Musibu-wakaru-22--c5ea
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<プロット>

{キャラクター}

四辻喜劇 妙麗寺 尻目
怖がらせたいがその見た目からよくてせいぜい露出狂
無駄にプライドが高く、自分は立派に妖怪をやっているという自負がある
尼のいる妙麗寺に入り浸っている
神様なんて所詮カス

SCP-2984-JPの神様
絵馬を食レポする 同じような願いには飽き飽きしてる
プライドが高い つよい 神格だから
たまたま妙麗寺にやってくる


尻目にババアと呼ばれている 妙麗寺のドン
つよい


 尻目は悩んでいた。彼は妖怪である。妖怪の本分は他人を驚かせるところにあり、人を驚かせることができなくなった時、それ即ち妖怪としての“死”なのだ。
 彼は自らを「妖怪の中の妖怪」であると自負している。が、薄々察していた。
 ──俺、妖怪として生きていくにはキツくないか?
 彼を妖怪たらしめる要素、それは尻に埋め込まれた目玉。以上。この現代社会において、尻に挟まる目玉1つで人を驚かせるのはとても難しい。
 昔はよかった。何も考えず、夜道を歩く女の前に飛び出し、尻を向ければ悲鳴をあげさせることができた。それで満足だった。だが今は。周りを見ると、明かり!明かり!明かり!夜は最早闇ではない。明るいと怖さも半減だ。それに、ただの露出狂のように扱われるのは癪に障る。そこで彼は工夫を凝らすのだ。「妖怪として」怖がらせる、驚かせること。それが彼にとって最もカンジンなのである。
 この間は浴槽に忍び込み、人を待ち伏せした。……あれは結構怖がられたが、多分不審者に対する恐怖の方が大きかったと思う。それは、なんかこう、違うのだ。ちゃんと「尻に目が埋め込まれている」という要素で怖がってほしいのだ。

 頭をひねり、うんうんと唸りながら角を曲がる。そこには、白い建物が威厳を持ってつっ立っていた。

 病院か。尻目は少し考えた後、中に入った。

◇◈◇◈◇

 尻目は姿を消すことができた。厳密に言えばそうではないのだが、周りに気づかれないように気を分散させることができた。伊達に長く妖怪をやってきていない。

 病棟に入るのは容易かった。病室がずらりと並ぶ廊下はどこまでも長く続いているように見える。
 ──そうだな、ガキがいい。女はもうこりごりだ。
 そんなことを考えながら病室を吟味する。
 そして見つけた。広いベッドに寝かされた小さな少年。9~10歳あたりだろうか。午後4時、既に寝息を立てている。この様子だと夜は目が冴えてなかなか寝つけないだろう。夜中になったら驚かせてやろう。
 尻目はベッドの下に身を潜らせた。

 夜は意外にもあっという間にやってきた。少年は病院食を食べてから、静かにベッドで身を起こしている。ボーッとしている今がチャンスだ。
 バッと飛び出すと尻を突き出し、高らかに笑う。決まった。これで怖くないはずがない。

 ところが、少年の反応は薄かった。「誰?誰かいるの?」といった具合だ。
 これには拍子抜けだ。「お前、もしかして目が見えねえのか」

 結局、自分が妖怪であることは少年に言わなかった。そんなことを言ったって、怖がらせることすらできなかったんだから、虚しいだけだ。
 尻目は笑ってごまかした。
 「ハハ、そうか、目が見えねえのか。ちょいとおどかそうと思ってよ。すまねえな、ハハ」

 少年は嬉しそうに言った。
 「もしかして、お見舞いに来てくれたの?」
 「あ、ああ、そうさ。調子はどうかなって、見舞いに来たんだ。だがもう、帰らないと」尻目は彼に話を合わせるほかなかった。
 「そっか!じゃあ、明日も来てくれる?」
 「えっ、あー、明日はちょっと無理かな……」
 少年は少し寂しそうな顔をしたが、本当に少しであった。誰かが見舞いに来てくれる、それが何より嬉しいといった風だ。
 「じゃあ、な」尻目はその笑顔の眩しさから逃げるように病室を後にした。
 ──なんだよ、とんだハズレを引いちまった。


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  1. portal:7603094 (15 Aug 2021 21:42)
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