SCP-1216-RU - 天国の門

SCP-1216-RU - 天国の門ヴラター・ラーヤ
翻訳だけなら約7年前にとっくにやられてるので二番煎じ。本文訳質向上はもちろん、当ディスカッションポストで記事の裏モチーフを紹介してみる。この裏モチーフを共有する記事はRUのみならずJPにもあったりするのでそれについても触れてみる。

当記事の反響

当記事の反響

---

SCP財団ロシア語支部における当記事の評価

偉大なる財団よヴィリーキー・フォンド、正常性の巡邏よ。
汝が寄り添うは汝にあらず。汝が寄り添うは人々にあらず。
ロシア語での朗読動画の米欄より

SCP財団ロシア語支部ではかなり著名な記事のひとつ。著者であるFortunatusは美麗な画像を使って評価の高い記事を何件か輩出した実績がある (それら画像はおそらく全部CC適用不可なので当Wikiには転載できないが……)。

古参のみならずニュービーにもよく知られているのか、2022年夏季のサイト移転を経てRatingがリセット・刷新された今現在においても、比較的多くのユーザーから高い評価を得ているようである。

---

日本語圏における受容

そもそもこの記事が日本語に翻訳されたのはこれが初めてではない。

原著が投稿されたのと同年である2015年には既に、当記事の和訳がSCP-RU和訳ブログに投稿され、ブログ執筆者によりゆっくり解説もアップロードされている。
この動画自体2023年1月時点で9,000を超える再生数を誇っているほか、Twitterや5ch (2ch) でも言及例がある。古くから、当Wiki外では一定程度認知されていたことが伺える。

同氏が同じく翻訳したSCP-1733-RU-JやSCP-1007-RUなどと異なりSCP-1216-RUは旧翻訳Wikiひいては当Wikiに投稿されることがこれまでなかった。
とはいえ当記事を初出とするUP-クラスシナリオがSCP-2005-JPで使用されるなど現在のSCP-JPに若干影響を与えている記事である。

SCPDeclassifiedごっこ

SCPDeclassifiedごっこ

---

記事の大枠

ゆっくり解説を参照のこと。

+ 概要

SCP-1216-RU-1はポータル。並行世界SCP-1216-RU-2に接続している。

SCP-1216-RU-2は人類にとって住みやすいこと極まる世界。

SCP-1216-RU-3 (元Dクラス、元極左アナーキスト政治犯) は、SCP-1216-RU-2に立て籠もっている。
地球人類を-2に導き、その素晴らしい住環境で暮らす幸福を分け合いたいと考えている。
それが達成されれば地球人口は激減し、人類文明は不可逆なダメージを受けるだろう。

SCP-1216-RU-3は、世界SCP-1216-RU-2から我々の宇宙に繋がるポータル (SCP-1216-RU-4) を開通する能力を持ち、報告書執筆時点で13個のポータルを生成してきた。

ただポータル生成の制御は結構難しいようで、当初SCP-1216-RU-4は我々の宇宙の的外れな場所に生成されていた。

が、何度もポータルを生成するうちに精度は向上しており、生成地点はものすごい勢いで地球に近づいている
(よくわからん宇宙の辺境→地球から約50メガパーセク (約1.6垓km)→約930キロパーセク→約42キロパーセク→約600パーセク→約1.2パーセク→太陽から約175天文単位 (約263億km))。

-3をこちらに連れ戻すための兵器などは確立されていない。
なので割と原始的でエグい脅迫を聞かせて彼を「説得」し「自主的に」帰還させようと試みている。

財団上層部はこれ以上SCP-1216-RU-2に興味を持つ職員を出したくない模様。
下級クリアランス職員には偽情報を開示し、SCP-1216-RU-2やSCP-1216-RU-3の本質情報を秘匿している。

---

UP-クラス: 社会変動シナリオ

+ スポイラー

地球人口がSCP-1216-RU-2へと大規模移民してしまえば、人類の社会的、政治的、経済的体制に破局的結果をもたらすであろうことは自明です。かかる事象は正常性の全面毀損およびUP-クラス: 社会変動シナリオにあたるものと見なされています。他のKeterクラスのオブジェクトの場合と同様に、そのような事象の発生を阻止することが財団の課題となっています。

• 「社会変動」とは何か:
  額面通り受け取れば地球の人口ががっつり減るので社会とか政治とか経済とかが大ダメージを受けること。
  が後述の小説『ストーカー』3章の内容を考慮すると、SCP-1216-RU-2侵入者が財団も認知していないような未知の異常性を獲得して地球に帰還し、人類や地球環境に予測不能な影響を及ぼすことも指していそう。
• 「UP」とは何か:
  「UP」が具体的に何なのか原文では描かれない。原著者は記事外でも明言していない¹。
  元記事ディスカッションでは他ユーザーらにより以下のような推測がなされている。
  * 人口が天国へ “上昇up” することを表現している
  • 社会がより進歩したステージに “進化uplift” することを表現している
  • 特に意味はない。報告書執筆にあたり適当な呼び名が必要だったから便宜的にこう呼んでいるだけ
  • SCP-1216-RU-3の思想と関連する何らかの主義、政党の名前 (United Peopleとか) の略である

