アイテム番号: SCP-2210-JP
オブジェクトクラス: Euclid Archon Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-2210-JP-B群はサイト-8141の低脅威物品収容ロッカーに収容されます。
説明: SCP-2210-JPは"https://www.████████.com"というURLに存在する異常なウェブサイトです。トップページには以下の文章が記入されています:
犯罪被害情報共有・解決援助サービス
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SCP-2210-JPの異常性は、SCP-2210-JP内に実際に犯罪被害についての情報を投稿した際に発生します。その際、投稿された犯罪事例の加害者に相当する人物(以下、加害者)には以下の現象が発生します。
- 加害者が犯した犯罪の内容、並びにその犯罪のせいで被害者が現在陥っている状況についての情報が記入された文書が、加害者の手元に突如として出現する。
- その数分後、加害者の元に異常な人型実体(以下、SCP-2210-JP-A)が瞬間移動し、加害者が犯した犯罪に対して叱責する。加害者は多くの場合、突然の出来事に戸惑い、懐疑的・反抗的な感情を見せる。
- 加害者の元に被害者が瞬間移動する。この際、加害者・被害者ともに戸惑いを見せる。SCP-2210-JP-Aは加害者に、被害者に対し謝罪を行い、一定の金額を払うように指示する。この際、加害者がその指示を実行、または明確・間接的問わず指示を拒否した場合、SCP-2210-JP-Aはその場から消滅し、被害者は元の場所に戻される。
- SCP-2210-JP-Aの指示に加害者が従った場合、SCP-2210-JP内の加害者の犯した犯罪に関するページにこの事案は解決したという事が記述される。なお、SCP-2210-JP-Aの指示を加害者が拒否した場合のみ、上記のイベントから数分後に加害者の顔写真・住所・電話番号等の個人情報が、SCP-2210-JP内の加害者の犯した犯罪に関するページに公開される。
SCP-2210-JP-Aは"犯罪者抹消弁護戦士 ジュディシャル・ブラウン"を自称する人型実体です。未知の金属と繊維から構成される、茶色を基調とした装甲服及び複数の異常な装備(以下、SCP-2210-JP-B)を身に着けています。以下は財団が確認しているSCP-2210-JP-Bの機能の一覧です。
番号 | 説明 |
---|---|
SCP-2210-JP-B-1 | 装甲左腕部に装着された装置。SCP-2210-JP-Aは「フライヤーメーカー Mk.II」と呼称している。簡易的なAIを搭載しており、音声入力を行うだけで瞬時に標準的なフォーマットに沿った法的書類を生成・印刷できる。なお、出力された法的書類そのものには異常性は見られない。 |
SCP-2210-JP-B-2 | 装甲頭部に装着されたウェアラブル端末。SCP-2210-JP-Aは「悪者レーダー Mk.II」と呼称している。SCP-2210-JPに投稿された犯罪行為に関する情報及び、自身の周囲で発生した犯罪行為に関する情報を感知する機能を持つ。 |
SCP-2210-JP-B-3 | 装甲右腕部に装着された携帯電話型の小型装置。SCP-2210-JP-Aは「通報テレフォン Mk.II」と呼称している。圏外の影響を受けずに警視庁に通話をする機能、任意の人間をSCP-2210-JP-Aが位置する場所にテレポートさせる機能、及び電話通話に強制的に割り込む機能等が搭載されている。 |
上記の「SCP-2210-JP-Aが出現する」というSCP-2210-JPの異常性は、SCP-2210-JP-A自身が財団に収容されたことにより現在失われており、SCP-2210-JPの現存する異常性は「犯罪加害者の個人情報が特定され公開される」という現象のみとなりました。このためSCP-2210-JPは他オブジェクトの収容に有効利用可能なオブジェクトだと判断され"パノプティコン・プロトコル"が制定されました。(詳細は補遺2を参照)
補遺1: SCP-2210-JP内投稿記録 (SCP-2210-JP-A収容以前の記録のみ抜粋)
以下の文書群は、SCP-2210-JP上の犯罪被害に関する投稿の転写及び、その犯罪の加害者に対しSCP-2210-JP-Aが請求した金額の記録です。なお、全ての記録がSCP-2210-JP上に記述されたものの転写であるため、虚偽の情報が含まれる可能性もあり、またSCP-2210-JP-Aが財団に収容される以前に記録されたものであることに留意してください。
事例01
発生日時: 201█/██/██
加害者の本名: ██ ██, ███ █
被害者の本名: (匿名希望)
被害の内容: 中学生時代に██ ██氏に数ヶ月に渡り「死ね」「地獄に堕ちろ」等と罵倒され、一日何発も殴られた。ある日衝動的に殴り返してしまったら、自分だけが悪いように言われた。教員の███ █氏は現場を目撃していたにもかかわらず無視し、殴り返してしまった後は自分を悪者に仕立て上げた。
請求された金額: 200,000円(██ ██氏), 400,000円(███ █氏)
結果: ██ ██氏及び███ █氏は被害者に謝罪し、請求された金額を支払った。
事例02
発生日時: 201█/██/██
加害者の本名: ██ ██
被害者の本名: (匿名希望)
被害の内容: 自分の上司であった██ ██氏に理不尽な説教を繰り返され、反論をしたら何回も殴られた。
請求された金額: 300,000円
結果: ██ ██は被害者に謝罪し、請求された金額を支払った。
