SCP-3017-JP - 贖罪

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アイテム番号: SCP-3017-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-3017-JPはサイト-8104の標準収容コンテナに収容されています。月に2回、サイト-8104に勤務する財団カウンセラーによって、精神面に問題がないと判断された3名の担当職員によりSCP-3017-JPの状態に変化がないか定期検査が実施されます。何らかの変化を発見した場合は直ちにSCP-3017-JP収容チームへ伝達してください。

説明: SCP-3017-JPは限定的な認識災害を伴う、凡そ人間を模した高さ185cmの黒色に塗装された鉄製の像です。SCP-3017-JPは腕組みのポーズを取っており、目が位置すると推測される箇所には何も施された形跡がありません。SCP-3017-JPは破壊耐性を有しているため詳細な構成物は不明ですが、初期収容時に実施された重量計測の結果から内部は空洞、もしくは空洞に近いものであると推測されています。

SCP-3017-JPは直接視認した人物(以下、対象と呼称)が自身を起因とした負の情性1を示す場合に異常性を発揮します。視認後、対象は前述した情性の原因がSCP-3017-JPにあると確信し、SCP-3017-JPに対して罵声を発する、叩く/蹴るといった暴行を加えます。その間、対象は謝罪の意と思われる幻聴2を知覚します。対象が満足して3行為を終了した時点で、対象は精神的健康の向上、ストレス値の減少等を示します。

インタビュー記録: SCP-3017-JP
以下はSCP-3017-JP実験後に実施されたインタビュー記録です。

対象: D-4101

インタビュアー: ██博士

付記: D-4101は妻・子供を殺害したことによる殺人罪によりDクラス職員として雇用されています。D-4101は前述の犯行後に心的外傷後ストレス障害を発症していたこと、及び財団に対して比較的模範的な態度を取っていたため実験に選出されました。

<記録開始>

██博士: 早速だがD-4101、今の気分はどうかな?

D-4101: ああ、えっと、不思議な感覚だ。これまで背負っていた重たい物が少し持っていかれたような…… 体が軽くなったみたいだ。

██博士: ふむ、君の精神状態は以前と比べて安定しているようだ。やはりSCP-3017-JPに罵声を浴びせたからかい?

D-4101: そんな悪いように言わないでくれよ。あんたらが命令したから俺は仕方なくだな……

██博士: D-4101、質問に答えてください。

D-4101: [数秒間の沈黙]正直あの時の俺は、どうかしていたと思うよ。あの像は俺の悪行の責任が、罪が自分にあると訴えているようだった。そして俺はそれを疑いもせずに、像にひたすら暴言を浴びせた。だが……こう言っちゃあれだが、随分とスッキリした。

██博士: なるほど。君がそういった行為をしている間、SCP-3017-JPから何か声が聞こえなかったか?

D-4101: 聞こえたよ。あの像は「ごめんなさい」だったり「全て私のせいだから」とか言っていた筈だ。妙に自罰的だなって変に思ったよ。もっとも、あの時の俺はまともじゃなかっただろうから正確なところは分からないがな。

██博士: 初期報告時の内容と齟齬はないようだな。では、他に報告できることはないか? なければ明日からのSCP-3017-JP実験要項を説明するが。

D-4101: [視線を泳がし悩む様子を見せて]その、報告じゃないんだが少し聞きたいことがある。あの像はいつも謝っているのか?

██博士: [数秒間思案して]SCP-3017-JPは君のような異常性に曝露した人物に対して同様に謝罪の言葉を発するようだが、何故君がそのような質問をするのか分からないな。君がそれを知る必要はないと思うが?

D-4101: そうか。いや、何でもないんだ。ただちょっと気になっただけ、それだけだ。

<記録終了>

終了報告書: インタビュー後の検査ではD-4101のストレス値は実験前と比べて緩やかに減少していることが示されました。

現在まで対象への悪影響が確認されないことから、SCP-3017-JPを利用した精神改善プロトコルが計画されています。プロジェクト主任の七篠博士主導でのDクラス職員を利用した施行実験を重ねて、安全性が概ね確証された後にプロトコルは実施される予定です。

事案SCP-XXXX-JP(2023/11/30追記): 7回目のSCP-3017-JP実験を実施中にD-4101がSCP-3017-JPを視認後、これまでと異なり行為を終了せず暴行を加え続けたため実験は中断され、急遽インタビューが実施されました。以下はそのインタビュー記録です。

インタビュー記録2: SCP-3017-JP

対象: D-4101

インタビュアー: 七篠博士

付記: D-4101は軽微の錯乱状態に陥っていたため、機動部隊に取り押さえられた後にインタビューが実施されました。

<記録開始>

七篠博士: ではD-4101、何故あのような行為に及んだかを教えてください。

D-4101: 博士、仕方なかったんだ。俺はあいつが、あの女が許せなかったんだよ。気づけなかった。俺は気づくことができなかったから、こんな。

七篠博士: D-4101、落ち着いてください。あの女とはSCP-3017-JPのことですか?

