SCP-XXX-JP 致命の灯火

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの全ての回収されたサンプルがサイト-81██の小型物品収容ロッカーに収容されています。実験の際を除き、SCP-XXX-JPの中に紙巻き煙草を入れることは禁止されています。SCP-XXX-JP-1へと変化した紙巻き煙草は、余り次第廃棄してください。インシデントXXX-JP-1以降、SCP-XXX-JPに関するいかなる実験も許可されません。

SCP-XXX-JPの類似品について調査中です。SCP-XXX-JPの類似した品が民間で発見された場合、即座に回収を行い、適切なカバーストーリーを流布してください。SCP-XXX-JPに類似した品は同様の収容プロトコルで収容します。

説明: SCP-XXX-JPは、裏面を除いて████の箱に類似した18個の煙草の箱です。SCP-XXX-JPは銘柄の部分が「究極の禁煙タバコ」という言葉に置き換わっており、さらにその下に01~18の数字、その横の「/18」という表記が施されています。この事から、SCP-XXX-JPの全サンプルは回収されたと考えられます。SCP-XXX-JPの裏面には以下の文章が確認されました。

この限定商品「究極の禁煙タバコ」をお試しください!
この煙草、なんと火要らずで着火する優れもの!
しかも、天国にいるような雰囲気で吸うことができます!
何なら嬉しいことに、ニコチンなども一切出ません!
(※注: 副作用として寒気を感じることがあります。ご了承ください。)

SCP-XXX-JPに紙巻き煙草を収納すると、その煙草はSCP-XXX-JP-1へと変化します。SCP-XXX-JP-1は入れる前の煙草と外見の変化はないものの、非常に燃えやすいことが判明しています。また、SCP-XXX-JP-1はニコチンなどの成分を一切排出しません。SCP-XXX-JP-1をかつて1度でも煙草を吸っていた人間(以下、対象)が唇で上下から圧力を加えると、SCP-XXX-JP-1は即座に先端が着火します(以下、この炎をSCP-XXX-JP-2と呼称)。財団の監視カメラによる観測は、この動作が0.2秒以内で行われることを示しました。

SCP-XXX-JP-2は通常の炎よりも非常に低温に強く、また温度に関係なく2000℃程度の炎と同じ色をし続けます。SCP-XXX-JP-2を視認した対象は、徐々に幻覚、幻聴を経験し、対象は通常のニコチンよりも非常に強い快楽を経験することが知られています。また、SCP-XXX-JP-2によってSCP-XXX-JP-1から発せられる煙のような気体は完全に無害なものであり、実際の組成は自然の空気と同一であると判明しています。

SCP-XXX-JP-2の視認から数秒が経過すると、対象はハワイアン・ミュージックや雲のない青空から始まり、自身の回想、親の声、及び自身の望むものが大量に現れている様子、[編集済]といった幻覚、幻聴を経験します。また、SCP-XXX-JP-2が点火されている間、対象は徐々に熱を喪失します。これは最初のうちは微々たるものですが、最終的に対象の体温は氷点下にまで低下します。しかし、対象は約8割の確率で、自身の熱が奪われていることを知覚できなくなります。

対象は生体維持に必要な温度を喪失しても脳死せず、視覚、聴覚、意識、発話能力は絶えず残り続けます。結果的にSCP-XXX-JP-2は最終的に対象に延焼し、対象はSCP-XXXX-JP-2に焼き尽くされ死亡します。SCP-XXX-JP-2は殺害可能な全ての人物を殺害し終わるか、後述の条件を満たすと消失しますが、それ以外の条件では消失しません。

SCP-XXX-JP-2は通常の方法では消すことはできませんが、SCP-XXX-JP-1が取り出されたり、全体から切り落とされるなどして対象の口腔から外されると、対象は即座に脳死し、SCP-XXX-JP-2は消え、SCP-XXX-JP-1は無力化します。