---

裏モチーフ

+ スポイラー

В том же году основал леворадикальную анархо-коммунистическую группировку «СВД» («Счастье всем даром»), во главе которой совершил серию преступлений
同年、極左無政府共産主義団体 “SエスVヴェーDデー” (“万人に分かつ無償の幸福シャスティエ・フセム・ダーロム” のアクロニム) を結成し、同団体を先導して一連の犯罪行為を決行しました。

最終盤でSCP-1216-RU-3のバックグラウンドが開示される。
この団体名 «Счастье всем даром» はSF小説『ストーカー』^{2, 3}の最後のセリフ⁴と酷似する。これだけでなく、この小説と共通するモチーフが記事中には多数登場する⁵。具体的には以下が挙げられそう。

• メタタイトル「天国の門」:
  同小説1章にゾーンを「天国」と形容する場面がある。
• 小規模な旋風:
  同小説3章にて、来訪地域から転出していった人々が住み着いた土地に「龍巻きと台風」が発生したという描写がある。
• SCP-1216-RU-2内某惑星表面に「緩やかな列を成して並んでい」るSCP-1216-RU-4:
  同小説中でゾーンは地球表面上に6ヶ所存在する。同小説プロローグにてこれが1本の曲線で結べることが言及される。
• デネブ:
  以上のゾーン6ヶ所は、それらが地球とデネブを結ぶ直線上にある「ピルマン放射点」と呼ばれる点から「ピストルの弾を六発射ちこんだ」かのように並んでいるとされる。

また『ストーカー』と関連するウクライナ製FPS『S.T.A.L.K.E.R.』から引用してそうなモチーフも見られる。

• 石棺: FPS『S.T.A.L.K.E.R.』では原発の石棺が登場する。

「裏モチーフ」を共有する記事

SCP財団ロシア語公式サイトにみられる小説『ストーカー』の影響

『ストーカー』やその関連FPS『S.T.A.L.K.E.R.』はロシアなどのSFに強い影響を及ぼした。
SCP財団ロシア語公式サイトもその例外ではない。これらを思わせるような描写がたびたび見られる。

既訳記事

• scp-003-h:
  同記事に異常領域とマサチューセッツを隔てる検疫領域が登場する。小説『ストーカー』にも、来訪の影響で生じた「疫病」の患者を隔離する「疫病汚染街区」が登場する。
  異常性に曝露した人間が移民となって他地域に騒擾を拡大するような描写も『ストーカー』3章と共通する。
  正常な親世代が生んだ子が異常性を帯びている、という描写も共通する。

未訳記事

• З.О.Н.А. (ゾーン):
  『S.T.A.L.K.E.R.』とのクロスオーバーTale。
  • “左利き”:
    当記事ではGoI-RUのひとつである “左利き” が言及されている。
    INT版のGoI-RU一覧では「“左利き” のモチーフはニコライ・レスコフの著作に登場する人物である」とされているが、当Taleで真のモチーフが『S.T.A.L.K.E.R.』に登場する同名の人物であることが示唆されている。
• SCP-1030-RU:
  『ストーカー』を彷彿とさせる、と他ユーザーから指摘されている。
  前述の「左利き」も言及されている。

他支部に見られる『ストーカー』の影響

• agent-klein-s-personnel-file:
  機動部隊 "ロードサイド・ピクニッカーズ" は原語ではRoadside Picnickers、ロシア語ではПикник на обочине。後者は小説『ストーカー』の原題そのものである。
• duga-radar
  「どこぞのSF作家の作品と半オープンワールドの探索ゲー」は小説『ストーカー』とFPS『S.T.A.L.K.E.R.』。
  「スタルカーもしくはストーカー」というのも当小説に由来する名詞。
• scp-2001-jp、potemkin-stairs、malicious-to-mimic、tour-of-pripyat:
  スタルカーやストーカーが言及される。

ライセンスほか

ライセンス

記事中では3枚の画像が使われているがいずれもCC適用可能性が怪しいので差し止め。画像、キャプション両方を削除の上で翻訳する。

+ テキストを表示

ソース: https://scpfoundation.net/scp-1216-ru / http://scp-ru.wikidot.com/scp-1216-ru
ライセンス: CC BY-SA 3.0

タイトル: SCP-1216-RU - Врата рая
著作権者: Fortunatus
公開年: 2015
補足: 原則ゼロベースで翻訳することを試みたが、日本語圏で既に知名度がある先行訳から無意味に乖離することを避けるため、一部以下の記事を参考にした。

※ 当wiki外あるいは旧翻訳wiki外に投稿された翻訳記事を参考にすることの是非については現行のhow-to-write:post-translationなどでは一切言及がない (author-page-guideで若干触れられているが、今回のように先行初訳者と当wiki上での初訳者が明らかに異なる場合を想定しているかどうか曖昧) ものの、CC BY-SA 3.0ライセンスの下で書かれた作品の翻訳物である以上、同じくCC BY-SA 3.0ライセンス適用を宣言し参考元を明記する限りにおいて問題なく公開できるものと考える。

ソース: https://scpru.exblog.jp/21408507/
ライセンス: CC BY-SA 3.0 (参考)

