アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在SCP-XXXX-JPの周辺領域が財団管理下に置かれ、現地付近に特設されたサイト-████の主導により収容措置が施行されています。機動部隊く-4("踵きびす")はSCP-XXXX-JPやサイト-████に民間人が侵入することを阻止する任務を担います。
内部調査の際は探査ドローンの運用が望ましく、また人間による探査の場合は気密防護服の着用により内部環境への曝露による汚染対策を講じてください。SCP-XXXX-JP内部での異常存在との遭遇時における重火器等の使用は異常存在の活性化を誘発する恐れがあり、持ち込みを禁止されています。同様の理由で他の武器や四肢による攻撃も非推奨です。
外部からの干渉を予防すべく、財団Webクローラの運用によりSCP-XXXX-JP関連情報の拡散を防止すると共に、担当フィールドエージェントは報道機関等の活動による世論のSCP-XXXX-JP事案への関心拡大の防止に努めてください。
説明: SCP-XXXX-JPは東京都██区██町のビル建設現場跡地です。現状、内部に関して以下の情報が判明しています。
SCP-XXXX-JP内部について
- SCP-XXXX-JP内部の平均ヒューム値はおよそ0.85〜0.90Hmです。
- SCP-XXXX-JP内部は非ユークリッド空間とされ、内在する面積や体積は他の建築物オブジェクトの異常性規範通り、外界から計測された以上の大きさにまで及びます。特にSCP-XXXX-JP内部は水平方向に対しては面積・体積の大幅な逸脱は認められないものの、鉛直方向に対してはSCP-XXXX-JP外部の外装や地層を無視するように存在する空洞が貫徹しており、その長さは財団技術による計測限界以上と推測されています。
- SCP-XXXX-JP内部は高温多湿の環境となっており、腐乱臭を伴う気体が充満しています。一部の足場には多種の生物種のゲノムを含むバイオマスが付着してており、その一部には未知の生物種のゲノムも混在しています。
SCP-XXXX-JP内部特有の異常実体について
- SCP-XXXX-JP内部の床および内壁からは触手様の実体(SCP-XXXX-JP-Aと呼称)が出現し、内部の物体を運搬または保持する運動を行うことがあります。射撃等の攻撃はSCP-XXXX-JP-Aを一時的に退ける効果を生じますが、以下に示す反撃的行動を誘発する危険性が高いため現在は禁止されています。
- SCP-XXXX-JP-Aが過度な刺激を受けた場合、SCP-XXXX-JP-Aは刺激を及ぼした物体に付着し挫滅を図る様子を示します。この運動は緩慢ながらも人力では脱出困難なほどの引力や圧力を伴います。
異常性の発現時期とされる20██年█月██日には過去に同現場にて発生した労災による死者█名の供養儀式が執り行われており、同儀式に参席し内部に居た現場従業員および祈祷師██名が行方不明となっています。SCP-XXXX-JPの異常性の発現は同儀式に起因する神学・奇跡論的インシデントにより誘発された可能性が検討されています、1。過去に財団により3度救助作戦が決行されましたが、そのいずれにおいても内部残存者を救助するに至ってはいません。しかし、SCP-XXXX-JP内部探索により内部残存者由来とされる非異常性の物品が発見されており、それらに付随する情報によりSCP-XXXX-JP内部での生存の可能性が示唆されています。
以下はSCP-XXXX-JP内部の調査記録となります。
探査ログXXXX-JP-01 - 日付 20██/█/██
探索者: D-XXXX-JP-1、D-XXXX-JP-2
目的: SCP-XXXX-JP内部残存者の捜索、および機動部隊派遣前の予備調査
<再生開始>
D-XXXX-JP-1: 中に入ったぞ。[嗚咽] うわっ。
司令部: 何かありましたか?
D-XXXX-JP-1: 臭いし暑過ぎだろここ。あと内装も凄くてびびった。何かのアトラクションかと思ったわ。
D-XXXX-JP-2: ここを探索するんですか?何か気分悪いし頭おかしくなりそうですね──
司令部: 辛抱してください。2人で様子を確認し合いながら探索を進めていってください。何か気掛かりなことがあれば逐一報告を。
D-XXXX-JP-1: はぁ、了解。
[2分程探索が行われた。1階部分に相当する空間が映像に映され、D-XXXX-JP-1が中央部の独特な吹き抜けを観察しようとする。]
D-XXXX-JP-1: うおっ、何だ何だこれは?
[SCP-XXXX-JP-AがD-XXXX-JP-1の足元から出現、D-XXXX-JP-1の脚部に付着しようとする。]
司令部: 説明を。
D-XXXX-JP-1: うわキッショ!離れろこのくそでかいヒルが![罵倒]
[D-XXXX-JP-1が脚部に付着したSCP-XXXX-JP-Aをもう一方の脚で蹴落とそうとする。SCP-XXXX-JP-Aはうめくように動き、その後成人男性のD-XXXX-JP-1程度の大きさまで肥大化してD-XXXX-JP-1を捕捉する。D-XXXX-JP-1の所持カメラが叩き落とされる。]
D-XXXX-JP-1: [叫び声] おい!助けてくれ!
[D-XXXX-JP-1の声が弱々しくなる]
D-XXXX-JP-1: もう1人の奴![咳き込む] 助けて!誰か!