SCP-XXX-JP-2を対象以外の人物が視認すると、その人物は煙草、対象、及び対象の血縁関係者や姻族に対し非常に強い嫌悪感を抱くことが判明しています。この影響は記憶処理では除去することが出来ず、徐々に強まっていくものであると判明しています。SCP-XXX-JP-2によって嫌悪感を得た人物が煙草の煙(特に副流煙)を吸う、あるいは皮膚から浴びると、その人物は局所的な炎症や麻痺、全身の痒み、発熱、[データ削除済]を引き起こします。この影響は喫煙を好んでいた人物により強く現れます。最終的に、これらの人物は煙全てを含む全てのエアロゾルに反応して重度のこれらの症状を引き起こします。現在、この影響は単なるアレルギーによるものではないと推測されていますが、確証は未だ得られていません、

補遺1: SCP-XXX-JPは2002/08/16に宮城県仙台市のマンションの4階にて、荒木氏が「友人が煙草で焼け死んだ」という通報を行い、発見先で1本のみが使われていた開封済みのSCP-XXX-JP(番号は06)と、胸部より上の部分と頭部を失った北井氏の死体が確認されたため収容に至りました。インタビューの後、荒木氏にはカバーストーリー「火を用いた殺人」を流布しました。その翌日から数年にかけて同一の事件が多数発生し、それらのSCP-XXX-JPは全てが財団により回収されました。以下はその際に荒木氏に対して行われたインタビューの記録です。

対象: 荒木 甘子氏(以下荒木氏)

インタビュアー: エージェント・天田

<ログ開始>

エージェント・天田: インタビューを始めます。

荒木氏: よろしくお願いします。

エージェント・天田: ではまず、荒木さんに言いたいことなのですが、北井さんが死ぬ前に、何が起こったのですか?

荒木氏: はい。私と北井は、小学時代からの幼馴染だったのです。私は生まれてこの方一度も煙草など吸ったことがなかったのですが、北井は20代に差し掛かって1本だけ、と言ったらやめられなくなって、それ以降見境なく吸う男になってしまいまして…最終的にはかなりのヘビースモーカーになってしまったのです。死亡直前の際には1日2~3箱は吸ってるような男でして…

エージェント・天田: なるほど。では、今日の事件については?

荒木氏: はい。北井は毎回、コンビニで████を買っていたんです。しかし、北井はそれほど目が良いとは言えませんでした。しかもあろうことか、北井はコンタクトをつけ忘れていたそうなので、コンビニで████と間違えてこれを買ってしまったのです。

エージェント・天田: なるほど。同様の事件は同市でも起こっていたのですか?

荒木氏: いえ、今回の事件のようなことは町でも聞いたことがありません。北井以外の目の悪い喫煙者なら街に十数名いますが、そのような人たちは北井のような被害に誰一人会っていなくて…

エージェント・天田: はい。では、北井さんの死亡直前、何が起こったのですか?

荒木氏: はい。実を言うと、北井はマンションで隣の部屋だったんです。北井は煙草を1箱買い、ベランダに行こうとしました。そして、北井は「甘子、一緒にベランダで吸うか?」と煙草を1本差し出してきたのです。私は煙が苦手で肺が弱く、煙草の危険性も知っていたので拒否したのですが、当初はそれが北井との最後の会話になるとは想像していなくて…箱の違いにも気付いていなくて…うう…<23秒間北井が泣き出す>もうインタビューはやめにしてください。

エージェント・天田: <7秒沈黙>…はい。分かりました。インタビューを終了します。

<ログ終了>

追記: 後の調査により、荒木氏はSCP-XXX-JP-2を視認したことによる煙への接触に対する健康被害を受けておらず、喫煙防止教育によるものであることが判明しました。そのため、荒木氏にはカバーストーリー「印刷ミス」および「火を用いた殺人」を流布し、その証拠品を回収して解放しました。

補遺2: 2019/07/15、宮城県███町にてSCP-XXX-JPの起源と推定される建造物が存在したと報告されました。建造物は2000/08/16に行方不明になった20代男性である馬場 正一氏が失踪以前に住んでいた家屋と一致しており、内部には以下の物品が報告されました。以下はその一覧です。

