SCP-2605-JP - 逆効果

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クレジット

タイトル: SCP-2605-JP - 逆効果
著者: ©teruteru_5
作成年: 2022

アイテム番号: SCP-2605-JP	Level 2/2605-JP
オブジェクトクラス: Euclid Nagi¹	Classified

特別収容プロトコル: SCP-2605-JPはサイト-81W1の標準人型収容セル内に収容されます。担当職員はSCP-2605-JPに対して定期的にメンタルケアを目的とした対話を行うことが義務付けられています。SCP-2605-JPの取り扱いは標準人型存在取り扱い手順に基づきます。

出現したSCP-2605-JP-Aは収容チームによって回収され、鑑定の後に焼却処分されます。

説明: SCP-2605-JPは日本人男性である神尾カミオ龍人リュウトです。2016/08/11現在で27歳であることが確認済みです。SCP-2605-JPに身体的異常及び疾患は確認されておらず、知能レベルや身体能力などに成人男性の平均値からの大きな逸脱などは見受けられません。

不定期なタイミングでSCP-2605-JPの周囲5m以内にSCP-2605-JP-Aが出現します。SCP-2605-JP-Aは日本人女性である十市トオチ小恋ココの遺伝情報を有する身体部位です。十市小恋は2016/05/07に行方不明となっており、現在まで発見されていません。確認されているSCP-2605-JP-Aの種類として頭髪、爪、指、耳、歯が確認されています。これらの物質は非異常であり、通常の死体と同様に腐敗していきます。SCP-2605-JP-A出現現場には微量の奇跡術使用痕が確認されています。

SCP-2605-JPは警察に「ベッドの上に指が落ちている」旨の通報を行ったことで確認されました。その後、通報を受けて現場に駆け付けた財団エージェントによって確保、保護されました。保護当時のSCP-2605-JPは心的外傷後ストレス障害を患っていたことが収容時に行われたことが判明しています。これは切断された指を視認したことによるショックに起因するものであるとされています。

補遺.1: 来歴調査

SCP-2605-JP及び十市小恋の来歴を調査した結果、SCP-2605-JPは東京都██区に存在するバー「████」という店にスタッフとして勤務していたことが、十市小恋は東京都███区に存在する███という企業に社員として勤めていたことが判明しています。また、両名の家宅捜索を行った結果、十市小恋の自宅から複数枚の、SCP-2605-JPを盗撮したと推測される写真が発見されています。このことから、十市小恋はSCP-2605-JPに対して執着心を抱いていたと推測されています。

補遺.2: インタビュー記録

以下の記録はSCP-2605-JP収容から一週間後に行われたインタビュー記録の抜粋です。インタビュアーはエージェント・アラタ(以下、AA)でした。

インタビュー記録 2605-JP

[記録開始]

AA: 神尾さん、調子はどうでしょうか。

SCP-2605-JP: 最悪ですよ。今日は起きたら枕元に耳が落ちてて。慌てて自分の耳が付いてるか確認するほどパニックになりましたよ。

AA: そうですか、それは気分が悪くなりますね。

SCP-2605-JP: ええ。何で俺がこんな目に遭わなければ……。

AA: [沈黙]そういえばですが、貴方のベッドの上に置かれていた指ですが、誰のものかわかりましたよ。

SCP-2605-JP: [前屈みになる]本当ですか、教えてもらってもいいです？

AA: ええ。あの指は十市小恋という女性のものでした。[十市小恋の顔写真を見せる]この顔の女性に心当たりはありませんか？

SCP-2605-JP: [5秒間の沈黙]知ってます。この人、俺が働いてたバーの常連客です。流石に名前までは知りませんでしたが。

AA: ふむふむ。どんな人柄だったか、などはご存じですか？

SCP-2605-JP: そうですね[2秒間の沈黙]基本的に明るくて、テンションが高いことが多かったです。よく店員として話し相手になったりしてたので。でも、偶に何というか、あからさまにテンションが下がって、表情が曇ったりすることはありましたね。結構急に変わるので、心配してました。

AA: なるほど。話し相手になってたとのことですが、どんな話をしていたのですか？

SCP-2605-JP: [十市小恋の写真を指差して]この人──十市さんの仕事の愚痴だったり、今流行りのタレントとかドラマの話だったりです。まあ、特に変わった話はしてなかったはずです。