タイトル: SCP-1216-RU – Врата рая「天国の門」
和訳者: nekoskiy
公開年: 2015
補足:

訳が大幅に異なる箇所などについては当タブ下部で列挙する。

ソース: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC_(1972%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%B0%8F%E8%AA%AC)
ライセンス: CC BY-SA 3.0

タイトル: ストーカー (1972年の小説) - Wikipedia
備考: 当ディスカッションポストで引用。

2015年版訳と大幅に異なる点など

+ 1. 2015年版訳内で訳注が入っている箇所に関する解釈

2015年版訳:
(*1)обезвредить「無害にする、解毒する」という単語を、「正気に戻した」と解釈することもできますが、続く文から判断して「終了」と訳しました。

---

続く文を読んでも「終了 (殺害)」までしているとは読み取りかねるように思われる。SCP-2522の補遺直前やSCP-2776の特別収容プロトコルでобезвредитьがあくまで沈静化、拘束するといったニュアンスで使われているように思われることを考慮し、「無力化」とする。

2015年版訳:
(*2)原語ではпустое пространствоで直訳は「空虚な[無の]空間」となりますが、ここでは宇宙空間と訳しました。

---

пустое пространствоはSCP-1057などではまさに「空虚な[無の]空間」という意味で用いられているし、あるいは「真空 (空間)」という定訳もある。しかし当記事において、SCP-1216-RU-4-1、2および3の概要などでは星間物質があって然るべき空間についてもこのフレーズが用いられている。そのため「宇宙空間」の換喩としてこのフレーズを使ったものと判断し、それを踏襲した。

+ 2. その他

2015年版訳: UO-SSSMB2
今回訳: UO-SSUIS2

• UOはUniversal Overlapの略。SCP-1483などで言及される「世界重複」のこと。
  RUではSCP-1483での記述をもとに、独自に「世界重複」の分類法を設定した。
  このようにEN記事が初出の概念であることを考慮すると、翻訳にあたってはキリル文字をそのままラテン字転写するのはナンセンスだろう。

2015年版訳: この(おそらくは異常な)スペクトル成分により、惑星の昼間の空はすみれのような濃紫色、つまり暗い赤色に彩られ、すべての色域が地球のものとは異なっています。
今回訳: こうした (おそらくは異常な) スペクトル成分が原因となり、この惑星の日中の空は小紫色に、海洋は暗赤色に染まっており、あらゆる色域が地球とかけ離れています。

• 「海洋」云々が訳し落とされている。

2015年版訳: メロット
今回訳: メロッテ

• 本文中でリンクを貼ったページで日本語音訳例がある。メロットとはされていない。

2015年版訳: 赤色矮星は非常に不安定で
今回訳: 赤色矮星は激しく変光しており

• переменнаяには「変光」の意味もある。「不安定」では述部として曖昧過ぎ感がある。

2015年版訳: SCP-1216-3の標的が人類であることは疑いようがありません。
今回訳: 対象の目指すところが、人類に対して害を為すものであることは疑いようもありません。

• 原文はここまで端的に「SCP-1216-RU-3は人類を狙っている」とは言っておらず、「何だかよくわからないが副次的に人類に害が及びそう」くらいのニュアンスを感じる。

2015年版訳: 手順が成功した場合、主任オペレーターはSCP-1216-3に対して、地球からより離れたところへ繋がるポータルに戻るよう命令してください。
今回訳: 当手順完遂の際にはメインオペレーターはSCP-1216-RU-3にポータルの出口へと戻り、そして地球に帰還するよう命じるものとします。

• далееは距離ではなく時間の意味。далее前後のточку выходаとЗемлюはどちらも対格である。

2015年版訳: 水中の動物相は陸上のそれよりも多種にわたり、数十種類の食用の魚や貝が記載されています。
今回訳: 水棲動物相は陸上よりも多種多様であり、数十種の食用に適する魚類や軟体動物が記録されています。

• моллюсковは「軟体動物」。「貝」よりも広い。

2015年版訳: 同年急進左翼の無政府共産主義団体「SVD」(「あらゆる天賦による幸福」)を設立し、団体の先頭に立って多くの犯罪を犯しました。武器を用いての店舗・銀行強盗(金の一部は無産者に分配)、警察分署や裁判機関への放火、警察や地域警備員襲撃。
今回訳: 同年、極左無政府共産主義団体 “SエスVヴェーDデー” (“万人に分かつ無償の幸福シャスティエ・フセム・ダーロム” のアクロニム) を結成し、同団体を先導して一連の犯罪行為を決行しました。具体的罪状としては店や銀行に対する武装強盗行為 (およびその後に金銭の一部を無産市民へと分配したこと)、警察署や司法機関への放火、警察官や民間警備会社構成員に対する襲撃が挙げられます。

