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アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在のSCP-XXXX-JPへの対処手段は事後処理に限られます。SCP-XXXX-JPの被害によって死傷したと思われる一般人は”殺人事件”というカバーストーリーによって処理されます。SCP-XXXX-JPの出現によって自主的に会話、筆談等の行動を拒絶するようになった対象を発見した場合、監視します。
SCP-XXXX-JPに関する調査が進められます。その正確な個体数と性質を把握する事は急務です。
説明: SCP-XXXX-JPは形状不明の複数の実体と考えられています。SCP-XXXX-JPは以下の条件に当てはまる人物(以降、SCP-XXXX-JP‐1)の近辺に存在するようになります。
・SCP-XXXX-JP‐1が他人との会話を拒絶したいという強い思念を持っている
・SCP-XXXX-JP‐1が外界との接触を何らかの手段で断ちたいと望んでいる
上記の条件の何れかに合致する対象の中から極めて低確率且つランダムにSCP-XXXX-JP‐1が選ばれます。SCP-XXXX-JP‐1は自身の周囲にSCP-XXXX-JPが存在する事に気付きます。そしてSCP-XXXX-JP‐1が他人との会話を試みる、もしくは誰かと筆談する目的の文章を記述したと判定されるとSCP-XXXX-JP‐1は原型を留めない程に破壊的な手段で終了させられます。また多くの場合、その場にはSCP-XXXX-JPの肉体の一部と考えられる黒色の液体が残留しています。液体は極めて高い粘度を持ち、腐乱臭と評される匂いがします。組成解析は現在まで成功していません。
発見経緯: SCP-XXXX-JPによる死亡は以前までは原因不明の殺人事件として、超常事件ファイルに記録されていました。しかし19件目の事例にて、SCP-XXXX-JP‐1の対象となった故・石嶋巧氏のGoogleドライブにアップロードされていた文書ファイルを元に一連の事件には異常実体が関与していると考えられ、その異常実体がSCPとしてナンバリングされました。
事件記録XXXX-19:
事件記録XXXX-19 - 日時2023/07/17
2023/07/17、AM9時半頃、茨城県ひたちなか市の飯島宅から通報が入る。近隣の交番から駆け付けた警察官は2階の飯島巧氏の自室で惨殺された飯島巧氏の死体を発見する。現場には凶器の類は確認されなかったが、黒く粘着質の物質が事件現場となった飯島巧氏の自室の至る所に付着していた。
文書XXXX - 発見日時2023/07/17
概要: 石嶋巧氏の所有していたGoogleアカウントと紐づけられていたGoogleドライブに保存されていた文書記録。SCP-XXXX-JPの存在を肯定する唯一の証拠として保存されています。一般向けには飯島巧氏が何らかの精神疾患を発症した結果作成されたものと推定されています。
本文:
7月12日
この記録を始めたのは7月の13日からだ。だけど俺が初めてあいつを見た日はこの日だったからだったから記録しておく。あいつは良く分からない黒いバケモンだ。初めて見た時は確か身長2mくらいで、頭が1m20㎝くらいあるバケモンだった。あの時はビビってデカい声を出して母ちゃんを呼ぼうとしたけど、声を出そうとした瞬間に俺の頬は思いっ切り切り付けられた。そのあともう一度声を出そうとしたら思いっ切り額を引っ叩かれた。多分声を出したらあいつは俺を殺すんだろうなって察したわ。なら置手紙をしようかと思ってメモ帳に書こうとしたら俺の右手の親指に深い切り傷が入った。こりゃ駄目だ。急いで部屋を出ようと思ったら扉が黒いゴムみたいな物質で固定されていた。窓も無理だ。携帯を開いてメールをしようかとも考えたが恐らく無理だ。それによく考えたら俺は母ちゃんの電話番号を消しちまっている。こんなことを後悔しても仕方がない。打つ手なしだ。あとは明日考えればいい7月13日
俺は気付いた。あの後何度か置手紙をしようと試みたが無理だった。遠方にいるおやじにメールを送ろうとも試みたが、その時はマウスをぶっ叩かれて壊された。しかし何かあった時のためと思ってあいつの見た目をメモしようとしたら出来た。恐らく誰かに伝えようとしたら駄目なんだ。自分で完結させる分には良いんだ。という事で俺は今日から久方ぶりの日記をつけ始めようと思う。部屋から出られなかったら飯はどうなるのかと思っていたが、何故か部屋の中に飯が置かれていた。いつもは部屋の前にあるから、あのバケモンが部屋の中に置いて行ってくれたのか?
