かきおき

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クレジット

タイトル: かきおき
著者: ©ashimine
作成年: 2022

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思い込みって怖いね、って話なんですけど。

昼は、よくそこのお店で食べてるんです。

チーズソースのオムライスが丁度いいサイズで値段もお手頃で。僕みたいな苦学生の味方でした。

その日は平日だったんですけどお昼時なんで結構お客さん入ってて。

入り口のところでそのまま4、5分くらい待たされたんです。

することもなかったんでぼおっと店に入ってるお客さんを眺めてたら、厨房近くの席に座ってた1人のおじさん、30後半だと思うんですけど、その人が荷物持ってレジに歩いて行ったんですよ。

ああ、このおじさんが座ってた所に案内されるだろうなって思ってたら、案の定店員さんにそこの席に誘導されて。

座った時点で何頼むかは決めてたんですけど、お水運ばれるまでのポーズで、何となくメニューをめくってたんです。

そしたらふと、紙ナプキン、どこの店にも置いてるでしょう、あれが目に入って。

ほら、人見知りの女性とかだと直接店員さんに話す代わりに、それに注文とか用事を備え付けのボールペンでメモして渡したりするんですよ。

その手に取る1番前の紙の端っこに、何か書いてるのが見えたんです。

何だろなって気になって。もしかしたらさっきのおじさんが、何か店員さんに伝え忘れたのかもしれないって思って、引き出して、書いてる内容を見てみたんです。

「はがはいってないんですけど」

そう、書いてました。

「ご注文、お決まりですか」

気が付いたら、お水をテーブルに置いた店員さんに言われて、反射的にいつものオムライスを頼んでて。

彼女が厨房に引っ込んでいくのをぽかんと見送った後、ふとテーブルに目をやって気付いたんです。

メモがなくなってました。確かに置いてあったはずなのに。

まさか、持って行かれたのか。そう考えた時に、厨房の奥から、声が聞こえてきました。

「お客さん、くちになかったみたいです。」

さっきの、店員の声でした。

暫くしたら、いつも通りのオムライスがやって来て。

それを食べながら、ここまでの色々なことについて、考えたんです。

多分、葉のことだったんだなって結論付けました。

パセリかミントか何か、オムライスにそんなの入ってないんですけど、おそらくそういう葉っぱが添えられてなかったとか、そういうあれだろうな、って。

いや、いやいやいや。

それは、考え過ぎです。絶対。

店員さんの言葉だって、そう、「お口に合わなかった」を書き間違えたんですよ。

世の中、不思議なことなんてそうそうありません。大体が考え過ぎ、変な話の読み過ぎです。

つまり、何が言いたいかっていうとですね。

あなたの料理から出てきたそれも、別に気にしないでいいんじゃないですかね。

飲み込んじゃうのが、一番だと思います。

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