• всемの格の取り違え。元訳はвесьの形容詞的用法・単数造格とみてдаромにかかると解釈していると思われるが、当記事最終パラグラフからうかがえるノーソフの信念がこの党名に反映されているだろうことを考えれば、代名詞的用法・複数与格と考えるのが自然。
• даромは名詞造格ではなくそこから派生した副詞「無償で」として解釈すべき。
  • なお「SCPDeclassifiedごっこ」タブで述べたとおり、このフレーズの元ネタはおそらく小説『ストーカー』最後のセリフ (の典型的な表記ゆれ (正式にはСчастье для всех, даром, и пусть никто не уйдёт обиженный!となる))。
• 原文ではкак то: により「犯罪」の具体例をその後に列挙しているが、旧訳ではそれが不明瞭になっているように思われる。
• частных охранниковは公権力の暴力機構 (полицейских) と対比しての民間暴力機構 (ワグネルみたいな) を指していると考えられる。「地域警備員」では不適か。

2015年版訳: 責任者Samokhina博士の斡旋によって毎月のローテーションは免除されました。
今回訳: 監督研究員であるサモーヒン博士の斡旋により月例解雇が免除されました。

• д-ра Самохинаでひとまとまりの生格名詞句であることが汲めていない。タイトルд-рは続く人名と同格になる (なおニコ動版ではちゃんと訳せている)。この点ギアーズ博士の個人記録ロシア語版のタイトルを読めばわかりやすい。
  • научного руководителяはнаучный руководительはSupervising Researcherに対応する。「監督研究員」が妥当な訳なのか、そもそも対応する日本語が存在するのかが正直怪しい。

2015年版訳: プログラムの終了後、新たに発見された異常な能力を使って地球へ戻ることを拒否、脱走しました。
今回訳: 対象は同プログラムが断念された後に地球への帰還を拒否し、新たに獲得した異常能力を行使して逃走しました。

• новообретённымиは「新たに発見」という意味も持つが、主体がノーソフであることを鑑みればどちらかといえば「新たに獲得」の方が自然に思われる。
• воспользовавшисьで始まる過去副動詞節はбежалだけに時間的先行する節であるように思われる。

2015年版訳: 手順は、命令に従わない場合には1時間30分毎にDクラス職員を1人殺すという脅しのもと 、SCP-1216-3に対して拡声器を用いて異世界の出口へと戻る命令が与えられます。
今回訳: 実際の同手順は拡声器を用いて対象 (SCP-1216-RU-3) にポータルの出口へと戻るよう命じるとともに、これに反抗する場合には30分ごとにDクラス職員1名を殺害する、と脅迫するというものです。

• заключаетсяには前文で示された「これはミーム的な何かではない」という情報を踏まえ、「実際には〜である」という本質を開示するニュアンスがあると思われる。
• полчасаは「30分」の意。

2015年版訳: この種の出来事は、ノーマリティーの完全破壊、大変動をもたらすUPクラスシナリオとみなさなければなりません。
今回訳: かかる事象は正常性の全面毀損およびUP-クラス: 社会変動シナリオにあたるものと見なされています。

• нормальностьはnormalityやnormalcyの訳語。この語は今日のSCP財団日本語公式コミュニティで「正常性」として受容されている。
  • нарушение нормальностиというのはRUでもそこまで多くは見られないフレーズだが、ハドソン川協定 (JP記事。RUでは未訳)など使用される「正常性 (中略) 毀損」というのがこれに近いと思われる。
• сценарий {生格名詞句} класса 〇〇で「〇〇-クラス: {名詞句}シナリオ」の意。

タグ

RUでは2022年12月くらいにタグシステムが抜本的に組み替えられた。原語では以下のようになっている。JPのタグ運用とは対応してたりしてなかったりするので和訳にあたり適当に対応しそうなタグを付ける必要がある
(Gipolibidemiaが同時期に翻訳したprogress-institute-hubやSCP-1390-RUも同様)。

• サイト構造タグ: scp 注目記事
• オブジェクトクラスタグ: keter
• 支部タグ: ru
• 異常性タグ: 空間 精神影響
• 基本特性タグ: 人間型
• 作品テーマタグ: 宇宙 k-クラスシナリオ

JPに1:1対応するタグがないものは斜体で示す。これらは以下のように置き換える。

• 空間: 「時空間」タグに置き換える。
• 宇宙: 宇宙をテーマとする記事付与されるタグ。これは「作品テーマタグ」であり、JPに存在しないタグ区分。オブジェクトが宇宙に関連するか、ではなく作品が宇宙をテーマとしているか、表す。暫定的に性質が近いアトリビュートタグ「地球外」に置換する。
• k-クラスシナリオ: 同上。暫定的に同名のアトリビュートタグ「k-クラスシナリオ」に置換する。

アイテム番号: SCP-1216-RU

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1216-RU-1は完全封鎖されており、いかなる者も、いかなる目的においても進入することはできません。当オブジェクトは鉄筋コンクリート造かつ直径9m、高さ3m、厚さ0.5mの封鎖施設 (石棺) 内部の、隔離警護円形区画内に位置しています。当オブジェクト内部には研究用の自律稼働電波ステーションが備え付けられており、これは石棺外壁のトランシーバーと伝送線で接続されています。トランシーバーは暗号化無線チャネルを介して、当オブジェクトから500km以上離れた制御基地と継続的に連絡しています。

