SCP記事下書き 「ミスターブラック」

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準人間型収容施設に収容されます。室内に存在するすべての家具や扉、壁、床は黒塗りの状態を保ってください。支給する食事の中で黒色ではないものには竹炭を含ませ、食器は必ず黒色のものを使用してください。定期的に行う健康状態の確認の際には黒色の服装で体を覆った職員を起用してください。SCP-XXX-JPは貧血症状を度々示しますが適合する血液が存在しないため、投薬による治療を行ってください。

また、万が一に備え報告書においてSCP-XXX-JP自身に深く関わる箇所を常に黒色のカバーで覆われた状態にしてください。現在の所、SCP-XXX-JPは財団の収容に対して協力的であり、強制的な措置は必要ないものと思われますが、SCP-XXX-JPへの直接的な接触は推奨されません。SCP-XXX-JPは自身を「SCP-XXX-JP」と呼称されることを嫌っているため、接触の際は「ミスターブラック」と呼称してください。

説明: SCP-XXX-JPは26歳で細身の日本人男性です。本名は定かではありませんが、自らを「ブラック」と称しています。収容直前までは美術団体「色の会」のメンバーであったことが財団の調査によってわかっていますが、それ以前の情報はまだわかっていません。

SCP-XXX-JP は黒色の顔料を用いて自身に深く関する黒色以外の実体を黒色に塗装し、塗装されたものはSCP-XXX-JP 以外には認識されなくなります。また、SCP-XXX-JPの血液は空気に触れた後黒色の顔料に変化します。このため、黒色の顔料を持ち合わせていない状態のSCP-XXX-JPは、自身の指の皮膚を噛みちぎることにより顔料を作り出します。

SCP-XXX-JPによる塗布を受けたものは顔料を落とすことで認識可能になります。その際は塗装に用いられた顔料の性質によって落としやすさが異なりますが、SCP-XXX-JPが自身の血液から制作した顔料は現在のところ落とすことが物理的に不可能となっています。そのため、この顔料を塗布された者は安楽死措置を受けることができます。

財団の収容後、SCP-XXX-JP は自身を黒色の顔料で塗装をしたため、現在のSCP-XXX-JP は目だけが浮いた状態で認識できます。SCP-XXX-JP が皮膚呼吸を行えない状態であることは確認されていますが、今までに窒息症状を示したことはありません。その理由については現在財団の生物学研究員らによって調査中です。

発見: SCP-XXX-JPは20██/██/██に███県で発生した未解決の行方不明事件を通して財団から注目されました。この事件の行方不明者2名はどちらも「色の会」のメンバーであり、色彩鮮やかな画風で有名な画家でした。███県警は当初誘拐事件として捜査を始めましたが、約1年経過しても発見されなかったことから捜査は中断されました。その後の財団の調査によりSCP-XXX-JPが容疑者として挙がり、事件記録-XXX-JPによって確定しました。

事件記録-XXX-JP 日付20██/██/██

被害者: ████研究員

加害者: SCP-XXX-JP

事件内容: 当時「色の会」のメンバーであったSCP-XXX-JPに対して████研究員がファンの名義で接触を試みたところ、その直後に████研究員が突如音信不通の行方不明になりました。後の捜査で黒色に塗装された████研究員がXクラス記憶補強材を服用した財団職員によって発見されました。

録音データ: [データ破損]

追記-1: ████研究員はSCP-XXX-JPの血液から生成された顔料によって塗布を受けたため治療は不可能な状態にありました。そのため████研究員には安楽死措置を実行しました。

追記-2: SCP-XXX-JP の収容後、Xクラス記憶補強材を服用した職員によってSCP-XXX-JPの自宅で2名の行方不明者の死体が発見されました。死体はすでに白骨化していましたが、生前の特徴とは一致していました。また、██県警には未解決行方不明事件のまま扱うよう要請しました。

補遺-1: 以下は、████博士によって行われたSCP-XXX-JPへのインタビューです。

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: ████博士

前書: ████博士は黒色のブルカを着用していて、事前にXクラス記憶補強材を服用しています。

<録音開始>

████博士: おはよう、ミスターブラック、気分はどうだい?

SCP-XXX-JP: 悪くはないね。あ、その服似合ってるよ。

████博士: それはどうも。黒色が好きなのかい?

SCP-XXX-JP: もちろん、大好きさ。私の芸術の起点だね。嫌いになる筈なんてない。

████博士: 黒が好きになったのはいつなんだい?

SCP-XXX-JP: う~ん…。あまり思い出せないね。気が付いたら好きになってたって感じかな。

████博士: そうか、じゃあ、あなたの芸術観について説明してもらえるかな?

SCP-XXX-JP: いいけど、なぜ?

████博士: 個人的な興味だ。

SCP-XXX-JP: ふーん。まあいい。私の作品はね、黒を基調としたものなんだ。例えばリンゴがあるだろ?リンゴは世間的に赤色であるとされているね。しかしだ、リンゴは赤色であるからこそその美しい造形が軽視される。そこで私は最初の作品でリンゴを真っ黒に塗って見せた。そうすると人々はリンゴの色ではなくリンゴの形状に注目するようになる。そして人々は気づくんだ、「リンゴの形状は美しい」と。このように私の作品は黒だから良いというものではなく、黒色に塗り上げることで色ではない部分に注目をさせ、真の美しさを見出すことを目指しているんだ。

[重要性が低いため省略]

SCP-XXX-JP: そういうことなんだ。わかるかい?

████博士: ありがとう、君が芸術において形状に重きを置いていることはわかったよ。今までずっと黒を主張していると勘違いしてた。おっと、そろそろ時間だね。私はこれでお暇するよ。

SCP-XXX-JP: もうかい?まあ気をつけて帰ってな。

<録音終了>

補遺-2: 以下は、████研究員によって行われた「色の会」のメンバー、山田氏へのインタビューです。

対象: 山田氏

インタビュアー: ████研究員

<録音開始>

████研究員: あのブラックさんってどんな方なのですか?

山田氏: よくわからんものを作る奴だな、あいつは。

████研究員: それはどういうことでしょうか?

山田氏: あいつの作品を見てみろよ。何もないじゃないか。存在しないものをどうやって芸術と捉えればいい。

████研究員: しかし、ファンは一定数いるようですが。

山田氏: あんなの新興宗教だよ。ファンって言ってるけど実際は信者なんじゃないのか?

████研究員: ところで、「色の会」の中であの方はどのような評価なのでしょうか?

SCP-XXX-JP: ハブられているよ。みんな意味わかんないってさ。

████研究員: そうですか、ありがとうございました。

<録音終了>


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