SCP下書き コドクになった2人

クレジット

タイトル: SCP-XXX-JP - コドクになった2人
著者: ©︎Genryu
作成年: 2023

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは標準収容ロッカーにて高温多湿を避け、乾燥剤と共に保管してください。

また、SCP-XXX-JPの使用が疑われる事件は全て最寄りの財団フロント企業に属するエージェントによって調査され、使用が認められた場合は関係者に対して記憶処理及びカバーストーリー「急性心臓死」を流布してください。

説明: SCP-XXX-JPは粉末状に加工されたベトナムオオムカデ（学名:Scolopendra dehaani）の死骸です。SCP-XXX-JPに組成上の異常はありませんが、水分に溶解して無味無臭となる特性を有しています。ビニールに個包装されており、現時点で確認されているのは47袋です。

SCP-XXX-JPは約10g以上を口腔から体内に摂取することで異常性が発現します。SCP-XXX-JPを体内に取り込んだ人物は8時間後に昏睡状態に陥り、その後に原因不明の心停止によって死亡します。SCP-XXX-JPの摂取が10g未満である場合は異常性は発現せず、現状ではその後の人体への影響もみられていません。

発見経緯: 20██/3/25から茨城県████市の住民が原因不明の心停止によって死亡する現象が頻発していました。住民の不審な死亡に何らかの異常性を持った存在が関与している可能性があるとして、財団が調査を開始。20██/4/17に死亡した狩崎氏の家宅を調査した際にSCP-XXX-JPがパッケージに入った状態で2袋発見されました。また、SCP-XXX-JPが溶解して含まれている食品も確認されており、それは1/4ほど摂取された状態でテーブルに放置されていました。

補遺1: SCP-XXX-JPの回収時に発見された文書

以下はSCP-XXX-JPについて説明していると考えられる文書です。その内容からSCP-XXX-JPには異常性の異なる複数の種類が存在することが考えられています。

+ 記録

第二類呪薬品

コドクター・C

マイルドα

〜現代の法治国家から身を守る〜

怨恨は人生において誰しもが抱くものです。しかし、それに対して適切な対処を怠ることで自制心を失い、誤った方法による復讐を行ってしまうかもしれません。その多くは物理的手段であり、現代では法的措置を行使されることは避けられません。怨恨を抱いた時は呪術による合法的な復讐を行うことで、あなたの経歴を法治国家から守ることが可能です。

〜コドクター・C マイルドαの特徴〜

○現代科学で実証不可能な呪術行使は罪に問われることがなく、あなたの人生にやさしい復讐手段です。
○あらゆる飲食物にすぐ溶ける顆粒タイプ。無味無臭なので、スムーズにコドクを味わわせることが可能。
○呪術行使推進協会公認のケミカルシャーマンが選び抜いた「ムカデの生き残り」を使用。
○マイルドαは苦痛0タイプ。小汚く命乞いをする様が見るに耐えないと思うあなたにオススメ。

〜注意〜

1.次の人は使用しないでください。（1）呪いに対しての恐怖を拭い去れない人。（2）わずかでも良心の呵責がある人。（3）呪いの深淵に囚われてしまう心配のある人。
2.使用後に本製品使用を一切他言しないでください。脅迫罪等を適用される場合があります。
3.直射日光の当たらない温気の少ない涼しい所に保管してください。コドクは影を好みます。
4.小児の手の届かない所に保管してください。誤飲の可能性があります。
5.1人に対して必ず1袋のみ使用してください。
6.決して復讐以外の用途に使用しないでください。

補遺2: 以下はSCP-XXX-JPを摂取したと考えられる人物です。

推定摂取日	氏名	属性
20██/4/17	桜木力雄	現象	メモ
20██/4/17	桜木由香	現象	メモ
20██/4/17	井上和一	現象	メモ
20██/4/17	狩崎愛実	現象	メモ
20██/4/17	狩崎雅樹	現象	メモ

補遺4: 以下は狩崎氏宅から発見されたSCP-XXX-JPの使用を示唆しているメモです。これらのメモの内容から20██/4/17〜20██/4/17で市民をSCP-XXX-JPの異常性に曝露させた人物は狩崎氏であると考えられています。また、狩崎氏は息子へSCP-XXX-JPが含まれた食品を摂取させようと試み、狩崎氏は意図的にそれを全量摂取しなかったことで異常性への曝露を回避したことが分かっています。

+ 補遺

補遺:
以下は死亡した狩崎氏の手元で発見されたメモです。

みんな呪った
私たちだけ不幸だなんて、許さない

以下は狩崎宅のテーブル上で発見されたメモです。

今日の晩ごはんは高級レトルトカレー！！
うんと美味しいと思う！いつも頑張ってるマサキへのご褒美だよ
しっかり食べて、ぐっすり休んでね
本当にお疲れ様

疲れたから先に寝てるね
こんなお母さんで、ごめんね
あなたが息子で誇らし［黒塗り］いよ

まさきも早く休みな
おやすみ　またね

おはよう
最近は相当疲れてるみたいだから無理しないで
お母さんに何かあったら頼れる人いなくなっちゃうからさ
お金は俺も頑張るから大丈夫！体の方が大切だからね！

あと昨日のカレーめっちゃうまかった！
お母さんの分を残しといたから、温め直して食べてみてね
たまには美味しいものいっぱい食べて、元気だしてね！

　

+ 気になっている点

1. クリニカルトーンに問題はないか？
2. オブジェクト使用者の心境や境遇を想像できるか？
3. 意外性のあるオチになっており、かつそれで悲壮感を感じるか
4. UV,NV,DVを付けるとしたらどれか？

　

+ スポイラー

○ストーリーの流れ
狩崎氏は夫を亡くしたうえで莫大な借金に追われおり、さらに県営住宅の家賃も払えずに強制立ち退きを執行される直前でした。

生きる希望を失い、恵まれた人々への憎悪を募らせた狩崎氏は何らかの方法で当オブジェクトを入手しました。その後、当オブジェクトで妬まく思う人を殺していきます。貧困に苦しむ中で裕福な人々に対しての憎悪は膨らんでいました。

八つ当たりにも近い殺人をひとしきり終えた後、息子と心中を図ります。
狩崎氏は息子に借金や強制退去の件について隠しており、息子がその事実を知る前に2人で安楽死してしまおうと考えました。
当オブジェクト使用で自身も眠るように自死でき、息子も（この家庭にとっては）ごちそうである高級レトルトカレーを最期に食べ、幸せの中でこの世を去ることができる…と思われましたが、息子は美味しいカレーを母に分けるために残してしまいます。

当オブジェクトの異常性は全量摂取しないと発現しないため、息子は死ぬことはありませんでした。
しかし、狩崎氏は既にこの世を去っており、息子はこの先コドク（孤独）で苦しむことになった…というオチです。

○親のエゴと子の優しさのすれ違いが書きたくて作りました。最終的に親が死に、息子は強制退去で家を失ったうえに借金があるという現実を突きつけられるという話です。

○蠱毒モチーフなのは「孤独」と言葉遊びも取り入れたかったからです。

○記事の序盤で「半量残したのは危険を察知したからかな」と予測させて、オチで意外性が出せているかも気になっています。

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