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クレジット
タイトル: SCP-XXXX-JP - 消えない執念と消せない灯火
著者: ©︎naegon
作成年: 2022
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:7283760-2-1171
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPは燃料を抜いた状態でサイト-8119のコンテナに収容されます。収容違反の恐れがあるため、SCP-XXXX-JPに燃料を補給することは原則禁止されています。コンテナ内には監視カメラを設置し、SCP-XXXX-JPが新しい情報を開示していないか随時確認してください。
説明: SCP-XXXX-JPは大型自動二輪車に酷似した異常物体です。外見は一般的な大型自動二輪車ですが、X線検査により内部に人間の血管や脳、心臓のようなものが存在している事が確認されています。なお、異常な破壊耐性を有している為に現時点ではサンプルの採取に成功していません。また、SCP-XXXX-JPのヒューム値を測定したところ、1.32 Hmという正常値に比べて僅かに高い個体現実性強度を有している事が明らかとなりました。
SCP-XXXX-JPは、運転する人物を必要とせず、自発的な操縦が可能です。詳細はインタビュー記録-XXXX-JPを参照してください。また、SCP-XXXX-JPは時折ライトの点滅によるモールス信号を発しています。こちらの詳細については補遺1を参照してください。
発見経緯: SCP-XXXX-JPは2021/12/15の22時頃、██県██市で「バイクに轢かれた」という旨の通報を受けて駆け付けた、警察内部に潜入していたエージェント・瓜生を経由して発見されました。発見当時、SCP-XXXX-JPは燃料切れで路上に横向きに倒れており、その周辺には浅井 ██氏と伊藤 ██氏の二名が甚大な怪我を負った状態で横たわっていました。二名はすぐに救急搬送されましたが、浅井氏は間もなく死亡が確認されました。その後、SCP-XXXX-JPはサイト-8119へと移送されました。
以下は、負傷者である伊藤氏へのSCP-XXXX-JPに関するインタビュー記録です。
インタビュー記録-XXXX-JP
対象: 伊藤 ██氏
インタビュアー: エージェント・瓜生
付記: 当インタビューは事件の翌日、警察による事情聴取という形で伊藤氏が入院している病院で行われました。
<録音開始>エージェント・瓜生: お加減はいかがでしょうか?
伊藤氏: 最悪ですよ…右足を失ったんですから。親が自分以上に泣きわめいているのを見てたら、少しは落ち着いてきましたけどね。で、事情聴取でしたっけ?
エージェント・瓜生 はい。それでは、昨夜起きた事について、話せる範囲で結構ですので、もう一度説明していただけますか?
伊藤氏: はい…。まず、浅井は大学の友人で、今日はいつも通りアイツにバイクで家まで送ってもらったんです。トイレを貸してくれって言われたから一度家に上げて、アイツが帰ろうと外に出た時、凄いスピードであのバイクがいきなりアイツに突っ込んできて…しかも、そのバイクには運転手がいなかったんです。驚いていたら今度は俺の方に走ってきて、避けようとしたけど逃げ切れなくて…
エージェント・瓜生: なるほど。それで、あのバイクはいつ頃に止まったのでしょうか。
伊藤氏 私を轢いた直後です。アレが止まってすぐ、119に通報しました。で、アイツに駆け寄ろうとしたところで気を失って…
エージェント・瓜生: 辛い事を話してくださってありがとうございました。他に何か言っておきたい事などはありますか?
伊藤氏: …運転手がいないのにバイクが走るなんて、どう考えてもおかしいですよね。あれって幽霊か何かですか?
エージェント・瓜生: バイクについては、現在調査を進めています。何か分かったらご報告いたします。
伊藤氏: …あれはきっと幽霊ですよ。刑事さん、実は昨日、俺達は事故を起こしたんです。
エージェント・瓜生: なんですって?
伊藤氏: 昨日、浅井に送ってもらっている途中、道路を横断しようとしたお爺さんを轢いてしまって…カーブで、横断歩道のない場所です。██書店の近くの。暗かったし、衝突の直前まで二人とも気付けませんでした…
エージェント・瓜生: 何故自首しなかったのですか?
伊藤氏: 俺も自首を勧めたんですが、アイツはバレたら退学になるからって…俺もそれ以上言えませんでした…ごめんなさい!本当にごめんなさい!罪を償います!なので、俺をあの幽霊から守ってください!
エージェント・瓜生: …とりあえず、その件についてはまた別個に聞かせていただくことになると思います。本日はここまでとさせていただきます。ご協力ありがとうございました。
伊藤氏: 待ってください!待って!