事例04
発生日時: 201█/██/██
加害者の本名: 鷹丸不信用金庫
被害者の本名: 岡本 健三 (GoI-8102"有村組"の一員の本名と一致。)
被害の内容: 口座を発行しようとしただけであるにも関わらず、新聞等に自身の個人情報や過去に行った不祥事等が記述された広告を出され、名誉を毀損された。
請求された金額: N/A
結果: SCP-2210-JP内の加害者に関する犯罪被害ページに、「反社会的勢力に対する弁護はお断りします」という記述がなされ、金額の請求は行われなかった。
事例09
発生日時: 201█/██/██
加害者の本名: ██ ██ (収容以前のSCP-999-JPの本名と一致。)
被害者の本名: 雪島高雄 (名字のみSCP-1645-JP-1と一致。)
被害の内容: ██ ██氏の現実改変能力により自身の娘が自動車事故で死亡し、さらにネット上で自身の娘に対する誹謗中傷が行われ、自身の妻までもが自殺をした。
請求された金額: 999,999円
結果: SCP-2210-JP内に個人情報の開示が行われなかった一方、解決されたということも記述もなかったため、不明。
事例10
発生日時: 201█/██/██
加害者の本名: "博士"
被害者の本名: ワンダーテインメント博士
被害の内容: "博士"に複数の自身の著作物の権利を侵害され、自身を侮辱するような虚偽の記述まで行われた。
請求された金額: 1,000,000円
結果: SCP-2210-JP内に個人情報の開示が行われなかった一方、解決されたということも記述もなかったため、不明。特筆すべき点として、当事例の発生から█日後、財団フロント企業に買収されている放棄された東弊重工の工場から「博士のにぎやかしバクダン」と記述された手榴弾型の物体が発見された。現在その物体はAnomalousアイテムとして収容されている。
補遺2: パノプティコン・プロトコル
SCP-2210-JP-A及びSCP-2210-JP-B群が財団に収容された後、SCP-2210-JPの「犯罪被害に関する投稿をした場合加害者の元へSCP-2210-JP-Aが出現する」という異常性は消滅し、SCP-2210-JPの現存する異常性は「犯罪加害者の個人情報が特定され公開される」という現象のみとなりました。このことから、SCP-2210-JPの多くの異常性の根源はSCP-2210-JP-A及びSCP-2210-JP-Bであったという結論が付けられました。当初、SCP-2210-JPはサイト自体へのアクセスを不可能にし、データのバックアップを収容するというプロトコルが採用される予定でしたが、██博士の「SCP-2210-JPは存在自体が隠蔽されているオブジェクトの発見に有用なのではないか」という指摘により、パノプティコン・プロトコルが考案され、実際に制定されました。
当プロトコルではSCP-2210-JPの特性を利用し、何らかの要因で存在自体が隠蔽されているオブジェクトの発見を容易く行えるようにします。具体的な内容は以下の通りです:
- SCP-2210-JPはオブジェクトクラス"Archon"に指定され、意図的に未収容状態に置かれる。
- SCP-2210-JP上に異常犯罪の被害に関する情報が投稿された場合、投稿された情報に基づき、即座にフィールドエージェントによる民間人へのインタビューや協力的な要注意団体との連携捜査等による徹底的な調査を行い、根源となるオブジェクトまたはPoIを収容する。なお、投稿された異常犯罪の被害に関する情報体は転写を取った上でSCP-2210-JP上からクラッキングを使用して削除する。
- 異常犯罪の被害に遭い、そのことをSCP-2210-JPに記述した民間人に対しては、通常通りの記憶処理及びカバーストーリーの適応を行う。
- SCP-2210-JPに関するポスター・パンフレット等の資料を作成し、民間人によるSCP-2210-JPの利用を促進する。
- 財団に敵対的な要注意団体、及び反社会的勢力との関わりが見られる要注意団体によるSCP-2210-JPの閲覧を、DNSサーバー上のIPフィルタリングにより遮断し、異常存在に関する情報が一切存在しない同名のダミーサイトへリダイレクトするようにする。これは要注意団体によりパノプティコン・プロトコルの存在が感知されることを防ぐためである。
なお、パノプティコン・プロトコルの制定後、日本支部内で年内に発見される異常存在の平均数は226件から889件へ大幅に増加し、一方で異常存在による一般市民の被害は年間85件から12件に減少したという報告がされています。
補遺3: 事件記録2210-JP-A
201█/02/██、「シノビ・ネイビー」を自称する、装甲服を着用した人型実体(PoI-8523と指定)によるサイト-8114への襲撃事案が発生しました。PoI-8523はSCP-2210-JP-Aの収容室へと続く廊下の一角で初めて存在が確認され、そこに至るまでの侵入経路は不明です。なお、PoI-8523はこの後に発生した事件記録-2031-JPにも関与しており、その際に死亡が確認されています。
以下はその際の映像記録の抜粋です。
<記録開始>
[PoI-8523がSCP-2210-JP-Aの収容室の扉に金属片を接触させる]
[収容室の扉が解錠され、PoI-8523が収容室内に侵入する]
PoI-8523: シノビ・ネイビー、参上。
SCP-2210-JP-A: [2秒間の沈黙] やはりか。本部の皆とAIT3のガキどもにはすまないと伝えてくれ。俺は大丈夫だ。ここではタダ飯だって食えるし、それに…
PoI-8523: [相手の発言を遮る] おいおい、君がそんな事じゃどうするんだ。君には守るべき人々がいるだろ?
