SCP-XXX-JP - 目の付け所が違う

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アイテム番号: SCP-XXX-JP
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京都府道38号線を歩行中のSCP-XXX-JP(中央左、2021年6月撮影)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPが所在する位置は常時記録され、出現区域は霊体用監視カメラによって継続的な監視が行われます。SCP-XXX-JP出現中、2名以上のクラスW記憶補強を摂取したフィールドエージェントによってSCP-XXX-JPに対する尾行が実施され、担当職員に対してSCP-XXX-JPによる行動内容が常時報告されます。

財団ウェブクローラによってインターネット上におけるSCP-XXX-JPに関すると思われる情報は常時監視され、発見次第削除/カバーストーリー適用/発信者の特定/関係者に対する記憶処理が必要に応じて実施されます。各病院や診療所における診察内容は常時監視され、SCP-XXX-JPが関連すると思われる診察内容を発見した場合はフィールドエージェントが派遣され、カバーストーリーの適用及び被診察者に対する記憶処理が実施されます。

SCP-XXX-JP-1は人型オブジェクト用標準収容房に収容されます。SCP-XXX-JP-1の数は常に20人以上を保つようにしてください。交替イベントによってSCP-XXX-JP-1が減少した場合、記憶補強を摂取させたDクラス職員をSCP-XXX-JPの異常性に曝露させることによってSCP-XXX-JP-1を補充してください。

説明: SCP-XXX-JPは日没前後約1時間の間、京都府京都市の一定区域に出現するクラスB霊体です。SCP-XXX-JPは反ミーム特性を有し、SCP-XXX-JPを視認しても知覚または記憶することはできませんが、クラスW以上の記憶補強によって知覚することが可能です。また物理的干渉は不可能であり、一般的な撮影機材では撮影することができませんが、霊体用カメラ1によって撮影をすることが可能です。体長は約4 mであり、脚部がやや伸長していることを除いて一般的な民間人と同様の容姿及び服装を有しています。SCP-XXX-JPの相貌の撮影は不明な手段で顔部分が黒く染まることによって成功せず、記憶補強を用いても多くの場合それを記憶することはできません。

SCP-XXX-JPは京都市市街地の北部約8 km2の範囲(「出現区域」と呼称)の路上を徘徊します。出現時間が終了するとSCP-XXX-JPは消失しますが、翌日の出現時間が開始すると同じ地点に再出現し、歩行を再開します。歩行は非常に緩慢であり、上体を前方に曲げ、頭部をやや左に傾けた状態で歩行を継続します。歩行中、SCP-XXX-JPは周囲の状況及び自身を通過する人間や車両などに対して注意を払っていないように観察されます。

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SCP-XXX-JP-1初期段階における認識の再現イメージ。右画像のような相貌違和が発生すると考えられている。

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SCP-XXX-JP-1初期段階における認識の再現イメージ。右画像のような相貌違和が発生すると考えられている。


SCP-XXX-JPの異常性は、記憶しているかどうかに関わらずSCP-XXX-JPの相貌を視認した、または視認しようとした人間(SCP-XXX-JP-1に指定)に対して発生します。SCP-XXX-JP-1が上記の行動をした際、SCP-XXX-JPは歩行を中断し、SCP-XXX-JP-1の方向に顔を向けます。数秒間静止した後、SCP-XXX-JPは歩行を再開します。

上記イベントの後、 SCP-XXX-JP-1は人間の相貌、特に目の位置に関して違和感を訴えます。違和感の内容は細かな個人差がありますが、共通して目の位置がいずれかの方向にずれているという内容を述べます。この認識災害は進行性であり、時間が経つにつれてそのずれが大きくなっていくことが判明しています。また、当該認識災害は曝露後6時間以内ならばクラスA、3日以内ならばクラスC記憶処理を用いて影響を除去することが可能ですが、それ以降は影響除去が不可能であることが実験によって確認されています。

SCP-XXX-JPはある時点で無力化及び個体の変更が発生することが確認されています(「交替イベント」と呼称)。SCP-XXX-JPはある時点で歩行を中断し、その場に膝をつく、またはしゃがむなどの動作によって低い姿勢を取った後、その場に横たわります。その後SCP-XXX-JPは約10秒間をかけて徐々に消失します。消失と同時に、SCP-XXX-JP-1の中から1名が無作為に選択され、消失します。翌日SCP-XXX-JPは京都市北区紫竹上堀川町に所在する御薗橋西詰交差点付近に再出現しますが、その際のSCP-XXX-JPの容姿は消失したSCP-XXX-JP-1に類似していることが確認されています。このことから、交替イベントではSCP-XXX-JP-1が何らかの方法でSCP-XXX-JPに変化していることが示唆されています。SCP-XXX-JP消失後、その元になったと思われるSCP-XXX-JP-1の再発見は成功していません。