石棺内部にはシリコン性のコンシール剤が封入されたシリンダーが複数器設置されています。これらは遠隔で開栓可能であり、石棺内部にコンシール剤を注入・密封することにより、SCP-1216-RU-1への進入を完全に遮断するために用いられます。シリンダーは技術人員が危険信号-“クラスヌィ” を受診した際に開栓されることになっています (詳細は『文書 1216-B: 技術規格』を参照のこと)。

説明:
自身のセキュリティクリアランスレベルに応じ、以下より適切な文書を選択してください。IDを用意の上で進んでください。

+ 警備部門人員および当オブジェクトの技術補助員向け文書

SCP-1216-RU-1は半砂漠無人領域にある空間異常です。これはロシア連邦サハ共和国 (ヤクーチア) ブルンスキー・ウルス内の山岳・亜北極気候領域に存在し、最寄りの人口居住地であるキュシュル村セロから南に116kmの地点にあります。当空間異常は並行世界 (SCP-1216-RU-2に指定) につながる世界間移動路です。

当空間異常の発見は1998年、衛星画像によりなされました。当異常は局所的気象現象として、消散することもなく回転している霧状雲という形で発現しました。この回転雲は小規模な旋風であり、より高温・高湿な異世界の大気が浸入してきたことで形成されたものです。観測された限りではこれ以前に当異常は存在していなかったものとされています。以前、当オブジェクトにはSafeクラスが割り当てられており、SCP-1216-RU-2への定期探検も行われていました。しかし2013年に新たなオブジェクト (SCP-1216-RU-3) が発見されました。当オブジェクトが当該世界から我々の世界に侵入した場合、K-クラスシナリオ発生のリスクとなるおそれがあります。この発見を踏まえSCP-1216-RUのクラスはKeterに変更され、探検も中止されるとともに石棺が建設されました。

判明している限りでは、SCP-1216-RU-3には自力で当該封鎖施設から出てくることができません。とはいえその脅威度が上昇する可能性も排除できません。その場合には封鎖を強固にする必要があり、具体的には石棺内部を密封することが予定されています。現在財団はSCP-1216-RU-2に対する研究・探査活動を遠隔操作型ロボットによるもののみに限定して行っています。

+ 探査ロボットのオペレーターおよびその他探査班所属職員向け文書

SCP-1216-RU-1は[データ削除済]にあるUO-SSUIS2類型の空間異常 (安定的で安全かつ双方向から通過可能なポータル) です。当空間異常の外見は、半透明かつ振動している球状の膜です。またこれは視認される限りにおいて、任意の物体および電波を一切阻害せずに透過しています。SCP-1216-RU-1での世界間移動は瞬時に為され、その際これといった特殊な感覚を覚えることもありません。

SCP-1216-RU-2はSCP-1216-RU-1の出口側に存在する並行世界です。その出口は未同定の銀河の惑星 (SCP-1216-RU-2-Aに指定) 表面にあります。地平線の曲率を測定した結果から、この惑星の半径は地球の11.2倍であり、木星のそれに匹敵することがわかっています。しかしこの惑星は巨大ガス惑星ではなく、地球と同程度の重力を有します。このことは、SCP-1216-RU-2における万有引力定数が我々の宇宙のそれより遥かに小さいか、もしくはこの惑星の密度が異常に小さいことを示唆しています。大気圧、大気組成、磁場、日中の明るさおよび一日の長さも地球のものに相当します。

この星はG型主系列星であり、ほぼすべての観点で太陽と酷似していますが、既知のいずれの元素とも対応しない明るい放出スペクトル線が検出される点でのみ異なっています。こうした (おそらくは異常な) スペクトル成分が原因となり、この惑星の日中の空は小紫色に、海洋は暗赤色に染まっており、あらゆる色域が地球とかけ離れています。この惑星は3個の巨大な衛星 (月と同程度の大きさ) と12個の小さな衛星を有しており、それらを観測することで自分が今この惑星表面のどの座標にいるかを誤差1kmの精度で判別することが可能です。

ポータルの出口は北緯19°6′に位置し、丘がちな小島の最高高度地点 (海抜224m) に存在します。温度、湿度および降水量傾向は熱帯気候に相当しますが、季節性の気候変動は観測されていません。降雨は頻繁に (ほぼ毎夜) あるものの長時間振り続けることはなく、風力はビューフォート風力階級にして風力5を超えることはありません。航空機操縦に関する条件は地球と一切の差異はありません。

この小島は、石灰岩-砂質の堆積岩で形成される広大な群島を構成する島々の一つです。これら島々の大半は丘陵性の起伏や、複雑に入り組んだ海岸線を有しており、またカルスト性の鍾乳洞や岩窩、切り立つ岩壁、砂洲が特徴的です。地震活動は発見されていません。島々は植物相に覆われ、陸生・海生それぞれの動物相も有しています。

当文書の現行 (2015年) リビジョン執筆時点において、ポータルの出口から半径約300km以内の領域に関しては調査が十分に進行しています。この領域は前述の群島の範囲に収まります。ヒトあるいはその他の知的生命体の存在を示す痕跡は発見されていません。いくつか判明していることとして、SCP-1216-RU-2-Aにヒトが滞在してもその身体には危険はありません。一方でそこに長く滞在することは、人間にとり不可逆的で精神物理学的な、かつ異常を誘起する作用をもたらします。この作用は主として以下のような様相を示します。

