自由に泣く事すらままならない赤鬼
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1はサイト81XXの中規模生物アノマリー収容ユニットに収容され、他のSCP-XXX-JP群は同サイトの大規模冷凍室にまとめて収容されています。SCP-XXX-JP-1から発生する血液は自動ドローンによって回収後、焼却処分されます。2月3日の消失イベントに備え、日本国内の活動可能な機動部隊はSCP-XXX-JP-Aの発見、確保を行い、適切なカバーストーリーの流布、近隣サイトへの移送を行ってください。

説明: SCP-XXX-JPは一般的に赤鬼と呼称される存在と多くの類似点を有する人型実体群です。例として全身の表皮が存在せず皮下組織が露出しており、異常なまでに膨張した筋肉、頭部から生える一対の角、怒りあるいは苦痛を示す固定された表情などの身体的特徴が挙げられます。

SCP-XXX-JPは1946年に蒐集院から財団に管理体制が引き継がれたアノマリーの内の一つであり、当時点で存命中のSCP-XXX-JPは後にSCP-XXX-JP-1と指定された個体一体のみでした。同種と思われる遺体7つにはそれぞれSCP-XXX-JP-2からSCP-XXX-JP-8のナンバーが振り分けられています。

SCP-XXX-JP群は例外なく身体の至る所に人為的な損傷が存在しており、SCP-XXX-JP-2からSCP-XXX-JP-8の死因はそれに起因するものと推測されます。

以下は、SCP-XXX-JP-1の身体に見られる人為的な損傷の一覧です。

  1. 両目の眼球が抉り出された形跡。
  2. 全ての歯が人為的に抜き取られた形跡。
  3. 親指を残し、両手指が同一線上に切り取られた形跡。
  4. 身体中に貼り付けられた4枚の札。
  5. 上半身前面に広がる火傷痕、胸元と股間付近は一層激しい痕が残っている。

SCP-XXX-JP-1に貼り付けられている札はかつて蒐集院がアノマリーの沈静化に使用していた物と部分的に一致します。しかしながら現在財団が有する情報内では完全な解明には至っていません。

第一、第二の札はそれぞれSCP-XXX-JP-1の両腕に貼り付いており、SCP-XXX-JP-1の一定の動作に反応して一時的に肘関節以降の腕の動作を停止させます。第三の札は胸元に貼り付いており、SCP-XXX-JPの内側に一定量の血液を供給し続けています。この影響により、SCP-XXX-JP-1は常時全身から出血を続けています。第四の札は背中に貼り付いており、計9文字の不規則的な文字が出現と消失を繰り返しています。この札のみ、効力は不明のままです。

SCP-XXX-JP-1は基本的に収容引き継ぎ後から現在に至るまで収容への抵抗や逃走の素振りを見せません。しかしながら、毎年2月3日に限りランダムな時刻に、消失イベントを発生させます。また消失イベントに伴い日本国内のランダムな地域で一時的なヒステリー状態に陥る人物(以下、SCP-XXX-JP-Aと記載)の出現が確認されます。

収容以前にSCP-XXX-JP-Aに関連すると推測される情報は大きく分けて二つ存在し、それらは大まかに江戸時代中期を境に入れ替わる形で発見されています。前者は子供や老人を連れ去り森へと消えていく物語であり、後者は集団内から孤立した人物が2月3日に突如発狂し集団を去って行くといった内容です。財団の観測下では、SCP-XXX-JP-Aとなる人物は幼稚園、老人ホームなどで行われる豆まき行事の際に元々鬼役となる予定であった人物に限定されています。

SCP-XXX-JPの引き継ぎ以降、SCP-XXX-JP-Aは出現後、子供、老人に襲い掛かろうとした矢先に豆まきによって撃退され、泣き声を上げながら施設から逃亡した所を財団が確保する、といった流れが継続しています。

SCP-XXX-JP-Aは施設逃亡後からは自身の意思に反し常に涙腺から涙が供給される様子が確認され、それに由来する脱水症状や後遺症の恐れがあります。SCP-XXX-JP-A確保後、財団の有する医療施設へと運ばれる事で上記の異常が解消されると同時に、SCP-XXX-JP-1の再出現によって消失イベントは終了します。

補遺1: インタビュー記録

音声映像記録


日付: 2023/02/03

対象: SCP-XXX-JP-A(本名: 高橋 ██)

インタビュアー: 夢街研究員

付記: 当インタビュー記録は██幼稚園にて発生したSCP-XXX-JP-Aの確保後、財団の有する救急車偽装車内にて行われた物です。また対象を最短経路で医療サイトに移送する事と並行して行うため、円滑なインタビューのためにクラスF自白剤の使用が許可されています。


«記録開始»

夢街研究員:(省略)といった流れで我々にはあなたの記憶を消去し、通常の業務へと戻す事が可能です。現在、あなたを緊急で医療機関へと運んでいる最中なのですが、その間にあなたが陥った状態の詳細な情報をお聞きしたいのです。よろしいでしょうか。

SCP-XXX-JP-A: (対象は依然として泣き続けており、腕には鎮静剤、及び自白剤が投与されている)

夢街研究員: ありがとうございます。まず始めに、あなたが今のような状態となった直前の様子についてお聞かせくださいますか?