伊藤氏がパニックに陥った為、インタビューを中断
<終了>
終了報告書: 伊藤氏の証言を受け、浅井氏の所有していたバイクを調べたところ、血痕が数ヶ所発見されました。しかし、伊藤氏の話にあったような事故が発生したとの記録は確認されておらず、被害者も発見されていません。その後、数回に渡る事情聴取の後、この事件はカバーストーリー「交通事故」が適用され、伊藤氏と周辺人物への記憶処理が行われました。伊藤氏の処罰については、犯した罪の重さと記憶処理の都合を考えた結果、不起訴処分となりました。
補遺1: 2021/12/18、SCP-XXXX-JPの検査中、SCP-XXXX-JPのライトが不自然に点滅を開始しました。この点滅は規則的なものであり、和文モールス信号に照らし合わせたところ、「ころす」という三文字を繰り返し表現している事が判明しました。同月19日以降、「にげやがって」「ばれてないとおもってるのか」「いまならむてきだ」「おまえもひいてやる」等といった別の文字列も表示することが確認され、重要な情報を開示する可能性があるとして特別収容プロトコルが一部改訂されました。なお、SCP-XXXX-JPはこちら側の問いかけには一切反応しませんでした。
補遺2: 伊藤氏の証言にあった場所の周辺を改めて調査したところ、空間現実性濃度が0.793~0.763 Hmの現実性希薄領域が半径約1.5mほど存在している事が判明しました(暫定的にSCP-XXXX-JP-1に指定)。SCP-XXXX-JPが僅かに高い個体現実性強度を有している事と合わせて検査した結果、SCP-XXXX-JPは現実改変によって発現したオブジェクトである可能性が高いと推測されています。SCP-XXXX-JP-1への対処については、現在審議中です。
補遺3 2021/12/21、SCP-XXXX-JPが「ぐあいわるい」「きぶんわるい」といった文字列をモールス信号で表示しました。再度SCP-XXXX-JPの内部をX線で検査したところ、血管内に血栓が数ヶ所確認されました。これは自動二輪車の形状的に、血管に強い負荷がかかる事による血行不良が原因であると思われます。SCP-XXXX-JPを治療する試みは破壊耐性により失敗に終わりました。これ以降、SCP-XXXX-JPがモールス信号を表示する回数は徐々に減少し、12/27の「あたまいたのにねれないたすけ」という文字列を最後に確認されていません。12/27に血栓が脳に到達しましたが、SCP-XXXX-JPの心臓と脳は停止する兆候を見せていません。
おれはいつやすらげるんだ
付与予定タグ: jp Safe scp 乗り物 自我 生命 破壊不能
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JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7283760 (11 Dec 2021 13:51)
拝読させていただきました。全体的にまとまっていていい記事だと思います。
この記事がより評価されることを願ってます。
読んでくださってありがとうございます。仰る通り、補足資料の表現方法は誤読を招く可能性があるので後ほど修正しようと思います。
お褒めの言葉をいただき、とても嬉しいです。少し自信がつきました。
拝読しました。
ストーリーラインがオチまでしっかり書かれていますね。しかし、設定面の魅力不足や、情報の繋がりの薄さが目立ちます。また、ストーリーライン自体も教訓系でありがちな話であり、話としての個性が薄いです。
まず、設定面の魅力不足についてです。このオブジェクトは「100×100×190cmの箱状の物体」ですね。これ、この形状である物語上の必然性はあるのでしょうか。確かに部屋に突然これが出たらちょっとはびっくりしますが、酒井がこの形になる文脈はありません。復習に燃えているならそれに合わせた"ふさわしい形"があるように思えます。また、箱状の物体があまり身近なものではないため、印象としてかなり薄く、舞台装置に見えてしまいます。何らかの火が付く物体、しかも、ちゃんと彼の事故に関係する実在するものを用いる。加えて、その物体は伊藤と浅井を傷つけることができ、長く続けば酒井自身をも苦しめるようなものにする。そうすると、よりストーリーラインが魅力的になります。登場する全ての要素がストーリーを輝かせるスパイスです。是非こだわってみてください。
次に情報の繋がりの薄さです。今回の記事では、「発見経緯で現象と正体の伏線→インタビューAで現象の答えあわせ→インタビューBで正体の答え合わせ」という構成になってます。こうして整理するとわかると思うんですが、インタビューA→Bに導線がありません。一応伊藤が「酒井のことは知らない」と言うのですが、結局この際の正体の仮定や想像がなく、箱酒井について何も情報が増えません。そのため、得られる情報がないインタビューAはストーリーにとって面白みに欠けるものになっているわけです。確かに、事件の詳細部分の掘り下げはあるのですが、それだけでは足りないように思います。また、正体の伏線部分にしろ、インタビューBにしろ、正体について全てを本人がしゃべっています。これでは読者の想像する余地がありません。詳細はぼかす、でも読者には伝わるようにヒントを散りばめるのが基本です。補遺2でも直接苦悩を語らせていますが、こうするよりも客観的情報から苦悩している様子を想像させるのが効果的です。
