はじめに
ようこそ、«H» 希望と正常の世界へ! このタブには著者向け情報を書いていこうと思います。当カノンに作品を追加したい方々はご参考にしてください。言うまでもないことでしょうが、ここに書いてあることは各記事が厳守必須なルールではありません。概してこのガイドは、«H» の世界に対する一著者の私見を反映しているに過ぎません。とはいえ、この記事が皆さんの執筆活動の一助になることを希望しています。
プロット
このカノンには中心となるようなプロットラインが設定されていません。ここに今ある記事たちを相互に繋げているものは、共通のテーマ、共有された設定、そして世界線を同じくしているという事実だけ。ですから皆さんは著者として、当カノンでもう確立している既存のプロットから好きなものを採用してもいいですし、あるいはご自身のプロットを始めても構いません。
SCP財団
SCP財団はこの «H» の世界において、最も強大で、そして最も無力な組織です。
黙 示 録アポカリプシスの深刻さは、財団のポリシーに影響を及ぼすほどではありませんでした。通常のカノンにおける財団との唯一の違い —— それは、その収容における主 眼プライオリティを異常なオブジェクトには置かず、正常なオブジェクトに置くようになったことです。当カノンの枠組みにおいては、それこそがより合理的に正常性を保護できる手段だったからです。基本的にSCP財団はこの状況に至ってなお、闇 に 紛 れグレーゾーンに生き、人類を異常から守る組織で在り続けています。
ホープタウンでは (またタイムライン初期においてはそれ以外の正常性領域でも) ヴェール・プロトコルが維持されています。これはつまり財団が依然として秘密組織のままであるということ、そして人類が異常な世界を知らないままであるということを意味します。
SCP-001-H時点で、財団は “世界を救う” という理念をうち棄てています。財団が抱くポリシーは、人類に最大限やすらかなる死を確保することです。とはいえ皆さんは、これとはまた違うポリシーを持つ財団を描くかもしれませんね。それは著者として正常な試みでしょう。そうした作品を書くにあたっては、何がそのポリシーに影響を与えたのか考えてみるのも面白いかもしれません。
SCP-H
SCP-Hは «H» の枠組みにおいてのみ使用されるカテゴリーです。«H» カテゴリーに属しうるオブジェクトを際立たせるもの —— それは、そのオブジェクトに異常性が欠如しているという点です。なおこのカノンの枠組みにおいて、SCP-Hナンバーには基本的に高正常性領域が収められますが、しかし言うまでもなく、皆さんにはその基本に縛られない権利があります。
なぜ財団は非異常なオブジェクトを保護することにしたのか? それは “正常” が “敗倫乱常” に埋もれてしまったからです。通常のカノンで財団がアノマリーを収容するのは、その影響から “正常” な世界を守るためでした。そして «H» の世界でも、財団はその目的に遵い続けています —— この異常なる世界の只中で、“正常” を収容していくことで。
SCP-Hナンバリング記事で紡がれるTaleたちは、当該ナンバーに割り当てられたオブジェクトを描いています。典型的なTaleの形式を採用してもいいですし、あるいはSCP報告書のような形式にしてもいいでしょう (その場合サイト上ではオブジェクトtaleとして扱われることになります)。
SCP-Hのオブジェクトクラスを決める時にもスタンダードな “箱テスト” が使えます。有効に稼働している高正常性領域は当カノンの枠組みにおいてはThaumielクラスに指定されるでしょう。もし迷わしい場合、SCP-002-HのようにNon-Anomalousクラスも使うこともできます。
ホープタウン
ホープタウンはSCP-001-Hにある、財団により建てられた町です。ここには地下サイト-0があり、同サイトこそが全財団組織の中枢です。地理的にはこの町はグレートブリテン南部に位置します。
ホープタウンはこの «H» の世界において、最もやすらかで最も安全な土地です。ここはあらゆる意味で恙き正常な土地です。人々はこの町で通常の生活を送ります —— 世界終焉の訪れにも気付かぬままに。しかしそれも永久に続くことはありません。ホープタウンの終わりは不可避であり、財団にそれを防ぐ術はありません。
概要:
«H» は緩やかに進む世界終焉を描くカノンです。この中でも財団は活動を続けており、大衆から異常な世界を隠し続けています。全世界のアノマリー件数は予想されうる枠組みすべてを超過し、財団は正常な事物を収容しています。
舞台となる時代は現代です。ここでいう現代というのは、執筆時点から見てそう遠くない未来も含んでいます。
