Tale - 喜劇のような独白

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 懺悔しようと思います。

 僕は、直接的ではないにしろ一人の人間を殺しました。齢十一の少年を、です。未来ある若者を、望んでいたからという軽率な理由で殺したのです。これはとてもじゃないですけど許されることではないでしょう。求められれば死ぬことすら厭いません。……そうしないと、償えませんから。

 殺してしまうまでの経緯も言わせてください。気持ちが整理できてなくて。誰かに向かって吐き出さないと、とてもじゃないけど耐えられるものじゃないです。

 まず、僕の正体から言おうと思います。僕はサンタクロースだった人です。あの、十二月の夜に子供にプレゼントを渡して回るサンタです。先代から受け継いだ、魔法の麻袋とそりを引っ張って子供のいる家をせっせと回ってたんです。だって、それが仕事ですからね。

 僕は子供がプレゼントをもらって喜ぶ顔を見るのが好きでした。ほしいものをもらって表情が緩む、あの一瞬の幸福感を見るために活動しているといっても過言じゃありませんでした。それだけが僕のサンタクロースとしての仕事をする上でのやる気の源でした。

 ですが、ある日から皆の様子がおかしくなってしまったのです。ずっとニコニコニコニコ笑ってて。プレゼントを渡したところで表情が変わることはなかったです。……あの引き攣ったような笑みも、甘ったるいような猫撫で声も気味が悪いんです。正直、気が狂ってしまうかと思いました。

 どうして皆笑ってるんですかね。何も面白いことなんてないのに。

 ……すいません。少し話が逸れました。気が狂ってしまうような日々を僕はじっと耐えていました。世界から届くサンタ宛ての手紙を処理して、トナカイの世話して。でも、そんな中でも思ってしまうんですよ。僕は心の底から求められてるのかなあって。

 だってですよ。皆、僕を見ても表情を変えないんです。昔は「サンタさんだ!」って大声で喜んでくれた子供も、ニタニタしてるだけで。僕だけがおかしくて、それでおかしい人はいらないって言われてるような気がして。……サンタの仕事に一切身が入らなくなりました。

 でも、一応仕事はしないといけないから続けてはいたんですよ。相変わらず事務作業ですけどね。もうこの姿を見せた方が皆喜ぶんじゃないかなと思ってました。

 そして、一年が経ってクリスマスになったわけです。街には気味悪い笑顔が溢れ、あちらこちらから歓声と笑い声が聞こえてきました。何が可笑しいのかは分かりません。正直、外には出たくありませんでした。だって、気味悪い顔を眺めることになりますからね。

 その日の夜にプレゼントを配って、さてあと一件ってなったわけです。これが終わればまた苦痛から解放されるって思って。そして仕事をするためにある子どもの家に入り込みました。入り込まなければよかったと今でも思ってますよ。だってここで僕は少年を殺したんですから。

 ……そこの家の少年は僕と同じでした。笑顔だけじゃなく、そのほかの表情も知ってる子供だったんです。それを知った僕は喜びましたよ。ああ、やっとまともな人間だ、って。話を聞くと、少年は僕と同じように笑顔に苦しめられていたそうでした。飼い犬が死んでも、ケガしても、怒られても笑顔という様相からストレスを感じていたそうです。

 それを知った僕は、今までの頑張りをたたえる意味でプレゼントを渡しました。魔法の麻袋の中にはその子供のほしいものが出てくるんですよ。だから直前まで僕はプレゼントの中身を知りませんでした。本当です。

 そして少年が袋からプレゼントを取り出しました。出てきたのは小さなガラス瓶。中には水みたいなものが少し入ってました。少年はプレゼントを取り出した後、すぐにその液体を飲み干したんです。……止めてればこうはならなかったんでしょうね。

 液体は毒薬でした。多分少年は自殺したかったんでしょうね。そりゃ子供ですもん、ストレスをずっと抱え続けるのは無理でしょうね。だから、楽になれるように毒薬を求めた。僕はそうとしか考えられませんでした。苦しむ様子の少年をよそ目に、僕は動けませんでした。頭の中がこんがらがって。パニックになると動けなくなるって本当なんですね。

 そして、少年は死にました。僕は間接的だけど少年を殺したのです。

 死ぬ間際に少年は「最高のクリスマスをありがとう」と言ったんですよ。それほどまでに追いつめられていた人を、僕は救えなかったんです。笑顔を、幸せを作るどころか苦しませてしまった僕はサンタクロースではないんです。

 サンタクロースじゃなくて、人殺しに僕はなってしまいました。幸せを追い求めた結果苦痛にたどり着くとか、皮肉効いてますよね。そこらのお話でも擦り続けられてますからね。



 ……ねえ、そんなに僕の話が面白い? 皆さっきからげらげらげらげら笑ってますけど。どこが面白かった? どこがツボに刺さった? 教えてくださいよ。ねえ。



 どうせ僕の懺悔や人生は喜劇みたいに映ってるんでしょう?


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