(` ͜ʖ´) < キョウチョ

登場人物(メインキャラクター)

  • 双雨 照(フタサメ テル)
    サイト-81-103に勤務している博士。性別は女性。後天的異常性保持者であり、自身の周りを2つのてるてる坊主がついてまわるという特異性を持っている。コーヒーには角砂糖を10個ほど入れることでも知られている。
  • 佐々木 幸乃(ササキ ユキノ)
    サイト-81-103に勤務している対話部門のカウンセラー。性別は男性。非異常性の人間であり、1日に10杯以上のコーヒーを飲んでいることでも知られている。コーヒーは無糖かつブラックで飲む。

ストーリー

〇シーン0

双雨が自室にて寛いでいるシーン。時刻は23時18分であり、双雨はテーブルに向かって座っている。テーブルの上には1枚の家族写真が置かれている。家族写真には自分・弟妹・両親が写っている。この写真は双雨が財団に雇用される前に撮影されたものであり、双雨はこの写真を通じて家族へと思いを馳せている。ふと「家族に電話しようかな」と思い立って携帯電話を手に取った双雨だったが、少しの逡巡の後に電話を手放すことにする。

〇シーン1

双雨と佐々木がサイトのカウンセリングルームで話している。これは異常性保持者雇用規約によって定められた「定期検診」のためである。いつも通りの質疑応答を行った後に双雨がカウンセリングルームを後にする。その様子を見ながら佐々木は「彼女も変わったな」と短く口にする。事務用机の上に置かれたカルテを眺めながら、佐々木は双雨との出会いについて想起する。

〇シーン2

双雨と佐々木の出会いは7年前に遡る。当時の双雨はアノマリーとして財団に収容されていた。佐々木はアノマリーへのカウンセリングプログラムの一環として双雨に接することになる。この時に佐々木が双雨に対して抱いた第一印象は「どこか暗くて不安定な少女」というものだった。事実、対話の時の発言からは後ろ向きな感情が感じられたし、様子や挙動はかなり不安定で危なかっしいものだった。そういったこともあって、佐々木は双雨のことを注視していた。

〇シーン3

双雨が財団に雇用されたのは佐々木との対話から5年が経過した頃の話である。雇用のきっかけはSCP財団本部にて実施されていた「統合プログラム」が日本支部でも実施されることになったからだ。偶然にも、双雨は佐々木と同じオブジェクトの研究チームに所属することになる。その時の双雨の様子は第一印象とは異なり「ポジティブで活気溢れる新人」というものになっていた。佐々木はこの異様な変化に違和感を覚えていたが、まあ問題ないだろうと考えてスルーしていた。そうして時間が経って今日に至るわけである。

〇シーン4

双雨と佐々木が食堂でコーヒーを飲みながら話している。食堂でこの2人が出会ったのは偶然の出来事である(いつもなら佐々木の仕事が長引くが、この日は比較的早く終わった)。そうしてコーヒーを飲みながら話をしている中で、佐々木が「家族に連絡ってしたりしてますか」と問いかける。この問いかけを受けた双雨が黙り込む。佐々木は双雨の様子がどこかおかしいことに気づく。それに違和感を抱いた佐々木が双雨を問い詰めたところ、双雨は「家族に申し訳ないから」という理由で連絡をしていなかったことが明らかになる。

佐々木が「何が申し訳ないのか」と双雨に問いかける。それに答える双雨。話によると、双雨は過去に弟妹を事故で亡くしているという。双雨はその事故に巻き込まれながらも助かった生存者であり、事故のタイミングで異常性が発現した後天的異常性保持者である。また、双雨の両親は特に弟妹のことを大事にしていたのだという。これらの出来事や過去を経験したうえで双雨は「なんで貴女じゃなくて弟妹が死んだのか」や「大切なものを奪ったくせに平和に生きやがって」などの罵詈雑言を浴びせられると考えていたのだという。

ここで佐々木が長年感じていた違和感の正体に気付く。この違和感は「暗い自分を隠すための演技によって生じていたもの」であり、双雨自身は何一つとして変わっていなかったことを意味するものであった。双雨による発言を経て違和感に気付いた佐々木が双雨に対して「じゃあ、試しに両親に電話してみなよ」と発言する。双雨は当然嫌がる(罵詈雑言を浴びせられると考えているから)が、佐々木は構わずに電話を促す。これは原因療法的なものであり、双雨の不安やネガティブの根幹となっている出来事を取り除こうとしての発言である(思い込みならばそれで問題ないし、本当ならば別途対策を練れるので有効と佐々木は判断した)。

促されるままに電話を掛ける双雨。その不安そうな表情や緊張している様子を眺めながら、両親が電話に出るのを待つ。数度の呼び出し音の後に、電話越しに両親の声が聞こえてくる。双雨が自分の名前を名乗ると、両親は「もっと早く電話を寄越すようにしろ」と怒る。これを聞いて若干困惑する双雨。実のところ両親は双雨のことを心配していたわけである(事故ってすぐに収容されることになったので当然といえば当然)。ここで双雨が「わたしなんかが生きてて不満だったりしないのか」と問うと、両親は「なぜそんなことを言うのか」と答える。ここで双雨が理由を言った途端に「馬鹿なこと言うなよ」と両親が言い放つ。要するに、全ては双雨の思い込みだったわけだ。

そこから色々なこと(機密事項や財団のこと以外について)を話して、双雨は電話を切る。「どうでしたか?」と問いかける佐々木に対して、双雨が「思い違いだったみたいです」と返す。双雨は少し涙ぐんでいたが、その表情は前よりも明るいものとなっていた。佐々木はそれを見ながら「ならよかったです」と言ってコーヒーを飲んだ。

〇シーン5

シーン4から1週間後、双雨と佐々木は再度カウンセリングルームを訪れていた。ここで双雨が「今度家族と会ってもいいことになった」と話す。7年振りの家族との再会を喜んでいる様子の双雨を見ながら、佐々木は「よかったですね」と短く言った。

〇シーン6

双雨が自室のベッドにて目を覚ます。現在時刻が7時30分であると知った双雨が慌てながらスーツに着替える。「行ってきます!」といって部屋を後にする双雨。最後に新しい家族写真(てるてる坊主も写ってる)を描写してオチ。


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執筆者: teruteru_5
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最終更新: 14 Oct 2023 06:08
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