特徴:
- 当ハブで描かれる世界終焉は緩やかで穏やかで、そして決定的です。かつこれを、一層やすらかなものにしているのが財団です。それゆえクラシカルなポストアポカリプスものに付き物の常套句ク リ シ ェは避けるのが望ましいです。
- それと考慮しておくべきは、フロンティアの先にある領域は人間の力がもはや及ばないという点です。ここは理解も制御もできない論理で動く世界であり、想像と現実との間に境界はありません。こんな領域で人間が長期間生きれれるようになるようなことがあるとすれば、それは身体および/または精神において甚だしい変質をきたしてしまった場合に他なりません。
- SCP-001-Hの時点で、財団はフロンティアより外には存在していません。さらに財団はアノマリーの調査も収容も全面放棄しています。これは最後に残された正常なる事物の保護に注力した結果です。
- 財団はその理 念コンセプトを、 “異常を収容する” から “正常を収容する” へと徐々に移行していきました。
- 遅くとも2029年以降、財団はもはや一切のオブジェクトも収容していません —— SCP-001-Hだけを例外として。
- ここにはメインヴィランは存在しません。いずれの異常領域も相互に関係のない原因から生じてきました。これらを統合する単一の原理があるとすれば、それは現実性の包括的退行です。
このカノンのテーマ:
- 正常を収容するということ。
- 財団が “最後のその瞬間” に至るまでの活動。
- 地球最後の都市が如何に営まれるか。
- 世界終焉を受け容れるということ。
- もしくは逆にそれを受け容れないということ、そして出口を模索すること。
- 絶望感と閉塞感。
- もしくはその逆に、希望の光を模索すること。
皆さんが作品を執筆する際にはここで挙げられている全部のテーマに従う必要はありません。
主要な日付:
- 2009年 — 用語 “高正常性領域” の導入。
- 2012年 — 高正常性領域を «H» 類型SCPオブジェクトとして目録化。
- 2029年 — SCP-058-Hとの連絡が断絶。当オブジェクトはSCP-058-HはSCP-001-Hを除けば知られていた中で最後の高正常性領域であった。O5評議会により、SCP-001-Hが最後の高正常性領域であることが認められる。
- 2035年 — SCP-001-H収容違反推定時期。
全日付
- 2009年 — 用語 “高正常性領域” の導入。
- 2010年2月11日21:54 — クリアランスレベル4の財団職員に対する、差し迫ったK-クラス事象についての一般通告。
- 2012年 — 高正常性領域を «H» タイプSCPオブジェクトとして目録化。
- 2020年7月5日 — 北東異常領域がO5評議会により調査禁止指定。
- 2022年 — SCP-003-Hから高正常性領域ステータス剥奪。マサチューセッツ自由正常州の形成。
- 2024年 — セクター-West-Vにおける色彩消失 (SCP-002-Hで言及されている)。
- 2029年6月 — SCP-006-H(-ARC)であるサンフランシスコが収容違反。
- 2029年6月29日 — マサチューセッツがフィッチバーグを逸失。
- 2029年 — マサチューセッツ自由正常州の終焉。
- 2029年 — SCP-058-Hとの連絡が断絶。当オブジェクトはSCP-058-HはSCP-001-Hを除けば知られていた中で最後の高正常性領域であった。O5評議会により、SCP-001-Hが最後の高正常性領域であることが認められる。
- 2030年5月12日 — 南方異常領域の拡大。同領域がO5評議会により調査禁止指定。
- 2035年 — SCP-001-H収容違反推定時期。
SCP-Hは、特別収容プロトコル遵守が必要な非異常事物。SCP-Hナンバーには基本的に高正常性領域が収められる。
高正常性領域は、「長期間にわたり異常影響への曝露を免れうる」と財団が推定する領域。
SCP-Hというコンテクストにおける収容違反は、非異常なものが異常になること。SCP-001-Hの収容違反は人類の死を意味する。
フロンティア — SCP-001-H内の、ホープタウンには含まれない領域。
“奇象ウェザー”は、カノン «H» の世界において成立している状況を表す。すなわちこの惑星が、種々の大規模異常現象によって不均一に侵食されていることを意味する。そうした大規模異常現象は、世界各地において確立した多種多様な異常特質に関連している。各異常特質は、Telaテーラ、Fithaフィータ、Xauクサウの3種に分類されている。これらのパラメータをコンパイルすることで、異常改変がどの程度の反・正常性作用を持つかや、当該領域におけるその異常改変の発生確率、発生頻度、改変深度が判定される。これら3つのパラメータはいずれも時々刻々と変化し続けている。財団の諸部門は、異常への対応を機動的に遂行すべく常時それらを測定し、“天奇図” と “奇象予報” とを作成している。
