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僕は空室が嫌いだ。
サイト内の一角にある、使われていない収容室内にて。設備のメンテナンスをしながら、ぽつりと呟く。天井に取り付けられた照明が、空っぽな部屋を照らしている。
何故、僕は空室を嫌うのだろうか。ふと疑問に思う。作業する手を止めずに思案する。そうして浮かんできた答えは「異常を強く感じてしまうから」というものだった。
異常というものは恐ろしいものだと、僕は思う。常識の外から一方的に殴られるような恐怖が、絶えず襲いかかってくるから。人は理解出来ないものを恐れる、という言葉もあながち間違ってはいないのだろう。そう呟きながら、メンテナンスを続けていく。
収容対象はどう考えているのだろうか。頭の中にクエスチョンマークが湧き上がる。恐らくは圧倒的な恐怖に耐えながら生活しているのではないだろうか。見知らぬ場所で一人、異常を強く感じながら過ごすとなれば、流石の財団職員でも恐怖心を抱くものだろう。
何も空室が怖いのは僕だけではない。収容対象となっている彼らだって、恐怖を感じながら生きているのだ。全てでは無かったとしても、少しだけでも彼らに寄り添うことが出来るはずだ。そんなことを考えながら、仕事を続ける。
──彼らの恐怖を少しでも拭って、安心した日々を過ごしてもらうことが僕の仕事だから。
心の中で呟いて、チェックシートを取り出す。シートの上をペン先が駆けていく。カリカリという筆記音だけが、空間に響いている。この収容室に異常はない。それが分かれば大丈夫だ。
仕事を終えたことを確認して、ドアに向かって歩き出す。正常な空間の中に、コツコツという足音だけが響いている。無機質なドアの前に立った僕は、大きく深呼吸した。
「メンテナンス、完了しました」
胸元のピンマイクに向かって言い放つ。少しでも彼らの不安を拭えるならば。そう呟いて、収容室の外へ出る。静かに扉が閉まり、電子ロックが掛けられる。それを見届けた僕は、廊下の奥へと足を進めることにした。
異常で満ちた空室の中には、微かな安心が散り嵌められていた。
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ジャンル
アクションSFオカルト/都市伝説感動系ギャグ/コミカルシリアスシュールダーク人間ドラマ/恋愛ホラー/サスペンスメタフィクション歴史任意
任意A任意B任意C- portal:7178014 (30 Dec 2020 05:31)
ここの因果関係があまり実感できませんでした。確かに、何者も存在しない空室にただ独りで存在するというのは、集団で社会生活を営むヒトにとっては異質であり"異常"なことなのかもしれません。しかし、本作で登場する「異常」という語はあくまで財団のコンテクストにおける「異常」、すなわち超常的・超自然的な事柄を指すように感じられます。ここにおいて、空室において超常的な事物をより強く感じる、という論理に納得ができませんでした。
また、全体的に「オブジェクト自体も恐怖心を抱いている」という着眼点を与えただけに留まっていたように思います。確かにSCP-5031のような例があるとはいえ、こうした視座で描かれた作品はあまり多くはなく、新しさがあるように思います。しかしそうした観点を提供しただけであれば、「そういう見方もあるか。うん、それで?」と、その先を求める読者も多く居るように思います。こうした観点があることを示したうえで、さらにその先の展開や意義を示すことができれば評価を得られるのではないかなと思いました。また、オブジェクトが恐怖心を抱かないように語り手が具体的に何を行い、どのような工夫を凝らしているのかといった描写が無く、具体性を帯びていない単なる理想の吐露に終わっているようにも思います。
漫画『ディノサン』はモンスターとして描写されがちな恐竜を生物として扱い、現生の動物が感じるようなストレスや感情が描かれています。しかしこの作品はそれだけに留まらず、劇中で発生した問題にケリをつける展開上の起伏が用意されていますし、また恐竜の行動や情動の要因や因果を緻密に描くことでリアリティを高め、動物福祉に関する物語として成立させています。ショートコンに出場する中で字数はネックですし、展開でひと悶着起こすのは難しいとは思いますが、少なくとも具体性を高めることは本作を抽象的な議論で終わらせず確固たる要素を作ることができる点で、有意義なのではないかと感じました。
拝読致しました。
リビジョン11時点での批評です。
呟くよりも思った方が共感性が高いように思います。
現状DVとなってしまうように思います。確かに共感性はあるのですが少々その共感性の深度が足りないように感じます。短い記事においてインパクト・共感性のいずれか一方は非常に必要ですがこちらは共感性に全振りしたような記事でありそちらの方面で書かれているとは思うのですが少々その共感が足りない、浅いように思ってしまいます。とは言ってもこれ以上共感性を高めるような文言は思い浮かびませんしどの様に改変すれば良さそうかなどもあまり想像がつきませんので発想力勝負となってきてしまいそうです。
記事作成頑張ってください。