7月14日:
あのバケモンが消えた。でも相変わらず部屋からは出られない。取り敢えず連絡は取りたいと思って電話をしようとしたら、真っ黒でどろどろとしたムカデみたいなのが腕に噛み付いてきた。それでもここから逃げる代償として、ムカデに噛まれるくらいなら良いと思って俺は構わず電話を続けようとした。無理だった。体の至る所にナメクジやらアリやら、クモやらがよじ登ってきた。いや正確に言うとあいつらは生き物じゃないと思う。生き物を模倣した何かなのだろう。今日も疲れた、お風呂に入れないのは少しきついが、我慢するしかない。7月15日:
今日はいい日だ。なんと部屋のドアが開いていた。それにバケモンもいない。朝起きた8時ごろ、部屋の前には飯があった。俺はそれを食べて、取り敢えずお風呂に入って、その後はちょっとした買い物にでも行こうかと思った。バケモンがいた。町の至る所に。足元から鉄塔の天辺まで、至る所にバケモンがいる。叫んで助けを求めても無駄だ。それに周りが騒いでいないことを見るに俺以外には誰もこのバケモンが見えている人はいないのだろう。無理だった。結局トイレに行ってゲロを吐いて、ちょっと申し訳なかったから菓子パンを買って帰ってきただけだ。
7月16日
バケモンが段々と増えてきた。今、俺の部屋の半分はバケモンに圧迫されている。形は良く分からない。でも顔と目と、手と足と、内臓みたいのが沢山あるのは分かる。ケラケラと笑っている。いや、生活は出来るんだ。飯もあるし風呂も入れる。バケモンを押しのけようとすれば素直にどいてくれる。だけど無理だ。でも助けは求められない。助けを求めた瞬間に俺はあいつらに切り刻まれるんだ。そう言えば、俺は母ちゃんともう3年も話していない。今となっては母ちゃんと話すのはもう無理だ。考えてみると俺はとんでもない迷惑をかけていた。ずっとずっと引きこもって。ここで母ちゃんへの懺悔を書きたいのはやまやまだが、書いたらメッセージと受け取られてあいつらに屠られるんだろうな。
7月17日
母ちゃんに一言お礼を言おうと思う。鉛筆とメモ用紙は用意した。一言書いてから俺は殺されるんだ。それでいいさ。これ以上は耐えられない。
飯島恵氏へのインタビュー - インタビュー日時2023/07/19
対象: 高田信二氏(飯島巧氏の知人)
インタビュアー: 氷室忠臣研究員
付記: 警察による調査という体でインタビューは実行されました。
<録音開始>
氷室研究員: インタビューを開始します。
高田信二: よろしくお願いします。
氷室研究員: こちらこそよろしくお願いいたします。それでは質問を開始します。高田信二さん、生前の飯島巧氏はどのような方でしたか?
高田信二: 巧は、もう知っているかもしれませんが、引きこもりだったんですよ。
氷室研究員: 詳しくお聞かせ願えますか?
高田信二: はい、巧の父親って、言うなればスーパーエリートだったんですよ。滅茶苦茶頭も良くて、詳しくは教えてくれなかったんですけどどっかのデカい会社の社長さんだったみたいで。んで、その分長男の巧にかかる重圧も相当だったらしいんですよ。昔はあいつもちゃらちゃらしたやつだったんです。でもいつ頃からか本当に勉強魔みたいになっちゃって、前みたいに遊びに誘っても乗ってくれなくなって、なんで乗ってくれないの?って聞いて見たら「俺は██大学に行かないといけないんだ」って言いだしたんですよ。でもそう言われても俺ら友達だったし、偶に遊びに誘っていたんですよ。そしたらある日俺の親が言ってきたんです。もうあの子を遊びに誘うのを辞めなさいって。
氷室研究員: ほうほう。
高田信二: あいつの母ちゃん、恵さんだっけ、が巧に無理くり勉強させるように色々な物を断たせようと手回ししていたらしい。俺はそれは良くないと思うんだけど、なあなあにしているうちに疎遠になっちまった。
氷室研究員: なるほど。
高田信二: それであいつさ、あんだけ頑張ってたのに大学落ちちゃったんだよ。だから親から相当詰められたらしく、引きこもっちまったんだ。俺も入学とかでドタバタしてて巧の所に行くの送れちまったけど、その時にゃもう手遅れだった。誰とも会いたくないんだと。
氷室研究員: ありがとうございます。インタビューを終了します。高田信二: なあ、一つ聞きたい事があるんだけどよ。
氷室研究員: はい、答えられる範囲でなら回答します。
<録音終了>
終了報告書: 飯島巧氏の実母である飯島恵氏へのインタビューは飯島恵氏の精神状態を鑑みて見送られています。
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任意A任意B任意C- portal:7318982 (25 Mar 2021 14:43)
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