  • 不明な物質で満たされた大鍋。
  • 金属で構成された破損したハンマー。
  • 13個の石製の皿。13個の内4つはヤマユリ《Lilium auratum》の花粉、砂糖、砕かれた鉛が置かれていたが、残りは空だった。
  • ステンレス製のやかん。内部は半分ほど水で充填されている。
  • 黒色のローブ及びフード。
  • 飲みかけの微糖コーヒー。種類はエスプレッソ。
  • 伊田 勝志氏の頭部がない遺体。
  • 1個のiPhone。”写真”内部には以下の1本の映像が存在する。

録音記録XXX-JP: ボイスレコーダーの記録

<録音開始>

伊田氏: お邪魔しまーす。

(伊田氏が激しく驚く。)

伊田氏: 何をしているんですか、馬場さん。

馬場氏: 何がしたいんだって?これを見て分からねえのか?黒魔術だよ、黒魔術。

伊田氏: いいや、それは分かっていますけど、どうしてそんなことをしているんですか?あれはもう禁忌だと言われているはずです。

馬場氏: 伊田、お前煩いな。俺は死なんてもん望んでねえよ。

伊田氏: え、もしかして猛毒の液体で暗殺でも?やめましょう!場合が場合なら貴方殺されていますよ!

馬場氏: お前知らねえのか?俺の所属を答えてみろ、伊田。

伊田氏: 所属って…貴方大学卒業したら働かずニートになるって大声で叫んでいましたよね?

馬場氏: 馬鹿野郎!俺はハミングバーズっていうところに入社した。ベンチャー企業らしいが、こんなのナントカ大受かった俺なら楽勝だったぞ。大したことねえなこの会社。

伊田氏: いや、そんな大学受かってそんなこと言っていいんですか?最悪雇用取り消されますよ? (小声で) あれ?でも貴方の大学って確かFラン並みの…

馬場氏: (大声で) うるせえ!俺のことを悪くいうなカス!

伊田氏: そもそも、何がしたいんですか?

馬場氏: はぁ?俺は北井に復讐したいだけだよ!あのクソッタレなチャラいストーカー男!死んで当然だろあんな燃える粗大ゴミ!俺の甘子ちゃんを狙いやがって…!

伊田氏: やはり下らないことに使っていたんですね。

馬場氏: うるせえ!ハンマーで頭かち割るぞ!

(馬場氏がハンマーで伊田氏を何度も殴打する。最終的に伊田氏は死亡する。)

馬場氏: ハハハ…これでシメだ…

(馬場氏が伊田氏の首を鍋に投入し、数十秒間かき混ぜて煮詰める。)

<録画終了>

補遺3: 2020/05/31、SCP-XXX-JPの収容ロッカーの前に20代後半と考えられる男性の遺体が出現しました。この遺体は非異常性であると断定され、現在オブジェクト関連物として非異常性物品収容室に収容されています。遺体の検査結果は馬場氏と同様のDNAを示していました。また、遺体の左ポケットには1枚の紙が封入されていました。以下はその内容です。

馬場 正一様、あなたのやり方は私たちとは離反しています。
私たちは皆様 —それも、全人類の— が平等で自由になることを望んでいたのです。
しかし、あなたは間違っていた。
あなたは、復讐のためにその力を使った。
その罪はどれほど重いものでしょうか。
あなたはこのタバコで、何人の命を奪いましたか?
最早あなたは我々の世界で罪を償うべきではありません。
あなたの意識、あなたの魂、あなたの身体、全てを以って償って下さい。
あなたとは恐らく、二度と出会うことはないでしょう。
さようなら。

ハミングバーズ・ウィング・コーポレーション 仙台支社より

紙に記載されていた「ハミングバーズ・ウィング・コーポレーション」という企業については一切判明していません。財団はあらゆる地域における会社企業内の当該企業について調査を行いましたが、有益な情報を得るには至っていません。


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