補遺XXX-JP.1: 発見経緯

出現区域周辺において反ミーム特性を持つSCP-███-JPの収容作戦が実施された際、記憶補強を摂取したフィールドエージェントによって偶発的に発見され、2012/06/12に調査が開始されました。2012/08/10に提出された調査報告において、その時点で生存しているSCP-XXX-JP-1は8名であることが確認されました。異常性に関する検討の後、当該SCP-XXX-JP-1群は全て収容対象とすることが決定されました。関係者に対する記憶処理及びカバーストーリー適用の後、2012/09/02にSCP-XXX-JPとしてのナンバリングが完了しました。


補遺XXX-JP.2: インタビュー記録

インタビュー記録XXX-JP-1


日付: 2012/06/15
対象: 高岳 敦也氏
インタビュアー: Agt.今池


付記: 高岳氏はSCP-XXX-JP-1であると推定された。インタビューは病院での診察を装い実施された。


<記録開始>

Agt.今池: では、あなたの症状について詳しく教えてください。いつから症状を感じ始めましたか?

高岳氏: はい。症状が出始めたのは一週間くらい前です。突然周りの人の顔が変に見え始めて。

Agt.今池: 変というのは?

高岳氏: 目が変なんです。片方だけ下に下がっていたり、極端に外側にあったり。しかも見るたびに位置が変わるんです。皆普通にしているので、僕だけがおかしくなったってことはわかりました。

Agt.今池: なるほど。他に症状はありませんか?

高岳氏: 相談したいことはこれだけです。でも、これだけでも十分おかしくなりそうです。

Agt.今池: 治療のために最大限努力いたします。では、その症状が出始めた原因として何か考えられるものはありますか?

[5秒間沈黙]

高岳氏: 笑われるかもしれませんが。

Agt.今池: なんでもおっしゃってください。

高岳氏: 実は僕、昔から霊感が強いんです。他人には見えないものが見えるというか。ビデオデッキから出てくる小さなおじさんとか、壁に向かって立ってる生き物っぽい何かとか、そういう妙なものが見えるんです。今までそういうものは別に日常生活に支障をきたすほどのものでもなかったので解決しようとはしてきませんでしたが、一週間くらい前、なんとなく自宅から窓の外を見たら、なんだかとても背が高い女性がいたんです。

Agt.今池: 続けてください。

高岳氏: 2階から見て顔が見えるので、少なくとも人間ではないと思いました。僕は慣れていたのもあって、今まで見たことないやつだなあとか思って見ていると、その女性がこちらを見たんです。どんな顔なのかは思い出せないのですが、なんだかとても嫌な気持ちでした。思えば、この症状はあの時から始まったような気がします。

<記録終了>

高岳氏は先天的な反ミーム耐性を有していたことからSCP-XXX-JPの異常性に曝露したことが示唆されました。曝露後十分な時間が経っていたことから、高岳氏に関するSCP-XXX-JP-1としての影響を記憶処理を用いて除去することは不可能であると判断され、高岳氏はSCP-XXX-JP-1実例として収容されました。2012/08/12に交替イベントが発生した際に高岳氏は収容房から消失し、SCP-XXX-JPに変化したと考えられています。

インタビュー記録XXX-JP-2


日付: 2012/10/05
対象: 神沢 光祐氏
インタビュアー: Agt.今池


付記: 神沢氏は京都市北区に所在する██神社の禰宜を務めている。当インタビューは郷土史の研究を装い実施された。


<記録開始>

Agt.今池: 今日はよろしくお願いします。

神沢氏: ええ。遠路はるばる、よいお参りでございます。

[重要度が低いため中略]

Agt.今池: つまり、鞍馬にはそのような風習を持つ村があったと?

神沢氏: はい。といっても、昔昔の話です。貴船、鞍馬と申す山は霊山として、昔からそれはそれは多くの信仰を集めていました。ところで、山の神様というものは昔から女性の神様とよく言われます。それで、神様が嫉妬するからと言って、美人は山に登ってはいけないとよく言われたものです。厳密には他にも様々に理由はあるようですが、まあいいでしょう。

Agt.今池: それでその村は醜女2だけが神に奉仕するべきだとしたのですね。なぜ女性にこだわったのでしょうか。

神沢氏: それは女性の方が神掛かりしやすいからでしょう。男性よりも感情が昂りやすく、それによって神様に感応しやすいから、古来多くの場合は女性が神様にお仕えする役割を担ったのでしょう。

Agt.今池: それらのことから、その村は霊的能力の才能を持ったみにくい女性に執着したのですね。

神沢氏: はい。そのようです。加えて途中から女性にこだわらず、そのような才能を持った男性もかどわかすようになりました。しかも、彼らはさらう人間をわざと不細工にしてからさらったそうです。

Agt.今池: わざと不細工にするとは?