[SCP-XXXX-JP-AがD-XXXX-JP-1を包み込み、挫滅する準備を整える。一方D-XXXX-JP-2は漫然と立ち尽くしており、D-XXXX-JP-2の肢体をSCP-XXXX-JP-A群がまさぐり、徐々に全身を包み込んでいく様子をD-XXXX-JP-2の手放したカメラが映す。]
D-XXXX-JP-2: [不明瞭な発話] 良い世界だね。そこに連れてってくれるの?
[D-XXXX-JP-1を包み込んだSCP-XXXX-JP-Aが一瞬膨張する。]
D-XXXX-JP-1: [鈍い悲鳴]
[膨張したSCP-XXXX-JP-Aが一気に収縮し、鈍い破砕音が鳴る。肥大化したSCP-XXXX-JP-Aの間隙から液体が漏れ出る。SCP-XXXX-JP-Aは破砕されたD-XXXX-JP-1の肉体および漏出液を包み込み、SCP-XXXX-JP内部中枢の吹き抜け空間へと向かう]
[破砕されたD-XXXX-JP-1、およびD-XXXX-JP-2両名がSCP-XXXX-JP-Aにより内部中枢の吹き抜け空間に運び去られる]
<記録終了>
後記:行方不明となっていた内部残存者に加えて今回失踪したD-XXXX-JP-2を捜索対象とするか検討中。更にD-XXXX-JP-2の発言の意図も調査対象として追探査を検討する。
サイト-████所属 SCP-XXXX-JP主任研究員 間野 ██
実験記録XXXX-JP-01 - 日付 20██/█/██
SCP-XXXX-JPに起因する異常性による内部残留者への精神影響の調査を目的に、Dクラス職員を派遣しSCP-XXXX-JP-Aによる影響を確認する実験を追試しました。前回の探査と今回の実験に参加した各Dクラス職員の財団忠誠心テストの記録、およびSCP-XXXX-JP-Aによる影響を以下に示します。
D-XXXX-JP-1 | D-XXXX-JP-2 | D-XXXX-JP-3 | D-XXXX-JP-4 | D-XXXX-JP-5 | |
---|---|---|---|---|---|
財団忠誠心テスト結果 | 66 | 84 | 88 | 72 | 58 |
過去の調査による超越的存在への帰依願望の有無 | なし | あり | あり | あり | あり |
特定の宗教への信心の有無 | なし | あり | あり | あり | なし |
特筆すべき発言 | 「うわキッショ」「離れろこのくそでかいヒルが」 | 「良い世界だね」「そこに連れてってくれるの?」 | 「僕も神に身を委ねたい」 | 「気持ち悪いんですがこの実体」「この実験に異常性を解明する手掛かりがあるとは思えない」 | 「俺の命を使ってくれ」 |
SCP-XXXX-JP-Aへの反応 | 不快感を示して脚による攻撃 | 無抵抗 | 無抵抗 | 物理的に攻撃をしなかったものの罵倒 | 無抵抗 |
SCP-XXXX-JP-Aによる影響 | 挫滅 | 連れ去られる | 連れ去られる | 挫滅 | 連れ去られる |
内部残留者のSCP-XXXX-JPによる精神影響およびSCP-XXXX-JP-Aによる対応の差異には、残留者の超越的存在による帰依願望の有無が関係していることが示唆されました。しかしD-XXXX-JP-4の実験結果から、財団忠誠心の高さや特定の宗教への信仰心がSCP-XXXX-JPの精神影響の受容およびSCP-XXXX-JP-Aへの対応の内容に直接的に関係するとは断定できないと考えられます。
SCP-XXXX-JP内部への人間の派遣による調査がSCP-XXXX-JPによる精神影響の存在により難航している状況を受け、ドローン2の派遣による探査計画が企画・実施されました。以下はその探査ログとなります。
探査ログXXXX-JP-02 - 日付 20██/█/██
目的: SCP-XXXX-JP内部のドローンによる探査
前記:
<再生開始>
00:00: ドローンがSCP-XXXX-JP内部に進入、下階部に向けて進行する。
00:02: SCP-XXXX-JP-A群がドローンの存在を検知したかのように床から出現、ドローンを緩慢に追う。ドローンは自動操縦によりSCP-XXXX-JP群の追跡を振り切り、内部中枢の吹き抜け空間部に進入、下降する。
00:05: ドローンが吹き抜け空間部の内壁部を映す。内壁部はワインレッド色を呈しており、その材質は有機的な素材を彷彿させる。進行中、内壁部から出現したSCP-XXXX-JP-A群がドローンを包囲する。ドローンは空中にてホバリングし待機するが、SCP-XXXX-JP-A群による包囲が徐々に緊密になり、やがてドローンを捕獲する。
00:06: SCP-XXXX-JP-A群がドローンを破砕し、通信が途絶する。
<記録終了>
後記: ドローンによる探査も十分な結果をもたらすとは言い難い。今後はSCP-XXXX-JP-Aにより攻撃を受けずに運搬され得る人材を派遣しての探査がやはり有用となると考える。
サイト-████所属 SCP-XXXX-JP主任研究員 間野 ██
ファイルページ: protocol-lovecraft
ソース: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:7235197-16-3ej8
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: protocol-lovecraft
著作権者: Kompeki-Shi
公開年: 2022
補足:
パブリックドメイン画像を用いて自作
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- portal:7235197 (03 Feb 2021 04:38)