すみません。
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アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの土地及び店舗は財団のフロント企業が買収し、SCP-XXXX-JP-Aの発生する法則性並びにSCP-XXXX-JP-Bとなる人物の条件を探る目的で、担当職員の管理下の元これまで通りの営業が継続されます。新たなSCP-XXXX-JP-Bが確認された場合、インタビューを行いSCP-XXXX-JP-Aに関する情報を収集してください。

SCP-XXXX-JPは無期限に閉鎖され、実験を除く許可無き立ち入りは禁じられます。内部には随所に集音装置が設置され、担当職員は装置にて確認されたSCP-XXXX-JP-Aを適宜記録してください。現在SCP-XXXX-JP内部に立ち入った人物に対しては、その人物の過去の経歴に関わらず即座にSCP-XXXX-JP-Aが発生することが確認されています。実験に際して内部に立ち入る必要がある場合、SCP-XXXX-JP-Aには応答せず、無視を続けてください。

説明: SCP-XXXX-JPは、東京都████に位置する飲食チェーン「大衆居酒屋べらぼう」██店です。財団にその異常性が認知される2020/08/18までは、株式会社██フーズにより管轄、経営が為されていました。

SCP-XXXX-JP内部では営業時間中である午後5時から午後12時にかけて不定期に、人の声と思しき音声が発生します(以下この音声をSCP-XXXX-JP-Aと表記)。SCP-XXXX-JP-Aを知覚出来るのは、後述する条件を満たした人物(以下この人物をSCP-XXXX-JP-Bと表記)のみです。当初これはSCP-XXXX-JPに勤務している従業員の一部に限られており、財団職員の中にSCP-XXXX-JP-Bとなる人物は確認出来なかったため、SCP-XXXX-JP-Aの直接的な観測は不可能でした。SCP-XXXX-JP-Bに行ったインタビューから、SCP-XXXX-JPは一貫して「男性のくぐもった声である」、「店内の何処から聞こえているのかはっきりしない」、「声は『すみません』と自身に呼び掛けて来ている」ことが明らかになっています。

SCP-XXXX-JPは2020/08/12以降、勤務していたSCP-XXXX-JP-Bらによって「確かに『すみません』と声を掛けられたのに呼んでいるお客様が見当たらない」旨が継続して訴えられていることを、警察署に潜入中の財団職員が聞きとめたことからその存在が発覚しました。財団は当初これを、集団幻聴若しくは従業員による悪戯と見ていましたが、SCP-XXXX-JP-Bの主張に整合性が取れていること、及び各SCP-XXXX-JP-Bの精神状態は幻聴を及ぼすレベルの不安定さではなかったと目されることから、08/18に異常存在であると認識、SCP-XXXX-JPにナンバリングされ現行の旧版の特別収容プロトコルが充てられました。


以下は収容直後に行われた、██店店長本田和雄氏へのインタビュー記録です。

インタビュー記録XXXX-JP-1 - 日付2020/8/22

インタビュアー: エージェント・盛田

対象: 本田和雄


≪記録開始≫

インタビュアー: それでは水野さん。近頃このお店の従業員の皆様が耳になさっているという声について、改めてお話をお聞かせいただきたいのですが。

対象: はあ。……あの、皆さんは警察の方、でしたよね。これってあれですか、事件かなんかに関わる取り調べだったりするんですか?

インタビュアー: いいえ、以前そちらより通報があった旨について、子どもの悪戯ではないかとか心の不安はないかとか、より詳細な話を伺いたいだけです。私のことも警察官だと思わず、気軽なお悩み相談みたいなものと思ってお話ししていただいて結構ですよ。

対象: なるほどねぇ……。でしたら俺じゃなくて、是非うちのバイト連中にカウンセリングでもしてやってくださいよ。アイツらが言ってる「すみません」って呼んでくる声なんか、実在する訳ないんですから。何度聞き間違いだ、接客やってたらよくあることだって言っても耳を貸しやしないんで、正直参ってたんです。しまいにはノイローゼだの何だの訴えてきたり、勝手に飛んじまう奴らまでいてね。いや別に代わりは幾らでもいるんで辞めたきゃ辞めればいいんですけど、この調子で人員に穴が空いてたら店はうまいこと回せないし、商売上がったりなんですよ。

インタビュアー: ほお。実際に被害を訴えている方も多くいらっしゃるということは、やはり声というのは本当に聴こえているのではないでしょうか?

対象: いやいや、いやいやお巡りさん。もうちょっと頭良く考えましょう? 十中八九アイツらが神経質になってるだけなんですって。現に聴こえないって言ってる連中は本当にケロッとしてるんです。百歩譲ってそういう声が本当に聴こえてたとしても、大方隣の店の客とか、たまたま表を歩いてた人の会話とかが流れて来たっていうだけのオチですよ。まともに取り合うだけ時間とお給料の無駄ですから。

インタビュアー: そうは言いましても、店と店を区切る壁の厚さが一定の防音性を担保していることは調査済みです。外部の話し声も、勿論飲食街なので人通りは絶えず確認出来ますが、入り口を締め切っているこの時期に店内まで聴こえて来ることは考え難いと思うのですが。

対象: いや知りませんってそんな詳しいことは。じゃあどうせ口裏合わせの嘘でしょう、シフトを削られた腹いせとかじゃないですか。あの、もういいですかね、そろそろ店開けなきゃなんで。

インタビュアー: ……分かりました。それでは私共の方で、アルバイトの方々にもお話を聞いてみてよろしいでしょうか?

