Tale - 笑いは終わらない

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 さて、今回のLaugh is Funはどうだったかな。初の日本上陸にしては上出来だったろう? 理外を相手にしたときの驚きの表情と、この僕、ラフィ・マクラファーソンが出てきたときの笑い顔! やっぱり笑いってのは最高のエンターテインメントになるんだよ! 思わず僕まで笑い出しちゃってさ。いやあ、なかなかいいものになってたんじゃないかな?

 そうそう、今回のLaugh is Funはいつもと違うんだよ。冒頭に言ったろ?とっておきの仕掛けが仕込まれてあるって──


・・・

・・・

・・・

 例えるならばそれは虚無だった。ぱっとしない毎日、減っていく貯金、失った信頼。一人として友達のいない底辺大学生にはお似合いだろ、ということしかできない現実に僕、矢田谷 洸汰やたがい こうたは浸かっている。

 今日とてそれは例外ではない。イマイチぱっとしない飯を食べ、イマイチぱっとしない服を着て、イマイチぱっとしない内容の講義に出る。無論、食費なんかで貯金も減った。バイトする余裕と気力なんてない。このまま一生微妙な人生を歩むのかな、なんて考えてベッドに埋もれる。

 ベッドに埋もれていると、将来への細々とした不安が降りかかってきた。ただでさえイマイチで暗く、無気力な人生がさらに暗くなってしまう。そう考えた僕は気分転換にと思ってテレビのリモコンに手を伸ばした。不安や暗い感情を振り払うかのように伸びた手で掴んだリモコンを操作し、真っ暗なウィンドウに明かりを灯す。

 放送される内容も微妙なものばかりだ。どこかで見た企画、どこかで見たようなタレント……とにかくつまらないとしか言いようのないものだった。でもテレビを見る以外にすることはないし、暇つぶしとして仕方なく見ているのだが、やはりつまらない。二番煎じじみた内容に飽き飽きしてテレビの電源を落とそうとしたときだった。

「本日の放送は終了しました──」

 時刻は午前三時を回っている。基本的にテレビ局も活動を終え、放送休止状態に陥る時間だ。画面いっぱいに映し出された砂嵐をよそ目に、テーブルに置かれたリモコンを手に取る。心なしかいつもより重く感じたそれを片手にテレビを向き、電源を落とそうとしたとき、ある不自然に気付く。

 画面には映像が映っている。右上の「LIVE」の文字からするに、リアルタイム中継なのだろう。そう考えながらテレビを眺めていると、もう一つの不自然に気付いた。

 テレビに映っているのは自室、そしてまぎれもない自分自身の後ろ姿だ。盗撮の類かと思い、後ろを振り向く。しかし、背後にあるのは木製のドアとテーブルだけ。盗撮などできる状況にもないのに、テレビには自分と自室が映っている。

 頭がおかしくなりそうだった。

 何か怪異じみたものに触れているような恐怖を感じ、スマホを持ってその場に立ち尽くす。動いたら何か起こるのではないかという恐怖とどうすればこの状況から出られるかという疑問が脳内を駆け巡り、支配した。スマホで助けを呼ぼうにも、親は実家ですぐには来れない。かといって警察に言うわけにもいかない。二進も三進もいかない状態で数分が経過した。

 立ち尽くしながら諸々を考える。怖い、逃げたい、助けて──悲痛の感情がとめどなくあふれてくる中、「自分から動かないとどうにもならない」という現実に直面した。心の中では分かってるんだ、と言うも身体は動かない。しかし、このままでは助からない。そう考えた僕はライトモードのスマホ片手に部屋からの脱出を試みた。

 怯える足取りで扉に向かい、ライトモードのスマホをかざす。おそるおそるドアノブに手を掛け、右方向にゆっくり回す。震える心を押さえつけるかのように深呼吸をした後、意を決して勢いよく扉を開いた。これでようやく解放される、そう考えていた。

 しかし、その考えはすぐに打ち砕かれた。扉の向こうには自分が立っていた。無表情な"僕"に直面し、思わず後ずさる。理外に直面した僕の脳内は思考停止してしまった。

 迫りくる"僕"から逃れるように部屋の奥に向かう。そこらに投げ捨てられていたマンガを片手に警戒していると、あるものが目に映った。テレビから自分が出てきている様子。さながら貞子のような様相で出てきた第三の"僕"もオリジナルの僕に近寄ってくる。

 必死に本を振り回すも、"僕"達は気にもしない。無表情な顔が近づいてくる。あと数歩で自分に触れる。ああ、終わりなのか、と死を覚悟した次の瞬間──

「ハーイ! Laugh is Funのラフィ・マクラファーソンだ!」

 ロイヤルブルーのスーツの男が陽気な声を上げながら軽快な足取りで現れた。"ラフィ・マクラファーソン"と名乗る男が僕に手を差し伸べる。腰が抜けてその場にへたり込んでいた僕は彼の手を取り、問いかけた。

「あの、これは一体?」
「ああ、これかい? ちょっとしたドッキリさ。怖がらせてしまったなら申し訳ない。ただ、喜んでくれ」
「喜ぶ?」

 なんとまあ悪趣味なドッキリだと内心悪態を吐きながら、「喜べ」というメッセージに対する疑問を口にする。「おや、わかってないようだね」といったラフィは、身振り手振りを交えてこういった。

「なんてったって、君はこの僕が司会を務める大人気番組、"Laugh is Fun"日本バージョンの初放送者なんだから! 日本で君が僕の番組に一番乗りで出演したんだ! 君は特別な奴だよ!」
「特別、ですか」
「ああ、そうとも! 狙って出られるわけじゃないからね。特にドッキリ中の君は世界で一番輝いていたさ!」

 「世界で一番輝いていた」。それは暗い僕の人生を照らす一縷の光のような言葉だった。そう言えば、何やるにも下から数えた方が早かったっけ、と心の中でつぶやく。実際、ぱっとしなかった自分が一番だなんて言われることはなかったし、その言葉が冗談だとしても僕は心底うれしかった。

 気が付けば、いつの間にか無表情の"僕"達も笑いながら賞賛を送っている。そして、僕は心の底からこみ上げてくる一つの感情に気が付いた。喜びの感情が全身から放たれる。笑って、喜びのあまり泣いて、叫んで。全身を使って喜びをかみしめた。

「さあ、笑おう! 皆もさ、ほら! 大きな声出して、深い笑顔で! 僕と一緒に笑おう! 僕らと一緒に笑おう! 笑おう! 笑おう! 笑おう! 笑って僕らの仲間になろう!」

 ラフィが大声で叫ぶ。僕の部屋の中には僕と、"僕"達と、ラフィの笑い声が木霊した。


・・・

・・・

・・・

 いやあ、今回のLaygh is Funは最高なものが撮れたよ。ひょっとしたら過去最高傑作かもしれないね。日本進出を祝って、喜んで、笑っても釣り銭がでるくらいのものさ! それとね、今回はある仕掛けを用意したんだ。

 これを見た君は気付いたかな? 今回のLaugh is Funはループ再生されてるんだよ。何回だって最高の瞬間を見れる、楽しめる。そして笑える! ああ、なんて素晴らしいことなんだろうか!

 ん? 質問? 「キャストの彼──矢田谷 洸汰はどうなるのか」って? いい質問だね。彼はLaugh is Fun日本バージョンの初キャストなんだ。徹底的に楽しんでもらわないと元の世界には帰せないな。

 だってさ、僕らは永遠に回り続けるか、跡形もなく消えるかしかないから。彼には僕らが回り続けている間、この世界を楽しんでもらわないとね。


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