みんな最後はおなじ

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朝だ、太陽が眩しい、しかし昨日ほどではなく、まさに過ごしやすい良い天気だ。
こんな日だが、いつもと同じように仕事に行かなければならない、とりあえず朝食を摂ろう。

テレビを付けた、マンホールみたいなロゴとともにどこかの組織の声明が出されたというニュースだ。
見たこともない組織だ、海外の話らしい。
それより為替を見ないと、一応把握しておかないと上司からいつ突っ込まれるかわかったもんじゃない。
円安ドル高、いつも通りか、まあそう変わるものでもないし。

テレビを消した、もう意味は無い、朝食は食べ終えた、着替えて出発だ。


携帯に通知が入る、ニュースアプリだ、先程のニュースの続報だろうか?テロらしきものが発生しているらしい、海外のニュースだったしここには被害も届かないだろう、会社からなにか連絡が来る訳でもない、遠くで何が起ころうと、こっちはいつも通りだ。
いっそ休みたかった。

朝のニュースの声明文をふと思い浮かべた、異常存在がどうだの人類を守るのがどうだのとかって言っていたっけ、俺も小さい頃は人類を守るとかって憧れてた。
今は一端の銀行員、職場にも生活にも不満は無いが、平坦で何もない生活だ。


電車に乗って職場に向かう、携帯でニュースを見る、
気になる見出しだ、アメリカで死者が████人…?
どうやら馬鹿でかいトカゲみたいな生き物が大暴れしたらしい、
さっきのニュースとも少し繋がりがあるようだ、何がどう繋がっているのかは分からないが。
今日は悪い意味で刺激的だ。
少し気分が悪くなったし、動画でも見よう。

【今アメリカで起きていることの全て】
あのニュースを見て気分が悪くなったのにこのタイトルに惹かれてしまう、未だに大人になりきれない部分があることに苦笑した。
実際にあのニュースの馬鹿でかいトカゲや、すごい速いガリガリな高身長の男の画像が出る。
間違えてゲームの実況でも開いたかと思ったが、俺が見たい動画に間違いない。
中学レベルしかない俺の英語力でも、コメント欄の海外勢の反応が、これが事実であると言っていることが理解できた。
詳しく調べる前に職場近くの駅に到着した、こうして大人になってみると、時が経つのがとても早く感じる。


駅から会社に向かう途中カバンが震えた。

「もしもし、部長、どうかされました?」
「どうもこうもニュースを見ただろう!会社に来ている暇は無い!安否確認が先決だ!」
「ニュースってあのアメリカのですか?でもうちに影響はないんじゃ…」
「とにかく!今は電話している暇は無い!後で確認したまえ!自分の身は自分で守るんだぞ!」

そういうと電話が切れた。

言われたようにニュースを更新した、目を疑う、日本にもあのガリガリなバケモノが来たらしい、それどころか、人を殺しまくっていると。
それだけじゃない、東京が肉塊だらけになって、あちらこちらで爆発が起きたと書いてある。
戦争でも始まったのか、はたまた宇宙人の地球侵略か、どちらにせよ信じ難い話―

耳を劈く爆発音がした。
一瞬にしてさっきの馬鹿げた想像が現実に現れた。
それとともに、自分ながら不謹慎な好奇心と非日常への期待が膨らんでいった。

―何か想像もし得ない事が起きているんだ

とりあえず爆発音がした方向へ向かう、ビルが崩落している。
女性が下敷きになっている、助けてあげなくては。

「ありがとうございます…」
「いえ、立てますか?」
「はい、大丈夫です。」

開放感、平凡でがんじがらめだった生活からの開放感。
やっと俺は変わることが出来たのか、非日常が日常に変わる瞬間だった。
もうつまらない生活とはおさらばだ!

そんな事を考えていた。
向かい合った彼女が言葉にならない声をあげる

「ああ、ああぁぁあ…」
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

言い終えて自分達の周りだけ、すっぽりと覆うように暗くなっていることに気がついた。
直後、何かを切り裂くような音が聞こえた。

日常では感じえない激痛、日常では感じえない恐怖、日常では目にしない量の血液、日常では当たることの無い、体の芯に吹き抜ける冷たい風。

皮肉にも、さっき感じた開放感は、考えられないほど最悪な形で、物理的に現実となった。

少し想像すればわかるはずだった、この世界は非日常に変わってしまった、1日前まで日常にいた俺たちが、抵抗できるはずがなかった。

助けたはずの彼女が為す術なく殺される姿を目にする、何よりもうすぐ俺も死んでしまう。

視界が少しづつぼやけていくのを感じる、痛みもだいぶ薄れてしまった。
この世界のどこかには、こんな非日常を日常にしている人がいるんだろうか。
どうして自分はそうなれないのだろうか。

ああ…夢ぐらい見たかったな。


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  1. portal:7535868 (02 Jul 2021 12:11)
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