AA: そうですか、わかりました。[2秒間の沈黙]実は十市さんの自宅を家宅捜査したのですが、このようなものが大量に見つかりました。ご存知ですか？

[AAはSCP-2605-JPに、十市小恋の自宅より回収された写真のデータを見せる]

SCP-2605-JP: [7秒間の沈黙。SCP-2605-JPは驚いたような反応を見せる]なんですかこれ。

AA: おそらく、貴方を盗撮したものであると思われます。ここ数か月間の間で尾行されてるな、とか何か変だな、とか思ったことはありませんか？

SCP-2605-JP: 変なこと、ですか。[SCP-2605-JPは考える素振りを見せる]そういえば、夜遅くに煙草を吸う為にベランダに出た時にシャッター音が聞こえたりとかしてましたね。気のせいだと思ってほっといてましたが、こういうことだったんですか。

AA: おそらくは。十市さんはこのような素ぶりをバーでは見せていましたか？

SCP-2605-JP: 見せてなかった[1秒間の沈黙]はずです。昔から疎いので気付いてないだけかもしれませんが。

AA: なるほど。ちなみにですが、十市さんと個人的な交流ってありましたか？

SCP-2605-JP: いいえ、全く。そもそも店のルールで客との個人的な交流は禁止されていたので。それに、いくら常連さんと言えど客でしかないので。

AA: [5秒間の沈黙]わかりました。ありがとうございます。

[記録終了]

終了報告書: 当インタビューの内容から、十市小恋はSCP-2605-JPに対して重度の依存症状を抱いており、一方的な好意を抱いていたとされるという見解が心理学部門より提出されています。また、感情の激しい起伏等の内容から慢性的な躁鬱病を患っていた可能性も示唆されています。

補遺.3: 出現物品

SCP-2605-JPの収容から半年が経過した時点で、出現するSCP-2605-JP-Aの内容が大きく変化しています。現在では主に骨、胃液をはじめとした体液、腎臓や肺などの臓器、眼球や舌などの感覚器官が確認されています。これらのSCP-2605-JP-Aの出現の影響により、SCP-2605-JPの心理・精神状態は著しく悪化しています。現在、SCP-2605-JPに対する更なるメンタルケアプロトコルの立案が行われています。

補遺.4: 追記

SCP-2605-JPの収容から一年後、通常と異なり、一枚のメモ用紙及び一万円札100枚の入った封筒がSCP-2605-JP-Aとして出現しました。出現したメモ用紙自体に異常はないことが確認されています。メモ用紙には少量の血液を含む黒色インクによって以下のメッセージが書かれていました。

なんで応えてくれないの？こんなにも貴方に捧げているのに。

回収後行われた血液の遺伝子検査や文字の筆跡鑑定の結果、全て十市小恋のものと一致しました。該当のSCP-2605-JP-Aは鑑定の後に焼却処分されています。

補遺.5: 十市小恋に関連する情報

SCP-2605-JPの収容から18か月後、徹底的な十市小恋の捜索が行われました。この捜索は下記グラフに記すSCP-2605-JP-Aの出現に起因するものです。

№	物品の詳細
#158	十市小恋のものとみられる脳組織に巻かれた千円札一枚²、及び「望むものはあげるから」と書かれたメモ用紙一枚。文字は血液によって書かれており、筆跡及び遺伝情報は十市小恋のものと一致した。

出現時、現場からは多量の第六生命エネルギーが検出されています。

上記要因に起因する徹底的な捜索の結果、██県███村内に存在する小屋の中から、十市小恋のものと推測される頭蓋骨が発見されました。頭蓋骨の調査の結果、死後経過した時間はおよそ5日ほどであると推測されています。また、小屋の中には複数の奇跡論に関連する論文や異常科学に関連する文書が押収されています。十市小恋がどのようにして異常関連の文書を手に入れたのか不明であり、調査が継続されています。

また、頭蓋骨の発見以降、SCP-2605-JP-Aの出現は確認されていません。出現の停止に伴い、SCP-2605-JPのオブジェクトクラスは暫定的にNagiに再指定されました。今後5年間にわたり異常性が発生しなかった場合、正式な手続きを経てオブジェクトクラスはNeutralizedに指定されます。