[機動部隊が収容室に続く廊下まで到着する]
SCP-2210-JP-A: それに、お前も捕まってどうするんだよ。
[PoI-8523が丸薬状の物体を廊下へと投擲し、収容室の扉を閉じる。丸薬状の物体から煙幕が発生し、機動部隊員が嘔吐、失神する(後に不明な成分を含む有毒ガスと判明)]
PoI-8523: 俺は見てのとおり大丈夫だ。それにもし俺が捕まっても、助けたお前が意思をついで俺の分も戦ってくれればいいだろ。捕まったって殺されるわけではないし。
SCP-2210-JP-A: [3秒間の沈黙] お前、そこまでして俺を助けたいのか。
PoI-8523: 当たり前だろ。
[PoI-8523がSCP-2210-JP-Aに対し、SCP-2210-JP-B-3に酷似する機械を渡す。]
PoI-8523: さあ、行くぞ。
[突然SCP-2210-JP-Aが、自身の頭部をSCP-2210-JP-B-3に酷似する機械で殴打する。]
PoI-8523: お、おい、お前、何をする
SCP-2210-JP-A: 結局、一番の犯罪者だったのは俺が倒した奴らでも、財団でも俺達の本部でもなかった。俺自身だったのさ。
[SCP-2210-JP-Aは殴打を繰り返す。PoI-8523は動揺する。]
[PoI-8523がスマートフォン状の端末を取り出し、未知の人物と会話し始める。]
PoI-8523: はい、こちらシノビ・ネイビー。只今財団の人質に取られたジュディシャル・ブラウンのもとにいます。ジュディシャル・ブラウンは現在発狂しており、脱出のために与えられた道具を使用し自傷行為を行なっています。このままだと、大量出血で致死するため、救命士の派遣を願います。場所? えっと…… GPSマップを見てもらえばわかると思います。応急処置? いえ、知識が無いため事故につながると怖いので、一切行っていません。はい、すみません、ありがとうございます。
[およそ1分間の沈黙後、SCP-T5HM-JPが銀色の自動車に乗って出現する。財団サイト内部へ自動車を侵入させた経路は判明していない。なお、この時点でSCP-2210-JP-Aは一切の行動を停止しており、既に死亡していたという可能性が高い]
SCP-T5HM-JP: ピディアトリクス・シルバーだ。待たせたな。もう大丈夫だぞ。
[SCP-T5HM-JPはSCP-2210-JP-Aを担架に乗せ、銀色の自動車に運び入れる。PoI-8523も自動車に搭乗し、自動車は不明な手段でポータルを開き、財団サイト外部へ瞬間移動する。]
<記録終了>
補遺4: 無力化
事件記録2210-JP-Aから3日後、SCP-2210-JPは突如として無力化されました。SCP-2210-JPに過去投稿された情報は全て削除され、新たな情報を投稿する事も出来なくなっています。SCP-2210-JPのトップページは、以下の文章のみが記述されたページに改変されました。
犯罪被害情報共有・解決援助サービス
は201█/02/██を持って正式にサービス終了しました。
当サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
当サービスの運営を務めております「人工知能研究サークル」は、経済的・社会的事情からこれ以上の管理運営は現実的に不可能だと考えました。このため、誠にご勝手ながら、201█/02/██を持ちまして「犯罪被害情報共有・解決援助サービス」を終了させていただきます。
今回の企画を通じて、利用して頂いた方々の「犯罪に対する強い怒り」や「社会的弱者に対する同情」等を感じ、スタッフ一同も大きな励みになりました。これ以降も長らくお付き合いさせていただきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
また、当サービスの管理運営にボランティアとして参加していただいた弁護士のジュディシャル・ブラウン様には、スタッフ一同、大変感謝しております。誠にありがとうございました。
SCP-2210-JPの無力化に伴い、パノプティコン・プロトコルは終了しました。SCP-2210-JPのトップページはアーカイブされた上でインターネット上から削除され、関係を持った民間人には記憶処理が施されました。SCP-2210-JPはNeutralizedに再分類されます。
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任意A任意B任意C- portal:7627731 (29 Aug 2021 10:56)
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