テスト2

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最下層にあるデータベースを目指すため、サイトへの入り口に到着した私は、突入前に最後の所持品確認をする。拳銃・銃弾の確認を終え、最低限身を守れる程度の装備を装着した。

本来ならば起動部隊が使用するような専用装備が欲しいところだが、非常事態に贅沢は言っていられない。


いざ内部に潜入すると、外の騒動が嘘のであるかのように静まり返っていた。薄暗く所々内壁が破壊されていたり、人の気配が無いが外の惨状と比べれば遥かに安全だった。

入り口付近に、このサイトに勤めていた財団職員……だったものが横たわっている。きっと彼は逃げ遅れたのだろう。

しばらく進むと、オブジェクトの収容房をいくつか発見した。まさかと思いつつ中の状態を確認したが、当然の如く全て空であった。仮にまだ収容されていたとしても、面倒事が増えるだけだったので大した問題ではない。


中層に差し掛かった頃、突如として侵入者を知らせる警報音が鳴り響いた。どうやら保安システムに補足されてしまったらしい。

人類を、世界を守るという使命を忘れた今の財団とは対称的に、保安システムは不審人物の侵入を防ぐ、その役割を全うするかのように隔壁を起動させる。

その役割を無駄にするようで悪いと思いつつも、私は走り始めた。ここで止まっている訳にはいかないのだ。

隔壁の閉じる速度は決して遅くはない。荒れる呼吸を整える余裕もなく走り続けた。


ようやく次の階層へと続く階段付近にたどり着く。もう既に半分ほど隔壁が閉まりかけていた。

このままでは間に合わない。

全速力て駆けだす。足元の瓦礫にも気に止めずただ、ひたすらに。

僅かな隙間に飛び込み、滑り込むようにして、辛くも通過することができた。

警報音が鳴り止み軽く息を整え、下階層へ足を運ぶ。


鈍い金属音が辺りに鳴り響く。
私の目の前に"それ"が立ちふさがった。

警備用ロボットにしては十分過ぎるほどの攻撃を目的とした武装を備えていた。

私を認識したのか、こちらに向けて発砲を開始する。

横に転がり弾を避ける。その銃弾は、つい先ほどまで私の頭があった位置を通過し、音を立てて奥の壁へと埋もれていった。一瞬でも遅れていたら即死だっただろう。


奴の攻撃を掻い潜りながら走り続け、時折拳銃で反撃する。効きはするが、足止めには程遠いものだった。

存分にあったはずの銃弾も残り数発にまで減ったとき、とある部屋を見つけ入り込む。

サイト全体の保安システムを管理するセキュリティールームだ。

床に転がっていた消火器を手に取り奴に目掛けて放り投げつけ、残された銃弾を撃ち込み爆発させる。

やっとの思いで作り上げた隙に部屋に潜り込み、即座に入り口の隔壁を起動し奴との分断を成功させた。

部屋の外からドリルのような音が聞こえる。どうやらこの隔壁をこじ開けようとしているらしい。

奴を止める方法を模索する。しかしながら私に出来ることは、このまま奴が隔壁を破壊するのを待つか……このフロアごと爆発させるしかなかった。

私と奴を隔てていた隔壁が破壊される。その瞬間、私は覚悟を決めた。

「悪いがお前も道連れだ」

フロア全体に仕掛けられた起爆装置が作動し、私は奴と共に爆炎と衝撃に飲み込まれ意識を手放した。


どれ程の時間が経ったのかわからないが、激痛により目を覚ました。どうやら肋を数本やってしまったらしい。右腕に関しては感覚がない……いや、存在していなかった。あの爆発のせいだろう。

ここがセキュリティールームでないことに気づいた。周囲を見渡すと上には数階層に及ぶ程の穴が空いていた。部屋の作りからして目的であった最下層だろう。

そして私の下には奴がいた、機能は停止しているらしい。皮肉にも爆発と落下の衝撃から私を守ったのは、先ほどまで私を標的にしていた奴だったらしい。

悲鳴をあげる体に鞭を打ち、一台の端末へとたどり着く。

今はただ、財団がこうなってしまった理由を知らなければならない。

慣れない左手で端末を操作していると、二つの文章に目が止まる。

  • SCP-1857-JP爆破計画』
  • 『PNEUMAプロジェクト』

SCP-1857-JP……外の極寒の地獄を作り出した存在である。周囲の熱エネルギーを吸収し自身に溜め込むという桜だ。

それを爆破させるということは、内に秘めた途方もない熱エネルギーが外に放出されてしまうことになる。そうなれ少なく見積もっても、日本全土は焦土と成り果ててしまうだろう。