SCP-XXX-JP-A: (過呼吸音)あぁ(過呼吸音)私は鬼役として待機中でした(過呼吸音)今日は節分なので

夢街研究員: では、暴れたきっかけは?

SCP-XXX-JP-A:私じゃ(過呼吸音)ないんです(過呼吸音)誰かに身体を乗っ取られたような感覚で(過呼吸音)

夢街研究員:ふむ、身体を乗っ取られたと。その間はどのような変化がありましたか?

SCP-XXX-JP-A:えぇ(過呼吸音)身体が自分の意志とは違って動きました(過呼吸音)それから(過呼吸音)なんだかわかんないんですけど(過呼吸音)物凄く叫びたい気分になって

夢街研究員: それから、どのようにして先ほどの騒動に発展したのですしょうか

SCP-XXX-JP-A: 一度叫んだら(過呼吸音)自分がひどく偉くなった気がして(過呼吸音)子供達も何だかとても弱々しく感じて

(対象の泣き声が一層増し始め、追加の鎮静剤が投与される)

SCP-XXX-JP-A: 今回なら行けると思ったんです

夢街研究員: 行ける、というのはどういった意味でしょうか

SCP-XXX-JP-A: 最初はXXちゃんを狙いました(過呼吸音)ですが(連続した過呼吸音)ダメでした(過呼吸音)あの子達も(過呼吸音)俺に向かって色々投げてきて(過呼吸音)なんだかおかしくなりそうで

夢街研究員: お聞きしたいのですが、使われていたのはパッケージに入った状態の豆だったようですが、そんな状態でも効くもんなんでしょうか

SCP-XXX-JP-A: みんな良い子なのに(連続した過呼吸音)豆だから(過呼吸音)とかじゃないん(過呼吸音)です(過呼吸音)物を投げつけられ(過呼吸音)追い出される(連続した過呼吸音)それだけで気が狂いそうになるんです(過呼吸音)

夢街研究員: なるほど…では

«記録終了»


後記: インタビューは車が財団サイトに到着した事により打ち切られ、SCP-XXX-JP-1は医療練へと運び込まれました。SCP-XXX-JP-1は医療練へと運び込まれる間、一定のワードを繰り返して叫び続けていました。録音記録では判別は困難と判断されましたが、その場に居合わせた職員数名からは、「家に戻してくれ」と聞こえたとの証言が複数得られています。医療練到着後、SCP-XXX-JP-1が収容ユニット内に再出現した事により、2023年度の消失イベントは終了しました。

対象は記憶処理と二日間の経過観察の後、一般職務へと復帰しました。

スポイラー

SCP-XXX-JPはかつて鬼という架空の生物に擬態し、人間や他の妖怪達と日本国内で共存してきたアノマリーです。元となった鬼のイメージがどこから来たものなのかは分かりませんが、少なくともSCP-XXX-JPはその起源ではなく単に生存に都合が良いため擬態するようになっただけの、元はそこらの妖怪と大差ない弱々しい存在です。

SCP-XXX-JPは群れから孤立した人間に寄生し、全国的に生息区域を拡大させて行きましたが、そんな彼らの転換期となったのがかつての蒐集院メンバーによる豆まき行事の一般的な普及です。世間一般的な鬼のイメージを身に纏っている彼らに対して豆まきでのイメージダウンによる影響は凄まじく、彼らの生存形態に多大なダメージを与えました。更に蒐集院上層部はSCP-XXX-JPを徹底して弱々しい生物であるイメージを植え付けるべく、人間に対し危害となる要素を全て取っ払った後、その身体を基盤として個体意識を一時的にやられ役に移転するといった頭のおかしい機構を複数体作成し、豆まき行事の認識が大きくブレるといった事がないような対策を施しました。それらの機構はその後何も知らない下層の蒐集院メンバーへと委託された後、財団の元に渡りました。現代社会において野生に存在するSCP-XXX-JPはとうの昔に絶滅しており、財団の管理するSCP-XXX-JP-1によって発生する僅かな異常と節分文化が残るだけとなっています。

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  1. portal:7470579 (20 May 2021 10:02)
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