• 1〜2週間: 言いようのない不安感が生じ、またそれが強まる。

• 2〜3週間: 肉体的な力、持久力、瞬発力が向上する。これらはいずれも不安感の昂りがパニック発作を生じさせるにまで至ったことを背景とするものである。

• 3〜4週間: 他の人間に対する敵愾心が高まり、攻撃性が強くなる。言いようのない憤怒が頻度・強度ともに増加していき、自己制御を完全に喪失するにまで至る。

• 1〜2ヶ月: 異常な防衛能力が発達する。対象に対する一切の攻撃的試行は、その攻撃を実行した者をSCP-1216-RU-2から地球上のSCP-1216-RU-1近傍へと瞬時にテレポーテーションさせるという結果に終わる。

• 2〜3ヶ月: あらゆる思考活動が減退する。ただし、他者に対していかに最大限の危害を加えるかという思考だけは残存する。

• 3〜4ヶ月: その他の異常性が発達する。具体的には空中浮揚、水中での無限長時間にわたる生活、狭範囲でのテレポーテーション。

• 約1年: ポータル生成能力が発達する。このポータルはSCP-1216-RU-1と同様のもので、SCP-1216-RU-2中のランダムな座標と我々の宇宙とを接続する。

当初、当オブジェクトにはSafeクラスが割り当てられており、SCP-1216-RU-2への定期探検が行われていました。人間をSCP-1216-RU-2内で1週間以上継続的に滞在させることもなかったため、軽度の不安感を除けばこれといったネガティヴな作用は発現していませんでした。しかし2013年にSCP-1216-RU-2内で人間を長期 (2ヶ月以下) 滞在させる実験が初めて遂行されると、その過程で以上に列挙したような効果が発見されました。被験者らは1名を除き、無事地球に送還および無力化されました。この無力化に関しては、前述の防衛能力はSCP-1216-RU-2内でしか発現しなかったため、実施可能であることが判明しました。この後当オブジェクトのクラスはKeterに変更され、探検も打ち切られるとともに石棺が建設されました。

SCP-1216-RU-3は、逃走した1名の被験者に与えられた符牒です。対象を捜索し地球に送還することが、現在最重要の課題となっています。

SCP-1216-RU-3は我々の宇宙に繋がるポータルを生成する能力を有します。現在までに対象の手により13個のポータルが生成されています。それらはSCP-1216-RU-4と総称されており、惑星SCP-1216-RU-2-A表面にてポータル (SCP-1216-RU-1) の出口から西方へ120kmにおよぶ緩やかな列を成して並んでいます。対象が生成したポータルの大半 (SCP-1216-RU-4-11以外の全ポータル) は宇宙空間に接続しており、そこへと吸い込まれる空気が旋風を成すため、容易に発見することができます。つまりこれらポータルの列はSCP-1216-RU-3が惑星表面に残した “足跡” であり、対象の捜索という課題を少なからず容易にする手がかりとなっています。

すべてのSCP-1216-RU-4の座標点を記載した地図については補遺SCP-1216-RU-Aに含まれています。以下に各ポータルの概略を引用します。

SCP-1216-RU-4-1、-2および-3は銀河間宇宙空間に接続している。接続先宇宙にある銀河についてはいずれも同定できていない。

SCP-1216-RU-4-4および6は地球から約50メガパーセクの位置にある銀河間宇宙空間に接続している。これはまったく別々の角度から観察された、いくつかの既知の銀河 (M87など) から結論づけられたものである。

SCP-1216-RU-4-6は致死量のX線が放射されている領域に接続している。この世界間移動路に送られたロボットは0.5秒で故障し、テレメトリ情報だけは送信できたが写真を転送することはできなかった。

SCP-1216-RU-4-7は地球から930キロパーセクの、ウォルフ・ルントマルク・メロッテ (WLM) 銀河辺縁の宇宙空間に接続している。

SCP-1216-RU-4-8は高密度の宇宙塵から成る星雲中の赤色矮星付近に接続している。他の星々は発見されていないため、ポータルの出口の位置情報を特定することは不可能である。この赤色矮星は激しく変光しており、原始惑星系円盤に囲まれている。

SCP-1216-RU-4-9は地球から約42キロパーセク位置の、我々の銀河系辺縁と大マゼラン雲の間の宇宙空間に接続している。

SCP-1216-RU-4-10はあるホット・ジュピター型大惑星の大気圏上層に接続している。この星 (K型主系列星) はまだ同定できていないが、その空には地球でも見られるような明るい星々 (カノープス、リゲル、デネブ) がいくつか観測されている。これら星々の座標から推定するに、ポータルの出口は地球からみずへび座方向に約600パーセク離れた地点に位置するものと考えられる。

SCP-1216-RU-4-11は通過不可能です。その上方には鉄-ニッケル合金から成る溶岩ドームがそびえ立っている。このドームは高圧下で、6,000℃以上かつドームそれ自体と化学組成を同じくする溶岩を、継続的に噴出している。

