですが、これは実際にGOCによる調査によってリークされたアンブローズ・レストランの公式文書です。間違いなく彼らはMinecraftに存在する村人を相手に商売をして稼いでいますね。」

「そんなバカげたことがあり得るのか? Minecraftの村人の実態はただの単純なNPCだぞ。」

「ですが、夢の中に登場するNPCが全て意識を持っている事が判明した以上、この仮説を頭ごなしに否定することは出来ません。」

「つまり、Minecraft自体が明らかに異常な存在であり、その上でそれを複数のGoIが悪用しようとしているため、それを阻止するためにMinecraft専門の部門を立ち上げることが必要だと?」

「要するにそういうことです。夢の中で有ろうと、ゲーム上であろうと、異常存在の収容という我々の理念は変わりません。」

「分かった。O5には私の方から伝えておく。」

「了解しました。」