tale 下書き

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「起きてください」
「ひゃっ!」
その言葉と肩に置かれた手で私は気がついた。
「そこまで驚くとは思いませんでした。でも、食堂で寝ることはお勧めできませんが。自分のことがわかりますか?」
「わかってますよ。私は小優博士です。そしてあなたは同じ研究室の笹見研究員。何の影響も受けてませんよ。少し徹夜しただけです。」
笹見研究員、彼は身長180㎝は越えていて黒縁のメガネをかけているイケメンの部類に入りそうな人だ。見た目は真面目で頭脳派、そして中身も真面目で頭脳派そして友達思い。見た目でとっつきにくい感じはあるがよく話せば意外とノリのいい人だとわかる。
「それならよかったです。」
そう言って彼は私とおなじテーブルに座って昼食を食べ始めた。
私がそのまま何も食べないのに座っていると彼が聞いてきた。
「何故枯れた花を持っているんですか。あと、気づいていないようなので教えておきますが、顔が涙で濡れていますよ。何かいやなことでもありましたか。」
「え?本当に?でも涙とは限らなくない?」
「私が博士を見つけたときには目から出ていたように見えていたので涙だと思いますが…嫌な夢でも見ましたか?」
「あー…うーん、覚えてないなぁ。夢は何を見てたんだろ。それと花を持ってるの今の今まで気づかなかった…何かの異常性かなあ?」
私はその花を持っていることを指摘されるまで全く気付かなかった。何かの異常性によって持っているのかもとは考えたがそのようなものにかかわった覚えはない。
「誰かからもらったのかなぁ?この花ってなんだろう?」
「それはガーベラの花ですね。花言葉は『希望』や『常に前進』ですね。色によっても変わりますが。」
「へぇー」
笹見研究員にはいつも驚かさせられる。何でも知っていて尊敬できるような人だ。財団にスカウトされるぐらいだし。私よりも年下だけど。
そこでいつも二人で話しているときにいつの間にかいる彼がいないことに気づいた。
「そういえばエージェント・喜慈は?」
と聞けば彼は露骨に嫌な顔をして答えた。
「また、研究室で寝てますよ。あの馬鹿を出禁にしてみてはいかがですか?」
この二人は仲がとても悪い。いつも喧嘩をしている。喜慈と笹見は典型的な筋肉派と頭脳派で相容れないようだ。でも、一緒に行動することが多いし、仲良くして欲しいとは思っている。同じ時期にスカウトされて財団に入った仲だから。でも、見ていて飽きない。
「私たちに迷惑かけてないし、任務中でもないんだからいいじゃない。彼は財団に話せる人があまりいないらしいし。」
まあ、私も財団で気軽に話せる人は数えるほどしかいないけど。
「博士がそこまで言うのであればいいですが…。」
このやり取りを何回としている。ある意味で仲がいいんだよね。
「そろそろ時間ではないですか?仕事をしなくてはいけませんね。」
いつの間にか時間が来ていたようだ。
「はぁー、休憩終わりかぁ。頑張りますかね。では行くぞ助手君」
「はい」
手に持っていた枯れた花は笹見研究員が調べてくれるということで預かってくれた。
この日常はいつまで続いてくれるかなぁ。

そんな感じで異常なものがいつも近くにある日常を過ごして三ヶ月。財団に入ってから十年間、異常にも慣れてきてしまった気がする今日この頃。その日も何事もなく帰ろうと思っていたら上の人たちが騒いでた。面倒なのは嫌だからとさっさと外に出たら「活気のある」「美しい」「明るい」花が地面を覆っていた。その時にようやく上の人たちが騒いでいる理由がわかった。
「なるほどねーそういうことだったんだ。」
この現象が何を意味するのかを知っているかが幸か不幸かはわからなかった。異常な存在に麻痺していた私の感覚が財団に入った直後に戻されてしまったように思える。
しばらくぼーっと立っていると、サイトにようやく放送がされた。今起こっていることとこれからのことについてだった。何を言っているかは聞いたそばから忘れていって覚えていない。サイトの玄関のところにいたら邪魔になるかもしれないと思ったから横のところに座った。というよりも少しの間だけ一人になりたかった。もう周りはすっかり暗くなって空ではきれいな星がたくさん見えた。空を見つめながらやり残したことについて考えていた。まだ友達と遊びたかった、まだ話したりなかった、恋愛もしたかった、恋人と海に行ってみたかった、親に何もできなかった、一緒に温泉旅行にでも行けばよかった、自分をもっと大切にすればよかった、仕事ばかりで娯楽がなかった。思い返せば後悔はどんどん出てくる。
「はぁー」
ため息が出るけど吐き足りない。
星を見ていたけど、なんとなく視線を下げて花を見る。見渡す限り真っ白なコスモスが咲いていた。手のすぐそばにあった花を一本取った。
「あれ、コスモスじゃない…これはガーベラだっけ。」
手に取った花は鮮やかなピンクのガーベラだった。
「懐かしいなー謎に持ってた枯れたガーベラ。調べてもらったけど結局わかんなかったな。

あの頃に戻ってやり直したいねぇ…ハハハ」
夜も更けてきて。連日徹夜をしていた私はピンクのガーベラを握りながら頭を膝につけて意識を手放した。

私は夢の中にいた
私は考えていた
少しの行動で未来は


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