SCP-1216-RU-4-12は太陽からきりん座方向に約1.2パーセク (250,000天文単位) の位置にある星間宇宙空間に接続している。

SCP-1216-RU-4-13は未同定の氷小惑星表面に接続している。この小惑星は太陽から約175天文単位の距離で公転している。

以上を考慮すると、SCP-1216-RU-3は地球へと繋がるポータルを生成しようと試みているようです。明らかに、当初より対象はポータル生成を手探りで行なっていたものの、試行錯誤を経たことで確たる生成手法に至り、その生成の試みを重ねるたびにポータルの出口は着実に地球へと接近しています。対象の欲するところが、人類に対して害を為す類のものであることは疑いようもありません。

SCP-1216-RU-3を発見した場合、いかなる場合であっても、それを殺害あるいは拘束しようと試みることは禁止されています。探査ロボットがそれが可能なツールを装備していた場合も同様です。そのような試みは、ロボットがSCP-1216-RU-2から地球へとテレポーテーションされ、当初座標に復帰できなくなる結果に終わります。財団心理学・ミーム学研究センターにて、SCP-1216-RU-3捕獲を主眼とし、手順-“セイレーンの歌” が策定されました。当手順が対象に適用された場合、約85%の確率で対象を各探査班のオペレーターらの命令に自主的に従うようにさせられます。

手順-“セイレーンの歌” の始動に先んじて、オペレーターらは音声受信チャンネルをオフにし、自身をミーム作用から守る必要があります。当手順完遂の際にはメインオペレーターはSCP-1216-RU-3にポータルの出口に戻り、そして地球に帰還するよう命じるものとします。対象はSCP-1216-RU-1を通過し防衛能力を喪失した後、ただちに終了されなければなりません。その完遂後には石棺内部空間を密封の上、SCP-1216-RU-2に対するあらゆる研究・探査活動が中止されます。

+ セキュリティクリアランス4以上の職員向け文書

探査ロボットのオペレーター向け文書に掲載された説明は概ね妥当であるものの、いくつかのパラグラフは故意の偽情報を含んでいます。

SCP-1216-RU-2-Aの太陽のスペクトルは確かに不明な元素のスペクトル線を含んでこそいますが、それはこの惑星の色域には影響を与えていません。惑星の色域は地球のそれと事実上同じです。小紫色の色調は、オペレーターらが視認する惑星の美観を損なうべく、探査ロボットのカメラが内蔵する色補正機能により人工的に作り出されているものです。

惑星の自然環境についてはヒトの生活に完全に適したものとなっています。島々は地球と生化学的に違いのない常緑広葉樹の植生に覆われています。約100種の食用に適する樹木および灌木が記録されています。有毒植物は発見されていません。陸生動物相は乏しく、小型鳥類や植物食・昆虫食哺乳類で占められます。大型肉食動物、有毒および有棘昆虫、および病原性微生物は発見されていません。水棲動物相は陸上よりも多種多様であり、数十種の食用に適する魚類や軟体動物が記録されています。ヒトにとり有害となるような海洋動物は現状確認されていません。

2010年代初頭、SCP-1216-RU-2内に財団職員向けの療養所兼リゾート用サイトを建設する計画が精力的に進行していました。SCP-1216-RU-2内で人間を長期滞在させる実験が遂行されたのは2013年、他ならぬこの計画の枠内においてでした。この際に発見された精神物理学的および異常な効果として、実際には以下のようなものが含まれます。

• 1〜2週間: すべての肉体的疾患 (すなわち精神疾患ではない疾患) が快癒し、既知のあらゆる感染症に対する免疫を獲得する (この効果は可逆的。つまり地球帰還後に喪失する)。肉体的外傷やトラウマの治癒が加速する (不可逆的)。

• 2〜3週間: 高齢者が生物学的年齢25〜35歳にまで身体的に若返る。肉体的な力、持久力、瞬発力が向上する (いずれの効果も可逆的である)。

• 3〜4週間: 神経症による不安感、および攻撃性が弱まる。身体機能の不調によるものではない、神経学的・心理学的な疾患が治癒する。知能が向上し、ポジティブかつ友好的な対人関係が発展する。見返りを求めずに他者を援助することおよび、紛争・利益衝突を当事者間の歩み寄りにより解決することに意欲的となる (可逆的)。

• 1〜2ヵ月: SCP-1216-RU-2にいる間、防御能力が発達する。対象に対する一切の攻撃的試行は、その攻撃を実行した者を地球上のSCP-1216-RU-1近傍へと瞬時にテレポーテーションさせるという結果に終わる (可逆的)。

• 3〜4ヶ月: その他の異常性が発達する。具体的には空中浮揚、水中での無限長時間にわたる生活、狭範囲でのテレポーテーション (可逆的かどうかは検証されていない)。

• 約1年: 世界間移動路の生成能力が発達する。この路はSCP-1216-RU-1と同様のもので、SCP-1216-RU-2中のランダムな座標と我々の宇宙とを接続する (可逆的かどうかは検証されていない)。