“冬ウィンター”-事象は、この地球という惑星において今なお異常性に侵されていない事物の圧倒的大部分が、何らかの意味でその形態に変容をきたしてしまう、もしくは異常と化してしまう局面。最後の “正常” なセクターが陥落するときこそが、きっと “冬ウィンター”-事象なのだろう。
局地的 “冬ウィンター”-事象は、いずれかのセクターにおける破局的状況への突入。
“秋オータム”-事象は、財団が正常な事物を収容している段階。
“セクター”は、ある特定の大規模異常災害が発生している領域として定義される、やや境界不明瞭な空間的領域。単一のセクターに多数の (かつ様々な規模の) 異常現象が内包される場合、それら異常現象のうち一つを “逸出性” の異常現象と定義し、当該セクター全域の代表的特徴を表現するものとして扱われうる。セクター同士は重複しないが、時間が経つにつれあるセクターが複数のセクターに分離することはある。セクター形成は “奇象” と不可分に密接しており、在 “ホープタウン” 財団本部は可能な限り “奇象” を記録し、その後各セクターに「文字列-数字」の形式で符牒を充てがっている (例: West-XIX、トルコ-IV、ノルマンディア-I)。
セクターの例としては、Tale “頭に空いた穴” に登場する町・“フ=ジヴ=ギェ” が挙げられる。
正常性領域、および内部に逸出性アノマリーが未形成であるような領域には、セクターステータスは付与されない。
“Xauクサウ” (Xau-偏差とも) は、“奇象” のキーとなるパラメータ。セクターを特徴付けているもの (つまり各セクターにおいてこのパラメータは個別に設定され、また隣接セクターの値とは独立に定義される) であり、異常改変の頻度と深度とを決定している。“Xau” に注視すべき理由はそれが一定程度の精度で将来を予言することもできる点にある。以下の通り、4種のマクロレベルに大別される。
Xau-Calmク サ ウ の 凪 (${Xau}_{max} - {Xau}_{min} < 10$の場合) は、やすらかで静的である。アノマリー発生頻度はカノン «H» で描かれる種々の事象開始以前と大差ない。正常性領域や、セクターが形成されたばかりである土地、セクターが未形成の土地が相当する。
Xau-Windク サ ウ の 風 ($10 \leq {Xau}_{max} - {Xau}_{min} \leq 100$の場合) は、アノマリー発生頻度や改変深度の顕著な上昇。かつそうしたアノマリーが、当該セクターでの生活にとり一体不可分な要素となっている状態。
Xau-Stormク サ ウ の 嵐 ($100 \leq {Xau}_{max} - {Xau}_{min} \leq 500$の場合) は一般に、異常活動の突発急峻な増加。平均して、各異常現象が100km2につき15秒あたり1度の頻度で発生している (あるいは、発生した後消失することを繰り返す)。これは数分〜数日間継続しうる。
Xau-Catastropheク サ ウ の 禍 難 ($500 \leq {Xau}_{max} - {Xau}_{min} \leq 10,000$の場合)は、桁外れに大規模な異常活動の突発急峻な増加。一切の例外なくあらゆる物体・生物が持続的な異常効果に曝露する。Xau-Catastrophe一件あたり、原則的に、特定の (単一の) 異常効果がその曝露源となる。そしてこの異常効果はパラドキシカルな外 形 歪 曲デフォーメーションと変 態メタモルフォシスとに結実する。このような破局的事象を生き延びられるのは、(異常改変を被った者を含めたとしても) 吹けば飛ぶような一糸一毫の幸運を掴み果せた者だけである。いちセクターにつき一度起こり、それを経たセクターはその様相を永久に変質する。Xau-Catastropheにより終了されたセクターを通過することには、多大な危険が伴う。
例としては、正常性領域・SCP-006-H (サンフランシスコ。Tale “頭に空いた穴” にて言及) での事象が挙げられる。同TaleにてSCP-006-Hは丸ごと溶解して液体化し、サンフランシスコ・ベイへと漏出していった。
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