最後に、ストーリーライン自体の既視感についてです。「ある男が恨みを持って復讐し、その結果自身も苦悩することになる」というのはどうしても見たことがある話です。ですが、ここについてはこれまで言ったことから差別化をすることができるようになると思います。この作品を象徴するようなオブジェクト、異常性、そしてそのメリットデメリット。これに現在のストーリーラインを組み合わせることで、ようやくSCP報告書として形になるでしょう。この媒体の主役はオブジェクトです。オブジェクトで興味を惹き、異常性で魅せましょう。そこがあってようやくストーリーまで読者が着いてきてくれるようになります。
僕からは以上です。是非面白いSCPを書いてみてください。
ご批評ありがとうございます。ご指摘いただいた内容が具体的で、非常に勉強になりました。これらの事について、現時点での私の考えを書かせていただきます。
まず、「箱状の物体」という点についてです。火葬に用いる「棺」をイメージしてこのような設定にしたのですが、仰る通り、これには物語上の必然性も酒井が変化する理由も欠けていました。実は、元々はこの形状で違う異常性を持ったオブジェクトの話を書こうとしたのですが、途中で急に「棺」に路線変更をした為、このように不自然なものになってしまいました。路線変更をするならば、オブジェクトの設定をより相応しいものにするべきであったと反省しております。
また、Hasuma_S様がご提案なさったように、オブジェクトを酒井との関係を強め、酒井自身も苦しむような要素を持つものにすることが出来たなら、より私の望む作品に近付けると思いました。
次の「情報の繋がりの薄さ」という点についてです。これもHasuma_S様の仰る事は最もであると痛感しております。インタビューAの時点で酒井の情報をある程度出し、インタビューBでは酒井本人に自身の事を話させ過ぎないようにしたいと考えております。私自身、本人がベラベラと話すより、ある程度真相を仄めかす程度の方が読み物として面白いと考えています。ですので、ここはオブジェクトの設定同様に特に力を入れて工夫したいと思います。
最後の「ストーリーラインの既視感」という点についてです。正直なところ、私はSCP財団、そして一般的に広まっている文学作品についてもまだまだ知識不足であり、このストーリーをそこまで既視感のある話とは認識出来ずにいました。ですので私の観点からは差別化を狙うことは難しいかもしれません。しかし、Hasuma_S様にご指導いただいた事を徹底し、ストーリーを構成する要素の繋がりを満足のいくものに仕上げ、この記事をより良い物に出来るように尽力したいと思います。力不足の為、すぐには改稿することが出来ないかもしれませんが、コンテストに胸を張ってエントリー出来る作品にしたいと思っております。
コメントの終盤に登場した「オブジェクトで興味を惹き、異常性で魅せる」という言葉を、忘れずに覚えていようと思います。重ね重ねになりますが、大変役立つご批評、誠にありがとうございました。
chokurobo様にご指摘いただいた通り、「補足資料XXXX-JP」を「文書:XXXX-JP/補足資料」に修正いたしました。
Hasuma_S様にご指摘いただいた事を意識し、オブジェクトの形状、異常性、インタビュー記録等、全体的に大きく改稿いたしました。
拝読しなおしました。
ご批評ありがとうございます。それまでのモールス信号と最後のモールス信号で、口調が微妙に変化していることを表現出来ていたなら嬉しいです。
不自然な表現を一部修正しました。
拝読しました。全体的に整っていて悪くないとは思いますが、現状、オチに意外性が不足しているためDVを投じると思います。
ただ、今からオチを増やして二段オチにする!というのは厳しいと思います。(できることならしてほしいですが)
そのため演出に関しての指摘をさせていただきます。
インタビュー記録ですが、
という情報は「友人が轢かれた」という情報よりも前に開示すべきです。
私はここで状況が想像できずしばらく戸惑ってしまいました。読者はつまづかせてはいけない生き物です。
ただ、ここ以外はつまづいたポイントもなかったため、ここを直せばある程度の評価は得られるのではないかなと思います。
以上です。参考になれば幸いです。
ご批評ありがとうございます。ご指摘いただいた箇所を修正いたしました。
オチの薄さについては私も感じていますが、残念ながら現時点では良い案を思い付く事が出来ません。あと一時間だけ考えてみようと思います。
改めまして、この度はご批評ありがとうございました。
補遺3を改稿しました。