SCP-1216-RU-3は1名の、SCP-1216-RU-2から地球への帰還を拒否したDクラス職員 (ID番号: D-8710) に与えられた符牒です。対象は1982年生まれのロシア連邦男性市民であるフセヴォロド・ペトロヴィチ・ノーソフです。2003年にノヴォシビルスク国立工科大学を卒業した対象は同年、極左無政府共産主義団体 “SエスVヴェーDデー” (“万人に分かつ無償の幸福シャスティエ・フセム・ダーロム” のアクロニム) を結成し、同団体を先導して一連の犯罪行為を決行しました。具体的罪状としては店や銀行に対する武装強盗行為 (およびその後に金銭の一部を無産市民へと分配したこと)、警察署や司法機関への放火、警察官や民間警備会社構成員に対する襲撃が挙げられます。2006年に同団体は捕縛され、逃亡に成功したノーソフを除く全構成員が逮捕および有罪判決を受けました。ノーソフはインターポールの国際指名手配を受け、2007年にコロンビア政府に拘束されロシア連邦へと本国送還されました。2008年には刑法法典に基づき25年の有期刑を受け、同年財団との雇用契約に署名しました。

対象はDクラス職員としてSCP-1216-RU関連施設にて勤務していました。その高度な知能レベル、科学的な思考パターン、および協力的態度を考慮し、監督研究員であるサモーヒン博士の斡旋により月例解雇が免除されました。研究補佐としての業務を事実上遂行する傍ら、対象はSCP-1216-RU-2についての十分満足な情報を取得していきました。2013年にはSCP-1216-RU-2内長期滞在効果研究プログラムに参加しており、当地にて自主的に1ヶ月間にわたり生活していました。対象は同プログラムが断念された後に地球への帰還を拒否し、新たに獲得した異常能力を行使して逃走しました。

手順-“セイレーンの歌” に関する情報は概ね真実ですが、実のところその作用はミーム性のものではありません。実際の同手順は拡声器を用いて対象 (SCP-1216-RU-3) にポータルの出口へと戻るよう命じるとともに、これに反抗する場合には、30分ごとにDクラス職員1名を殺害する、と脅迫するというものです。対象がこの命令を無視した場合には新たに、3歳の幼児1名の身体を15分ごとに少しずつ切断する、という脅迫が発信されることになります。これにより高確率で対象を服従させられます。なお以上の脅迫を実行に移す必要はありません。一方で[データ削除済]。念頭に置くべき点として、SCP-1216-RU-3が地球上の財団の制御が及ばない地域にポータルを開いてしまう前に、いかなる手段を用いてでも無力化しなければなりません。

SCP-1216-RU-3の経歴や信念に関する既存の知識を踏まえれば、「対象はあちらの世界へのアクセスを全希望者に対して供与すべく、SCP-1216-RU-2から地球へのポータルを開こうとしている」という見解が十分な根拠をもって成立します。地球人口がSCP-1216-RU-2へと大規模移民してしまえば、人類の社会的、政治的、経済的体制に破局的結果をもたらすであろうことは自明です。かかる事象は正常性の全面毀損およびUP-クラス: 社会変動シナリオにあたるものと見なされています。他のKeterクラスのオブジェクトの場合と同様に、そのような事象の発生を阻止することが財団の課題となっています。

---

• • _
  批評コメント批評コメント

  
  コメント投稿フォームへ

  批評コメントTopへ

  - hide block

ERROR

The Gipolibidemia's portal does not exist.

エラー:	Gipolibidemiaのportalページが存在しません。利用ガイドを参照し、portalページを作成してください。

利用ガイド

1. portal:7183424 (02 Jan 2021 05:16)

Footnotes

1. 原著者は当記事ディスカッションにそもそも一切書き込みを行なっていないし、自著ヘッカ開示ページでも触れていない。

2. 2023年1月8日現在、Kindleで電子邦訳版 (2018年1月31日発行。ハヤカワ文庫SF『ストーカー』11刷 (2017年10月発行) 底本) が購入できる。

3.

地球に来訪し地球人と接触することなく去っていった異星の超文明が地球に残したのは何が起こるかだれにも予測できない謎の地帯≪ゾーン≫だった。ゾーンの謎を探るべく、国際地球外文化研究所が設立され、その管理と研究が始められた。

だが警戒厳重なゾーンに不法侵入し、異星文明が残していった奇妙な遺物を命がけで持ちだす者たち、ストーカーが現われた。そのストーカーの一人、レドリック・シュハルトが案内するゾーンの実体とは。異星の超文明が来訪したその目的とは何か。

第4章

レドリックはバーブリッジの依頼を受けて、ゾーンへと危険な探索に向かう。助手としてついてきたのは、バーブリッジの息子・アーサーだった。レドリックは息子がゾーンに潜ることをバーブリッジは知っているのかと訝しみ、才知溢れた若者であるアーサーをどう扱ってやるべきか思い悩みながら、危険地帯を一歩ずつ進んでいく。レドリックたちの目的は、あらゆる願いを叶えるという〈黄金の玉〉だった。

(ストーカー (1972年の小説) — Wikipediaより)

4. 邦訳は (Kindleより版が古いけど) https://violinhi.hatenablog.com/entry/2016/03/18/223000 などで引用されている。

5. なお原語版ディスカッションではこの他に、SF小説『Райская машина (未邦訳)』との類似も指摘されている。