神沢氏: 私も詳しいことはよくわかりません。ただ、鏡を用いれば不細工になったのだとか。

Agt.今池: 鏡ですか。どのような方法なのでしょう。

神沢氏: さあねえ。しかしその条件は絶対のものだったそうで、どうにかして不細工にして連れ去ったそうです。

Agt.今池: なぜそこまで執着したのでしょうか。

神沢氏: それはわかりません。ぜひ彼らに聞きたいですね、そこまでして必死になる理由があるのかと。本当に彼らは必死に訪れていたようですよ。ここらでは昔から脅し文句がありました。暗くなったら家に入れ、山から下りてきた大男にさらわれるぞ、と。

Agt.今池: 彼らは現在も活動しているのでしょうか。

神沢氏: まさか。今までのものは全て、子どもを怖がらせるための昔話ですよ。でも、今でも時々思い出したかのように、人をさらう大きな人間の噂が流れるんです。時代は繰り返す、面白いものです。

<記録終了>


補遺XXX-JP.3: 収容経緯

現在まで交替イベントは1年につき約1回発生しています。2012年に収容されたSCP-XXX-JP-1群は交替イベント発生に伴う消失から個体数を減少させており、2020/06/22時点で残り0名になりました。SCP-XXX-JP-1の非残余に伴うSCP-XXX-JPの無力化が懸念され、現在Dクラス職員をSCP-XXX-JPに曝露させるという懸案が倫理委員会で審議中です。


補遺XXX-JP.4: インシデントXXX-JP

2020/06/28、SCP-XXX-JP担当職員であった新瑞橋研究員がSCP-XXX-JP-1に変化したことが判明しました。新瑞橋研究員は一般と比較して反ミーム耐性及び記憶強度3が優れていることが人事ファイルから判明しており、記憶処理による完全な影響除去に失敗しました。当インシデントを受け、新瑞橋研究員にインタビューが実施されました。

インタビュー記録XXX-JP-3


日付: 2020/06/21
対象: 新瑞橋研究員
インタビュアー: 車道研究員


<記録開始>

車道研究員: 私の顔はどう見えますか?

[5秒間沈黙]

新瑞橋研究員: 目がおかしいです。今は右目が上に、左目が外側にあるように見えます。

車道研究員: お分かりかと思いますが、あなたはSCP-XXX-JP-1に変化しています。私は当インシデントを収容違反として報告しなければなりません。

新瑞橋研究員: その通りです。可能な限り協力します。

車道研究員: ありがとうございます。まず、あなたがSCP-XXX-JPに曝露しうると思われる機会について教えてください。

新瑞橋研究員: 思いつきません。SCP-XXX-JPと関わった機会は車道研究員や他の職員と同様のはずです。

車道研究員: そうですね。あなたの勤務の様子を見ていましたが、私もそう思います。では次に、このような事態を引き起こした要因について思い当たる点を教えてください。

新瑞橋研究員: はい。ご存じの通り、私は反ミームに対して耐性を持っています。幼いころからいわゆる霊感があり、他人が認識できなかったり、すぐに忘れてしまうようなことも記憶してしまったりするという性質を持っていました。

車道研究員: そのようですね。しかしあなたはフィールドエージェントではなく、サイトからも出なかった。先ほども確認しましたが、SCP-XXX-JPと接する機会は皆と同等のはずでした。

新瑞橋研究員: はい。あの、私の仮説を述べてもいいでしょうか。

車道研究員: ぜひお聞かせください。

新瑞橋研究員: ありがとうございます。私の仮説としては、SCP-XXX-JPは反ミーム耐性を先天的に持っているような人間を狙っているのではないかと思っています。そもそもの異常性が、自身を認識できるような能力を持っている人間にしか適用できないものであったことを考えると、SCP-XXX-JPはそのような人間に執着を持っていると考えられます。

車道研究員: つまり、SCP-XXX-JP-1の残存数が無くなったので、SCP-XXX-JPは自身の異常性の影響範囲を拡大させることであなたを得ようとしたと?

新瑞橋研究員: はい。私が他の人と異なる点はそれしかないので、そう考えるのが妥当と考えます。

<記録終了>


2021/05/26、交替イベントによって新瑞橋研究員はSCP-XXX-JPに変化したと考えられています。当インシデントを受け、特別収容プロトコルが改定されました。

補遺XXX-JP.5: 関連事項

2021/11/12、京都市左京区鞍馬本町付近の地下に、石造りの遺構が存在することが確認されました。SCP-XXX-JPとの関連性が指摘されており、現在発掘作業中です。







送信ID: Hisaya

宛先ID: Kurumamichi

収容監督官の久屋です。追加された収容プロトコルの経過について周知します。

反ミーム耐性を先天的に有する人間は稀少であることから、現在多数のDクラス職員をSCP-XXX-JP-1に変化させることでその代替としていますが、反ミーム耐性を有さないSCP-XXX-JP-1は有しているそれと比較して次回の交替イベントまでのインターバルが最大1/10にまで短縮することが示唆されています。よって、今後大量のDクラス職員を消費することが考えられます。

しかし、現在の我々にとっての喫緊の問題は、SCP-XXX-JPの異常性の対象範囲が拡大しうることがインシデントXXX-JPによって判明したことです。新瑞橋研究員しかり、私たちも檻の外だからといって安心することはできません。引き続き慎重に収容方法を検討し、安定した収容状態の維持に努めてください。





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