対象: はいはい、どうぞご勝手に。誰に聞いたってどうせ何も喋りませんから。兎に角今日のところはお帰り願えませんかね。もうすぐ予約の団体さんが来るんですよ。折角の稼ぎ時がパアになっちゃうんで。

インタビュアー: かしこまりました。それでは本日はここまでとします。ありがとうございました。

≪記録終了≫


このインタビューの後、SCP-XXXX-JPに勤務していたアルバイトスタッフ全員にインタビューを行った結果、在籍していたスタッフ8名とSCP-XXXX-JPを事由にスタッフを退職した4名、計12名のSCP-XXXX-JP-Bが確認出来ました。彼等の年齢層や性別、性格や履歴に目立った共通点は確認出来ず、SCP-XXXX-JP-Bとなる条件も見出すことは出来ませんでした。また「『すみません』という声が聞こえるようになったことに心当たりはあるか」という旨の質問には、12名全員が共通して「心当たりは全く無い」と回答しています。以下に掲載するのはその中で、特筆すべきと見られる情報が確認出来た岡島真由美氏へのインタビュー記録です。

インタビュー記録XXXX-JP-5 - 日付2022/8/24

対象: 岡島真由美氏

インタビュアー: エージェント・盛田

付記: 岡島氏はSCP-XXXX-JPが開店した2020/6/5よりホールスタッフとしてSCP-XXXX-JPに勤務していました。


≪記録開始≫

[前略]

インタビュアー: では岡島さんは、勤務中に聞こえるとされる声を聴いたことがないし心当たりも全く無いと。

対象: ……だから、さっきから何度もそう言っているじゃないですか。ここ最近ずっとお店に来てうちのスタッフにおんなじこと聞いて回ってるみたいですけど、私の答えも皆と同じです。

インタビュアー: 恐れ入ります。ですが我々にはこの現象を分析する為の判断材料が無さすぎる。どんな些細なことでも構わないので、このお店のことで気付いたこととか「なんか変だな」と思ったことがあれば、お教え願えませんか。

対象: ……あなた達、本当に警察の人なんですか? こんなこと言うとあれですけど、ただの噂話に執着し過ぎてるし、最近の事情聴取みたいなのは職権濫用な気がするんですけど。

インタビュアー: ……少し質問の角度を変えましょう。このお店のことと、あなた自身にも関わることです。

対象: [大きく溜め息を吐く]だから、何も知らないって   

インタビュアー: 村上一輝という方を覚えていますか?

対象: [1分間の沈黙]

インタビュアー: 覚えていらっしゃいますね? そうでなくてはおかしい。件の怪奇現象が騒ぎになるちょうど1週間前にここのアルバイトスタッフを退職したあなたと同じオープニングスタッフで、そして他のスタッフの方からのお話から察するに、あなたと親密な仲であった男性の名前です。

対象: ……皆からはそう見えていた、ってだけの話でしょう? 見当違いなこと言わないで。

インタビュアー: 付き合っていた付き合っていないの水掛け論には拘泥しません。重要なのは、真面目な勤務態度であった筈の彼が8月5日を境にアルバイトを「飛んで」、以降誰とも連絡がつかなくなっているということです。履歴書の住所欄に記載していたアパートは既に家賃未納で引き払われてあり、父母を含めた親族も彼の行方が分かっていない。

対象: [40秒間の沈黙]そう、らしいですね。私には何の関係もないことです。

インタビュアー: 本当ですか? 村上さんがアルバイトに来なくなった5日、シフトに入っていたのは店長を除くホール、キッチンスタッフ合わせて13名。うち12名が「『すみません』という声が店内から聴こえてくる」と訴えているんです。……あなただけなんですよ、声が聴こえないと言い張っているのは。

対象: 私が、嘘をついてるって言うんですか? いい加減にして、これは何の尋問なんですか!?

インタビュアー: 1人の未来ある若者が突如失踪している、明確な事件に関する聴取です。店長は何も知らない分からないとシラを切り続けています。岡島さん、どうか本当のことを話していただけませんか。

対象: [3分間の沈黙の後、小声で]なんでもっとはやく動いてくれないの。

インタビュアー: なんですって?

対象: 知りません。私は、何も知らないんです。彼とはもう別れました。LINEもその時消したし、連絡先ももう分かりません。

インタビュアー: 岡島さん!

対象: もう私には関係ないんです!お願いだから、これ以上何も聞かないでください!

[以下、無関係な会話が続く為後略]

≪記録終了≫


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