D-4101: ああ、そうだ。俺が何にも知らないからって、あいつは俺をずっと利用していたんだ。なぁ博士、俺が何でDクラスになったか聞いていいか?

七篠博士: D-4101、それよりも我々は貴方に聞くことがあります。どうして貴方は──

D-4101: 博士、頼むよ。教えてほしい、俺は何をした?

七篠博士: [数秒間思案して]貴方は自身の妻と子供2人を殺害しました。それにより死刑宣告を受けた貴方を財団がDクラス職員として雇用しました。

D-4101: そうだよな、そうなんだよ。俺は人を殺してしまったんだ。それも家族を、愛していたはずの家族をだ。よし、そうだ。俺は人殺しだ。死んで償っても足りないような惨いことを、俺はしてきたんだ。俺は最低な罪人なんだ。……すまない、博士。さっきまでの俺はちょっと落ち着きがなかった。

七篠博士: いえ、大丈夫です。それではD-4101、あのような行為に及んだかを落ち着いて説明してください。

D-4101: [数秒間の沈黙]博士には分からないかもしれないが、俺は罪を奪われたんだよ。

七篠博士: 奪われた、ですか。

D-4101: 自分がしてしまった罪が、他人事のように感じてきていたんだ。やったのは俺だって自覚しているんだ。分かっているんだよ。夜の10時半、手を包んでいた生々しい温もりを俺は覚えている。でもさ、あいつは俺じゃない、自分がやったんだと訴えてくる。駄目なんだよ。俺が背負うべきものだったんだよ、あの罪は。俺が一生を懸けて償うべきだったのに、それをあいつは少しずつ、少しずつ奪っていたんだ。

七篠博士: ふむ。そう思い、貴方は錯乱してしまったということですか?

D-4101: いや、確かに俺はあの時点でだいぶ気が動転していたけど、それだけじゃない。あいつは、俺が気づいていることを知ってか知らずか[躊躇うような仕草をして]笑っていたんだよ。

七篠博士: 笑っていたというのは、笑い声の幻聴が聞こえたということですか?

D-4101: いや、そうじゃない。どう説明したら伝わるのか、嬉しがって笑っているという感覚を覚えたんだ。こうして今考えると被害妄想かもしれないがな。

七篠博士: なるほど。

D-4101: それで俺はあいつに、俺の罪を返せと殴ったんだ。そうしたらあいつは「ありがとう」だなんて抜かしやがった。そこからはあんた達が見ていた通りだよ。

七篠博士: そうですか。SCP-3017-JPがありがとうと言った理由について心当たりはありますか?

D-4101: 簡単なことだ。博士、あんたの周りには許されたくて自分を責めるような人間はいなかったか?

七篠博士: 生憎ですが、そのような人物と出会ったことはないですね。

D-4101: そうか、それは残念だな。[天井を仰いで]だが、あいつはきっとそういう存在だ。救いが欲しいから俺の罪を奪って、暴言を吐かれ、殴られ、そんな状況を作ってる。

七篠博士: つまり、どういうことでしょうか? 簡潔に説明してください。

D-4101: 博士は随分と鈍いんだな。あの女はずっと、俺に謝ってなんかいなかったんだ。だからありがとうなんて言えたんだ。

<記録終了>

終了報告書: D-4101は記憶処理が施され、別の業務に割り振られることが決定しました。インタビュー後にSCP-3017-JPの異常性変化に関する調査が実施されましたが、収容初期時の状態と同様であったため報告書の改訂は不要と判断されました。

当事案を受けて、当初計画されたプロトコルは予測できない異常性が発生する可能性が高いと見做され凍結されました。SCP-3017-JPを用いた実験は無期限に延期されています。

付与予定タグ: jp scp safe 感覚 聴覚 像 人工 人間型 自我 破壊不可能 認識災害


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