冗談みたいな

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目覚め。それは気持ちよく射し込む日差しと、気分が悪い口内炎から始まる物語。

「痛っ」

この男、東青年は、昨晩遅くにカップ麺を食べた時はなんともなかった筈だが、と嘆く。

 SCP-555-JP-J罹患者は口内を清潔に保ち、ビタミンBの多く含まれるバランスの取れた食事を1日に3食行い、規則正しい時間に睡眠を 

と、言われても今更どうしようもない。仕方なく朝食をとることにしよう。

今日も、この馬鹿げた世界にモーニングコールを告げた。

時は過ぎて、お次は財団のとあるサイトでの物語。この男には今日も厄介な上司の吐息が降りかかる。

「やあやあ東君。おや、君には財団神拳の講習が当たっていたのでは?」
「おはようございます博士、それは本日午後からの予定です。」
「いや、そうだったのかい、勘違いして済まないねえ。まあ、エージェントには欠かせないことだからね、しっかり取り組むんだよ。」
「はい、了解です」

博士から逃れるためにも、すぐに会話を切った。はずだった。

「ああ、そういえば、」
「はい」
「いや、クリアランスが足りていないね。なんでもないさ。恐らくは気がついていることなんだろうが、忘れてくれ」

などとほざく。心当たりは……あるのかもしれない、だが、きっと見当違いだ。それにただのエージェントであるこの男が声を荒らげたところで、誰の耳にも届く筈はなかった。

一日の職務をようやく終え、男は帰路についた。今日も肉と野菜を口に運ぶ作業を繰り返す。先日の旅先で出会った飲食店の味が忘れられない。この料理は確かにうまい。うまいのだが、どうもあの味が食べたいのだ。生憎今は忙しく、誰かを頼ろうにも頼る人間がおらず、また暴動を起こすにも男の身体はそこまで強いものではなく、全て却下した。

やっと食事が皿から消えた。さて、この男にも、食後の嗜みと言うものがあった。コーヒーである。本場の豆を輸入し、温度にも拘っていた。この一杯を飲んでいる間は、こんな馬鹿げた世界のことも忘れられる。そんな気持ちが奥底にあるのか、いつの間にやら習慣と化していた。

一口、また一口。テレビやスマートフォンを見るような気分ではない。世界の裏側を知り、メディアの情報が途端に無意味なものになったのである。

一口、また一口。ドッキリ企画も何もかも、悪質なジョークに過ぎないのだ。

一口、また一口。


一口。



口周りの不快感で気がついた。暫く休みが取れていなかったからか、眠気に襲われていたようだ。勿体無い、と嘆いても仕方ない、素早く零れた液体を片付けた。今日はもう、休むことにする。


これが昨日の一日だった。あまりに可笑しな話ではないか。どうも、この世界では普通のことらしいが、男、いや私にとっては違う。

この世界は玩具箱なのだ。財団は積み木の城。我々は皆プラスチックの兵隊だ。上の方から手を伸ばし、その手が兵隊を潰した。誰もそれに気づきはしない。

気がついていても、無駄なのだろう。誰にも伝えられない。博士の話というのはこのことだろう。きっと気がついていただろうが、クリアランスが足りないというのは自分自身のことでもあったのだろう。伝えられないのだ。

結局、この冗談みたいな世界の中で、上の方から伸びる手に操られ、御飯事を演じ終える。翌る日も翌る日も、手が操る世界の筋書き。

こんな世界に不満はないか。君はどうだろうか、この話を今読んでいる君だ。君はこの世界を操る手なのだろう。我々を生かすも殺すも容易いことだ。そんな存在に気が付いているだけでは、結果は変わりやしない。好きにするがいい。


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