続いてPNEUMAプロジェクトの概要を確認する。そのあちこちは、【編集済】とされいた。

大まかにまとめると、これは本部で行われた大規模記憶処理プロジェクトで、人間の心理空間をマッピングした際に"何か"を発見したらしい。

財団の上層部はその"何か"に関する評議を行い、人類を根絶するという結論を出したらしい。日本支部もその指令に従ったのだろう。

詳しくは分からないが内容から察するに、人類そのものが異常存在である、あるいは異常存在の影響により現在までの人類が成り立っていたと考えるのが妥当であろう。

だとしたら我々が異常存から死力を尽くして守ってきた人類が、それを守ってきた我々自体が異常存在であったことになる。それを簡単に信じる財団職員は少なかったはずだ。

記載された内容から恐らくミームのような何かしらを使用し、否定的な職員を信じ込ませた。そこまでして人類の根絶をせざる得なかったということは、それほどの事態だったのだろう。

その当時、私は警察に潜入していたため、この一連の情報を知り得なかったので、自然と財団の攻撃対象になったことになる。


右手は無くなり足にも力が入らない。この状態から地上に戻り、事の真相を生き残った人に伝えることは困難だ。
自分の無力さを改めて痛感し、感嘆した。

動けないなら動けないなりに出来ることはまだある。その思いで端末に手を伸ばした。

可能な限り多くの外部スピーカを起動する。全ての外部スピーカが生きている保証などなく、誰一人として今の言葉を聞いていないかもしれない。ましてや、聞いたところで信用してくれるとも限らないが、一人でも多くの人物に届くことを祈ることしかできなかった。

現在この放送を聞いている方々へ: 私は今までSCP財団という組織に属していた者です。私は今、SCP財団の施設に突入しとある情報を入手しました。信じてもらえないかも知れませんが、人類を攻撃を始めた理由、これより起こそうとしている惨劇について皆さんに伝えなければならないことがあります。

まず、SCP財団からのメッセージがあったように、この組織のかつての使命は、異常な事物、実体、その他様々な現象の収容と研究を中心に展開されていました。この使命は過去100年以上にわたって組織の焦点でした。

しかしある日、人類そのもに異常存在が関与していることを発覚したのです。その結果、方針は人類の根絶に変更され私たち人類への攻撃を開始しました。

そして、今までSCP財団によって収容対象とされていた物の1つに、周囲の熱エネルギーを吸収しそれを養分として成長するという桜があります。それが極寒の地獄を作り出している元凶です。そして財団は現在、この桜を爆破させることで内部に溜め込んだ熱エネルギーを外部にさせ、日本全土を焼き払って私たち一網打尽にする計画が進行中です。

恐らくですが、爆破までにはまだ猶予があります。私はその猶予を伸ばすか、食い止めることが出来ないか模索中ですが、あまり期待はしないでください。少しでも爆破の影響から逃れられる可能性を上げるため、可能な限り地下深くまで避難してください。あなたの周囲にこの放送を聞いていなかったという人物が居たのであれば、情報を共有し共に避難してください。

こんな情報を一般人に知らせるということは、財団職員としてあってはならないことだが、少なくとも今の財団は私の知っている財団ではない。
例え人類その物が異常であっても、私は今まで守り抜いてきた世界を、人類を守りたい。
私たちを異常存在と見なしているなら異常存在らしく最後まで財団に抗おうじゃないか。
ただで終わってたまるものか。


放送を終えたあと、現在のSCP-1857-JPの状態を確認するため、外部カメラに接続に接続する。そこには外の地獄とは無縁であるような春の世界が広がっていた。そして画面の奥に、通常の桜とは比べ物にならないほど巨大化したSCP-1857-JPが写し出された。

このような光景を見て、この後この桜が爆破され日本が焼き尽くされると誰が思うだろうか。
そんなことも露知らず、桜はその枝に咲き誇らせた花びらを優雅に舞わせているだけだった。散りゆく花びらの儚さはまるで、現在の私達を表しているようにも思えてしまった。

木の根元に数十体もの作業用ロボットが集結しているのが確認できた。恐らく大木を爆発させるための装置を運搬、あるいは設置するためのものだろう。見たところあれは命令信号を受信させることによって、遠隔操作が可能になるタイプのものだ。それなら新しい命令信号で上書きすれば、行動を制御すること位は出来るはずだ。


動作を停止させる信号を発信し、全ての機体の無力化に成功した。これで桜の爆破までの猶予を延長することが出来ただろう。

後は先程の放送を聞いた人々が、地下に避難していることを祈るばかりだ。

全身に脱力感が襲いかかる。
私に出来ることはもう残っていないのだ。
本当はもっと財団職員……いや、人類を守る立場として、やらなければならないことも沢山あったはずだ。

せめて桜の最後を見届けよう。
こんな状態でも、それくらいなら出来るはずだ。

この光景を死ぬ前に、全てが破壊し尽くされる前に目に焼き付けておきたかったのか、あるいは爆破の瞬間を目にしようと思ったのか、私自身にもわからなかった。
「私の体が無事なら、もう少し抗うことが出来ただろう」と無力感に押し潰されそうになりながら、画面に向き合い諦めに近い決意をした。

後はただ、"その時"を待つだけだ。

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